新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
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菅政権とは、政治記者文化が作り出したモニュメントなのか?

2021年01月16日 12時01分41秒 | 菅義偉

大阪維新の会とは昵懇の菅義偉は、「ポビドンヨード」小僧とあざけられた吉村洋文大阪府知事の大阪での独自コロナ対策で感染者数が減少していた時期を念頭にして、緊急事態宣言の対象地域にしなかった。
 
しかしその後大阪の感染者数も例外なく急増したのだが、実は感染者数よりも深刻なのは死者数が東京を上回ってしまったことである。
大阪のコロナ累計死者数が東京上回り全国最多714人 高齢者中心に感染が拡大


まあこの手の批判に対してはおそらく吉村洋文大阪府知事には「馬耳東風」であろう。
 
「秋冬になればコロナ感染者の数は夏以上に増加する」と昨年の春先から多くの感染症関連専門家が指摘していたが、その間政府は何もしていなかった。
 
もちろん当時のトップであった安倍晋三の責任は免れないのだが、すでに本人は逃げてしまって菅義偉一人が残された。
 
そして政府の無策の責任をこんな形で民間病院に押し付けようとしている。
 
『強要なら行政が院内感染に責任を』コロナ患者受け入れ『勧告』に民間病院は困惑 感染症法改正
 

 

          【東京新聞より】
    
さらには、法改正してまで罰金・罰則を盛り込もうとしているが、感染拡大防止効果のほどは不明である。
 
保健所のコロナ調査で虚偽・拒否に罰金 厚労省、改正法案で検討

 
一方海外の事例をみると、「罰則」は手厚い「補償」とセットになっているようである。
 
変異種で『医療崩壊』迫る海外の新型コロナ対策 罰則は厳しく、補償は厚く」 
 

          【東京新聞より】
  
コロナ禍で被害を被っているのはたいていは立場の弱い人たちであることはいうまでもない。 
 
コロナ禍で女性の実質失業率5%強、実際は政府統計の倍 仕事激減・休業手当なし90万人
 
20日に米国大統領に就任予定のバイデンの米国の事情はどうであろう。
 
バイデンは14日、新型コロナウイルスの感染拡大に対する1兆9000ドル(約200兆円)規模の追加景気刺激策を発表したとBBCニュースが伝えていた。
 
バイデン氏、200兆円の景気対策発表 直接給付14万円追加
 
内容的には、国民1人あたり1400ドル(約14万5000円)の直接給付を含む1兆ドル(約104兆円)の家計支援のほか、4150億ドル(約43兆円)の新型ウイルス対策支援や4400億ドル(約46兆円)の中小企業支援が盛り込まれているという。 

新型ウイルス対策の内容
バイデン氏は、新型ウイルスワクチン接種の大規模施設を設置し、遠隔地には移動型の接種ユニットを派遣するなど、国民のワクチン接種支援に200億ドル(約2兆円)を投じたい考えだ。
トランプ政権下では2種類の有効なワクチンが提供されたが、保健当局者は接種事業のスピードを速める必要があると指摘する。
「米国内でのワクチン接種は今のところ悲惨な失敗だと言える」と、バイデン氏は述べた。バイデン政権は20日の発足から100日間でのワクチン1億回分の提供を目指している。
バイデン氏が明らかにした計画では、ウイルス検査の拡大に500億ドル(約5兆円)、今春の学校再開に1300億ドル(約13兆5000億円)を出す。
また、接触者を追跡する公衆衛生従事者10万人の雇用支援にも資金も投じる。
経済支援の内容
アメリカでは1100人近くが失業しており、失業保険給付金額を現行の週300ドル(約3万円)から週400ドル(約4万円)に増額することも盛り込まれている。
立ち退きや自宅差し押さえの猶予期間も9月まで延長される。
国民1人あたり1400ドルの直接給付は、昨年12月に決定した600ドルの直接給付に上乗せされる。そのため、給付額は合わせて2000ドルになる。
バイデン氏は最低賃金についても、時給15ドル(約1600円)の倍増を議会に求める方針。民主党は新型ウイルスのパンデミック以前から最低賃金の引き上げに力を入れている。


