5月24日 三浦半島城ヶ島沖 ケンノスケ・カップ

2008年05月25日 | 風の旅人日乗
今日は、パソコン仕事をサボってセーリングを選ぶ。当然のことだ。でも、仕事の仕上がりを待っている人に、ごめんなさい。

第13回ケンノスケ・カップに、主役のケンノスケ氏と一緒に参加。ケンノスケ・ファンの人たちによる、温かい手作りレースだが、これが13年も続いていることに、ケンノスケ氏の人望と、その設計艇のファンの層の厚さを知ることができる。

城ヶ島沖をスタートして250度方向にある漁業調査用のブイを回って城ヶ島沖に帰ってくるコース。
2時間足らずの、リーチングで行ってリーチングで帰ってくる、ちょっと単調なレースだったけど、いいメンバーで、とても楽しいセーリングを楽しむことができた。

何ヶ月も前からこのレースを準備され、海上で運営されたボランティアスタッフの方々、本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
仕事のために、メインイベントである表彰式パーティーに出席できなかったことが本当に心残りです。

単調なレースだったとはいえ、セーリングで海に出さえすれば、パソコンの前に座っているのと違って、毎回必ずいい経験をすることができる。

漁業調査用のブイの周りには、海の中をとうとうと流れる大河のように、黒潮の分流が恐ろしいほどのパワーで流れていた。
ブイを回ろうとするぼくらのヨットを、力強く押し流していたあの海水の塊りは、数週間前にはどのあたりの海を流れていたのだろうか? フィリピンの沖あたりだろうか?

あの海水の分子のひとつひとつは、10年前には地球のどこを漂っていたのだろうか? 海底だろうか? 氷河の中だろうか? 雲として空に浮かんでいたのだろうか? それともぼくの身体を形作る分子のひとつだったのだろうか? 

波と風だけでヨットをセーリングで走らせることに集中していると、程度の差はあれ、地球と自分の身体が一体化するような、不思議な感覚を覚えることがある。パソコンの前に座っていては絶対に味わえない感覚だ。

観光客で溢れる城ヶ島からわずか10キロ沖に離れただけで、そこには太古の昔から変わらない地球の大自然が息づいていることに気が付く。そしてそれを目の当たりにすることで、大自然の偉大さに比べた人間の小ささと歴史の浅さを、身体で感じ取ることができる。

その感覚に日常的に触れることができ、それゆえに未来の人間社会や地球環境について考えることができるのが我々セーラーの特権でもあるのだが、その有難さに気が付いているセーラーたちが急激に少なくなっていることも、最近なんだかとても気になっています。