(原題:ANNIHILATION)2018年2月よりNetflixで配信されたSFホラー。正直言って、大して面白くない。似たような設定の作品は過去にあったし、構成および筋書きにも納得いかない部分が多い。ジェフ・ヴァンダミアによる原作は三部作の長編だということだが(本作は第一部の映画化)、この映画の出来を見る限り、残りが映像化される可能性はさほど高くないと思う。
軍を退役し、今は生物学の教授として大学に勤務するレナのもとに、1年前の特殊任務に出掛けたまま行方不明になっていた軍人である夫ケインが突然帰還する。しかし彼は記憶が曖昧になっており、突然倒れて救急車に乗せられる。その途中、2人は軍に拘束されて某所にある研究施設に運ばれる。
そこのスタッフによると、基地の近くでシマーと呼ばれる謎の異世界が広がっており、ケインは偵察隊として仲間と共にシマーの中に入ったものの、彼しか帰って来なかったという。どうやらシマーは宇宙から来た生命エネルギー体のようで、レナはその秘密を探るべく4人の女性科学者と共にシマーに乗り込んでゆく。そこは遺伝子が突然変異を起こす不思議な空間で、レナたちは翻弄される。
異星からの侵入者によって地球上に謎のエリアが広がり、登場人物たちがそこに入り込んでゆくという設定の映画としては、何といってもアンドレイ・タルコフスキー監督の傑作「ストーカー」(79年)が思い出させる。特殊効果をほとんど使っていないにも関わらず、観る者を慄然とさせるようなSF世界を構築していた。
しかしながら、この「アナイアレイション」は「ストーカー」の足元にも及ばない。そもそも、このシマーの造型は安っぽい。色彩のセンスも、空間表現も、クリーチャーのデザインも、(金は掛けてはいるのだろうが)B級感が全面展開している。これではセンス・オブ・ワンダーは創出されない。
そもそも、レナたちのグループはどうして女性ばかりなのか、なぜ中途半端な武装で危険な地域に乗り込むのか、まるで不明。終盤でのレナの行動がどのようなプロセスで“ああいう結末”に繋がるのか、明示も暗示も無し。物語がレナの回想という形で進むのだが(この形式は何となく本多猪四郎監督の「マタンゴ」に似ている)、レナの過去や不倫騒ぎなど、余計なモチーフが散見される。
アレックス・ガーランドの演出は冗長で、メリハリが欠けたまま漫然と進む。ナタリー・ポートマンにジェニファー・ジェイソン・リー、テッサ・トンプソン、オスカー・アイザックといった顔ぶれも、何やらもったいない感じだ。
軍を退役し、今は生物学の教授として大学に勤務するレナのもとに、1年前の特殊任務に出掛けたまま行方不明になっていた軍人である夫ケインが突然帰還する。しかし彼は記憶が曖昧になっており、突然倒れて救急車に乗せられる。その途中、2人は軍に拘束されて某所にある研究施設に運ばれる。
そこのスタッフによると、基地の近くでシマーと呼ばれる謎の異世界が広がっており、ケインは偵察隊として仲間と共にシマーの中に入ったものの、彼しか帰って来なかったという。どうやらシマーは宇宙から来た生命エネルギー体のようで、レナはその秘密を探るべく4人の女性科学者と共にシマーに乗り込んでゆく。そこは遺伝子が突然変異を起こす不思議な空間で、レナたちは翻弄される。
異星からの侵入者によって地球上に謎のエリアが広がり、登場人物たちがそこに入り込んでゆくという設定の映画としては、何といってもアンドレイ・タルコフスキー監督の傑作「ストーカー」(79年)が思い出させる。特殊効果をほとんど使っていないにも関わらず、観る者を慄然とさせるようなSF世界を構築していた。
しかしながら、この「アナイアレイション」は「ストーカー」の足元にも及ばない。そもそも、このシマーの造型は安っぽい。色彩のセンスも、空間表現も、クリーチャーのデザインも、(金は掛けてはいるのだろうが)B級感が全面展開している。これではセンス・オブ・ワンダーは創出されない。
そもそも、レナたちのグループはどうして女性ばかりなのか、なぜ中途半端な武装で危険な地域に乗り込むのか、まるで不明。終盤でのレナの行動がどのようなプロセスで“ああいう結末”に繋がるのか、明示も暗示も無し。物語がレナの回想という形で進むのだが(この形式は何となく本多猪四郎監督の「マタンゴ」に似ている)、レナの過去や不倫騒ぎなど、余計なモチーフが散見される。
アレックス・ガーランドの演出は冗長で、メリハリが欠けたまま漫然と進む。ナタリー・ポートマンにジェニファー・ジェイソン・リー、テッサ・トンプソン、オスカー・アイザックといった顔ぶれも、何やらもったいない感じだ。



