第七話
『嫉妬の炎が矢のように・・・恋心をえぐる悪魔の総攻撃』
「お前に言っておきたいことがあってさ。」
あやめに告白しようとした恭之助だったが・・・
「俺・・・お前が・・・」
「まさかヒロくん?」
「えっ?」
「歌舞伎ホントやめちゃうとか? 舞台ダメだったの?」
「いや、舞台は大成功だよ。 歌舞伎も続けるってさ。」
「ホントに?」
「ああ。」
「良かった。」
「そうだな。」
「まあ、私が気にしてもしょうがないんだけどね。」
その頃、一弥は優奈と一緒にいた。
梢平から電話がかかって来たが優奈は出ない。
一方、恭之助は落ち込んでいた。
「永遠に告白出来ねえ気がしてきた。」
「そんなことありませんよ。
時が来れば花は咲くものですから。」
シズに励まされていた時、ヤスがやって来た。
「若旦那、これ出席しますよね?
園山のお家元に踊りの稽古をつけてもらってる
歌舞伎役者たちは皆、招待されてます。」
「そりゃ行くよ。 超尊敬してる人だもん。」
シズがあやめが好きそうだと言うので、
恭之助は誘おうと思ったが、
その前に一弥に電話をかけ出席するか聞く。
行かないことを聞き、あやめを誘うことに決めた。
翌日、あやめを祝賀パーティーに誘う恭之助。
行ってみたいけど着て行く服がないと言うあやめに適当でいいと。
「因みにあいつは来ねえから。 ぜってえ楽しいから。 なっ?」
「そうだね。 行ってみようかな。」
「よし、決まり!」
一弥に声をかける梢平。
「お嬢さんとは上手くいってんの?
女は怖いから気をつけろよ。」
「ご忠告はありがたいですが、
今後二度とお嬢さんをおかしなことに巻き込まないで下さい。」
「なんのこと言ってっか知らねえけど、
1個だけ言っといてやるよ。
お嬢さんは俺の家に来て朝までいたよ。
俺たちはそういう関係なんだよ。
お前さ、それでもお嬢さんと結婚出来んの?」
あやめは着物を見に行くが値段が高くて一瞬躊躇するが、
頑張ってお金を貯めようと決意。
世左衛門と恭之助。
「お家元のパーティーに彼女を誘ったのか?」
「まあね。」
「デート気分か。
あのな、出来の悪い弟子だからこそ
家元は特別にお前を可愛がって下さっているが、
私の名代として行くことを忘れるなよ。」
「分かってるよ。」
具合が悪そうな世左衛門。
「親父? どうした。」
「う~ん・・・なんでもない。
バカ息子のせいで時々胃が痛むだけだ。」
「バカ息子って。」
席を立ち部屋へ戻る世左衛門だが、
お腹の辺りが痛むようで・・・
貯金箱を開け、バイトを頑張ろうと意気込むあやめ。
その時、電話がかかって来た。
父親からだったが、すぐに電話は切れてしまう。
学校で恭之助からパーティーの案内状を渡されたあやめ。
あやめの元気がないのに気付いた恭之助は、
父親から電話がすぐに切れたと教えてもらう。
「まあ、声が聞けたから良かったんだけどね。
今どうしてんのかなとか気になっちゃって。」
「お前さ、恨んでないの?」
「えっ?」
「借金残して逃げた親だろ。」
「恨んではないよ。 一応お父さんだしね。」
「まあ、そりゃそうかもしれねえけどさ。」
「取り敢えず元気でいてくれればそれでいい。」
「お前はスゲエな。」
「何が?」
「なんつ~か、いつも自分より相手のことっつ~かさ。」
「そんなことないよ。」
「だって、一弥と別れたのだってあいつのために―」
「やめてよ!」
「えっ?」
「凄いとか全然そんなんじゃないから。」
「なんで怒んの?」
「別に怒ってないよ。 じゃあね。」
怒って行ってしまうあやめ。
梢平の言葉を思い出していた一弥。
そこへあやめからメールが来た。
『今から時間とれますか?
