未知の感染症が発生した場合の対応は、「その原因を究明し患者をいかに早く救うのか」であり、その次に「感染の拡大をいかに防ぐのか」ということになる。
具体的には、まず治療薬が必要で、そのあとでできる限りの「感染拡大対策」を行い、最後に時間をかけて今後の発生に備えてワクチンの開発となるのが、今までの感染症に対する動きであった。
しかしワクチンの開発には通常3段階の治験を行い実際に使われるまでには数年を要する。
昨年の春ころ、COVID-19が拡大し始めたころは国内の専門家たちはワクチンの提供までには2~3年ほどかかるとの見解を述べていた。
その後、画期的なm-RNAワクチンの開発が短期間で行われ、国内でも海外の高額なワクチンを相手の言い値で買わされることになった。
菅義偉政権になり「ワクチン至上主義」がまかり通り、効果的なワクチン治療役薬の承認作業が遅れてしまった。
初期の英国由来のアルファ株のウイルスに対しては若者が比較的かかりにくく、感染しても重篤化しないということから、ワクチン接種は高齢者や基礎疾患をもつ者を優先的に行われた。
ここまでは大きな間違いはなかったのだが、ウイルスは生き残りのため絶えず進化し、耐性を身に着けながら変異するということにあまり注目され例なかった。
そして続々と変異株の発生により従来より感染拡大期間が早くなり、ついに医療崩壊を招き。「在宅死」が連日発生するという「医療先進国」とはいえない、あるまじき惨状になってしまった。
入院できない感染者への治療には国内では「特効薬」が認められず、「コロナ対応に専念する」といっていた菅義偉は、療養施設や在宅療養者には、「抗体カクテル療法」があり、あたかもバラ色の治療方法というイメージを与えてしまった。
しかし現実はそんなに容易なことではなかった。
「軽症者に使えるコロナ『抗体カクテル療法』、供給・コスト面に課題あり=村上和巳」
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海外依存の供給、高価格に懸念 「(新型コロナウイルスの)重症化リスクを7割減らす新たな治療薬を、政府で確保しておりますので、この薬について、これから徹底して使用していくことも確認いたしました」──。東京五輪の会期中、新規感染者数が過去最高を更新した7月27日、記者会見で菅義偉首相は発言した。菅首相が言及した治療薬が、厚生労働省が特例承認した中外製薬の抗体カクテル療法「ロナプリーブ」だ。 ロナプリーブは、ヒトの体内で特定の物質の働きを抑える「抗体」を医薬品として人工的に製造した「抗体医薬品」に分類される。新型コロナの感染は、体内に入ったコロナウイルスが、ウイルスの表面にある突起状のスパイクたんぱく質とヒトの細胞と結合することで起きる。ロナプリーブにはこの新型コロナのスパイクたんぱく質を標的にした2種類の抗体医薬品(カシリビマブ、イムデビマブ)が含まれており、これによってウイルスの増殖を抑制する。 使用時に2種類の抗体医薬品を生理食塩水と混合して患者に点滴注射で投与するため、酒やジュースなど複数の飲料を混ぜて作るカクテルに例えて、「抗体カクテル療法」とも呼ばれる。すでに米、仏、独で緊急使用許可を取得しているが、正式承認されたのは日本が世界初。日本国内で承認された新型コロナ治療薬としては4種類目になるが、従来の3種類がいずれも中等症以上でしか使用できないのに対し、ロナプリーブは条件次第で軽症者にも使用できるのが特徴で、大きな期待が寄せられている。 重症化リスク7割減 ロナプリーブは、緊急性の高い治療薬を簡略化した手続きで承認する特例承認の仕組みを利用したため、承認に伴う審査では海外での臨床試験データが使用された。臨床試験では、肥満、年齢50歳以上、高血圧を含む心血管疾患がある、などの重症化リスク因子を有する軽症の新型コロナ患者を対象に実施。標準的な対症療法を行いながら、ロナプリーブと偽薬(プラセボ)を静脈内に1回点滴投与する二つのグループに分けられて効果を比較した。 その結果、投与から約1カ月以内の新型コロナ関連入院または死亡(新型コロナとの明確な因果関係は問わない)に至った事例の発生率は、プラセボ群が3.2%だったのに対して、ロナプリーブ群が1.0%。つまり、ロナプリーブを投与することで入院・死亡リスクが70.4%低下していた。また、症状の持続期間はプラセボ群14日、ロナプリーブ群10日と症状の持続についても短縮の効果がみられた。 