2020年12月21日付の「ダイヤモンドオンライン」が、経済アナリストの馬渕磨理子が武田総務相に独占インタビューした内容を掲載していた。
「武田総務相が初めて明かす、ドコモ「異次元値下げ」に至る舞台裏」
この中で「今まで動かなかった携帯料金の値下げを実現するに当たって、NTTの澤田純社長とのやり取りはありましたか」と問われた武田総務相はこう答えていた。
澤田さんだけはありません。他の事業者の方々とも私が着任したときにごあいさつしました。雑誌などで澤田さんの発言を見ると、国際戦略に重きを置いている人だという印象です。日本が5Gで後れを取った点を反省していて、6Gにおいて巻き返しを図る、そんな迫力を感じます。 |
さらに「携帯各社の方々には就任時にごあいさつしたのですね。その後は、値下げに関してさまざまなやりとりをされましたか。」と聞かれた時にはこう答えていた。
いや、自身が料金値下げに取り組む中では、携帯事業者の人にむしろ会うべきではないと思いました。私は方向性を示した後、料金引き下げに関することでは一切会っていません。というのは決断が鈍るからです。人間っていうのは、思い切ったことをするときにはね、相手と会っちゃいかんのですよ。情も芽生えるし、そこのところは「フェア」にやっています。 |
「フェアにやっています」という下りを読んで、「本当のことや本心を明かさないのが本物の政治家だ」と、誰かさんがほざいていたことを思い出してしまった。
「個別の事案に答えるのは控える。国民の疑念を招くような会食や会合に応じたことはない」と繰り返し答弁していたものの文春砲が炸裂して18日の衆院総務委で「会食に同席したのは事実だ」と認めていた武田総務相。
さらにこの嘘つき大臣は、「食事は注文せず、ビール2、3杯程度をいただいた後、退席した。費用として1万円を支払った」と説明していたが、どうやら、同席はしたけれども食事は食べなかった――と言いたかったようだが、この釈明は、緊急事態宣言の最中に銀座のクラブに行っていた自民党(現在は離党)の松本純衆院議員が問題発覚時に「(店に行ったが)酒は飲んでいない」と釈明していたのと同じレベルの子供でもわかるような嘘を平然と国会で答弁していたわけである。
総務省が、携帯事業者間の競争を促進し、携帯料金の値下げにつながることを目指した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を公表したのは昨年10月27日。
一方、文春砲によると、武田総務相がNTTの澤田社長と会食したのは昨年11月11日であり、嘘つき大臣は「方向性を示した」後でも、携帯事業の関係者としっかり「会って」いたということになる。
まだまだ、本気で総務省内の内部調査が進めば、他の携帯事業者との「会食」の事実も露呈するかもしれない。
ところで、昨夜の菅義偉の記者会見は聞いていて眠くなるような陳腐な内容だったのだが、同じように感じた者もいた。
テレビで子守唄をやってると思ったら菅首相の記者会見だった
— デーブ・スペクター (@dave_spector) March 18, 2021
「このまま解除すれば感染拡大の可能性が高い」と専門家組織の17日の会合後、座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は、1都3県の現状を率直に語っていたのだが、「宣言の継続で、良い結果が出てくる見通しがない」などの意見が出て、宣言による対策の効果が限界に達しており、これ以上、市民に我慢を強いることができない」という理由から21日に首都圏の緊急事態宣言が予定通り解除されるという。
最近の都心の人出からすればリバウンドが起きることは目に見えているのだが、まさに「これ以上打つ手がない」というCOVID-19の感染拡大防止の敗北宣言であろう。
打つ手ないから解除。無責任とはこのことか。
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) March 17, 2021
「継続しても良い結果出ない」宣言解除に専門家会合から反対意見出ず
アドバイザリーボードのメンバーは最近の1都3県での新規感染者数の下げ止まりを憂慮しつつ「宣言の効果は限界だ。解除やむなし」と口にした。 https://t.co/6DjM1IR6VE
総理からは「何が何でも五輪をやる」という固い決意は見えても、「絶対にコロナを収束させる」という決意のほどは見えてこない。緊急事態宣言も効かないし、とにかく五輪はやっちゃえと。こんな不安な状況で国民は笑顔で声援を送れるはずがない。誰のための五輪なのか。総理はよくよく考えた方が良い。
— 小沢一郎(事務所) (@ozawa_jimusho) March 18, 2021
それにもかかわらず、「『GoToトラベル』4月部分再開目指す 政府、5月中には全国拡大案も」ということは、狂気の沙汰と言われても当然であろう。
狂気の沙汰である/「GoToトラベル」4月部分再開目指す 政府、大型連休には全国拡大案も | 京都新聞 https://t.co/B80c9biG0E
— ガイチ (@gaitifuji) March 18, 2021
さて、またもや東京五輪の行く末が危うくなるような出来事が発覚したのだが、単なる「オリンピッグ」という馬鹿げた企画だけの問題ではなかったようである。
「五輪式典統括、辞任 容姿侮辱 演出案を謝罪」