携帯をかえしたいのですが』
外に出ると優奈が帰って来たところで、
コンビニに行くと嘘をつく一弥。
一弥が待ち合わせの場所に着くが、
あやめの姿はなく、携帯が入った紙袋が置いてあった。
中には『ありがとう』とメモが入っていた。
影から一弥のことを見ていたあやめだったが、
辛そうな顔でその場を立ち去って行った。
なんとその場には優奈も来ていて、2人の様子を見ていた。
あやめが帰宅すると貯金箱が割れていて、
父親からのメモが残されていた。
『金を借りる すまない 父』
祝賀パーティーの招待状を手に何か企んでいる優奈。
一弥に一緒に行くよう言うが苦手だからと言われる。
しかし澤山家のために一弥の存在を
アピールしてもらわなきゃと言われ承諾する一弥。
翌日、恭之助にパーティーに行けなくなったと謝るあやめ。
「ちょっと待てよ。 やっぱなんか怒ってんのか?」
「そんなんじゃないって。」
「だったらなんなんだよ。 訳分かんねえよ。」
「私のこと色々心配してくれてありがとう。
けど私は平気だから。 もう気にしないで。」
「なんだよ、それ。―まさか・・・あいつか?」
一弥に会いに行った恭之助はあやめに会ってるか聞く。
あやめに何かあったんのか聞かれるが、
理由が分からないと、
一弥が原因なんじゃないかと思ったと恭之助。
「しっかりして下さい、恭之助さん。
あなたはあやめちゃんの何を見てるんですか?
あやめちゃんは僕のことなんか忘れて前に進もうとしてる。
恭之助さん。 あやめちゃんを守るって言いましたよね。
だったら彼女のことをちゃんと見てあげて下さい。
僕にはもう許されないことだから。」
病院で検査した世左衛門。
腫瘍・・・?
「よくお考えになって下さい。」
「分かりました。」
帰宅して稽古場を覗く世左衛門。
稽古場には恭之助がいた。
「何?」
「あっ、いや。
お前また背が伸びたんじゃないか? 何センチだ?」
「えっ? 177だけど。」
「そうか。 私を超えたのか。
立派な背丈に見合う役者になれるよう、
今まで以上に精進しろよ。」
「はっ? なんだそれ。」
翌日、学校で千晶からあやめの事情を聞いた恭之助。
あやめを待ち伏せし、家に連れて行く。
部屋には綺麗な着物が用意してあった。
パーティーに母親の着物を着て行くよう言う恭之助。
パーティー当日。
着物を着たあやめに惚れ惚れする恭之助。
シズさんが記念に写真を撮ろうと言い写真を撮った。
「あのお二人、花婿と花嫁さんみたい。
坊ちゃんもいつかお嫁さんをもらうんですね。」
「間に合うといいが。」
「えっ?」
「いや。」
世左衛門、そんなに悪いのか?
パーティー会場へ行くと、美月が恭之助に声をかけ抱きつく。
それを見たあやめは驚いた。
美月は帰国子女で昔近所に住んでいたよう。
「桐島美月です。 こちらの可愛いおチビちゃんは?」
「おチビ? 千葉あやめです!!」
「恭之助の彼女?」
「いや・・・」
「ただの同級生です。」
美月は恭之助の初恋の相手とのこと。
今はモデルをやっているが全然売れないと。
日舞もずっとやっていると言う美月。
恭之助は世左衛門の代理だから挨拶に行ってくると言い、
家元のところへ行く。
「家元、この度はおめでとうございます。」
「おう、恭之助くん。 よく来てくれたね。
彼はね、子供の頃から人一倍手のかかる弟子でね。」
「すいません。」
「今日は紹介したい人が沢山いる。 私の側にいなさい。」
「ありがとうございます。」
その頃、あやめと美月。
「あの恭之助が歌舞伎界のプリンスって言われてるとはね。」
「はい。 俺様キャラで有名な。」
「あの恭之助が? 俺様?」
「ホントは違うんです。
確かに口調とか威張ってて俺様風だけど、
根はすっごく優しくて、困ったり辛いことがあると
どっからともなく現れて助けてくれて。
この着物もお母さんの大切な形見を貸してくれて。」
「あなた本当にただの同級生?
さっきから話聞いてるとそうは思えないんだけど。」
「ホントにただの友達ですよ。」
恭之助は家元の側を離れられない。
一人になったあやめに声をかける優奈。
一弥も一緒に来ていた。
「弘樹はこういう所あんまり得意じゃないんですけど、
これからは澤山家の顔になる人だから来てもらったんです。
ね、弘樹?」
「はい。」
「そっか。 お二人凄くお似合い。」
優奈と一弥は家元に挨拶に行く。
恭之助は一弥を引っ張って行き、なんで来てるんだと。
来たくて来た訳じゃないと一弥。
そして恭之助はまた家元の側に戻る。
優奈がまたあやめに声をかけ、
お茶席があるから行ってみないかと誘う。
作法とかしらないからと言うあやめに、
人の真似してれば大丈夫だと連れて行く優奈。
あやめは一番端に座ってしまったので、
最初の人のマネが出来ずみんなに笑われ・・・
「すいませんでした。 嫌な思いさせちゃったみたいで。」
疲れたとあやめは外のテラスに出る。
そこには一弥がいた。
その頃、恭之助はあやめを探していた。
一弥の側に座り、話をする2人。
しかし間が持たずあやめは席を立つ。
転びそうになったあやめを抱き止めた一弥。
その様子を優奈と恭之助が見ていた。
記念写真を撮っている一弥を見ていたあやめ。
その時、優奈がぶつかって来て、料理で着物が汚れてしまう。
わざとらしく謝る優奈は替えの着物があると
あやめを控え室へ連れて行く。
更衣室へ連れて行くところを見ていた偶然見ていた美月。
あやめを探す恭之助は美月に聞く。
着物を汚して更衣室へ行ったことを教えてもらった。
「恭之助、パーティーの後どっかで会わない?
