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道警裏金問題2

2004年11月26日 12時12分53秒 | 法関係
もう一つの問題点があると思っています。それは住民訴訟を門前払いした裁判所の考え方です。新聞によると被告が「北海道知事」が正しいか「道警本部長」が正しいかで、手続き上の問題として却下したようです。被告適格を巡る理由により、提訴が退けられてしまうということは裁判所判断として如何なものか。法の正義を守り、良識を示すべき裁判所が訴訟内容や社会的意義を全く考慮せずに、単に法的手続きの過誤をつくような判断を下すのが、裁判所の真の役割だとでも言うのか。



次に、都道府県知事の権限についてですが、会計上の決まりが「道財務規則」(新聞を読むとこのような記述でした)によって決められているため道知事の権限が委任されている、ということのようで、確かに会計監査に関する規則はこれに則る形ということなのでしょう。この「道財務規則」は条例でしょうか?それとも知事命令のようなものでしょうか?原則的には法律の方が優先されるべきであると思うのですが。


私は地方自治法第221条規定が適用できると考えております。

第221条  
普通地方公共団体の長は、予算の執行の適正を期するため、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものに対して、収入及び支出の実績若しくは見込みについて報告を徴し、予算の執行状況を実地について調査し、又はその結果に基づいて必要な措置を講ずべきことを求めることができる。

2  普通地方公共団体の長は、予算の執行の適正を期するため、工事の請負契約者、物品の納入者、補助金、交付金、貸付金等の交付若しくは貸付けを受けた者(補助金、交付金、貸付金等の終局の受領者を含む。)又は調査、試験、研究等の委託を受けた者に対して、その状況を調査し、又は報告を徴することができる。

3 省略


この規定によると確かに委員会や委員に調査権や報告に関して委任を許容している面がありますが、知事の権限として「その結果に基づいて必要な措置を講ずべきことを求めることができる」となっており、不当事項が存在するにもかかわらず措置を求めない場合には知事の有する権限の放棄または職務怠慢と見なすことも可能なのではないでしょうか。


また、第2項規定で、補助金、交付金等を受けた者に対して、その状況を調査し、又は報告を徴することができるとなっております。道警の受ける道からの資金が、この補助金または交付金に該当している場合には、知事の権限として、調査権と報告義務付けの権限を有していると判断できるのではないでしょうか。

よって、道財務規則はこの221条規定を優越するものではないことが明らかですから、財務規則による道知事の権限委任説は否定されるべきであると思います。知事の有する権限については厳然と存在すると考えます。同規則の根拠としている法令と条文は何でしょうか。地方財政法でしょうか?単に事務的命令と考えられるならば、これに基づく知事の責任回避は法的に許容されるものではないと考えます。

以前記事に書きましたが、(「UFJ銀行の不運」、カテゴリー:社会全般)UFJ銀行の検査妨害事件では、銀行法違反で特捜部の捜査となっています。これは検査妨害が悪質であったとの理由ですが、警察組織の検査に対する妨害も何ら変わりがありません。にもかかわらず、かたや起訴に向けて捜査なのに、もう一方では検査自体が適切に行われない。こんなことが許されていいものなのでしょうか。銀行法では第24条と25条が違反適用と考えられます。

(報告又は資料の提出)
第二十四条  内閣総理大臣は、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、銀行(代理店を含む。)に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2  内閣総理大臣は、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該銀行の子会社に対し、当該銀行の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3  銀行の子会社は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。

(立入検査)
第二十五条  内閣総理大臣は、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該職員に銀行(代理店を含む。)の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2  内閣総理大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に銀行の子会社の施設に立ち入らせ、銀行に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3  以下省略。


これらの条文では、検査職員が検査が出来る、報告させたり質問に答えさせることができるとなっております。これは、知事の有する権限の調査ができる、報告させることができる、というのと何ら違いがないと思います。罰則規定(銀行法63条等)があるかないかだけです。これに対して特捜部が動くのであれば、警察の検査妨害についても検察が捜査すべきでしょう。


