やはり少数与党の党首となれば、それも一国のトップともなれば、年度予算を成立させるためには、もはや手段を択ばないほど追い詰められるものなのか。
「大阪・関西万博と怪しい取引…石破さん、維新と組んじゃあオシマイだ」
少数与党の石破政権はとりあえず、維新が予算案賛成の意向を見せていることで、ホッとしているらしいが、邪な数合わせに国民は眉をひそめている。この政党は万博で無駄金を使い、所属議員は逮捕者ばかり、国民からは総スカン。そんなに政権を維持したいのかねと有権者は冷ややか。 ◇ ◇ ◇ 2025年度当初予算案の年度内成立をめぐり、与野党が攻防らしきものを繰り広げている。衆院で過半数を割り込む少数与党にのっかる石破政権は、“ゆ党”の間で行ったり来たり。それで結局、「年収の壁」の見直しを求める国民民主党から日本維新の会に乗り換えたようだ。教育無償化などを訴える維新との調整が急加速している。 自公与党と維新の政調会長は19日、維新が求める高校授業料の無償化と社会保険料の引き下げについて協議。石破首相は17日の衆院予算委員会で私立に通う世帯への支援金について、現行の上限額年39万6000円から引き上げ、45万7000円を軸に検討する考えを表明。維新は合意文書案への金額明記を要求し、その表現をめぐる溝が埋まらず、決着はつかなかった。きょうも協議を継続。これで3連チャンだ。 維新の前原共同代表は19日の党役員会で「納得できるものでなければ、最終的に予算案に反対でもいい」と強調したが、党内のガス抜きと見た方がいい。社会保険料の引き下げをめぐり、他の役員からは医療費総額の年間4兆円削減などの数値目標を書き込むべきとの声が上がり、反対意見が続出。無償化の工程を法制化させるべきだとも迫られているからだ。石破と前原はともに鉄道オタク。安全保障政策などで気脈を通じている。石破が「誠実な人だ」と信頼を隠さない前原が裏切るようなことがあれば、政権崩壊まっしぐらだ。 国会でも党内でも少数派の石破は、とりあえず維新が予算案賛成の意向を見せていることでホッとしているらしいが、邪な数合わせに国民は眉をひそめている。当たり前だ。自民党にルーツを持つ維新は、公党の体をなしていない。これまで何人の犯罪者を輩出したことか。 ■無法者集団にもバッジ 議員バッジを着けるためには手段を選ばず、公職選挙法違反はお家芸の域。「身を切る改革」を掲げているのに、現職代議士が地元市議と結託して秘書給与と議員報酬を二重取り。愛知県の大村知事をめぐるリコール騒動では、衆院選の公認候補予定者が署名を偽造。地方自治法違反で懲役2年、執行猶予4年の判決が確定した。女子高生3人にむかって下半身を露出した区議は、公然わいせつの疑いで現行犯逮捕された。 とりわけおぞましいのが、12歳の女子中学生に対する不同意性交罪で有罪判決を食らった椎木保元衆院議員だ。1審の量刑は懲役3年、執行猶予5年。東京地裁の村田千香子裁判長が「被害者の未熟さに乗じた犯行は卑劣で、心身への影響も軽視できない」と非難した犯行は言語道断である。検察の冒頭陳述などによると、椎木は東京・新宿のトー横付近で座り込んでいた家出中の生徒に「2万円あげるから遊べない?」と声掛け。ドン・キホーテのアダルトグッズコーナーでローションを購入し、カラオケ店に偽名で入店。およそ30分後、店長が目撃したのはソファでうごめいている裸の2人だった。成人が未成年者と性交していると判断し、110番通報。その場は言い逃れたものの、法廷で腰縄につながれた椎木が口にしたのは「射精はしていません」という釈明だった。ハッキリ言って獣だ。 ■兵庫「2馬力選挙」にもやっぱり加担していた 大揺れが続く兵庫県政トップの斎藤元彦知事の“生みの親”も維新。斎藤はパワハラ疑惑で失職後、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が展開した「2馬力選挙」で昨年再選したが、新たな動きがあった。選挙期間中、立花は斎藤疑惑を告発後に自死した西播磨県民局長を誹謗中傷。その死について〈斎藤知事の責任に見えるよう印象操作した「黒幕」〉などとして、当時の竹内英明県議の名前を挙げた文書を公開した。