副作用については、ごく一部で「アナフィラキシー」などの重度の過敏症状が起こる可能性はあるものの、現時点で明確に分かっているものは、注射から24時間以内に起こる発熱、悪寒、吐き気、めまいなどの急性症状である「急性輸液反応」ぐらいで、その発生率は0.2%にとどまっている。 前述した臨床試験のデータなどを踏まえ、現在日本では(1)酸素投与が不要な状態、(2)重症化リスク因子(図)を有する、(3)発症から1週間以内である──の三つの条件を満たす場合に、ロナプリーブの使用が認められている。 年末まで20万回分調達 死亡リスクを低下させ、かつ安全性も高く、医学的に死角がないように思えるロナプリーブだが、懸念がないわけではない。それが変異株への有効性だ。感染力の強い変異株「デルタ株」も含め各種変異株の性質を模した疑似ウイルスを使った実験が実施され、「ウイルスを無力化する効果はおおむね従来株での効果と変わらない」という結果が出ているものの、変異株に感染した患者での効果を検証した研究報告は行われていない。 そして、現状で最も大きな懸念材料が供給体制だ。そもそもロナプリーブは米リジェネロン社が開発し、スイスの製薬大手ロシュが提携で獲得。ロシュ子会社の中外製薬が開発・販売ライセンスを取得し、販売にこぎつけている。そのため、生産はすべて海外で行われており、生産量のコントロールが難しい。 加えて、新型コロナが現時点では患者の治療費負担がない感染症法に基づく指定感染症であるため、ロナプリーブは政府が中外製薬との契約に基づき全量を買い上げ、必要とする医療機関の求めに応じて国が中外製薬を通じて配分しているという事情がある。このため、必要な患者にタイムリーに届けづらいという問題が指摘されている。 中外製薬は7月26日の21年6月中間決算会見で、奥田修社長がロナプリーブの投与患者の見通しについて「当社予測で21年後半の国内全体の予想感染者数は約40万~70万人、重症化リスクを保持している患者は20~40%くらいと想定している。この中から無症状患者10~20%くらいと、中等症Ⅱ以上の重症者を除いた入院患者が対象」とする見解を述べた。 |
現時点で最大の問題は、残念ながら、「無症状患者」は隔離されておらず(陽性と保健所で確認されていないため)、「中等症Ⅱ以上の重症者を除いた入院患者」が病床不足から満足な治療を受けられない状態に置かれているということである。
ところで、自民党の「コップの中の権力争い」にメディアではお祭り騒ぎが続いており、野党の存在感を薄めている。
しかし、野党でもメディアを集めた定例の会見を開いている。
昨日の共産党は野党国対委員長会談の報告を行っていた。
特に出席していたメディアは相変わらず完全他人事モードな質問をしていたが、「穀田国対委員長の冷静で的確な答えがカッコよすぎて痺れた」という声も上がっていた。
野党国対 臨時国会拒否は憲法違反 2021.9.15穀田恵二 国対委員長の会見
さて、昨日は、「菅義偉を総選挙で落選させよう」との最後で、
「どうやら総裁選には石破茂が出馬せず河野太郎の支援に回るらしい。
さらに小泉進次郎も河野太郎支援を表明し、神奈川ネオリベ原理主義の同閥が誕生し、「河野新政権が誕生すると、菅義偉は自民党の副総裁に就任する新展開となる」という見立てが現実味を帯びてくる。」とつぶやいた。
「石破・河野」ラインは何としてでも阻止したい連中は、総裁選立候補に必要な20名の推薦人集めに四苦八苦していた野田聖子を候補者に祭り上げたという。
昨夜はこんなニュースが流れていた。
「河野太郎氏も一転ピンチの可能性 史上初女性2人含む4人乱立で票分散」
自民党の野田聖子幹事長代行が15日、党総裁選(17日告示、29日投開票)への出馬に向け、最終調整に入ったことが明らかになった。必要な国会議員20人の推薦人の確保に難航していたがこの日までに、めどが立った。すでに岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎行革相が出馬を表明し、史上初の女性2人を含めた4人による乱立が濃厚となり、決選投票にもつれれば、河野氏の不利も予測される。 菅義偉首相の後継を争う戦いは、告示2日前に大きく動いた。野田氏が、最大の課題だった国会議員の推薦人20人確保のハードルをクリアしたことを関係者が明らかにした。16日にも出馬表明を予定している。高市氏と史上初となる女性2人を含めた乱立で構図は一変する様相だ。 