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国民年金が悪者か?

2005年09月02日 20時09分21秒 | 社会保障問題
よく分らないが、国民年金の未納などが問題で、「国民年金が破綻している」とかの議論なのだが、厚生年金の方が重大な感じがするのですけれども、実態がよく分りませんね。制度が複雑ですから。

国民年金特別会計の17年度予算を見ると、保険料収入約2兆1870億円に対して給付費は約2兆420億円で保険料収入よりも少ない。納付率が6割ちょっとなのに、給付費を上回っている。業務に費用はかかるが、一般会計からの繰入で間に合いそうな予感がある。おまけに、障害年金とかが必要なんだよ、というのも、理由として挙げられているが、僅か2800億円が一般会計から繰入られていて、ほぼ同額が福祉年金と特別障害給付金に充てられている。それよりも、業務勘定での業務取扱費+施設整備費+福祉施設費の合計額が約1650億円もかかっていることの方が気になるな。やけに多い。


今後、無年金者などが増加すると生活保護が増加するが、それは国民年金勘定とは関係がない。一般会計からの歳出が増えるだけだろう。実は、国民年金だけの加入者というのは、それ程変わらないんじゃないのか?国民年金には、一般会計から約1兆7020億円、基礎年金勘定から約1兆8760億円と、この他にも積立金より約4540億円の受入があり、合計すると4兆320億円も保険料以外から受入があるのだぞ?これは国民年金加入者の給付に回っているのか、というとよく分らない。基礎年金への拠出が(多分厚生年金との混合加入者とかかな?)3兆8976億円もあるので、入った分はほぼ出ていくからである。基礎年金交付金収入は、ほぼ意味がないとしか思えない。積立金からの入金がなければ、一般会計と基礎年金交付金の合計額よりも、基礎年金への拠出額が多いからだ。つまり国民年金には、保険料以外の収入は給付に全く反映されていない、ということだろうと思う。


国民年金受給者がどれ位存在するか不明だが、月6万円の給付額なら年間で72万円となって、3百万人に給付で2兆1600億円です。国民年金基金の分が特別会計に含まれるかどうかは分りませんけれども、国民年金受給者への給付がこのくらいの規模だということです。


基礎年金勘定を見ると、各拠出金で16兆8690億円くらいの収入があり(国民年金、厚生年金、各共済等からの拠出金だろうと思います)、基礎年金給付が12兆7835億円、基礎年金給付費相当繰入及び交付金が4兆3770億円くらいです。前者は通常の基礎年金という意味だろうと思いますが、後者は各年金への戻し分ということだろうと思います。つまり、国民年金勘定に戻された先の1兆8760億円がこの4兆3770億円に含まれている、ということになります。変でしょ?拠出金として出して、また戻す。変な操作が行われているんですよ。このような面倒で複雑な操作を行えば、制度の穴が判明しにくい、ということになりますね。因みに基礎年金だけ考えると、年間72万円だけならば約1800万人弱の基礎年金ということになると思います。他は無年金者とか恩給生活者、生活保護者などでしょうか。昔は年金制度が義務化されていない時代があったので、そういう人達は受給していないのかもしれないですね。ざっと600万人規模でしょうかね。

実は、H14年度の基礎年金勘定からの国民年金への交付金は、2兆2770億円くらいあったのです。それが、現在の水準では大幅に減額されていて、4千億円くらい減っています。これはオカシイでしょ?普通に考えると、受給者が増加しているので交付金も増えそうな気がしますが、違うんですよ。


厚生年金保険料の納付者が減った(若年者の就業しない人達が多い、リストラなどで失業した人も多い、パートなどに切り替えられた・・・等々)のかもしれないし、フリーターなども増加して厚生年金から外れてる人達がかなりいるんだろうと思う。給料の減少も一因かもしれない。その一方で、高齢化によって厚生年金受給者達は増加していくだけだろうから、そこが一番困っているんじゃないのか?国家公務員共済組合みたいに、払う人間はどんどん減るのに、受給者ばかりが増えていく一方なんだろう。地方公務員共済と一緒になったって、今後人員削減の嵐がやってくるだろうから、いずれ保険料納付者達と受給者達の比率は1対1に近づくのは間違いないだろうけど。


で、厚生年金の方を見ると、意外な事実が発覚しました。厚生保険特別会計の17年度予算を見ると、健康保険(健康勘定)と厚生年金(年金勘定)と別になっていますが、今は年金だけ見ることにします。

保険料収入は約19兆8960億円で、昨年よりも減少しています。保険料率を値上げしたにもかかわらず、です。本来、天引きだから漏れは少ないはずですが、確実に減っているんですよ。オカシイでしょ?確かに受給者は増えるけれど、これでは保険料納付者が減少している、ということになりますよね。料率が上がったのに、総額が減少なのですから。主な他の収入としては、一般会計からが4兆5390億円、基礎年金交付金が1兆9470億円、積立金からが6兆5320億円、運用収益が1兆2290億円、などです。合計は、38兆5920億円です。

