A.自由と社会
1.自由の概念(言葉の含む意味・内容)は、今まで歴史に現れた社会主義、共産主義の概念より高次な
概念です。
2.自由社会は、今まで歴史の中に現れて自称された社会主義社会、共産主義社会より、人間は高次の社
会性を持ち、社会は高次に発展します。
B.自由社会の規範及び善
1.自由の概念には、規範と善の概念を含みます。これを自由主義といいます。社会主義、共産主義の概
念にも規範と善の概念を含みます。しかし、自由主義の概念と社会主義、共産主義の概念におけるそれぞ
れの規範と善の概念は、その様相を異にします。
2.自由主義の概念における規範と善の概念は、その形成を人間個人の自発性に負います。人間個人の自
発性を主体と言います。社会は、規範と善に限らず、この人間個人の自発性によって形成されます。そし
て社会は、この人間個人の自発性にたいして機会を常に均等に開こうとします(そうしなければいけませ
ん)。これを自由主義社会と言います。
3.自由主義社会の規範と善は、人間個人の自発性=主体によって形(かたち)作られます。自由主義社
会においては、主体の総意が社会の規範と善となり、それは再び主体に作用し、「かくあれ」という道徳
を形作ります。自由主義社会は、この主体と社会の相互作用によって、改善され、前進します。
C.社会主義、共産主義社会、若しくは、排外主義社会の規範及び善
1.社会主義、共産主義社会、若しくは、排外主義社会の規範と善は、社会の中の少数の者、或いは、集
団によって作成されます。
2.彼らの規範と善は、国家の場合、社会構成員全員の承認を得るという手続きを経ることなく、若しく
は、疑似手続きによって、社会全員に強制されます。
3.この国家においては、情報の入手、言論の自由、学問の自由は制限され、総じて、人間個人の自発的
欲求にたいする機会は「常に均等」ではありません。これを閉じた社会と言います。
4.また、その規範と善が、社会の中の一集団において行われるものである場合、その自己同一性は他者
への攻撃性となって現れることが多く、これを排他主義と言います。
D.自由の条件
1.自由であるためには、民主主義を発展させ、合意を得るための議論が尽くされて、決定されるシステ
ムが常に検討されなければなりません。
2.問題の暴力的解決を回避するためには、議会主義でなければなりません。
3.国民が成長し、ポピュリズム、センセーショナリズムに乗って集票し国民と国家を危うくする政治家
もどきの人物を避け、道義上善であり、国家の命運にたいして信の置ける政治家を選択しなければなりま
せん。
E.自由主義社会が目指すもの
1.人と社会は美に向かって運動します。即ち、「人と社会の在り方が美しくあること」、これが自由主
義社会の目指すものです。
2.この「人と社会が美しい」社会の実現が、自由主義社会がより高次な社会であり、さらに高次なもの
を目指すことができる社会であることの証明となります。
F.メッセージ
1.カール・ポパーの『開かれた社会とその敵』、『科学的発見の論理』、『歴史主義の貧困』、『推測
と反駁』を読んでみてください。「ポパー? 古いよ、」と思われるかも知れません。しかし、科学と思
考に人はどのように挑(いど)むかという、人がいつも直面する問題については、ポパーと対話すること
によって、新しい視野を開く参考になると思います。
D.コヒータイム
1.山根一仁(かずひと)というバイオリニストがいらっしゃいます。1995年の生まれで、まだ18
才です。昨日の土曜日、NHK、EテレでN響ホープコンサートというのがあり、エドゥアール・ラロとい
う作曲家の『スペイン交響曲』をN響と演奏されました。私が聴いたのは第4楽章と第5楽章のみですが
、第4楽章の出だしのたおやかさに、傑出した才能を感じました。書き留めさせて頂きます。
アジサイ
開かれた社会とその敵 第1部 プラトンの呪文 | |
カール・ライムント・ポパー | |
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開かれた社会とその敵 第2部 予言の大潮 | |
カール・ライムント・ポパー | |
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科学的発見の論理 上 | |
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恒星社厚生閣 |
科学的発見の論理 下 | |
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恒星社厚生閣 |
歴史主義の貧困―社会科学の方法と実践 | |
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中央公論新社 |
推測と反駁-科学的知識の発展-〈新装版〉 (叢書・ウニベルシタス) | |
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法政大学出版局 |
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