アメリカスカップ ホクレア サンディエゴIPA

2010年12月10日 | 風の旅人日乗
第34回アメリカスカップACRMのスタッフから電話。
道路工事中の道を歩いていた上に、相手の声が割れて聞き取りにくく、
ごめんなさい、私が何をすればいいのかを改めてメールして下さい、
と伝える。
切れ切れに聞こえたのは、開催地候補…、20箇所以上…、日本開催でのに興味を持つ人は…?、どこに連絡したら…?



なんだか、今月末に迫った次回アメリカスカップ開催地決定期限を前に、風雲急を告げるかのような迫力が伝わる電話だった。
次回アメリカスカップのコアは、かなりグツグツ煮立ってきているのだろう。


ホクレア号の航海学校開校に漕ぎつけるまでの、何年かかるか分からない長い長い道作りの道連れ参謀になってもらっているH田さんと、東京・新橋で打ち合わせ。

場所は、H田さんの経営する『新橋ドライドック』。東京近郊のビール好きには広く知られた店。

店内はいつものように混んでいたが、入り口近くの場所にスペースを見つけ、先月のニュージーランドで考えていたホクレア絡みのことについて話す。



ワタクシにとってのビールは、通常は、その後喉を通ることになっている日本酒の滑りを良くする目的で、最初に1杯だけいただく飲み物。しかしこの日は、ホクレアの話を最後まできちんと進めるために酔う訳にはいかなかったので、チビチビと飲む。

ビールをチビチビと飲むのはいくない!ビールはグーっと飲め、グーッと!というあれも食いたいこれも食いたい東海林さだお氏の主張にまったく同意する普段のワタクシなのだが、この日に限っては、上記理由でビールチビチビ飲みに徹した。

そのようにチビチビと飲んでいたら、突然、生まれて初めて、ビールの味、というものに目覚めた。
ニュージーランドで、スーパーで大量に仕入れたビールを毎日ガブガブ飲んできた直後だったこともあるのだろうが、最初に飲んだアサヒ・スーパードライの透明感に優れた味に、ナンダコレハッ! と舌が唐突に気付いたのだ。

新橋ドライドックが淹れるスーパードライは東京一だ、というビール通もいるらしいが、ビールはビールやろが、という不遜な態度を取る傾向にあったワタクシには、正直言うと興味のないことだった。



しかし、チビチビと味わうと、ここのスーパードライは、今まで知っていたつもりのスーパードライではなかったのだった。
ビールは、こういう奥深い味を隠し持った酒だったのか! という驚きでした。

2杯目以降は、サンディエゴはグリーンフラッシュ・ブリュワリー製の数種類。
このビール会社のビールは以前にもここで飲んだことがあったけど、そのときは、
サンディエゴだから、グリーンフラッシュを見る機会は確かに多いだろうから、だからグリーンフラッシュって会社名ってワケだね、いいんじゃない、という見当違いの感想を持ったのみ。

チビチビ飲みのこの夜は、このビールから立ち上がるホップの香りが、緑の木の実の上品な強い香りとして確かに感じられ、一旦グラスをテーブルに置き、気をつけ!の姿勢を取って改めてグラスを傾けた。タダモノではなかったのだよ。
サンディエゴ産のビールということで、サンディエゴのことや、昼間のアメリカスカップ電話のことを思い出したりもした。





チビチビ飲みのお陰で、ビールという新しい酒にも出会えたし、いつものようにグズグズにならずに最後まで四角いまま(酒飲みは、ヤッコ豆腐にさも似たり。はじめ四角で、あとはグズグズ)、シャープな話ができたし、帰りの電車の中でもホクレアのことをじっと一直線で考え続けることができた。