歳出はどうなのかというと、保険給付が22兆5350億円、基礎年金拠出金が11兆2830億円、福祉施設費等事業勘定へ4兆3390億円、となっています。まず、保険料収入をはるかに超える給付となっています。国民年金とは大きく違いますね。つまりは、給付水準が大幅に高すぎる、ということです。しかも、H14年度の保険料収入は20兆2034億円あったのです。受給者は増加する一方で、正社員を減らして厚生年金加入を外した結果が、今の財政状況なのです。国民年金に繰入ていた基礎年金交付金を4千億円減額し、厚生年金にその分を上乗せし、国庫負担も増やしましたが、それでも全く追いつかない状況なのです。基礎年金拠出金が国民年金の不足額を補う為に多くされているかもしれませんけれども、保険料と給付額の均衡水準を見れば、明らかにマイナスです。H14年度には大体同じくらいの水準だったのに、です。年金改革によって、状況悪化が明らかです。国民年金は均衡状態に近くなっていますが、実は厚生年金の保険料収入の落ち込みが問題であると思われます。


国民年金の未納問題は確かに大きな問題ですが、厚生年金や共済年金といった部分の「高水準の給付」というのが、保険料収入と給付バランスの乖離を招いているのです。企業側の非正規雇用による労働力の「搾取」とも言える状況も、年金制度の財政状況悪化の遠因となっていることは間違いないでしょう。これを防ぐには、私が提唱している、企業向けの「社会保障税」導入が必要です(社民党は、きっと私の案をぱくったに違いないんですよ)。企業が社会保険料負担を免れる為に雇用にも悪影響となったし、国の制度の根幹を揺るがす、ある種の法の網を逃れるような行為かもしれないですね。制度の弱点をついたのですよ、結局。


それと、忌々しいのが、福祉施設費等事業勘定だ。額がデカイ。しかし、殆どが財投の繰上げ償還だから、仕方がないんだけれど。下らないハコモノとかに、4兆円以上の金をつぎ込んでしまったのか・・・本当にバカだな。運営出来るかどうか見極めて作れよ。


国民年金はむしろ追加するべき費用が全然少ないが、厚生年金はかなりの追加が必要になるので、やっぱり早急な年金改革が必要だ。共済についても、いずれ破綻危機が訪れるだろうな。保険料支払い者がどんどん減るからね。


経団連も経済同友会も年金一元化に賛成なんでしょ?ならば、「年金一元化へ向けて早期に徹底議論するべき」と要望を出したまえ。何の為にシンクタンクに検討させたりしたんだ?


前から何度も言っているように、諮問会議で一言発言すればいいんじゃないか、奥田さん。「年金改革の合同会議を早急に進めるべき」ってね。たとえ一度、強行採決して決めちゃったけれど、今のままの制度ならば歳入部分の改革も出来ないし、年金制度は「不信の象徴」になると思う。


電源開発関連の記事の訂正

2005年09月02日 13時11分13秒 | 社会全般
週刊ダイヤモンド」なる雑誌があるらしく、9/3号の記事に「労働保険特別会計」に関する記事があったらしい。時々TBしてくれる「貞子ちゃんの連れ連れ日記」の情報で分りました(記事にTBあります)。


雇用保険は貢物か2


雑誌そのものをまだ買って読んだりしていないので(というか、買ったことがないです、ゴメンね)、内容はよく分りませんけれども、報道関係がこうした追及をしてくれることは大切です。少なくとも私の記事よりも影響力は大きいことは確実です。それに、現実世界(国会議員、官僚、その他関係者達・・・)への影響も少なからずあるはずです。是非多くの人々に知らしめて頂き、「無駄の温床」を一掃しなければならないでしょう。多分、トンデモナイ実態が明らかにされていることでしょう。特別会計の中でも予算がかなり多い方ですから、利権もそれだけくっついているはずです。


あと訂正ですけれども(元記事:郵政と財投と周辺組織の問題2)、電源開発促進対策特別会計は、「総額237億円に対して235億円が一般会計から」と書いてしまいましたが、間違いでした。平成14年度で目的税(電源開発促進税)が2350億円、総額は約2370億円でした。ケタも目的税部分も間違いでした。申し訳ありません。お詫びして訂正いたします。因みに、平成17年度予算で見ますと、財源はさらに膨張しておりまして、約3550億円です。


日経の記事(NIKKEI NET:経済ニュース)には「経済産業省は31日、予算要求額と実際に使った執行額の差が目立つ11事業で要求を減額した。このうち5事業がエネルギー関係の電源開発促進対策特会(電源特会)と石油・エネルギー需給構造高度化対策特会(石油特会)からの支出だ。」となっており、削減の方向のようですけれども・・・小泉さんが「もっと石油関連の予算を減らせ」と何かの会議の時に取り上げていたからね。


はっきり申し上げますと、もっと多く国債整理基金特別会計に繰入した方がいいと思いますけれども。17年度予算では、たった1千万円のみの繰入です。今の厳しい財政事情なのに、ふざけてるな。もっと削減のケタを多くして、1千億円くらい国債償還に回せばいいのに。そりゃ、さすがに無理なの?