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年金一元化を再び取り上げる

2005年09月23日 19時03分15秒 | 社会保障問題
今までにも記事に書いてきましたが、年金一元化によって、全て最低保障の基礎的年金とし、財源を保険料ではなく消費税と企業新税(社会保障税)で賄うものとします。これで財源がカバーされるかどうか考えてみましょう。従来の年金保険料は給与から天引きされなくなりますから、手取り給与自体は増額されることになります。

また、消費税への財源移行では高額商品について高い税率を適用し、食糧品や生活必需品は8%程度を目安としてこれ以上税率を上げないことが望ましいと考えています。処理する方は煩雑だ、とか文句を言うかもしれませんが、できるだけ低所得層への影響を小さくすることを考慮した方がいいと思います。

この方式の利点は、
・高齢者も負担に加わるので、世代間格差を減らせる
・高齢者の就業意欲向上に繋がる可能性
・未納問題や未納徴収に係るコストが削減できる
・企業の不正規雇用が減らせる
・共働き世帯と専業主婦世帯の不公平をなくせる
・制度間格差をなくせる

欠点として考えられるのは、
・低所得層への負担
・段階的消費税が面倒
・企業負担は増加するので業績に影響?
・高齢世帯からの不満?が出る可能性


一応、数字で見てみましょう。公務員共済関係(国・地方・私学)の正確なデータがないので詳細は不明なところがありますが、大筋では3年程度前と変わらないと考え、その頃をデータを元に考えました。


現在の保険料収入ですが、国民年金約2.1兆円、厚生年金約20兆円、共済関係約4.2兆円(今はもうちょっと少なくて、4兆円程度かもしれません、私学は総額が小さく2500億円程度で、影響は小さいと思います)で、合計26.3兆円です。給付は基礎年金12.8兆円、国民年金2兆円、厚生年金22.5兆円、共済関係6兆円で、合計43.3兆円です。このうち共済関係は結果的に国庫から支出していることになります(被雇用者が払った保険料を除いて)。


保険料収入約27兆円が新税と消費税へと移行しますから、それぞれを考えてみましょう。まず、雇用主負担ですが、現在は企業が約10兆円、公務員分が2兆円(国庫から払います)ですが、今後給与総額の7~8%程度を社会保障税として雇用主に負担してもらいます。将来的には9%程度を目処に引き上げます。これは現在の制度で厚生年金の料率が最終的に18.3%まで引き上げられるということが決まっているため、それを考慮すれば雇用主負担は9.15%まで上昇することになるからです。大企業は9%の税率とし、中小企業はそれよりも低い税率(7~8%くらい)が望ましいですね。従来、フリーターやパートなどの分は企業が負担を逃れていたので、その給与分も当然負担して頂くことになります。これによって、企業は雇用者を正規・不正規と区別する必要がなくなります。労働者の能力に見合う賃金総額で雇用契約を締結すれば済む、ということになります(医療保険も将来的には同じ制度にして行く必要があります)。


この新税による雇用主負担は公務員分は2兆円強(現在と概ね同じ規模でしょう)、企業は多分2兆円程度の増額になるのではないかと思います。例えば、フリーターやパートの分は年収100万円の人達が400万人いるとしても2800億円の税収となります(個人は負担がなく、雇用主が負担するだけです)。以前には国と地方分に税額を分割した方が地方財源とできると書きましたが、できればそのような形が望ましいでしょうね。企業誘致には、地方税額を減らせば、誘致がしやすくなりますね。今は、とりあえず置いておくとして、企業負担を2兆円程度上積みします。企業貯蓄は増加してきた一方でしたから、ここらで相応の負担をして頂きます。共産党みたいな言い分かもしれませんが、それくらいは当然と思いますね。ここまでで、企業と公務員の雇用主負担分が14兆円となります(将来的には9%近くになるので、もう少し増加するでしょう)。


残り13兆円を消費税で賄うことになりますので、1%で約2兆円(現在は5%で10.5兆円程度です)とすれば、6.5~7%ということになります。つまり、消費税を平均12%程度まで引き上げる必要があります。これも、先に述べたように最低税率の8%という物品と、高級品に高い税率とすることが望ましいと思いますけれども。それでも最低3%は引き上げられます。今まで保険料を払っていた人々は、使えるお金が増えますから平均購買力がそれほど落ちるとも思われません。また、富の集中している金持ちも、今までは厚生年金の最高等級の保険料を払ったとしても限度がありましたが(年間60万円くらいです)、今後は使えば使うだけ税額は多くなります。消費支出の多い人はそれに見合った税金を払うことになります。これも前に書きました。


これらによって、現在と同じ保険料分は負担出来ます。未納もなくなり、不公平感も減らせます。残りは、国が公務員分の追加費用として払う2兆円、国庫負担額2分の1引き上げ予定の3兆円、現在一般会計から繰入してる6.5兆円、積立金取り崩し6.5兆円、運用収益1.2兆円(この他、未納回収費用や独居老人等の高齢生活保護世帯分の負担が無くなり、戦時恩給受給者には支払わないか減額できる、)の合計で19.2兆円となります。国が負担する純増分としては、国庫負担額3兆円分から生活保護と戦時恩給世帯分を引いた差額分となります(恐らく2兆円以下だろうと思います)。現在は約17兆円ですから、保険料負担をなくして、税方式にしたとしても問題なくカバーされるはずです。問題は、積立金に頼りすぎの面があること(17年度取り崩し額は6兆円以上なので多すぎ)、運用収益が少なすぎること(せめて長期金利を上回る水準が必要)、などですね。いずれ、戦時恩給や公務員追加費用は無くせるようになります。


