A.叫(おら)ぶ
1.本年(2019年)7月17日のブログ「日韓関係を考える」で、韓国の朴槿恵(パククネ)前大統
領が拘束される前に演説で訴えられたその悲痛な口調が、私の田舎の方言の口調とそっくりであったこと
を書きました。何かを訴え、悲痛な口調で叫ぶことを、私の田舎の方言では、「叫(おら)ぶ」と言いま
す。
2.例えば、「私は、大統領としての職責を全力で果たして来たという点において、一点の曇りもなく、
私が譴責を受ける謂(いわ)れはない」という言葉を、田舎の方言(中学生位までの言葉)に置き換えて
みますと、「わしゃー、だいとーりょーのしごとをいっしょうけんめいしてきたけーのー、なん(何)か
言われるこたーにゃーどー(或いは、なかろーがー)、どーしてや(辞)めー言うんじゃー(或いは、言
うんならー)」となり、これを、悲痛さを湛(たた)えたイントネーションと共に表現します。これを叫
(おら)ぶと言います。叫(おら)ぶとは、怒り混じりで叫んでいる状態なのですが、「怒(おこ)る」
という言葉はまた別にあり、理不尽さを怒りと共に叫んでいる状態を言います。
3.この「叫(おら)ぶ」をWebで検索してみますと、概観しただけで、岡山、広島、宇和島、伊予、
讃岐、宗像、博多、八女、筑後、長崎、佐賀、大分、宮崎、鹿児島に、方言として残っていました。
4.朴槿恵(パククネ)前大統領の出身地は、韓国の慶尚北道大邱市です。この地は古代の新羅(しら
ぎ)の地方に当ります。本ブログの2011年11月6日の記事「新羅の人々」に書きましたように、日
本と新羅の関りは古代より深いものがあります。中国の史書『魏書』の歴史家は、朝鮮半島に倭と認識さ
れる人々の存在があったことを示しています。これは、現代でも日本の方言や、日本語と韓国語という違
いはあっても、その発音の仕方が同じであることを知ることによって、裏付けることができます。
5.このような日本と韓国の歴史によって、過去には数度の不幸な出来事もありましたが、日韓は、共に
自由主義国として、友好国でなければなりません。
6.今、日韓の間は、戦後最悪の状態であると言います。「旧朝鮮半島出身労働者」訴訟は、韓国の国内
問題です。しかし、日本政府は、ここで在韓の日本企業に対して不利益な判決が出た場合、日本企業を保
護する立場から、韓国政府に、その判決の内容に対し、韓国政府の責任において善処を求めることができ、
また求めなければなりません。これは、国際社会においてどの国もやっていることで、国際法上も妥当な
ことです。
7.しかし、日韓は友好国であり、また、友好国でなければなりません。韓国政府の責任において善処を
求めると言っても、それを促すための方策は、トランプアメリカ大統領が対中国政策として採られている
ような、対韓関税を課すことでも、今、日本政府が行っている半導体と有機EL用素材の輸出手続きの厳
格化を行うことでも、韓国をホワイト国から除外することでもないように思います。これらはすべて関係
の悪化を招きます。ただ、トランプ大統領の対中国関税について触れておけば、これによって中国は確実
にダメージを、消費財生産企業の流出(ブルームバーグ、2019.7.11)という形で受けています。また、
これは中国共産党が以前から行って来たことですが、自らの成長のために人口政策=戸籍制度の改革(農
民を土地に縛り付ける戸籍制度から都市の戸籍を取りやすくする改革)によって人口の流動化を更に促し
(注:2019.7.9の‘Japanese.CHINA.ORG.CN’は、中国の都市人口は8,3億人に増加していることを
伝えています)、「都市部の新規雇用者数1100万人以上」、「農村貧困人口1000万人以上減少」
(2019年、第13期全人代第2回大会)という目標を立てています。しかし、ここでも、本ブログの
2018年7月31日の記事「中華人民共和国の地方都市の借金から見えてくるもの」で書きましたよう
に、今では「灰色のサイ」と呼ぶ地方都市の債務残高の増加と土地の債権化の進行を中国は抱えているこ
とを、お伝えしておかなければなりません。私は、中国の土地はいずれ私有化へと向かうと見ています。
8.話を戻します。「旧朝鮮半島出身労働者」訴訟を巡っては、韓国の文喜相国会議長が、「記憶・和解
・未来財団」を設立し、日韓両国の企業と個人による寄付金を募り、「旧朝鮮半島出身労働者」であった
人たちに慰謝料を支給し、この受領をもって請求権を放棄したとみなすとする法案を、今年12月18日
に韓国国会に提出されました。この法案が成立し、日韓が和解し、友好国であり続けることを心から望ん
でいます。
9.最後に、今年は本当に面白い年でした。そして、「人が歴史を作る」ということがよく分かる一年で
した。私の子供の頃は、敗戦国の故であったのかも知れませんが、歴史は出来上がった事実の羅列として
教えられ、そこに「人が歴史を作る」という視点は欠いていたように思います。しかし、人が歴史を作る
のです。この記事が、本年最後のアップロードとなります。本ブログを御読みいただき衷心より感謝を申
し上げます。
B.追記
1.日本政府が、12月27日、中東海域(イラン南部のオマーン湾〈アラビア海北部〉)海域、アデン
湾東部のバベルマンデム海峡海域への自衛隊の護衛艦と哨戒機の派遣を、「調査・研究」名目で閣議決定
しました。派遣海域の対象にはこれらの海域の沿岸国の排他的経済水域を含む公海だと言います。そして、
この派遣には海上警備行動を伴うと言います。
2.このような大事な決定を、国会は閉会し、日本中が年末・年始の休みに入る12月27日に行う。こ
の手法は、昨年(2018年)12月25日に、IWC(国際捕鯨委員会)から脱退し、商業捕鯨を再開
することを閣議決定して、同月26日にアメリカ政府に通告した手法と同じです。両者は共に、国際社会
において「日本の信認を得られるかどうか」という点において、同じ問題意識の上にのぼります。私の評
価では両方とも否です。
3.私が、日本が選択すべきだと思う道は、a.IWCに復帰し、商業捕鯨から撤退すること、b.日本
国内での議論を尽くして、現在ペルシャ湾でアメリカが主導し、展開している多国籍の有志連合に参加す
ることです。
C.再度の御礼と御挨拶
このブログを御読みいただきますことに、再び、御礼を申し上げます。
善い年をお迎えください。そして、新しい年が、活力あり、実り多き年となりますことを、心よりご祈念
申し上げております。ありがとうございます。
参考:
c.2018年7月31日の記事「中華人民共和国の地方都市の借金から見えてくるもの」
11月の空 (2)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます