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お願いだから、年金改革をやってくれ

2005年09月22日 21時18分42秒 | 社会保障問題
何度も申し上げてきましたが、年金改革をしない限り事態は改善しませんよ。それを認められないのは何故ですか?厚生年金の赤字額は尋常ではありませんよ。国庫負担額と積立金取り崩しで何とか賄っていますが、堪えきれないでしょうね。

17年度予算の一般会計からの歳出は年金分が約6兆2700億円で、今後国庫負担額を2分の1に引き上げるとなれば、今と同じ水準の給付総額だとして約9兆4000億円必要になると予想されます。つまりはあと3兆円以上増額が必要ということになります(私ならばどう捻出するか記事を書きました)。


積立金取り崩しが6兆5300億円、国庫から6兆2700億円(国民年金+厚生年金両方で)入れてるから、年金保険料以外の財源としては(運用益を除いて)12兆8000億円も追加していることになります。この他に、公務員共済の事業主負担と追加費用でざっと4兆円(正確には判りませんけれども、過去の実績ではこれくらいです)の国庫からの支出ということになるのです。


年金給付額は、99年度に39.9兆円だったのが、経年的に着実な増加を続けて、03年度には44.8兆円となった。95年度では34兆円くらいだったのが、10兆円分が増加したのだ。一方、医療費は99年度に26.4兆円だったが、03年度でも26.6兆円となっており、伸びはそれほどないのである。95年度でも25兆円程度である。この経過途中で高齢者の自己負担額増額や、保険本人の2割負担から3割負担に変更されたりしたことが、増加が抑制されてた要因の一つかもしれないけれども。

それと、00年度から介護保険がスタートして、その分がまるまる増加した。これは新規市場だということで、営利集団に貪られたと言ってもいい面がある。00年度当初3.2兆円だったのが、03年度には5.2兆円となった。介護保険料として新たな国民負担を求めたのに、株式会社参入を認めたりした結果、利益を抜かれたのだ。営利企業であるから、当然利益を追求するに決まっているだろうけど。


今の喫緊に取り組むべき問題は、年金改革なのですよ、本当に。現状のままでは、保険料と給付の均衡水準となることは期待出来ないでしょうね。保険料率を上げたのに、保険料収入はどんどん低下しているんですから。小泉政権になって、低下を続けているんですよ。これは国民全体の給与が減ったとか、国民年金未払い者が増加したとか、正規雇用を減らしたとか、そういう色々な要因であると思います。少なくとも、厚生年金の事業主負担は減少しているし、保険料総額は減っているんですよ。おまけに、200兆円以上の積立金の運用益は、くだらない「グリーンピアもの」とかを止めても挽回できるはずもなく、預託金(財投へ回される資金だろう)が無くなって利回りが急激に悪化した。普通、長期運用資金として最低でも2%程度の運用を考えるだろう?(普通は30年とか50年という長期運用を考慮するだろうから、もっと高い運用収益が期待できる)。その水準でも運用収益は4兆円になるはずなのですよ。ところが、役人達は揃いも揃って愚かであった為、高い金利の預託金があった時代にはそれに頼り、貸し付けられた特殊法人は赤字を垂れ流しながら、帳簿上では年金資金の運用収益を付け加えてきたのだ。ところが預託金を無くすということになれば、まともに運用など出来ないし、それに対する対策も考えてこなかったのだ。だから、今は1%以下の運用収益しかない(2兆円以下ということ)。これはバカでも可能な水準である。


このようにして見れば、年金制度自体に大いなる欠陥が存在し、社会保障費の半分以上を占める年金をきちんとすることが最も効果的であり、費用効果も最大に決まっているのです。にもかかわらず、改革を進めようとしないのですよ。国民年金の未納率が36%程度ですから、この制度を止めるだけで保険料収入の半分の効果が得られるはずなのですよ。


現状では基礎年金と生活保護(高齢世帯分、一部医療費・介護費を含むと思う)を合わせて約14.5兆円の給付ですが、2400万人分の基礎年金(月6万円)に振り替えるとするなら、必要額は約17.3兆円です(民主党案のような最低保障が8万円ならば、さらに増加して約23兆円です)。差額は2.8兆円ですが、国庫負担率を2分の1に出来る財源(約3兆円)があるなら、消費税増税をしなくとも可能です。民主党案ならば差額が8兆円強ですから、国庫負担率上げ分を除けば、約5兆円強となって、消費税3%(1%で約2兆円の税収)でまかなうことが出来ます。もしも消費税の3%上げが消費に与えるインパクトが大きい場合には、1%づつ上げて行くことも一つの方法です。


何度も言いましたが、企業はリストラや正規雇用抑制によって社会保障負担を逃れることを続けてきたため、社会保険料収入は連続で低下し続けました。そのような環境を改善する為にも、企業には適正な負担を求めることとします。今後年金保険料率が増加し続けるのですから、正規雇用は負担感が大きくなっていく一方なのですよ。このような雇用環境を抜本的に改善していかない限り、企業は出来るだけ正規雇用を逃れようとするのが普通なのです。その解決方法として、年金一元化は有利だと思います。働く女性についても、折角共働きで頑張っても専業主婦との差が小さくて不利な制度なのですから、個人単位での年金制度に組み替えるのが妥当でしょう。こうした不利が減少するなら、女性の就業にもプラスに働くように思います。