このほか、確定拠出年金を各個人単位で加入してもらい(この制度自体は公的年金としても宜しいですけれども)、自己責任で頑張って頂きます。余裕がある時には増額したり、積極的な運用方針を選んだりできます。

新制度発足時に20歳の人は、公的年金は将来時点の基礎年金だけですが、これは確保されます。無年金者に生活保護費用を支給することと変わりません。未納を続けて払わない人と、払っても貰う額が同じならば不公平なだけです。あとは、自分の努力次第で老後資金を準備してもらう、ということになるでしょう。


では、制度の途中で切り替わった人達はどうするか?仮に厚生年金加入20年で切り替わった人は、20年間に払い込んだ保険料分を計算して最低保障額に上乗せすることになります。それは、どの位かわかりませんが普通は積立で過ぎた場合と似たような水準となるでしょう。20年平均で月2万円、合計480万円の年金保険料を払い込んだ人は、20年間年率2%程度の積立運用で経過し、その後年率2%の20年定期と同じような経過であった場合の最終総額が幾らになるか、とかでしょうか。計算が面倒ですので、正確には分りませんけれども、ざっと900万円程度でしょうかね。これが上乗せされてきます。月5万円で最低15年間(65歳支給開始なら80歳まで)上乗せされますから、基礎的年金6万円にさらに5万円が上乗せされ、その他に自分が掛けた確定拠出年金分が上乗せされます(この金額は加入年数、金額、運用成績に左右されます)。


このように、制度途中で切り替わっても、払込保険料に応じた上乗せ額を配分することで、不公平は是正されます。勿論昔の水準のような年金額には及ばないかもしれませんが、地道に払う努力をした人が報われる仕組みに変わるし、無年金による生活保護世帯の増加を支える為に、他の国民が苦しむよりもましです。公務員は昔に多く貰ってた人達が多かったので、それと比較すれば不利になりますが、自分が払った分はきちんと増えて返ってくるのですから、丸々損することにはなりません。これらの上乗せ額は、基本的に積立金を取り崩して支給することになります。その為、今のうちから多くの積立金を取り崩すのは大きな問題があり、将来的にはインフレ政策によって、満額受給者の給付水準を10%程度、相対的に減少させる必要があります。また積立金の運用収益の大幅な改善が必要でしょうね。積立金の額と受給資格者達の払込保険料総額のバランスによって、上乗せ支給額が決定されるということになるでしょう。つまり、今まで払った人々に全て還元されるような形になる、ということです。払っていない人達は、勿論貰う権利はありませんよ。


企業は福利厚生で他社との差別化を図ればいいんですよ。前にも書きましたが、近隣の会社同士で自社ビル内に保育業務の委託をして、その費用を一部援助するとか、ボランティア休暇、介護休暇や育児休暇を長く取れるようにするとか、個人の生活スタイルに合わせて自由な組み合わせが選べるような福利厚生も可能だと思います。


医療保険は、主に大企業が作る健保組合の保険料率が8.2%に対して、中小企業や破綻寸前の組合が解散したような企業が多く加入する政府管掌保険は9.3%となっていて、給与水準も福利厚生も充実している大企業が負担額が少なくて、給与水準がそれ程高くない政府管掌が負担額が多いのです。介護保険も同様に健保組合が料率が低くなっているのです。このような格差が既に存在するのですから、大企業にはその分負担を求めることは仕方がないでしょう。



民主党と小沢氏

2005年09月23日 14時07分28秒 | 社会全般
多分男性の一部には、小沢氏への支持が未だに残っているかもしれないな。今回の代表決定に当たっては、副代表を断ったということのようだが、若きリーダーを支えるのには「重し」も必要だろう。特に党内反発を封じ込める為の豪腕は、常に必要だ。「汚れ役」を買って出る人材はいるのか?幹事長となった鳩山さんが優れた能力を発揮出来るのであれば、彼が代表の時にもっとうまくいっただろう。小沢氏が幹部就任を拒否したのは、問題だったのではないかと思う。代表には、ちょっと難しいと思うけれども。

参考記事:
次期首相候補は誰?


小沢氏への期待は、多少なりともあるだろうから、本来的には幹事長とかに就いて支えるのが望ましいと思ったけれども。だが、前原代表との距離をとる、ということのようですね。ならば、裏舞台で求心力を高める役をすることです。小沢氏が泥をかぶり、必死になって代表を支えるならば、「挙党体制」を敷いて政権交代を目指す政策主体の党へと生まれ変われるかもしれない。だが、それぞれが勝手に別方向に歩もうとするならば、党内でさえ満足にまとめられないのに、国政を任せられるはずもないと誰しも考える、ということを認識するべきである。


今後年金改革論議の重要な役割を果たすのが民主党ですから、この問題についてまず頑張って欲しいと思う。