Chris's monologue

二匹+ONE?のクマンズとChris(謎の生命体)の怠惰な生活

町人

2007-10-30 18:17:55 | ビバ☆オヤジ酒場

谷中の“町人”にきたます。
この店は、『ラーメンのある街へ 大衆食の裏路地へ(旅チャンネル)』の第一回放送の最後に紹介された店です。
もちろん、番組を手がけているのは、我らが尊敬する名誉隊長、居酒屋のオヤジさま(すいません。一部のヒトにしか判りませんね)。

どんな店かは、素敵な写真のHPがあったので、そちらから見てみてね。
谷中町人】←ここ。


店内はものすごく凝ってます。

ぼくが一番気にいったのは、

これ。
かなり通とみた。
映画にもなったんだよ。


まずはビールでングングング…。


お通しをつまみながらメニューを開くと……
わけのわからん食べ物がたくさん。
おいらん焼きって???
とりあえず、「とんび」を注文。

それがこれ。
イカの口ばし?なんだそうです。

それでは目的のものを注文してみましょう。

『となりのトトロ』の真っ黒くろすけです。
実は、これ海苔。

正体は梅入り焼きそば。
これがヤミツキになりそうなぐらい旨い。
最後は〆で、

カニ汁を飲んで仕上げました。

いい店だぁ。
ひょっとして穴場?
隠れ家にどーぞ。って感じ。

それでは、またもや兄に登場してもらって、店の紹介をしていただきましょう。
では、どうぞ。

【太田和彦の居酒屋ひとりカウンター】

ゲンダイネット2005年12月20日 掲載
画商、大使令嬢、美大生が静謐を求めて

 日暮里駅北改札口の西口を出て先の十字路を左へ。初冬の夜、古い寺町の通りはひっそりと暗く、夜目に朝倉彫塑館のシルエットがそそり立つ。明りのもれる「赤塚べっ甲店」では職人が夜なべのようだ。
 広い通りを右に折れると「町人」の印象的なステンドグラスのランタンがぼおと見えた。
 店は手前に大机ひとつ、中に小さなコの字カウンター、奥は丸机。カウンターに席をとった。
 店中をすき間なく埋め尽くす古いものがすごい。
 ランプ、柱時計、お面、如雨露(じょうろ)、タイプライター、ランドセル、カンテラ、地球儀、風船、壺、古皿、何かの鉄の道具などなど。古美術にあらず、骨董にあらず、はっきり言ってガラクタ……。
「よく集めたねえ……」
「いや僕じゃないんですよ、先代が」
 ニットの帽子をかぶるマスターはここの常連だったが、先代女性店主に店を閉めるけれどよかったらやらないと誘われ、四日めに「やる」と返事したそうだ。
「まあ即決ですよ」
 フリーでライターの仕事をしているが、昔からやってみたい職業が二つあり、その一つが居酒屋の主人だったという。
「もう一つは?」
「古本屋の主人」
「そのままの格好で務まるよ」
「そうだな、あはは」
 人好きのするマスターはもう何十年もここに座っているような雰囲気だ。さて何にしようかな。
「町人揚って何?」
「いわしつみれの素揚げですが、今日はいわしが入らなくて」
 では、と「はたはた」を焼いてもらうことにした。貼紙に「秋一番、日本酒がうまい」とある「正雪・秋あがり」の燗はとてもおいしい。
 こんがり焼けた二尾のはたはたは身離れよく、時季の味だ。秋田で知ったこの魚も東京で食べられるようになった。
「客はやっぱり芸大が多いの?」
 近くは東京芸術大学。音楽部も美術部もよく来るという。私は芸大をめざして果たせなかっただけに思い入れがわく。
 太い丸太をカスガイで素朴に組んだ造り。廃舟材の机。おもちゃ箱をひっくり返したような店内は、いかにも芸術、美術の学生好みだ。価値の定まったものを整然と並べるのは老人芸術家のすること。若い美大生は自分にしかない感性で、一見ガラクタに命を吹き込む。乱雑、渾沌こそ若さの美学だ。私は美術を志した高校時代を思い出した。美術部の汚い部室もこんな風だった。
 学生のみならず、代々木上原に住む高名な外国人画商もよく来るそうだ。何かのパーティーのあとなのか、有名な現代美術館の館長とヨーロッパ各国大使のお嬢さん達が、カクテルドレスで来たこともあったという。それはよくわかる。美術系はこういう店が好きだ。ここには美術の原点があるからだ。そういう居酒屋が、一歩外は店など何もなく、古い民家がひっそりと続く谷中の、夜の暗さ、静けさのなかにあるのが最高だ。
 最近、編集者とか、パリに五年住んでたというような独身女性が谷中に越してくるケースが増え、仕事を終えて家に戻ってからゆっくり飲みに来るという。この店の静かで温かい居心地が夜の眠りにつくまでの時間をすごすのによいのだろう。酒も肴もさほど変わったものがあるわけではないが、これこそ居酒屋だとの思いを深くした。


