ガリレオ 第８話

第８話

『演技る（えんじる）』





人気劇団の代表・駒田が刺殺され発見される。

第一発見者は劇団の看板女優・神原敦子と、衣装係の安倍。

安倍に駒田から電話があったが無言で切れたため、

心配しマンションへ訪ねたところ遺体を発見。

安倍に電話がかかってくる前に神原にもあったが、

気づかなかったとのこと。

２人がマンションの部屋を訪ねた時、玄関の鍵はかかっていた。

部屋は２０階。

密室殺人なのではないかと、湯川を頼った美砂だったが、

湯川には冷たく「帰ってくれ」と言われる。



美砂は神原に会いに行く。

駒田と付き合っていたので合鍵を持っていたと認めた神原。

疑われたことが悲しいようで涙ぐむが・・・


安倍は駒田と頻繁に連絡を取ることはなかったのに、

何故２人目にかけたのが安倍だったのかと美砂。

神原は１番最初の名前が安倍だったのでは？と。

確かに１番最初だった。


「誰でもいいから助けてもらいたかったんだと思います。」


そう言い、泣き出した神原。



捜査がはかどらず、結局湯川のところへ行った美砂は

研究室で愚痴を零す。

あまりにもうるさかったため、湯川は美砂をコーヒーに誘った。


が、行ったところは階段教室だった。

自販機で買ったコーヒーを美砂に渡す湯川。


「君の仕事の話を僕の研究室に持ち込むのはやめてくれ。

そして今日のように愚痴るのは勘弁して欲しい。」


「愚痴って。」


「代わりに君の悩みを解決しよう。」


そう言い、電話のトリックを披露する湯川。

神原はまず駒田を殺し、彼の携帯を持ち去る。

あ行から安部の名前より前の人物を削除し、

そして自分の携帯に着信履歴を残した。

更にポケットの中にでも入れて一緒にいた安部に電話をかけたと。

こうすれば死んだ人間が

その時間にはまだ生きていたという状況を作ることが出来る。

神原も簡単にアリバイが作れるとのこと。


美砂はそれに反論。

携帯は駒田の遺体の近くに転がっていたと。

しかし、遺体を発見してすぐに救急車を呼ぶため、

安倍を部屋の外に行かせてから携帯を置くことが出来ると。


「僕は君に協力した。 後は捜査に専念してくれ。」


「でも先生の仮説通りだとしたら、駒田さんを殺した犯人。

つまり神原敦子は相当頭がいいってことですよ。

まだ何か仕掛けを用意してるかも。」


「警察が自分に辿り着けないように何重にもロックを掛けていると？」


「そう。」


「では、頑張ってそのロックを開けてくれ。」



美砂のことをPCにまとめている神原。

ICレコーダーで会話も録音していた。

そして駒田のデータもあった。

やはり神原が駒田を殺していたのだ。



美砂は神原を事情聴取のため呼び出し、

湯川に教えてもらったことを話し問い詰めた。


「こうやって冤罪って作られてくのね？」


美砂は犯行時間の少し前に駒田のマンション近くで

タクシーの車載カメラに写った神原の姿を出す。

先に駒田の家を訪ねたのではないのか？と美砂。

神原は合鍵を返しに行ったけど、駒田はるすだったと。

疑われるから黙っていただけで怖かったのだと

涙を流して謝り、泣き続ける。



神原を怪しんでいる美砂だったが・・・

駒田の携帯から殺された時間前後に打ち上がっていた

花火の写真が発見された。

被害者は死体で発見される直前まで

自宅にはいなかったということになる。



懲りずに湯川のところへ行く美砂。

その写真は自宅からでは

絶対に撮影出来ない方角から撮られたものだと。

月と花火の位置から、

マンションの対岸に位置する場所でしか撮影出来ない。

つまり、その時間に駒田のマンションにいた神原には無理。

そして湯川の仮説が、逆に神原のアリバイを

証明することになってしまった。


「これが神原敦子が仕掛けた２つ目のロックだとするなら？

通話記録と携帯写真。

この２つによって何が起こったのか？

時間と空間が歪んでしまったんだ。