 
さて、話を日本の菅義偉に戻そう。
 
週刊文春のWeb版が昨年の総裁選前後の話から最近の会見の実態をまとめていた。
 
『尾身さんを少し黙らせろ。後手後手に見えるじゃないか』“やり手”のはずの菅首相、新型コロナで無力な理由」 

「実務型」だと聞いていたけれども、まったくそんなことはなかった。菅義偉のことだ。
 新型コロナウイルスについて「年末年始で感染状況のベクトルが下向きになると考えていた」、緊急事態宣言の効果は「1カ月で事態改善」と述べるなど、見通しの甘さが方々から指摘されている。おまけにビジネス関係者の入国が「首相の強い思い」によって継続したかと思えば停止になるなど、喋りも意思決定もおろおろしている状態だ。 
「尾身さんをもう少し黙らせろ。後手後手に見えるじゃないか」
 こうなると、菅がなぜ総理大臣になってしまったのか、「実務型」「影の実力者」という神話はいったい誰が作ったか、そうした疑問が湧いてくる。
 「尾身さんをもう少し黙らせろ。政府の対応が後手後手に見えるじゃないか」。週刊文春12月24日号によると、専門家たちが、完全なエビデンスまではないものの、「GoTo」と感染拡大の関連性を指摘することから、分科会の尾身茂会長は「GoTo」も含めて人の動き・接触を控える時期だと何度も政府に言っていると答弁した。それに怒った菅首相は、コロナ担当の西村大臣に上記のように命じたという。
 これは菅義偉という政治家の習性を端的に表すエピソードだ。
新型コロナウイルス相手にはまったくの無力
 たとえば昨年末に刊行された読売新聞政治部『喧嘩の流儀』(新潮社)に、こんな人物評がある。「菅さんの外交っていうのは直接、外国の相手とやり合うことじゃなくて、日本国内の力を持っている人間を押さえて実現させるっていうやり方だ」(外務省幹部・談)。TPP協定でいえば、担当大臣の甘利明をバックアップし、「甘利に刃向かう奴は俺がぶっつぶす」とすごんでみせたという。
 菅は自分の意に沿わない者を敵とみなし、潰しにかかる。それは自民党議員や官僚、メディアといったインナーサークルの住人に対してであって、本来、対峙すべき相手やコトに対してではない。だから菅は昨年来、ウイルスと戦うのではなく、「GoTo」に反対する者と戦っている。そもそも人事権や同調圧力、恫喝を使いこなす菅の能力など、新型コロナウイルス相手にはまったくの無力である。 こうした内向きの政治技術しかもたない菅が、なぜ総理大臣になってしまったのか。前掲の『喧嘩の流儀』を大雑把にまとめれば次のような話になる。
「総理になると思っていなかった。だから、こんなのやっているんだ」と矯正治療中の歯を見せたというくらい、菅は首相の座に色気をもっていなかった。安倍晋三も岸田文雄を後継にと考えていた。一方、二階俊博は昨年6月、国会閉幕当日の会食の席で「次の総理はどうか。やるなら応援するよ」と菅に持ちかける。それを否定しなかったことで、二階は菅のやる気を感じ取る。
 関心を向けるのは「GoTo」ばかり
 政府では当時、春先に官邸官僚の主導でおこなった「アベノマスク」&「うちで踊ろう」が不評を買ったことから、菅抜きでは駄目だとの論調が生まれていた。そんななかで、菅は「GoTo」キャンペーンを推し進め、反対する者を抑え込んでそれを実現し、存在感を改めて示す。
 そして8月、安倍の体調悪化から政局は一気に動き、安倍辞任から総裁選へとなる。すると菅は二階に出馬する旨を伝え、安倍は安倍で「1対1だと石破が岸田に勝つ」、そんな不安にかられて菅の支持にまわる。なにしろ安倍の石破嫌いは尋常でなく、人を「さん」付けで呼ぶことの多い安倍だが、石破茂だけは呼び捨てにし、ときには「あいつはどうしようもない」とコキ下ろすこともあったというほどだ。
 このように、二階にそそのかされてその気になって、おまけに「GoTo」で得た自信と、安倍の石破嫌いによって、菅は内閣総理大臣になってしまったのである。
 そんな菅に対してSNSでは、「コロナ対策について、他人事のようだ」との批判をよく目にする。日々深刻化していく感染拡大と向き合わずに、「GoTo」ばかりに関心を向け、そのうえ「人類がコロナに打ち勝った証」として東京オリンピックを開催するなどと繰り返すためだ。おまけに緊急事態宣言発令にあたっての記者会見では、説明の最後を「私からの挨拶とさせていただきます」と結婚式の祝辞のような言葉で締める有り様であった。
「説明が足りない」ではなく「説明能力が足りない」
 官房長官時代は「全く問題ない」「批判には当たらない」などと、そっけないことを言っていても「鉄壁のガースー」と記者などから内輪褒めされて済まされていた。しかし首相となるとそうはいかない。まして人々の生命や生活を脅かすコロナ禍の最中である。
 歴代最長在任日数を誇る安倍元首相に言わせれば、総理大臣とは「森羅万象すべて担当している」のである。これに従えば、すべて自分ごとになるのが総理大臣の職だ。だが菅は、いつまで経ってもコロナ対策を自分ごとにせずにいる。だから記者をはぐらかす話術はあっても、危機に際して、人の心を動かす言葉を持てずにいるままだ。 
 こうした菅について、官房長官時代の番記者が書いた書籍がある。秋山信一『菅義偉とメディア』(毎日新聞出版)だ。秋山は政治部の仕事にやりがいを見いだせずにいたところ、先輩記者から「政治部の記者を観察するつもりでやれば良いじゃないか」と助言される。そうした著者による本書は、いわば菅官房長官の番記者グループへの潜入ルポである。
 ここで著者は「菅に説明能力が足りないことは、毎日のように会見に出ている長官番記者なら誰でも知っていることだった」と述べる。ポイントは「説明が足りない」ではなく「説明能力が足りない」と記述していることだ。こうした政治家としての能力不足を知りながら、政治記者たちはそれを隠蔽することに加担してきたと続けている。
 政治部の記者たちは有力な政治家とべったりになりながら出世
 たとえば「桜を見る会」の招待客名簿の存否が問題になったおりの記者会見でのこと。「調査は今後されるということか」と質問された菅はこう答えた。「して、対応しているということです」。何を言っているのかわからない。別の記者会見での発言から、それは「(既に調査)して、(必要な)対応(を)している」と言いたかったのだとわかる。
 このように菅の言葉足らずを記者たちは補ってあげていた。すなわち記者たちは、菅の能力の欠如を取り上げずに、「不足している部分を取材でどう補うか」あるいは「目をつぶって、分かりやすい部分をどう切り取るか」という方向を向いていたと著者は述懐している。
 菅は菅で、自分の能力が足りないことをわかっている。だからなおさら番記者たちを取り込み利用することでそれを補おうとする。秋山によれば、菅は記者心理をくすぐるのがうまく、毎晩のように議員宿舎に招き入れるなど番記者たちには丁寧に接して心証をよくし、自分の応援団に変えていく。そのうえで週刊文春が菅原一秀の疑惑を報じると、菅は「所詮は週刊誌報道だろ」と新聞・テレビの記者たちの優越感を煽って、後追いしないよう牽制したという。
 かくして「菅と16人の長官番」(前掲書)という一つの組織が出来上がる。政治部の記者たちはそんなふうに有力な政治家とべったりになりながら出世していくのだろう。では出世した記者はどうなるのか。それはいみじくも安倍が教えてくれる。桜を見る会についてまさに皆さんの会社のですね、トップの方、幹部の方、報道機関のキャップの方等、たくさん来られてますね」といった通りだ。 政治部の常識は、ムラの外では非常識である
 菅が総理大臣になってからも、事前に質問を記者クラブの幹事が取りまとめるなど配慮がなされている。ところがそうした政治部記者と違い、権力者に無遠慮な人もいる。NHKの報道番組「ニュースウオッチ9」の有馬キャスターがそうだ。
 有馬は番組に出演した菅に、学術会議の任命問題について質問をぶつける。すると放送後に官邸官僚の一人が「所信表明の話を聞きたいといって呼びながら、所信表明にない学術会議について(菅義偉首相に)話を聞くなんて。全くガバナンスが利いていない」と発言したと朝日新聞が報じた。 
 それに対して金融業界からNHK会長に就任した前田晃伸は、「でも、取材ってそういうものでしょ? その時、聞くべきことを聞かなかったらヤラセじゃない。そっちの方がおかしいでしょう」、「そういうの、ガバナンスっていうのかな」と述べている(週刊文春12月24日号)。まっとうな見識である。
 政治部の常識は、ムラの外では非常識である。菅はそうしたムラに囲われることで「影の実力者」「実務型」の幻影を生み出した。ところがムラの外に一人で出てしまうと「ガースーです」などと言ってしまう。この程度の政治家だったと、世の中が菅の実像を知ったときには、もう遅かった。 
 菅政権とは、政治記者文化が作り出したモニュメントである。