竹内氏は県議会が疑惑追及のために設置した百条委員会のメンバーで、知事選後に辞職し、命を絶った。流言の原因となった問題文書の出元だと名指しされていたのが、維新の岸口実県議。百条委ナンバー2の副委員長だ。維新はきのうになって、岸口が「自分が手渡したと言われても反論のしようがない」と認めたと公表。岸口は百条委の委員を辞任する意向だが、辞職については言及していない。厚顔無恥にもほどがある。 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。 「正論吐きの石破首相には清濁併せのむ覚悟も、泥をかぶる覚悟もない。“陰の総理”と呼ばれる自民党の森山幹事長シナリオに沿って動くほかないのでしょう。そうなると、同根で気心が知れ、軍拡路線に同調する野党第2党の維新はベストな連携相手ということになる。国民にソッポを向かれていても、お構いなし。まさに永田町の常識は世間の非常識なのです。維新はIR(カジノを含む統合型リゾート)誘致の地ならしで招致した大阪・関西万博に手を焼いている。コストは膨張するのに、機運が全く高まらず、党勢衰退に拍車をかけている状況です。政府・自民党の手厚い支援がなければ、乗り切れない。両者は急場しのぎという利害で一致しています」 ■無償化原点で不人気校潰し 国家プロジェクト化した万博に投じられる費用は莫大だ。国、大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担する会場整備費だけで約2350億円。当初見込みから倍増した。にもかかわらず、チケット販売は低迷。開催まで2カ月を切ったのに、目標の半分ほどの約780万枚しか売れていない。このままいけば、赤字必至。国民負担も膨張の一途である。所属議員は無法者ばかりの上、無駄金使い。国民から総スカンの維新と組んじゃあ、石破もオシマイだろうに、万博をめぐる怪しい取引を朝日新聞(18日朝刊)がこう報じていた。
〈しっかり対応するように発破をかけたのが首相だった。年明け早々に万博の名誉会長に就任すると、閣僚に「ミャクミャク」のピンバッジを着用するよう要請。1月19日には、会場となる大阪・夢洲を訪れて準備状況を視察した。 視線の先に見据えるのは、国会での協力を期待する維新だ。大阪に党本部を置く維新にとって、党を挙げて招致した「地元」での万博の失敗は許されない。 首相は5日、官邸に維新代表の吉村洋文・大阪府知事を招いて意見交換。前売り券の販売が伸び悩むなか、これまで認めていなかった当日券の販売が必要との認識で一致し、検討を進めることを約束した。吉村氏は面会後、「非常に前向きな回答をいただいた。総理とは問題意識を共有している」と満足げに語った〉 そこまでして政権を維持したいのか。有権者の視線が冷ややかになるわけである。そもそも、維新が推す高校無償化の根っこにあるのは社会福祉ではなく、新自由主義だ。創設者の橋下徹氏が大阪府知事時代、国の無償化制度への上乗せを導入。私立と公立を競争させ、不人気校を潰すのが目的で、「府立学校条例」が12年に制定されて以降、21校が募集停止に追い込まれた。教育現場に弱肉強食を持ち込み、あたかも「子育て世代の味方」を装っているのである。 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう話す。 「立憲民主党は予算案の大幅修正を要求し、国民民主党も日本維新の会も看板政策を押し込もうとしている。それで財源論をめぐってガチャガチャやっていますが、3党とも無軌道に増える防衛費を減らせとは言わない。野党が大同団結すれば石破内閣を倒せるし、政権交代して政策を実現できるのに、そんな動きは全くない。要するに、互いに“成果”を分け合って、夏の参院選で“実行力”をアピールしようということです。旧安倍派の会計責任者の参考人招致が先送りとなり、予算案の年度内成立が危ういと大騒ぎしていますが、はみ出したところで数日以内。国家運営に大きな影響はありません」 1強多弱が終わったら、次は壮大な猿芝居。騙されてはいけない。 |
