日々楼(にちにちろう)

古今東西・森羅万象の幾何(いくばく)かを、苫屋の住人が勝手御免で綴ろうとする思考の粉骨砕身記です。

自由主義社会

2013年07月19日 | 日記

 A.自由主義社会の条件

 

1.自由社会は、その社会に所属し、社会を作って行く全ての人に対して、機会が均等に開かれているこ

とが、その社会成立の第一要件であり、且(か)つ、必要にして十分条件です。

 

2.何故なら、社会は人間個人の自発性によって形成され、社会の可能性はその社会に所属する人間の自

発性の多様な可能性の総量によって決まり、この多様な可能性を可能にするのが、人があらゆることに平

等にチャレンジできる機会が与えられることだからです。これを機会の均等と言います。この機会には、

現存する社会の職業分野での選択のみならず、新しい職業、新しい産業を起こすことも含みます。だから

、機会の均等は、社会が発展して行くための第一原則でもあるのです。

 

3.産業革命、新大陸の発見、ピューリタンたちの選択、歴史はすべてその機会を捉(とら)えた人たち

によって開拓されて来ました。日本もそうです。

 

4.経済学において、人の創造性に基礎を置く経済発展の学説は、全てこの人の自発性とチャレンジの機

会均等に支えられて成立しています。ヨーゼフ・シュンペーターやピーター・ドラッガーがそうです。但

(ただ)し、シュンペーターの『資本主義・社会主主義・民主主義』は、検討しなければいけません。

 

5.人間の自発性をこのブログでは、“主体”と表現しました。英語では、“the independent”=“独立し

た人”という言葉を使いました。

 

6.福沢諭吉の“独立自尊”もこの意味で使われているのだと思います。

 

7.この “主体”=“the independent”=“独立した人”が、最大限の活動エネルギーを注(そそ)ぐこと

可能であり、失敗を許容し、再チャレンジを可能にする文化と、このような人々が輩出する文化を、育

てなければなりません。

 

8.社会の中で生きる人のエネルギーをベクトルとし、社会の大きさを人口とすれば、

社会=ベクトル×人口 ですから、個々人の活動エネルギーが大きければ大きいほど、その社会のエネル

ギー総量は大きくなります。同時に、世界に向かって放(はな)たれるベクトルの矢は太く、範囲は世界

の隅々まで及び、社会は豊かになります。

 

 B.日本社会の負の要因

 

1.今、日本は企業社会です。企業の基本は、固定費(人件費など固定的に発生する費用) の圧縮です

それ故、日本の雇用人口に占める正規雇用者 (正社員) 数は減少して来ました。

 

2.少し、統計値をあげます。(a、b:統計局、労働力調査、2012年、c、d:厚生労働省 若者

雇用関連データー、2011年、f.i:厚生労働省、2011年 g.総務省統計局、2011年 )

 

a.雇用者(役員を除く):5154万人(正規雇用者3340万人、<64.8%>、 非正規雇用者

1813万人<35.2%>

 

b.完全失業者数 : 285万人(1年以上の完全失業者: 107万人)

 

c.ニートと呼ばれる人の数:60万人(15~19才:9万人、20~24才:15万人、25~29

才:18万人、30~34才:18万人) 

 

d.フリーターと呼ばれる人の数:176万人(15~24才: 83万人、25~34才: 93万人) 

 

e.自殺者: 27766人(速報値)、(Web版 日本経済新聞、2012年)

 

f.平均所得/1世帯 : 548.2万円 (中央値:432万円) (福島県を除く)

 

g.世帯数 : 51842 (単位:千) 世帯

 

h.世帯所得 : f×g≒284.2兆円

 

i.平均所得以下の世帯の割合 : 62.3% 

 

参考 : http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa12/dl/03.pdf

 

3.データーを考える

 

a.添付しております厚労省のPDF“各種世帯の所得等の状況” の “2 所得の分布状況” 