野田氏は推薦人確保に手応えを得た前日14日、自身のブログを更新し、「やはり私自身が動く必要性を強く感じ」などと出馬予告したものとみられている。同じ無派閥の三原じゅん子厚労副大臣らから支持する動きが広がっている。初の女性候補2人を含む本格的な総裁選となれば、多様性を持った党としての改革のアピールになり、コロナ対策などで国民の批判にさらされている流れを変える一手にもなる。 河野氏は「次期衆院選を戦える新しい顔」として派閥を横断した支持を拡大させている。この日、石破茂元幹事長から支持表明を受け、追い風を得たが、候補の乱立で票の分散が現実味を帯び、一転してピンチに陥る可能性も出てきた。 |
この総裁選では、自民党の多様性を国民の皆様に知って頂く事が重要と考えています。
— 野田聖子(衆議院議員 / 岐阜1区) (@noda_seiko93) September 14, 2021
私の考えにご賛同頂ければ幸いです。
野田聖子#野田聖子 #だれもがわかる政治を #総裁選 #こども #こどもまんなか庁 #女性政策 #障がい者対策 #多様性 pic.twitter.com/qrJ6g7Ycdw
どの派閥が推薦人を貸したのか、それは陰でだれが最も得をするか、既得権益を維持できるかを考えればおのずと明らかになるだろう。
いつもの「在野のアナリスト」氏は独自のこんな見立てをしていた。
「自民党総裁選についての考察」
明日が自民党総裁選の告示日ですが、どうやら構図は岸田氏、高市氏、河野氏、そこに野田氏が滑りこみ、石破氏は不出馬になりそうです。石破派の一部が野田氏の推薦人に名乗りを上げたのも、河野氏への側面支援でしょう。河野陣営では、党員票をある程度とられるので、野田氏の出馬は歓迎しない、という人もいるようですが、党員・党友票はドント方式。詳細は割愛しますが、大量の死に票がでます。「日本初の女性総理」期待で票を入れようとする議員、党員・党友は野田氏に流れる一方で、それは党員・党友票を獲得するだけの数字には、やや厳しいでしょう。それは高市氏も同様であって、つまり高市氏の片翼をもぐ、議員、党員・党友票を減らす、石破派による安倍氏への意趣返し、という見立てが正しいのでしょう。 安倍支持層が高市氏支持で盛り上がり、ネットで調査すると高市氏がトップに立ちます。それは以前も指摘したように「安倍氏に恥をかかすな」の大号令がかかり、安倍氏が高市氏支持で固まったので、高市氏を是が非でも決選投票に…が至上命題です。泡沫で終わったら、安倍氏の神通力にも関わるのですから本気です。ただ多くの人が間違えていますが、自民の支持層の中で、安倍支持層はごくわずか。利権や従来の繋がりという層が断然多く、そこに安倍支持層という新たな層が上乗せされたたため、安倍政権での選挙は盤石だった。弱い野党を上回ることができた、ということです。今回盛り上がるネットの安倍支持層ですが、その実数を計るよい機会ともなるでしょう。特に、高市氏は保守色を強くうちだし、中韓との関係が危ぶまれる。それは利権や従来のつながり、で自民を支持する大多数にとって、極めて不都合なのです。 しかし野田氏の出馬を河野陣営が嫌がるのが、決選投票に持ち込まれる点です。議員票では勝ち目がない、と思っているからですが、ここがちょっと違う。今回、総裁選の後には総選挙が待つ。つまり党員・党友の票を圧倒的に集めたら、それはもう無視できません。安倍―石破の決選投票となった12年は、その後ですぐに解散・総選挙となりましたが、あくまで総裁選のときには決まっていなかった話です。しかも民主党の野田政権が、消費税増税を決定するといった悪役、泥をかぶっての解散・総選挙だった。つまり言葉は悪いですが、安倍氏でなくとも勝てる、楽な選挙だったのです。党員・党友票を無視しても大勝できました。 |
今から15年ほど前「麻垣康三」という言葉がメディアに踊ったことがある。
小泉純一郎首相が退任した2006年。後継を争った有力候補の名前から1文字ずつ取った造語であるのだが、このときの自民党総裁選は三(安倍晋三氏)が勝利し、次いで康(福田康夫氏)麻(麻生太郎氏)が政権を担った。
さかのぼると「三角大福中」の戦国時代から「安竹宮」「YKK」と続き、麻垣康三につながるのだが、激烈な派閥抗争は批判の的になりながらも、党内に活力を生み後継候補にエントリーされた名前は、善しあしを別にして役者ぞろいだった。
今回は「河岸高野」と、造語にリズム感がなく、「大根役者ぞろい」が致命的である、とオジサンは思う。