さて、2月も32週間も過ぎたので、恒例のまとめを「在野のアナリスト氏にお願いしておく。 「2月3週の動き」 維新は危険
維新のヤバすぎる実体が明らかになっています。NHK党の立花氏への情報提供、しかも偽情報や本来秘匿すべき情報を流している。岸口県議は偽情報を、増山県議は未公開データを、白井県議は噂レベルの話を、それぞれ立花氏に情報を流し、発信させている。異常な維新の議員たちは、N党と結びついて異常なことをしていた。政治家ばかりでなく、人としても異常なレベルで、でも県議をつづけたい、との意図をもっているようです。そして、それを維新は未だ何も処分について発表していない。維新がどれほど異常な党なのか? 先の衆院選で、維新が凋落した原因は議員の質の悪さでした。今でも裁判が行われている買春議員。千葉では請願書の自作。しかし千葉市議のケースでは離党勧告だけで、ほとぼりが冷めたら復党させる気満々です。今回の兵庫県議のケースは、悪質なレベルが異常で、特にそれが県知事選と重なっていたことからも確信犯であり、民主主義を危機に陥れた、という意味でも大罪です。維新はそれでも未だ動きをみせません。 岸田前首相に対する襲撃事件で、メディアは散々『民主主義の危機』と報じましたが、偽情報を流して判断を誤らせる方が、よほど民主主義の危機です。つまり維新は民主主義を蔑ろにした、政党としての資格すら疑われるレベルです。吉村代表が他党議員との会食は「1人5千円まで」と発言し、党内には「自費なら制限なし」と通知をだしていた、というのもスタンドプレーなのか? ただのカッコつけなのか? いずれにしろ政党としての体を為していません。以前から統一教会との近さなどその異常さが際立ってきましたが、ここにきて本性がぽろぽろ見えてきた。まさに民主主義の敵、ともいえるべき政党が維新、ということになります。 その維新と、自民が教育無償化に関して合意、と伝わります。安倍の広報官、政治評論家の田崎氏が「予算を通すために維新、国民民主と合意するのは当然」と番組内で逆ギレした、と伝わりますが、そんなことはありません。もちろん予算案は大切です。しかしそれが国民に不利益となることなら、徹底して抵抗し、世論作りにつとめればいい。それで野党が強引に自分たちの政策をおしすすめようとするなら、選挙をすればいいのです。選挙後、すぐ予算案を通すことを前提に暫定予算をつくり、それで当面の手当をしつつ民意を問う。それで十分です。維新の拘り、で高校無償化に合意した、自民とて十分に問題ある行動となるのです。 国民民主も危険 玉木氏がテレビで「90日過ごしただけで外国人が高額療養制度をつかい、日本で医療費の優遇をうけられる」と発言し、物議をかもしています。省庁にもそんな事例、確認されておらず、その情報源は恐らく日本会議や、統一教会といった保守系団体のそれを、そのまま語ったものの根拠レス。政治家が政策に、虚言を採用している、という点ではトランプ氏に似て危険人物。国民民主には危うさしか感じられません。 そんな国民民主は、予算案成立と引き換えに103万円の壁撤廃を求め、それが維新との条件闘争に負けて自民からそっぽを向かれ、秋風が吹く。それでも多少、考慮してやる…という自民の提案を受け入れるのか? 結局、政治手腕の拙さが露呈しただけに終わりそうです。世論調査で、一時立民を追い抜いたものもありましたが、急落している。それで国会や、それ以外でも維新と場外乱闘。どちらも統一教会票をとりあい、ライバル関係にありますが、まさに今回は自民の歓心を買うために右往左往し、肝心の予算案についての議論はおざなり。予算案の無駄、修正をみつけずに、自分たちの政策が通れば賛成する、なんて愚か過ぎて話になりません。結局、この国をよくするためにどうするか? より自分が、自分が…だけの幼稚な党です。 令和の米騒動 新潮が報じていますが、コメ不足を招いたのは農水省がいう転売ヤーではなく、昨夏のコメ不足により外食産業が農家に直接買い付けた。小売りも弁当など、量を確保するため買い付けたので、これまでの通常の卸が買えなかった、というのです。