◆開閉会式準備「間に合うのか」 演出家相次ぐ交代で混迷 東京五輪・パラリンピックの開閉会式準備は当初の「演出家8人体制」の崩壊に続き、唯一責任者に残った佐々木宏氏の辞任で一層混迷する事態となった。組織委員会の関係者は「ただでさえ準備が遅れている。影響は大きすぎる」と嘆いた。 (原田遼) 演出は2017年に佐々木氏、振付家のMIKIKOさん、狂言師の野村萬斎さんら8人でスタート。当初はMIKIKOさんを中心に制作が進んでいたが、組織委は昨年12月に突然、チームの解散を発表。佐々木氏だけを残した。 当時、組織委は「コロナ禍による簡素化などの観点からゼロベースで見直しを進め、限られた時間で迅速に準備をするため」と理由を公表。しかし18日、昨年11月時点でMIKIKOさんが組織委に辞任を申し出ていたことが判明。組織委関係者によると、演出家間で不協和音があったというが、記者会見した武藤敏郎事務総長は「(辞任の)理由を申し上げる立場にない」と説明を拒んだ。 当初、式に出演予定だったダンサーの関係者は「昨年4月のリハーサル直前にMIKIKOさん案が白紙になりダンサー、スタッフら500人が仕事を打ち切られた」と混乱を振り返った。組織委の別の関係者は「演出家は独自色を出したがり、トップが代われば内容も変わる。夏に間に合うか」と懸念した。 |
有料部分、すごい記事だった。女性蔑視に限らず、開会式演出がいかに佐々木氏によって私物化され、壊されたかという告発記事。これは本当に五輪辞めたほうがいいんじゃないかな。日本は五輪やる資格ないよ。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) March 17, 2021
「渡辺直美をブタに」五輪「開会式」責任者“女性蔑視"を告発するhttps://t.co/Y6uWTEfcmD
五輪開閉会式の統括役佐々木宏氏の辞任のニュース、なんで女性タレントの容姿侮辱問題しか言わないのだろう……?さらに醜悪なスキャンダルが提起されているというのに…
— Shoko Egawa (@amneris84) March 18, 2021
「そりゃ渡辺直美アメリカ行くわ」という感想が流れてきたが、「そりゃ萬斎さん降りるわ」とも思った。ずっとこういう会議に付き合わされてたんだろうなあ……
— ジロウ (@jiro6663) March 17, 2021
こんな内容の掲示板情報もあった。
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政権浮上の起死回生策の五輪開催が風前の灯火状態となったときに、菅義偉の足元ををすくうような動きが発覚している。
ジャーナリストで二階俊博幹事長ウォッチャーの武冨薫がこんな記事を発信していた。
「菅首相訪米を吹っ飛ばす二階幹事長『電撃訪朝』計画」
菅義偉・首相の「外交デビュー」が4月のバイデン大統領との日米首脳会談に決まった。各国首脳に先駆けて、今年1月に就任したバイデン大統領と会談できるとあって、首相は早速、コロナワクチンの予防接種を受けるなど張り切っている。 だが、そんなパフォーマンス外交の裏で、政界では別の外交プランが画策されているという。政権を支える二階俊博・自民党幹事長の訪朝計画だ。 さる3月10日、二階氏は超党派の「日朝国交正常化推進議員連盟」の会合で、これまでの政府の対応を「何もしないで時間を過ごしておったら無意味。結果的にはなんら実績があがっていない」と正面から批判し、「この関係者での訪朝も考えてみなければならない」とぶち上げた。自民党外交部会の幹部が語る。 「二階さんは自分が団長となって訪朝することに意欲を見せている。これまで拉致問題に熱心とは言えなかった二階さんが、にわかに動き出した背景には、中国が内々に二階さんに訪朝の橋渡しを持ちかけてきているという情報がある」 同議連は日朝交流重視派議員が設立し、二階氏は顧問を務める。日朝関係悪化で長く活動を休止していたが、今回、二階氏や立憲民主党の福山哲郎・幹事長らが出席して3年ぶりに会合を開き、日米首脳会談でバイデン政権に拉致問題解決への協力を働きかけるよう求める決議をまとめた。 菅首相は日米首脳会談について「新型コロナや気候変動、中国、北朝鮮・拉致問題などさまざまな課題についてしっかり議論したい」と語り、拉致被害者家族会では横田めぐみさんの母・早紀江さんがアメリカの駐日臨時代理大使に日米安全保障協議委員会(2プラス2)で来日したブリンケン国務長官宛ての書簡を渡すなど、バイデン政権に拉致問題をどう訴えるかがクローズアップされている。一連の動きは連動しているようにも見えるが、二階氏の動きは決して菅首相の“側面支援"ではない。 二階氏は菅首相が金正恩総書記と「条件をつけずに会う用意がある」と呼びかけていることに対し、議連の会合で、「条件をつけずに向き合うって、それどうするんだ。こんなことでは国民は納得しない」とこき下ろしているのである。 二階氏は親中派として知られる。だからこそ中国は、二階氏を通じて日本の外交を揺さぶろうとしているのだろう。対中強硬姿勢を崩さないアメリカに日本が尻尾を振るのをやめさせたい中国は、二階氏に北朝鮮問題で手柄を立てさせ、菅首相の訪米が空振りだったと印象づける戦略かもしれない。少なくとも日本の政府と与党にすきま風を吹かせる効果はあるだろう。前出の外交部会幹部は警戒する。 「バイデン政権が中国とコトを構えようとしているときに、菅首相が中国の思惑に乗った二階氏の訪朝計画を止められなければ、アメリカの虎の尾を踏むことになりかねない」 菅首相には外交経験はほとんどなく、大国と駆け引きする手腕もない。二階氏が中国の誘いに乗って日本が二元外交に踏み出せば、政府と与党はバラバラになり、日米同盟もクアッド(日本、アメリカ、オーストラリア、インドの首脳や外相による安全保障や経済を協議する枠組み)も危うくなる。笑うは中国ばかりである。 |
おそらく、こんな計画はすんなりと実現することはないだろうが、この時期にあえて、「日本の政府と与党にすきま風を吹かせる効果」を狙う二階俊博幹事長は、日米同盟よりも、全国約5500社の旅行代理店を束ねる社団法人「全国旅行業協会」会長として、一刻も早く「GoToトラベル」の再開を促すために菅義偉に無言の圧力をかけているのではないだろうか、とオジサンは思う。