さあ、行こう、世界の上には大空が広がる!
A.本年(2017年)の世界のトップニュース
1.アメリカの議会(上院・下院)は、12月20日に税制改革法案を可決し、法案をトランプ大統領に
送りました。 大統領の署名によって成立します。この法案の成立を、本ブログは、本年(2017年)の
世界のトップニュースとします。
2.このブログでは、今年の2月8日の「アメリカを考える」という記事で、「トランプ大統領が、海外
展開している自国企業にアメリカへ生産拠点を戻してアメリカ人の雇用を増やすように呼びかけている
そのさまは、それが字義通りに進めば、アメリカは今以上に国内に集積した工業力を持つことになります」
と書きました。この「国内に集積した(巨大な)工業力を持つこと」が、トランプ大統領のグランドデザ
インです。成立する法案は、2018年に法人税を現行の35%から21%に引き下げます。そして恒久法
だと言われています。考えるに、この21%への法人税減税は、トランプ大統領が描くグランドデザイン
を実現するための第一歩となります。
3.「アメリカは巨大な工業力を国内に集積することができるか」という問いには、先の2017年2月
8日のブログで「できる」という解を出しています。不足する労働力は、ロボットと自動化によって補う
ことができます。現在、世界で進んでいる「車」の自動運転技術は、既にその世界を私達に示していると
言えます。
4.課題はその消費です。最も安易な消費は自己消費であり、それは、戦争で武器と軍需物資の消費と
生産のサイクルを作り出すことです。そして、都市のスクラップ、アンド、ビルドです。これは先の大戦
においてアメリカが最後に選択した道であり、その力があったからですが、戦後の世界秩序を作り出し
ました。しかし、その後の限定戦争においてはうまく行っていないのが実情で、北朝鮮からは核ミサイル
という新たな脅迫を受けるに至り、イスラム圏における反米グループの根は深いものがあり、アメリカは
彼らによるテロの防止に注力を注(そそ)いでいます。
5.このようなことを考え、トランプ大統領の頭の中にあるアメリカ像に思いを巡(めぐ)らしながら
書いてくると、トランプ大統領は意欲的な大統領だという姿が見えてきます。大統領は、「北朝鮮問題
(北朝鮮の核とミサイル)は、中国が解決しないなら、われわれが解決する」と述べられています。
また、北朝鮮に対し、「我々を試(ため)すな」とも述べられています。これは大統領としての言明です。
そしてこれらの言明を、既に北朝鮮の言動は越えています。日本は今まで何回、北朝鮮から脅(おど)か
されたことでしょう。これらの解決をするための行動を考え、アメリカが言うテーブルの上にある全ての
選択肢のうちの一つを取り上げて見る時、今まで、アメリカ一国での行動は長期化する傾向を示して来
たため、多国間連合での行動が良いと言えます。また日本も政府はこの時、拉致被害者救出の任務を
持った部隊を送り、捜索と救出を行わせることができます。そして、政府は、この機会が拉致被害者を
自力で救出する最大の機会であることを知り、それを実行しなければなりません。
6.また、アメリカ大使館のエルサレムへの移転も、トランプ大統領の中東への戦略的布石と考える
ことができます。当然、イスラム諸国は反対するでしょう。ハマスがインティファーダ(蜂起)を行う
と警告したという報道もあります。しかし、行動を起こさなければ、事態は収拾(しゅうしゅう)せず、
交渉のテーブルに着こうとする機運も生まれません。日本は、今月(12月)18日の国連の安保理と
21日の総会でアメリカの意にそぐわない票を投じました。このような左右の顔が違うことをやってい
るから日本は信用されなくなるのです。そして、アメリカの都市に慰安婦像を設置しないでくれと頼ん
でも、聞き入れられず、批判されるようになるのです。私は、イスラエルの首都はエルサレムの認識で
います。
7.次にこれは、日本の情勢認識にかかわる問題なのですが、つい近頃、朝鮮戦争に参加した国連加盟
国の会合を開きたいと、カナダから日本の外務省に打診があった時、日本が難色を示したため、延期に
なったという報道がありました。これなども日本を孤立させる情勢認識の甘さを示すものと考えています。
カナダも日本を信用してくれなくなったら暫定TPP=CPTTPもうまく行かなくなります。しかし
今日(12月22日)Webを検索したら、ティラーソン米国務長官が、来年(2018年)1月16日
にカナダのバンクーバーで、朝鮮戦争参加国に日本を加えた閣僚級会合を開くという発表を、記者会見で
行われたという記事がありました。付け加えさせていただきます。
8.総じて、21世紀のアメリカの基本姿勢が世界に対してどのようなものであるかは、アメリカが、
現在、北朝鮮から受けている脅威と、イスラム反米武装勢力から受けている脅威に対して、トランプ
大統領がどのように処理され、解決されるかその結果によって、また見えてくるものもあるだろうと
考えています。そして、日本について言えば、トランプ大統領を全面的に支持しなければならず、
この記事の6で書いたような、アメリカ大使館のエルサレム移転に対して、それに反対する決議には
賛成してはならないのです。
B.中国
1.中国が、自分たちは自由貿易の擁護者であると語り出しています。これは、彼らが今まで自由諸国
との通商によって受けた利益と、自由諸国の企業が中国に進出することによって中国に与えた利益を考
えれば、彼らが今後もその恩恵に浴したいと考えるのが当然のことであって、そのことを語っているに
過ぎません。しかし中国社会の基底はいまだ閉じた社会であり、報道によれば、中国に進出した外資
企業に対し共産党の支部の設置を求め、一部企業では中国国営企業との合弁事業について、事業運営・
投資判断の最終的な決定権を党に与えるよう契約条件の改訂を求められたと言います。
この詳しい内容は、『ロイター』(ビジネス)、「アングル:中国の外国企業、共産党の『内部介入』
を懸念」【2017年8月30日】、『大紀元』(経済)、「外資系に党支部設置強化 米専門家
『WTOが抗議すべき』」【2017年9月19日】を参照してください。
2.中国が世界に対してどのような役割を果たせるかは、北朝鮮にまやかしや嘘偽(うそいつわ)り
のない核とミサイルの放棄をさせるにあたって、彼ら(中国)が何をするかが、その指標になります。
夕暮れとシルエット