例えばポッと出の転売ヤーなら、『きちんとした保管設備を確保していない、生産者以外はコメの長期保有を禁ず』として罰則をかければ、放出するか、管理ができる倉庫を借りるなどで、どこに保管されているか判明します。転売ヤー対策なら、備蓄米をだすよりよっぽど効果的です。 しかし外食、お弁当といった業種は管理もしっかりするため、出てこないでしょう。今回の備蓄米放出では効果がない場合、ますますそうした影響が考えられます。つまり農水省はまた数か月を無為に過ごすことになる、逆に今回のような転売ヤーに罪をなすりつけることで、農水省は小康を得られたことになるのです。外食などで、価格を上げないことを「ありがたい」などという人もいますが、実は彼らが諸悪の根源である場合もある、ということです。そして買い占めれば、自分たちの業績を上げられると気づいた。これは来年以後、同じような構図で動く可能性もあり、今からそうした対策を考えないといけない、ということです。 農水省は今「せっかくお米の価格が上がっているのに…」と、対策に後ろ向き。それがわざわざ「将来に買い戻す」という言葉にも滲みます。彼らは米価が上がっている方がよく、現状はむしろ好ましいのです。石破政権、江藤農水相がこの構図に気づけず、3月以後も今の価格がつづいたら、内閣支持率は見る影もなくなり、夏の参院選はまた惨敗でしょう。自民は結局、自壊の道を歩んでいることになり、農水からも裏切られているのにそれに気づけない、という能力不足が根本原因、ということにもなりかねないのでしょう。 インフレが収まるどころか、再昂進をはじめた。これは世界的な傾向であり、昨年から指摘していた通り、原油などのエネルギー価格が昨年はマイナス寄与していたものが、今年はプラ転します。石破首相が暫定税率に言及、というなら予算案を通す前にさっさと変えないと、今年もその歳入をあてにした歳出が組まれているのです。石破氏は相変わらずいいところをつまみ食いしようとして、バカみたいに言わなくてもいいことを言って、自分の立場を悪くする。コメ不足が招く消費不況、それが見えているのに何もしない。いつの時代も米騒動は、為政者の権威を著しく低下させ、政権交代の機運を高めるものだ、と知るべきなのでしょう。 預金に金利がつくから消費が拡大、という嘘 最近、テレ東などがこうした言説を流しますが、完全に嘘です。NISAがはじまったとき、金利のない預金ではダメで、運用にまわさないと…と、散々に煽りを入れておいて、その逆に4%のインフレが襲う中で、高々0.5%の金利がついたからといって、預金を増やすことはありません。インフレに負けて資産が減るだけ。名目なら多少増えても、実質では減る。これでは景気にプラスとなるわけがありません。その効果とは、差し引きで間違いなくマイナスであって、そんなものを嬉々として語るテレ東は、どうかしているレベルです。 しかしこの問題は、さらに多くのトラブルを招きかねません。まず最近「預金に金利がつく」ことを盛んに喧伝しますが、金融機関は預金が増えず、現状レベルでは国債の金利が上がる分、資産が目減りすることになります。結果、現状の間隔で資金が循環している限り、金融機関は国債の取り崩しをすることになり、その時点で損失が確定します。国債は満期までもてば額面で買い取ってもらうために簿価で評価することがゆるされ、損失を計上する必要はありません。でも取り崩しにより損失となる。金融機関が突然死する原因であり、2年前に米SVBが破綻したときも同様です。つまり預金が増えないと金融機関はまずいのです。 金利が上がるときの問題を「ローンを借りるとき…」と限定するのもおかしく、借り換え、変動金利で借りている人を直撃します。つまりもう「借りている人、企業」は既に影響をうけている。返済計画が成り立たなくなり、預金に微々たる金利がついたところで意味がないのです。それは貸出金利の方がもっと高いのですから。そして今、日銀では当座預金への付利をやめる、もしくは割合を減らす議論がされている、といいます。これも金融機関にとって痛手で、濡れ手で粟の儲けが消える。金利上昇を喜んでいられなくなります。 みずほ銀行が、貸金庫から行員が窃盗を働いた事実を公表していませんでした。