時系列がシャッフルされ、何が先で何が後か分からなくなり、

いるはずのない人間がいてはいけない場所に、

いてはいけない時間に存在していた。

つまりこれを我々科学者の分かりやすい言葉で言うと

なんと言いますか？ 栗林さん。」


「特殊相対性理論。」


「正解です。」


「さっぱり分からない。」


「実に面白い。」


湯川が事件に興味を持ってしまった。



湯川は神原に会いに劇場へ行く。

湯川との会話も演技の参考にするため録音する神原。


「雰囲気だけの芝居は嫌なんです。

演技にはちゃんと方法論があるんです。

ある感情を引き出したい時、

自分の実体験の中から一番近いものを引き出して

当てはめていくというメソッドとか。」


でも普通に生活していては

なかなか出来ない体験もあるのでは？と湯川。


「例えば殺人とか。」


「それも自分の引き出しの中から

一番近い感情を取り出して。」


「そういうものがあるんですか？ あなたの中に。」


「今度の舞台にも私が人を刺し殺すシーンがあります。

きっと真に迫ってると思いますよ。」


自身に疑いがかけられていたとしても、

その追い詰められる緊張感も演技に生かされてしまうよう。



湯川は美砂に現場へ連れてきてもらう。

花火が上がった方向、月の位置、そして室内を観察。

その時、テレビに注目した湯川は、いつもの数式を書き出した。

写真に写ったものと同じ花火を打ち上げたいと言う。



花火工場へ行く湯川と美砂。

湯川は職人から写真の花火について教えてもらう。

それと当日使用した花火の種類や順番、

花火の映像をすぐに見せてくれたりした。

今は花火の打ち上げもＰＣで全て制御されていると。

花火の話で盛り上がる湯川と職人。

美砂はさっぱり分からない。



駒田のマンションに神原を連れて来た美砂。

既に湯川がいて、実験を開始する。


「僕は殺人事件の捜査には全く興味がない。

僕が知りたいのは、どうやったら駒田さんが亡くなった時、

あなたがここにいてこの写真を撮影出来たのかということだけだ。」


湯川の合図で花火が打ち上がる。


月と花火の写真は鏡を使ったトリックで、

テレビ画面には鏡面保護フィルムを貼ってあった。

そしてそれを利用し、月と花火が一緒の写真を撮る。


「素敵。 なんて面白いの、湯川先生って。

そうです。 全て先生の仮説通り。

私が駒田を殺したの。

ああ。 追い詰められていく犯人ってこんな感情になるのね。

血が逆流する感じ。 指が痺れてる。

いいのよ。 これでいいの。

私は彼を殺したかったし、

殺人を犯すという体験をしてみたかった。」


全ては女優としての芸の肥やしだと言う。


「何もかもが芝居の役に立つの。

湯川先生に追い詰められていくスリルさえもね。

これから始まる取り調べ、裁判、拘置生活。

滅多に出来る体験じゃないわ。

模範囚でいれば１０年もすれば帰って来られるでしょ？

ああ。 その時、私は物凄い女優になってる。

考えただけでワクワクするわ。」


「そうかな？ あなたがステージに帰って来た時、

そこにはもう客は誰もいないんじゃないかな？

少なくとも僕はあなたの演技を見たいとは思わない。」


「どうして？」


「人を殺した女優が殺人のシーンを演じる。

それが経験に裏づけられた

最高にリアルな演技だと思い込んでいるのは、演じている本人だけだ。

それを分かりやすい言葉で言うとなんと言うかね？ 岸谷くん。」


「自己満足。」


「正解。 では失礼します。」


ICレコーダーは証拠品として押収すると美砂。

神原は笑い出す。





美砂全く必要ねえ～(笑)


湯川だけで充分なドラマだわね。


けど物理と全然関係ないのに事件に首突っ込んで、


本来の湯川の良さが消されてる気がする。


蒼井優ちゃんの演技は流石！！


狂気に満ちた演技素晴らしかったです。





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