アベノミクスの第3の矢
1.経済は成長しなければならない
日本のプアー アンド ハングリー諸君!
経済は成長しなければならないのです。均衡する経済や縮小する経済の立場から語られ
る政策や、海外のコラムニストが語るアベノミクスの失敗予測は、前者は誤りであり、
後者は単なる部外者の論評に過ぎません。
日本でも、アベノミクスで社会の経済格差は広がるというもっともらしい予測を、数字
をあげて語っていらっしゃるコメンテーターの人々もいます。しかし、格差が固定する
社会と、格差からの脱出が掴み取れる機会がより多い社会とでは、私たちはどちらを選
択するでしょうか?当然、後者です。均衡する経済社会や縮小する経済社会では、格差
は固定します。これは歴史や経済学の教科書が教えるところです。
2.政府支出とGDP
日本の平成26年度の政府支出は、参議院予算調査室がまとめている資料があります。
それによりますと、「平成26年度 一般会計特別会計歳出純計」は237,4兆円で
す。
これに2014年12月に内閣が閣議決定した2014年度の経済対策費の3,5兆円
を加算すると、総計は240,9兆円となります。2014年度のGDPはまだ出てい
ませんので、2013年度(暦年)のGDP(実質)527,3兆円(内閣府統計)で
考えます。そうすると日本のGDPに占める政府支出の割合は約45,7%となりま
す。アメリカの場合はどうかと言いますと、簡便な資料としてアメリカのCIAが、2
012年の世界各国の国家予算を‘The World Factbook’という本にまとめた数字がWe
bにありました。孫引きになりますがそれを使います。それによりますと、アメリカの
場合、歳入が2兆4650億ドルで、歳出が3兆6490億ドルです。ここでは、日本
の場合の歳出として2兆5700億ドルを載せています。この日本の歳出の2兆570
0億ドルは、先程の参議院予算調査室が報告している237,4兆円と重なりますの
で、日本とアメリカの政府支出の比較にこのCIAレポートは使用することができま
す。
アメリカの2012年の実質GDPは、15,369,200(単位:100万ド
ル) [ジェトロWebサイト=出所:商務省経済分析局(BEA)
( http://www.bea.gov )]です。即ち、15兆3692億ドルです。これでアメリカ
の実質GDPに占める政府支出の割合を算出することができます。約23,8%です。
両者を比較すると、日本の経済が如何に政府依存の体質であるかが分かります。ここ
で、日本とアメリカでは、人口も国土の面積も異なり、比較にならないのではないかと
いう疑問が起こると思います。それは固定観念に過ぎません。私たちは考える頭を持っ
ています。考え実行すればよいのです。世界の先人たちはそうして世界を広げて来まし
た。人口の問題は、TPPが発効し、域内の人の移動を自由化すれば、日本には随分と多
くの人がやって来ます。そうすればその人たちの福利厚生、治安、はたまた永住権をど
うするかといった現在アメリカが抱えているような問題に私達は取り組むことになりま
す。これとて解決して行けば良いのです。TPPの発効は日本と域内の人々の将来がかか
っています。どうしても纏めなければなりません。
3.アベノミクスの第3の矢は、国民一人一人の意識の変革とその行動にあります。
アメリカの35代大統領であるジョン・F・ケネディ大統領は、国民に向かって、「国
家に何かをしてもらおうとするのではなく、国家のために国民一人一人が、何が出来る
か考えて欲しい」と訴えられ、フロンティアスピリッツを掲げられました。この精神こ
そ我々にも大切なものです。つまり、国家の政策から何か利益を引き出そうとする態度
ではなく、自分で考え新しいものを生み出そうとする態度です。私たちの目指すものは
工業化社会ではありません。その次の社会です。ここには既に世界を見渡してもそ
のモデルとなる社会はありません。自分たちで考え、その社会像をイメージし、設計図
を描き、作り出して行かなければなりません。政策立案者は、こういう人たちを育て大
切にし、彼らが描くイメージを具体化して行けるに十分な投資を行なう人々が存在する
サポート社会を作っていくことに心を砕かなければなりません。
4.日本のめざすべき社会
日本では今まで日本の社会が目指すべき方向を標語的に語って来ました。曰く、技術立
国、曰く、ユビキタス社会。ユビキタス社会に限って言えば、この言葉からイメージさ
れる技術は、技術者の間では馴染み深く、彼らが目標とするところですが、社会に日本
の技術として定着したかというと、どうもそうは思えません。マイクロソフトやアップ
ル、インテルやグーグルといったアメリカのコンピューター技術を通して、それらは日
本の社会に定着して来たように思います。それはそれで良いと思います。そして私達は
ひょっとして工業化社会の思考方法から抜け切っていないのかも知れません。私たちが
目指す社会は、私たちが歩いて来た道であり、そこから見えて来る社会です。それは、
クリーンでスマートな社会、即ち、クリーン アンド スマート ソサイエティ(Cle
an & Smart Society)だと思います。そして、日本の社会が、業界、
企業規模、官民、学を問わずこのテーマに取り組むことによって、日本発の世界スタン
ダードが生まれてくると思います。
そして、安倍首相にお願いたします。日本の進むべき道を、日本経済の政府支出依存型
の体質を変換する日本人の意識改革を含めて、アベノミクスの第3の矢として掲げられ
る政策と目標の中に、例えば、Clean & Smart Society というよう
な短い言葉で、日本全体がそこに向かうという意志をお示しください。日本人は、今、
企業、研究機関、大学では様々な新しい技術を生み出し培っていますが、それらを一本
のベクトルにまとめる目標を見いだせていないように思います。
5.日本のプア アンド ハングリーの諸君へ
アップルの創始者のスティ―ブ・ジョブズ氏は、自身のひたむきさを、「ハングリーで
あれ、フーリッシュであれ!」と表現されました。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏は
ガレージから出発されました。プアーであり、ハングリーであることは恥ではありませ
ん。世界を見渡し目標を打ち立てましょう。砕けたらまた目標を立てれば良いのです。
チャレンジしましょう。プアーであり金がなければ、株で資金を作りましょう。資金の
レベルまで行かなければ、少しでも所得を上げましょう。ハングリーであれば精神が充
実するまで掲げた目標に打ち込みましょう。そして次のステージへ行きましょう。これ
を繰り返しましょう。そして成り上がるのです。
青空と躍動する少女像
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