公表する義務はないといいますが、こうして後出しのマイナス効果を考えれば、隠す愚は語るまでもありません。そしてもしみずほがその時点で公表していたら、三菱UFJ銀でも対応をとり、被害が少なかった可能性もあります。つまり様々な弊害、マイナスもあるのです。そして金融庁もこの事実を知っていて、政治家に伝えなかった。その結果、国として問題視もされなかった。逆に、三菱UFJ銀の問題がでて、色々と議論しているようでは遅かった、となります。保険業の不祥事をふくめ、金融業界全体がおかしくなっている。それにテレ東まで追随し、おかしな情報を流す。この国の病理が、こんなところにも見え隠れするようです。 日銀の愚 私は昨年末、今年の為替予想を「180円に行く」としましたが、12月の会合後の植田氏の発言で、春まで利上げできない、とする観測もふくまれました。それが年明けから、心変わりしてタカ派に転じた結果、金利が急上昇して昨日、国会で植田氏が「無制限介入」とか、訳の分からないことを言いだした。今は日銀の発言に従って、金利が上昇してきたのであって、不自然な動きではありません。自分たちで金利高に誘導しておいて、いきなり梯子を外す。こんなことをしているといつか国債アタックを食らうことになりかねません。 まず問題は、上記もしましたが金利上昇局面では、当座預金への付利を何とかしないと、日銀が赤字を垂れ流すことになります。かといって、当座預金を減らせば貸出も減り、経済に打撃となりかねません。そこですべてゼロ、というわけにはいかないので、何%をゼロにするか? その匙加減に失敗すると大変なことになります。そしてこれはずっと懸念されていた、安倍ノミクス、黒田バズーカの副作用であって、それを口先で抑えようとすれば、いずれ歪みが大きくなり、その反動が国債か、日銀の支出入にかかわってくるのです。 そんな中、自民の『積極財政派』という名の旧安倍派が、黒田前日銀総裁を招いて講演を開いています。しかし私がみた映像では、空席がめだって活況そうではなかった。安倍派自体が少なくなったし、一番は失敗した金融政策の黒田氏から、何を学ぶのか? そもそも積極財政派、などと言われていますが、まともな経済理論、景気浮揚策がないからお金をばら撒いて景気をよくしよう、という大した能力のない政治家たちです。安倍氏を筆頭とした、その政治家たちが黒田氏から学ぶのは大ぼらの吹き方、だけになるのでしょう。 植田氏をはじめ、現在の副総裁、日銀理事をふくめ、口先介入がお好きです。しかしいずれ通用しなくなる日がくる。それはバブル崩壊により資金が右往左往したとき、日銀を倒して、逆をいって儲けをだそうとする主体が現れたとき、です。私はそうなるとしても、来年かと思っていましたが、存外早まりそうです。それは日銀が、自分たちがコントロールできる、と自惚れているから。慢心こそ最大のリスクと心得ておくべきです。 トランプ政権が成功、という愚 目のつけどころがいい、やろうとしていることは正しい、などという人がいます。連邦政府職員の20万人減などがそうですが、平時なら不要な人員も、何かトラブルが起きたときはそうではありません。企業はトラブルになると操業を停止することでリスク管理できますが、国はちがいます。トラブルのときに休んでいることは赦されず、むしろ多忙となる。それに対応する人材を確保していないといけないのです。例えば災害のときの食料が供給できず、救助の手もない、などとなって政府への批判が一気に高くなる。そして、一度そうした大型の解雇をすれば、人を雇うのも大変で、みんなから敬遠されて人材確保もままなりません。 つまりマスク氏の手法は、民間なら…という限定付きでうまくいくもの。米国でハリケーンなど、巨大災害が起き、行政が停滞したら真っ先にマスク氏の責任にして追い出される、程度のことです。これを褒める人、評価する人は真に行政のことが分かっていない、有識者ではなく無識者でしょう。信用するに足りません。 米国の消費者信頼感が大幅に低下し、市場は驚いていますが、トランプ氏は「自分が大統領になればすぐインフレが下がる」と語っていたのに、逆に上昇しているのでその反動が来ているだけです。