折角また会えたんだし、ゆっくり話そうよ。」
「悪い。 あやめを送ってくから。」
あやめのところに行った恭之助は部屋の前から声をかけた。
着物を汚してしまったことを謝るあやめに、
そんなのいいから出て来いと恭之助。
着物が着れないから出られないと・・・
恭之助は部屋の前から着物の着方を指示する。
会場では優奈が家元に声をかけ、
家元にめでたいことじゃないかと言われる。
恭之助の指示通りにし、着物が着れたあやめ。
「よし、じゃあ出て来い。 初めてにしちゃ上出来だ。」
「うん。 でもまだ帯が。」
あやめを会場へ連れて来た恭之助。
帯の結び方が好評で、あやめも嬉しそう。
歌舞伎の女形で使う結び方とのこと。
そんな時、もう一つおめでたいお知らせがあると。
そして優奈と一弥の婚約が決まったと発表された。
一弥はビックリ!!
同じくあやめと恭之助も。
優奈がみんなの前で挨拶した。
恭之助とあやめに婚約発表までされたことを謝る優奈。
あやめはお祝いを言う。
あやめを追おうとしたら家元に呼ばれたが、
追いかけて行った一弥。
そして一弥はあやめに謝る。
あやめの目には涙が・・・
「おめでとう、ヒロくん。 さよなら。」
恭之助がやって来て一弥に掴みかかった。
「てめえ、なんで婚約発表なんてすんだよ!
どんだけあやめを傷つけたら気が済むんだ!!
もう二度とあやめに近づくな!!」
走っていたら転んでしまったあやめ。
鼻緒が切れていた。
そこへ恭之助が追いかけて来た。
「かっこ悪いよね。 でも、これが本当の私。
私ね、実は河村くんにちょっと嘘ついてたんだ。」
「嘘?」
「ヒロくんと別れたのは、彼のために身を引いたとか
そんなかっこいいことじゃないの。 怖かったの。
私を選んだことをヒロくんは将来後悔するんじゃないかって。
私はヒロくんに嫌われたくなかっただけ。
さっきの婚約発表だって、お祝いする気になんてなれなかった。
お父さんのことだってホントはちょっと恨んでる。
河村くん、私のこと凄いなんて言ってくれたけど、全然違うんだよ。
なんで? なんで私ばっかこんな目に?って、心のどっかで思ってる。
最低でしょ? 私はそういうダメな人間なの。」
「だから何? かっこ悪くて何が悪いんだ。
それでもあやめは頑張って笑って
前を向いて歩いて来た強い女の子だ。
だから俺は、あやめが好きだ。
好きだった。 ずっと前から。
この先も俺は絶対お前以外の子は好きにならない。」
腹黒お嬢様&梢平をなんとかして下さい・・・
一弥はなんだかんだ言ったってお嬢様を選んだんだから、
あやめに敵意向けなくたっていいじゃん!!
ムカつくわ~(ー'`ー;)
今までしてきたことバレないかな~と期待してるんだけど、
無理なのかな・・・(-_-;)
ってか、パーティーに全然関係ないあやめを誘っても良かったの?
物凄く気になったんだけど(‐∀‐;)
母親の着物も普通に貸してたけど、
世左衛門も嫁でも彼女でもないのに貸してくれたの?
普通にスルーになってることが気になるわ(笑)
その世左衛門は病気のようだけど・・・重病なのかしら?
大丈夫だと信じたい。
恭之助には父親しかいないんだから・・・
まぁ、心強いシズさんもいるけどやっぱりね~。
恭之助はやっと告白まで辿り着けたけど、
美月があやめに何か仕出かしそうだわ。
優奈にもやられてるのに美月にまでやられたかわいそすぎる!!
恭之助にはちゃんとあやめを守ってもらいたい。
あやめも一弥なんか見切りつけて恭之助にすればいいのに。
と、毎回思っているんだけど・・・なかなか上手くは行かないね。
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