元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「テラー・トレイン」

2023-06-02 06:15:12 | 映画の感想(た行)
 (原題:Terror Train)80年作品。第95回アカデミー賞にて「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のパフォーマンスが認められて助演女優賞を受賞したベテランのジェイミー・リー・カーティスが、若い頃に得意(?)としていたホラー物の一本。たぶん今見直すと古さは否めないが、彼女の頑張りもあって観た時はけっこう楽しんだのを覚えている。

 大晦日に大学最後のパーティを列車の中で開こうと、一行は豪華なSL列車を借り切る。仮装パーティーも兼ねており、学生たちは思い思いのコスチュームに身を包み、ついでに場を盛り上げるためにマジシャンとその助手も招かれていた。ところが列車が走り出すと殺人事件が発生。実は3年前の大晦日、学生の一人が悪質なイタズラにより重篤なメンタル的障害を負うという事件が発生しており、最初に血祭りに上げられたのはその関係者の一人だったのだ。そしてその一件に加担していた連中が次々に犠牲になる。事件の発生を車掌から最初に知らされた女学生のアラナは、何度かピンチに陥りながらも犯人を突き止めようとする。

 オープニングは「キャリー」風で、エピローグは「殺しのドレス」を想起させる。つまりはブライアン・デ・パルマ監督作品のエピゴーネンであるのは明らかだが、ヒッチコックやペキンパー映画の影響も感じさせて飽きさせない。監督は当時30歳代だったロジャー・スポティスウッドで、実際彼はサム・ペキンパーの助手を務めていた(後にジェームズ・ボンド映画も手掛ける)。だから活劇はお手の物で、どちらかといえばホラー演出よりはアクション映画寄りの展開になっている。

 アラナ役のジェイミー・リー・カーティスは実に元気よく列車内を走り回り、観客に細かい点を突っ込む暇を与えない(笑)。舞台になるチャーターしたSLは1948年型の年代物で、車内はさながらレトロなゲームセンターの趣向。カクテル光線と響き渡るロックが場を盛り上げる。筋書きは終盤に二転三転し、お手軽なシャシンながらよく考えられている。

 ハート・ボシュナーにデイヴィッド・カパーフィールド、デレク・マッキンノン、サンディー・カリー、ティモシー・ウェバーといった面子はライト級ながら良好。車掌に扮しているのがベン・ジョンソンというのも悪くない。なお、この映画は封切り時には「オーメン 最後の闘争」の併映だったらしい。ホラー二本立てという企画は安直ながら、けっこうお得感は高かったと思われる。
コメント
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