A.安倍首相に対する名誉棄損提訴
1.2013年7月16日、安倍首相に対する名誉棄損提訴を菅氏は起こされました。
2.その根拠とされるところを、氏の2013年7月13日のブログ記事『ツイッターでの海水注入問題
への質問の回答』の中から引用すれば、「結論から言えば、私あるいは官邸の政治家が海水注入を止めさ
せる指示を出したことはない」ということになります。
B.問題の整理
1.問題を整理するために、元・福島第一原子力発電所第一号機への海水注入に限って、菅氏を含む官邸
と現場と東電本社のやり取りを、時系列的に列挙致します。(典拠は、『福島原発事故独立検証委員会
調査・検証報告書』 2012.3.11によります)。
α.官邸対策室
a.17:55、海江田経産相が海水注入を発令。
b.18:00、菅氏入室。菅氏に海江田氏が海水を注入することを報告。菅氏は「海水注入時に生じる
リスクと対策」について発言。これを受け、斑目(まだらめ)氏が、塩分による流路閉塞と腐食の発生す
る可能性を報告。菅氏は再臨界の可能性を一同に糺(ただ)す。斑目氏が再臨界の可能性はゼロではない
と回答。菅氏から、「じゃあ大変じゃないか」という発言がある。東電フェロー武黒氏が、(爆発による
)ホース損傷の復旧には1時間半かかることを、報告。菅氏が、「ホウ酸投入等、再臨界防止策を含めた
方法の再検討」を指示し、散会。
c.散会後、菅氏の反応に驚いた関係者(経産省、柳瀬総務課長、原子力安全委、斑目委員長、久木田委
員長代理、東電、武黒フェロー、首相秘書官、等)は、首相秘書官室の横の小部屋に集まり、対策を協議
。一同、早急な海水注入が必要であるという認識で一致。再説明にあたって、菅氏に疑念を抱かれないよ
う、各自の発言内容を確認し、入念なリハーサルを実施。
d.19:40、会議再開。19:55、菅氏が海江田氏に海水注入を指示。
β.現場
a.19:04、海水注入開始。
b.注入開始後まもなく、吉田所長に武黒フェローから、「(海水注入は)首相の了解がまだ取れていな
い。待ってほしい」という連絡が入る。
c.吉田所長は、注水続行を指示。但し、東電本店には、注水を中断したように報告。
γ.東電本店
a.18:05、内部会議で、海江田氏から、海水注水の指示があったことを確認。
b.19:04の注水開始後、吉田所長に武黒フェローから入った連絡につき、吉田所長から、武藤福社
長らに相談の連絡が入る。
c.本店側も、「一時中断はやむなしという考えであった」と、報告書は記載しています。
C.問題の考察
1.上記が、事故独立検証委が書く、海水注入に関する時系列上の出来事です。
2.一方、安倍首相の2011年5月20日(事故発生から約2か月後)のメールマガジンの記載は次の
通りです。
a.19:04、海水注入を開始。同時に官邸に報告したところ、菅総理が「俺は聞いていない!」と激
怒。
b.19:25、官邸から東電への電話で海水注入を中断。
c.20:20、実務者、識者の説得で注入再開。
D.本ブログの判断
1.安倍首相の記載された内容に、「虚偽」は成立しません。入手された情報をそのままに書かれたのだ
と思います。
2.19:25の注入中断は、そのように吉田所長が東電本店に報告をされています。
3.20:20の注入再開は、19:40に官邸で再開した会議で、19:55に菅氏が、海江田氏に指
示した海水注入に従い、海江田氏が再発令した命令に対して、東電が報告した注入開始時刻です。これで
名目の上での発令者は、菅氏ということになりました。しかし、御承知のように現場では、19:04か
ら海水注入は継続して行われていました。
4.この名目上の発令が、不要なものであり、福島で広がった大惨事への政府の対処に、安倍首相は歯が
ゆい思いをされていたにもかかわらず、海水注入を菅氏の功績のように、菅氏の側近がマスコミに対して
アナウンスする様子に、それは実際と違うと思われたのでしょう。
5.よって、安倍首相は自らが知り得た事実を述べられたものであり。菅氏が主張する「虚偽の情報に基
づいて、氏の名誉を著しく傷つける中傷」には該当しないと言えます。
6.これが結論です。
E.別項: 2013年参議院議員選挙
1.安倍首相の擁護を、私では不相応ながら、今日は行いました。
2.本ブログは、自由民主党の候補者への投票をお願い致しております。
3.皆様が、既に意中の候補者を決めていらっしゃらない時は、投票頂きますようお願い申し上げます。
文責: 前田子六(正治)
e-mail : shouji_zen@ybb.ne.jp