図13を見ますと、名目中央値=432万円となっています。 

 

b.しかし、600万円以上の所得世帯を除いた所得分布を見ますと、その中央値は300~400万円

(今は仮にこれを、実質中央値とします)の間にあります。また、平均所得以下の世帯は、全体の

62.3%を占めます。ここから、日本の庶民の生活は楽ではなく、子供の進学等にあたっては、ローン

を組んでやり繰りされている状況が目に浮かびます。

 

c.以下に、Webにありました “千日ブログ”という記事から、日本の高額所得者を、転載いたします。

『週刊現代』の2012年7月21日・28日号のものです。

 

* 日本(東日本)高額所得者ランキング2012(2011年所得)

 

1位: 孫正義(93億9600万円)      ソフトバンク

2位: 柳井正(51億円)                ファーストリテイリング

3位: 岡田和夫(36億円)             ユニバーサルエンタテインメント

4位: 元谷外志雄(33億円)          アパグループ

5位: 伊藤雅俊(31億8100万円)  イトーヨーカ堂

6位: 斉藤一人(30億円)               銀座まるかん

7位: 佐治信忠(24億6000万円)    サントリーHD

8位: 里見治(23億6000万円)       セガサミーHD

9位: 山田昇(23億5000万円)       ヤマダ電機

10位: 重田康光(21億2600万円)  光通信

 

これは、ジャパニーズドリームとでもいうべきものなのでしょうね。

 

C.解題

1.日本を支える主力の人々―今は、いわば、社会を支えるクッション役に回ることを余儀なくされてい

る人々―‐を、何とかしなければいけません。

 

2.これ以上、所得が落ち込み、社会が固定化することを何としても回避しなければなりません。

 

3.貧困は、貧困を生むと言われています。貧しい親は富裕の親より、子供に少ない機会の選択しか与え

られません。選択の機会が少なければ、その子は少ない機会の生きる場所しか選択できません。こうして

社会は固定化して行き、貧困の連鎖が生まれます。

 

4.ハローワークや自衛隊を利用して、引きこもりの青年が社会参加の機会を得られる訓練場所を作って

あげたいですね。

 

5.就業の機会を失し、アルバイトや不安定な雇用に甘んじている青年には、いつでも社会に認知された

能力アップの機会が開いてあり、訓練場所は上記、或いは民間機関を使用して、望めばそのコースから次

の就業、就職、開業の機会が開かれていることです。

 

6.たとえ、正社員のコースを外れたり、或いは失職したりしたとしても、自分のスキルアップ、能力ア

ップを図れるコースが、社会にあり、次の機会があることです。そして、企業は、そういう人を、高い給

料を払って迎えることです。これはすでに社会では常識だという声が、聞こえてきそうです。しかしこれ

らの人たちは、いわゆるキャリアと呼ばれている人たちであって、それ以外の人の間で浸透しているとは

言えないと思います。

 

7.これらを可能にするには、そういう風土と文化を社会に作って行くことだと思います。学校でそうい

う教育をし、コースアウトは、新しいコースを作り出すことなのだという文化を、社会に定着させること

だと思います。

 

8.また、貧困の固定化と、連鎖を回避するには、昔から言われていることですが、社会が成長すること

です。成長する社会には、人のやる気とモチベーションというエネルギーの充満があります。そして、こ

れこそ、社会成長の原動力です。ケインズはこれを“気分”と言いました。

 

 D.結語

 

1.上記のやる気とモチベーションは、社会のあらゆるポジションが、そこを目指す人には機会均等に開

かれ、且つ、新しい産業や都市を起こそうと意欲する人には、その道と機会が誰にも均等に開かれている

ことによってのみ、担保されます。

 

2.そして、機会均等は、自由主義社会に必要不可欠のものと言えます。

 

 

E.別項: 2013年参議院議員選挙


1.本ブログは、自由民主党の候補者への投票をお願い致しております。

2.皆様が、既に意中の候補者を決めていらっしゃらない時は、投票頂きますようお願い申し上げます。


文責: 前田子六(正治) 

e-mail : shouji_zen@ybb.ne.jp                           

 

後記:記事のタイトルを「自由主義社会に改めました」。(2019.11.3)

 

 

 

                           青 空

コメント
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