言葉は悪いですが、そんなことを信じていた愚かな米国人が「話がちがう!」と、怒りはじめているのであって、トランプ政権が常に負う業です。インフレ退治を真っ先にしないといけないのに、その真逆のことばかりしている。その効果は少しずつ、トランプ政権への不信となり、打撃となっていくでしょう。つまりこれが最大の愚です。 他のどんな政策がよくても、インフレ退治に失敗すればトランプ政権は弱体化し、終わります。就任後一ヶ月、下がり始めたらよかったのに、逆にインフレは上がった。関税の影響はまだでていないのに、です。そこに関税の影響が乗ってくるタイミングで、さらにインフレが上昇したら、もう怨嗟の声に満ち溢れるでしょう。もう一度いいます、トランプ氏がインフレ退治に失敗すれば、ほとんどの政策は停滞し、力をなくし、経済からトランプ政権は崩れていく。国民にとって本当に身近で、恩恵のあることを蔑ろにしたら、どんな政策だって意味はないし、政権なん て成り立たないのです。それが政治と経済の関係です。 |
ところで、最近はトランプのゼレンスキーウクライナ大統領の誹謗中傷が止まらないようである。 国内でも、似たような情報を流している記事がある。 「ロ=悪・ウ=善図式は完全な誤り」 トランプ大統領がウクライナ停戦実現に向けてロシアとの協議を加速させていることに対して一部メディアがトランプ批判を展開している。 一部メディアとは欧米主要メディアのこと。 実は、偏向しているのは、この欧米主要メディアである。 欧米主要メディアはグローバル巨大資本の支配下にある。 グローバル巨大資本が2022年2月24日のウクライナ戦乱拡大時点から一貫して偏向した情報を流布し続けてきた。 端的に表現すれば 〈ロシア=悪・ウクライナ=善〉 という図式での主張流布である。 私はウクライナ戦乱拡大の時点から、この主張が適正でないことを述べてきた。
紛争解決に武力行使を用いた点でロシアが批判される側面はある。 しかし、ウクライナに一切の責任がないなかでロシアが領土的野心で軍事侵攻したとの見立ては間違っている。 ロシアの行動を〈小悪〉と表現するなら、米国とウクライナの行動は〈大悪〉と表現できる 問題を正しく理解するには2004年に遡る必要がある。 さらに1990年2月の東西ドイツ統一に関する米ソ協議に遡る必要がある。 東西ドイツ統一に際してソ連のゴルバチョフ大統領はNATOの東方拡大に警戒感を示した。 これに対して米国のベーカー国務長官がNATOは1インチも東方拡大しないことを確約した。 冷戦終焉に伴い、東側の軍事同盟であるワルシャワ条約機構は解体された。 NATOも当然解体されるとの前提に基づく行動だった。 しかし、NATOは解体されなかった。 解体されないどころか東方拡大が実行された。 ソ連との約束を一方的に反故にしたのは米国である。 NATOは遂にロシアに接する地域にまで東方拡大する様相を呈した。 ロシアとNATOを隔てる最後の緩衝地帯=バッファーゾーンがベラルーシとウクライナ。 ウクライナのNATO加盟はNATOによるロシア軍事攻撃の前提条件と映る。 1962年、ソ連がキューバにミサイル基地を建造する動きが発覚。 米国はソ連との核戦争をも辞さない対応を示した。 ソ連によるキューバへのミサイル配備とウクライナのNATO加盟は同等の意味を有する。 一国の安全保障体制を確立する際に他国の安全保障を脅かしてはならない。 これが「安全保障の不可分性の原理」である。 国際社会で確立されている原理だ。 ウクライナのNATO加盟は「安全保障の不可分性の原理」に反する。 1962年に米国が示した反応を踏まえれば、ロシアがウクライナのNATO加盟に激しい反応を示すのは当然のこと。 米国はこのことを誰よりもよく理解している。 ソ連が崩壊してウクライナが独立を果たしたのは1991年8月。 ウクライナは独立して33年しか経過していない歴史の浅い国。 当初、親ロ政権が樹立されたが、その後、2004年と2014年の2度にわたり米国が工作して親ロ政権を打倒して親米政権が樹立された。 2014年の政権転覆は暴力革命による非合法政府樹立だった。 2014年に樹立された非合法政府は東部ロシア系住民地域に対する大弾圧を実施。 その結果、ウクライナ東部で内戦が勃発した。 その内戦を終結させるために2015年にミンスク合意が制定された。 ウクライナ政府がミンスク合意を誠実に履行していれば22年の戦乱拡大は発生していない。 22年の戦乱拡大の責を負うのはロシアではなく米国とウクライナである。 歴史的経緯を正確に押さえることなくしてウクライナ問題の適正な理解は得られない。 |