居酒屋のオヤジさまの行きつけのBARがすぐ近くにありました。
いや、秩父の方じゃなくって。

遠太

2007-10-30 09:02:28 | ビバ☆オヤジ酒場

さて、ぼくはいったい何処にいるのでしょうか?
後ろに見えているのは……
バス?
ぶぶー。正解は都電です。

駅前が好きなんだよなぁ。雰囲気があって。
もう気がつきましたか?
やるね、さすが呑み助。
そうです。

三ノ輪橋の駅付近です。
ここから、地下鉄三ノ輪駅方面に歩いていくことにしましょう。

なんかこの街、お惣菜屋さんが多いなぁ。

お、渋いお魚屋さんだ。
下町風情がなんともたまりません。

またまたやってきてしまいました“遠太”。
再来の店は、ややこしくなるので書かないようにしてるんだけど、今回は特別。
やってるぞ 遠太】←以前きたときのの記事。

今回は遠太特製焼酎ハイボールの秘密に迫ろうと思います。

ドン!これ↑。

勿論、解説は兄太田先生。
ではどうぞ。

※【下町ハイボールの秘密のエキス】
 東京東には昔からハイボールと黒ビールがつきもので、煮込みを加えれば下町酒場三点セットとなる。そもそもハイボールとは戦後流行したウイスキーの炭酸ソーダ割だ。丸好酒場でも昔はハイボールといえばウイスキーだったが、次第に焼酎ハイボール、酎ハイに代られた。
 さてその下町ハイボールには必ず使われる不思議なエキスがある。ハイボールが評判の勝鬨の老舗立ち飲み屋「かねます」、三ノ輪の古い居酒屋「遠太」で作り方を聞くと、どちらも秘密のエキスを入れると言う。「それは、もしかして電気ブラウン?」と尋ねたが「違う」と笑い、教えてくれない。<下町ハイボールの正体不明の秘密のエキス>と雑誌に書かれたこともある。いい機会だ。ずばり聞いてみよう。
「この焼酎は何で割ってるの?」
「テンバ」
「テンバって?」
「これよ、いつも届けてくるの」と見せた瓶は、「天羽乃梅」(天羽、は読み難い字体だがよーくにらんでいると見えてきた)と書かれた古風なラベルで、中身は薄茶色だ。ははあ、わかった。想像するに、甲類焼酎はウイスキーのような風味が無いから、これを入れるのだろう。
 後に銀座の、こちらはサントリーウイスキー角瓶と神戸ウィルキンソンタンサンでつくる本格ハイボールが人気のバー「ロックフィッシュ」に行くと、その天羽乃梅の一升瓶があり驚いた。
「なんでこれがここにあるの?」
「なんでこれ知ってるんですか!」
 互いに驚きあったが、これはチャンスとじっくりラベルを見た。
<清涼飲料水(き釈用)無果汁 原料:酸味料・香味料・着色料(茶4赤2青1)・保存料(安息香酸Na) 天羽飲料製造有限会社 台東区竜泉……>

