今にも雨が降り出しそうな葉山にて

2010年12月13日 | 風の旅人日乗


セーリングで海に出るには最高のコンディションだった昨日は、船の科学館のフローティング会議室で、ホクレアの話。

ハワイ人にとってのホクレアの存在理由や日本への航海の意味や願いを、ナイノアがDVD(ハワイ州観光局制作)で語るのを改めて観ながら、
そしてその後、ワタクシ自身が自分の口でホクレアや太平洋の伝統航海術について話をしながら、
ホクレアの存在理由を日本の人たちに理解してもらうことの現実的な『壁』を、ドシン、と改めて感じていた。



望んでいないのに、土足でいきなり入り込んで来た他文明から、無理やり自分たちの文化を奪われた惨めさを知っているハワイの人たち。
無理やり他文明から強制されたわけではないのに、西洋文明に触れたとたんに、自ら進んで、自らの祖先たちが生み出し育んできた日本の文化の善きところまでを捨て始め、捨て続け、今現在も捨てつつある日本の人たち。

この歴史の違いを考えると、ハワイ人にとってのホクレアを、現代日本人が本質的な部分で理解できることは非常に難しい、ということに、今更ながらに思い至る。
タイガーが日本でぶち当たって越えられなかったのも、同じ壁だ。



お話会が終わったあと、東京湾を、遥か富津崎辺りの遠方まで見渡すことができる会議室で、お茶も飲まずに、
今後の予定をチームニシムラ・プロヘクトのみんなと船の科学館の担当者の方とで真剣に話し合った。
そうして電車とバスを乗り継いで、夕方葉山に帰りついたら、なんだか立っていることができなくなって、勉強机に1時間ほど突っ伏した。

しばらくは、この件から頭を切り離しておくことにする。
そうしないと、昨日の経験からすると、身体まで壊しそうだ。
この件に関して自分が悩んだところで、この件は自分の小さな頭に委ねるにはあまりに巨大すぎて、どうともできるものではない。
どっち道、今年のクリスマスの翌日には、K子ちゃんやK太郎先生とホクレア絡みのことで鎌倉でググーっと深く話さなきゃならないのだから、その数日前までは、一切このことについては考えないでおこうっと。

ということでこの先の1週間は、仕事以外の自由時間に、来年度の『セーリング体験付き海と船の博士塾』のステップアップ・カリキュラム案を提出する準備をする。こっちのほうはとても楽しい時間になりそうだ。