自らが創設したPHP研究所が30周年を迎えた1976年、松下幸之助は、21世紀初頭の日本はこうあるべきだ、こうあってほしいとの願いをこめて『私の夢・日本の夢 21世紀の日本』という本を出版していたが、その松下幸之助の「民主主義国家においては、国民はその程度に応じた政府しかもちえない」という言葉を思い出した。
 
残念ながら7年8か月余りの安倍晋三長期政権を許してしまった日本は民主義国家からだいぶ離れてしまったが、劣化してしている人間を国会に送り出した有権者の責任であろうが、大統領制ではない日本では「総理大臣」を直接選ぶことはできない。
 
そのため「総理大臣」を輩出しそうな政党の候補者を選挙で当選させることで、間接的に「総理大臣」を選ぶことになってしまう。
 
結果的には国民が望んではいなかった菅義偉のような輩がその権力欲から「ポンコツ」と呼ばれようがその椅子にしがみついている。

本来ならば、「社会の木鐸とあれ」と言われ自称していたはずのマスメディアが「政治や社会の不正追及」をし「政府への監視の役割」を果たさなければならない。
 
菅義偉政権が「政治記者文化が作り出したモニュメント」であるのならばいつでもぶち壊すことができるはずであり、そんな勇気を国民は期待しているのではないだろうか、とオジサンは思う。

【参考】

もう、こんな顔を見たくはない!!

     
 
    

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