少なくとも、ロシアがウクライナ領土に侵略したことから始まったのだが、今となってはプーチンとゼレンスキーのどちらが悪いのか、そしてどちらが独裁者なのかは、傍からは判断しずらいのだが、こんな現地からの報告があった。 「トランプ「ゼレンスキーは独裁者」の真偽」 トランプ大統領が「ゼレンスキーは独裁者だ」と言い放ち、親露派の御仁たちをハシャがせている。 果たしてゼレンスキーは独裁者なのだろうか? 田中は印象深い光景をキーウで見た。2022年の開戦直前のことだ。 反ゼレンスキー派の民衆(※)が拡声器を使ってシュプレヒコールをあげながら大統領官邸のすぐ傍まで押しかけてきた。人々は「ゼレンス チンポコというのは、ゼレンスキーがコメディアン時代に男性器でピアノを弾いていたことをからかったものだ。 日本でも総理官邸前のデモは可能だ。しかし大きな交差点の手前までである。ウクライナの場合、(日本の総理官邸に喩えたら)交差点を渡って総理官邸の壁の傍まで行けるのだ。 それ以上にはっきりしたことがある。ゼレンスキーが本物の独裁者であったら、つまり独裁権力を握っていたら、民衆に「チンポコ独裁者」なんて言わせないだろう。 東洋から来た田中のようなフリージャーナリストでも申し込めばゼレンスキーの記者会見に出席できる。実際、田中は出席した。 デモと記者会見に関していえば、日本よりも言論の自由はあった。 ゼレンスキーはトランプを「偽情報空間に生きている」と反論する。トランプのどの認識を指摘しているのか、はっきり分からないので田中はコメントしない。 「偽情報空間に生きている」のは、日本の一部政治家や言論人である。プーチンの呪文と言われる偽情報を人々に垂れ流している。田中が見聞きしてきたことをお話ししよう。 偽情報の幾つかを紹介する。 【マイダンの妄説】 親露派の御仁たちは口を揃えて「マイダンのクーデターでヤヌコビッチ大統領(当時)を暴力的に追い出した」と言う。意図的な誤情報である。 ヤヌコビッチ政権の治安部隊は最後まで市民を射殺していたのだ。暴力的に市民を潰そうとしたのはプーチンの傀儡ヤヌコビッチ政権側だった。 国民との間で約束していたEU加盟をヤヌコビッチ大統領が反故にした・・・それに怒った市民たちがマイダン(独立記念広場)に集まり始め、あれよあれよという間に大がかりなデモとなったのである。 デモ参加者たちは確かに駐キーウ米国大使館から日当をもらっていたが。 これをクーデターというのなら、エジプトの民衆がムバラク大統領の独裁に抗議してタハリール広場に座り込んだのも、クーデターになる。丸腰の市民が軍隊に囲まれても座り込んで抗議し続けることがクーデターになるのだろうか? NATO東方不拡大の妄説】 米国のベーカー国務長官がソ連崩壊直前にゴルバチョフとの間で約束したとされる「NATOの東方不拡大」もロシアのプロパガンダである。 ベーカー国務長官は「東西ドイツの統一にあたって西ドイツに駐留していたNATO軍を東ドイツにまで広げるか?」をゴルバに問うたのである。 あくまでも統一後のドイツ国内のことなのだ。 プーチンはそれを都合よく東欧全体に当てはめた。まさしく牽強付会だ。 ロシアのプロパンガンダは上記の他にも幾つもある。「ドンバスの住民虐殺(ミンスク合意のことか?)」「年金をもらえないロシア系住民」などだ。 兵庫県知事選挙が示すように日本人はコロっと騙される。プーチンは立花よりももっと巧妙でスケールも大きい。気が付いた時はもう遅い。 |
様々な状況からみれば、米露の両大国思惑に翻弄され利用されたのが小国のウクライナであったのではないだろうか、とオジサンは思う。