そもそも公金を預かる会計経理担当者は「善良な管理者」という大前提の下に法律が作られているはずですから、よもや犯罪に手を染めるような者が存在することなど法の想定外のことであろうと思います。このため、罰則規定は作られなかったのだろうと思います。


警察庁も含めて、警察全体が本当に反省し内部から改革しないかぎり、国民は納得できないのではないか。一応ある掲示板にこれらの法的考え方について記入してみました。


道警裏金問題1

2004年11月26日 09時41分14秒 | 法関係
道警は裏金問題について新聞発表では9億円以上の返還を行うと決めたようだ。国民としては納得のいかない内容でもある。実態が明らかにされないまま、お金の返還で済まそうとする警察の姿勢に問題があると思う。




報償費返還住民訴訟が却下されたとのことである。本来は司法の手で明らかにすべき問題であると考えていますが、司法警察、検察、裁判所のいずれもが大義を失したような対応に失望と憤りを覚えます。国民に法の正義を示すべきであるのに、司法を担う人達自らが法を軽んじるかのような姿勢は非難されるべきと思います。


要点は道が支出する道警(または北海道公安委員会)への経費はどの様な種類のものか、ということです。

都道府県警察の経費への国庫支出につきましては、警察法第37条に規定され、これに基づく警察法施行令第2条および第3条に詳細規定があります。ここで重要な事は、第3条規定です。この第1項第2号に
「・・・(省略)所要額を算出し、その十分の五を補助するものとする。ただし、特別の事情があるときは、その所要額の十分の五をこえて補助することができる」となっています。

これは、仮に捜査に必要であった経費が1万円の時、道が半分、国が半分支出することを意味しており、この費用の調査権は会計検査院にもあると考えることができると思います。一連の問題となっている捜査費がこれに該当している支出であれば、会計検査院法を適用できるのではないかと思うのです。

以前記事に書いた(「会計検査院の仕事」シリーズ、カテゴリー:おかしいぞ)ように、会計検査院法第27条規定により、本属長官または監督官庁等の責任ある立場の者は会計に犯罪が発覚したとき、あるいは亡失があるときは会計検査院に報告が義務付けられています。よって警察庁か北海道公安委員会は会計検査院に報告しなければ同法違反となると考えられます。また、会計検査院法第33条により検査院が犯罪を認めた時は検察庁へ通告しなければなりません。

あくまで、私見ですが、領収書偽造に関して法的立証が可能かどうかが焦点となります。確か赤坂署の領収書偽造が民事裁判で最高裁が上告棄却により確定したはずです。このことは、「領収書そのものが偽造である」という裁判所の認定があるということで「有印私文書偽造」とか「有印公文書偽造」(私は刑法とか詳しくわかりませんので何に該当するか不明ですが)等の適用になりえるのではないか、と思うのです。

刑事訴訟法では刑事事件の存在が明らかな場合に、告発できるはずです。告訴と違い、6ヶ月の縛りもないんでは?この領収書偽造事件について刑事責任を生ずるならば、会計上の犯罪が明白となり、検査院法27条および33条規定が適用できると考えます。



現在和議協議中と報道されている旭川中央署名前無断使用訴訟でも同じように、領収書名や公文書中の偽造が裁判によって認定されるならば、同様に、刑事責任を問うことが可能になり、会計検査院法の適用をすることによって、検察捜査が免れなくなると思います。警察庁や道警側が裏金問題を明らかにしない場合には、このような強制力を発揮するしかないのではないでしょうか。


警察は返還によってこの問題を終わらせたいと思っているようですが、解明されるべきことが闇に包まれたままで終わり、では、法を守る警察を信頼することはできないでしょう。
国民感情としても、以前書いたようにUFJ銀行の検査妨害が刑事責任追及を受けたり病院の名義貸し問題では管理者が刑事責任を追及されたりしているわけで、これらと同列に責任追及するのが筋と思います。