以上が秘密の種明かし。
詳細は、
居酒屋道楽 (新潮文庫) 居酒屋道楽 (新潮文庫)太田 和彦 (2006/05)新潮社 この商品の詳細を見る

これ↑にあります。

でも、まあ、あんま身体に良さそうな代物ではないので、ほどほどに。

こんな感じをアテにすれば十分でしょう。

こんな感じとかね。

とにかく、昭和32年に宮大工が建てたこの居酒屋は居心地がよく、古い建物のもつ独特な雰囲気と、田舎のおばあちゃんちに帰ってきたような安堵感が居住する、東京でも指折りの癒し系居酒屋なのです。

そうそう、アジのなめろうはゼッタイ食べてね。

本日の癒しの空間にはぜひ、
Oscar Peterson Plays the Cole Porter Songbook Oscar Peterson Plays the Cole Porter SongbookOscar Peterson (1990/10/25)Verve この商品の詳細を見る

の、「In the Still of the Night」をお薦めします。

笹新

2007-10-30 07:48:08 | ビバ☆オヤジ酒場

人形町といったら、人形ではありません。
酒場です。
でも、酒を飲みにいく前に、土地の観音さまに挨拶するのを忘れずに。

江戸三十三観音の三番目。大観音ってあるけど、麻布の観音さまみたいに巨大ってわけではありません。でも、ここの観音さまは、三十三の中でも一番好き。慈悲深いそのお顔を拝見するだけでも価値があります。ぜひお出かけの際は。


ということで、“笹新”にやってまいりました。

新 精選東京の居酒屋 新 精選東京の居酒屋
太田 和彦 (2001/12)
草思社

この商品の詳細を見る

では、兄太田先生に店の紹介を頼むことにしましょう。
どうぞ。

※人形町の居酒屋で「きく家」と双璧をなすのがここ「笹新」だ。「きく家」が通好みの高級な落ち着いたたたずまいであるのに対し、「笹新」はぐっと庶民的である。甘酒横丁を明治座に向かって歩いていくと、数本目の辻の右側にある。
店内に入ると四角の角をおとした五角形の室内いっぱいにカウンターと、寄り合いのテーブルがある。カウンターには煮魚が大皿に並び、どれもうまそうだ。血色のいいご主人を中心に若いのが二人、懸命に仕事をしている。
この店の特徴は料理の種類の多さ。それも刺身や珍味などの、ただ出すだけの簡単なものでなく、煮物や和えものなど手をかけたものが多いのが偉い。手のかかった庶民派のお惣菜感覚である。もうひとつありがたいのは天ぷらがあることだ。居酒屋でこれを出すところは少ない。天ぷらはそれ用に油をいつも火にかけておかねばならず、場所をとるからだ。酒を飲みながらちょっと天ぷらを食べたいなというときに、ヘンに構えず、ちょちょっと揚げてくれるのがうれしい。キスは一人前3匹。カラッと軽い揚げ方でとてもおいしい。もちろん刺身は刺身で充実している。
そして特筆したいのは値段の安さ。一品平均価格700~800円くらいか。いつも満員で客もどんどん注文。常連らしきは椅子に座る前、上着をとりながらもう3品ぐらい注文している。そしてみんな長っ尻。あるとき満員なので近所を散歩して、3回のぞいたが入れず、ついに断念したこともあった。



ほほー。

ふむふむ。お袋の味ってやつ?

これは見事なアスパラですねぇ。

店員さんの勘違いで出された一品。
「どなたかヌタたのんだヒトいませんかぁ?」
シーン。
ということで、「あ、わたし食べます」と言って奪い取りました。

これこれ。
季節ですねぇ。

手のかかるものがこれほど充実している店は少ない。
味付けはちょっと甘めだけど、これがお袋の味なのでしょう。
店はほぼ満員。
なるほど人気なわけですね。

今回の酒のお供に、
Duke Ellington & John Coltrane Duke Ellington & John Coltrane
Duke Ellington w、John Coltrane 他 (1995/10/24)
Universal/Impulse

この商品の詳細を見る

の、「BIG NICK」はいかが?