まとまりなく、いきなり終了でゴメンナサイ。

つづく・・・。


提灯解説?某経済評論家の言い分

2005年09月22日 14時19分27秒 | おかしいぞ
何度も取り上げてきた雇用・能力開発機構ですけれども、そこがやっている金融事業みたいなのがあります。それは、有名な財形貯蓄・融資に関する事業です。これも政府系金融機関みたいなものであり、制度趣旨は悪くないと思いますが、官業としての権益の為に利用されるというのが問題です。


昨日偶然昼にテレビを観ていたら某番組には女性経済評論家が出ていて、家計の解説や年金解説などをしていました。この方はよくテレビに出ています。結構有名でしょう。この評論家曰く、「財形融資をもっと使いましょう」と。住宅融資で、民間金利が5年固定で2.4%というのが基準金利で出されていました。財形住宅融資は1.39%だそうです。そーですか。

ところで、どうして同じ官業なのに、住宅金融公庫と同じような住宅融資が別組織・別制度で行われるのか疑問ですね。分ける必要性がないように思います。所管省庁が違えば、真似をして「あっちもやってるから、こっちもやろう」という安易な制度としか思えませんね。融資の焦げ付きだって当然あるし、そのリスクは国民が背負うことになっています。実際、実質破綻債権が60億円とかの規模で存在するだろうと思われます。国民の払った労働保険料はこうして失われていくのだ。


現実は住宅金利が3年固定で1%以下、5年固定でも2%以下の民間金融機関も存在するけれどね。まあいい。それを除いて考えたとしても、「財形貯蓄をしましょう、財形融資を使いましょう」という宣伝をしているのかと思ったよ。昔みたいな金利が高い時代と比べて、運営が苦しくなり、組織存在意義すら怪しくなってきたと思った途端に、「財形頑張ろうキャンペーン」だそうですよ。


年金も労働保険も、同じような仕組みを幾つも作ってきたんだよ。役人どものポストを作り上げる為に。
・国民から金を集める(保険料と称して強制的に)
・積立金をひたすら積み増す
・積立金利息収入で数百億~数兆円が捻出される
・その金を貪る

大体こういうシステムになっていたんだろうよ。かつての金利が高い時代にはこれが面白いようにうまくいった。しかも、給付額は常に少なく済んでいたから剰余も多かっただろう。だが、低金利時代になって積立金利息収入は大幅に低下し、当然運営は行き詰まる。年金は分かり易いかもしれないが、労働保険は判り難かったのだろうと思う。恐らく昔はあったはずの多額の積立金は全て貪り尽くされた挙句に、逆に大幅な累積欠損金を出して、1兆3千億円もの政府出資金を消滅させた組織が、雇用・能力開発機構なのだ。


それと番組中に年金についての解説もしていたな。公務員共済と厚生年金が一元化されれば、サラリーマンが大損する、という話だった。現在と同じ制度のままで統合すれば、厚生年金に不利は存在するが、制度そのものを厚生年金と同じに変えれば国全体での損失は減らすことが出来るはずだ。しかも、到底経済評論家とは思えない説明だった。こいつは、本当に理解しているのか?と思ったぞ。彼女の説明によれば、こうだった。
厚生年金は3人で1人の年金受給者を支え、共済は2人で1人を支えている、と。だから、年金受給者に1万円の年金を支払うと言う場合には、厚生年金なら3人が3333円ずつ保険料を払うことで1万円給付でき、共済なら2人が5000円ずつ払うことで1万円給付できるんだ、と。厚生年金と共済年金が統合すれば、1人当たりの保険料負担額が約3500円で1万円を給付できるので、共済は5千円払っていたものが1500円近く負担軽減になってずるい、と。逆に厚生年金は百円以上増額になってしまう、だから損だと。一元化は良くない、という結論に持って行こうとしているのがアリアリと判ったぞ。


こんなんで、本当に経済評論家なのか?テレビで堂々とウソを並べ立てて、視聴者を騙しているようなものだぞ?それとも霞ヶ関と何かの繋がりでもあるのか?と疑いたくもなる。

公務員が厚生年金の1.5倍もの保険料を払っていると思ってるのか?そんな訳ないだろうが。同じ家族構成、同じ給与ならば、厚生年金も公務員共済もほぼ同額の保険料を払うに決まってるだろうが。本当に知らないのか?公務員だけがそんな不利な制度なわけないだろう(笑)。公務員は職域加算とか称して、数百円多く払うはずだ。せいぜい千円も違わないんじゃないか?(これは恩給制度とかの、昔からの慣例みたいなものじゃないかと思う)。だが、受け取る時には大幅に増額される。それは、国が追加費用として大量に共済に払っているからだ。国と地方公務員に合わせて毎年2兆円以上の追加費用が支払われる。保険料と事業主負担は併せても多分4兆円に届かないだろう。

つまり、厚生年金が1人3333円払っているなら、公務員共済も同じくらい払い、足りない残り1人分は国が払っていることになるのだ。国民が税金で払っているのと同じなんだぞ!しかも受け取る時には、総額で2割増しくらいになり、尚且つ受給権者は配偶者以外に子などが権利を貰えるんだぞ。給付が多すぎて、保険(共済)制度としては既に破綻同然なんだぞ。


こういう仕組みを解説せず、1人当たり5千円必要な共済と一緒になったら厚生年金が被害を受ける、とか出鱈目を言い、一元化は悪い、というお先棒を担ぐというのはどういうことなんだ?国民は既に毎年2兆円以上共済に被害を与えられている、っての。これは国が払うんだから、厚生年金だけの被害がどうのこうのじゃないんだって。テレビでウソぱっちを広めるのはいい加減にして欲しい。評論家ならそれらしく、正しい情報提供をしろよ。