この2か月間で、テレビメディアへの露出度が 多い「著名人」の民事裁判における敗訴記事がいくつかあった。
11月15日には、あのお騒がせ女の「三浦瑠麗さんに賠償命令 ツイッター投稿で30万円―東京地裁」 とか、12月16日には、プロ野球選手崩れの親の七光りが届かなかったタレントもどきの、「長嶋一茂さん敗訴 週刊新潮記事めぐり―東京地裁」 などが目についた。
もっとも賠償命令をくらったとか、プライバシー権を違法に侵害されたとかの民事裁判は一般国民にとっては影響のないワイドショーネタに過ぎない。
しかし現職の国会議員の場合はそうはいかない。
かつて芸人の親が生活保護を「不正受給」していたかのようなバッシングをして、「生活保護叩きの鬼嫁」とまで揶揄された片山さつきが自身の口利き疑惑を報じた週刊文春を相手どって起こした損害賠償裁判で、東京地裁が請求を却下した。
この疑惑は、「会社に対する青色申告承認が取り消されそうになった経営者が、それを回避するため財務省出身の片山議員側に相談し、100万円を指定する口座に振り込んだ」というもので、これが事実ならあっせん利得処罰法違反に相当するというわけだ。
裁判所はこの報道について、「公共の利害に関する事実に関わり、公益目的があった」「真実と信じる相当の理由があり、意見や論評の域を逸脱したとも言えない」として、片山さつきの損害賠償請求を却下したわけだが、これは裁判所が「口利き疑惑」を認定したようなものであろう。
「片山さつき議員敗訴 文春『口利き』報道めぐり―東京地裁」
片山さつき議員敗訴 文春の“口利き"報道めぐり(2021年12月27日)
事務所は「本人と連絡取れず」と。判決日はとうの前に決まっていたはず。訴えておきながら、不利な判決が出る時はこうして雲隠れ、とい対応が、国会議員としてありなのかしらん。 https://t.co/FlIHK2ikqE
— Shoko Egawa (@amneris84) December 27, 2021
自民党の片山さつき参院議員(62)が国税当局に口利きしたとする週刊文春の疑惑報道で名誉を傷つけられたとして、発行元の文芸春秋を相手取り、1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。大浜寿美裁判長は「不法行為は成立しない」と述べ、請求を棄却した。 大浜裁判長は、文春報道について「公共の利害に関する事実に関わり、公益目的があった」と認定。記事の重要部分について「真実と信じる相当の理由があり、意見や論評の域を逸脱したとも言えない」と判断した。 判決によると、週刊文春は2018年10月、「片山さつき大臣 国税口利きで100万円」の見出しで報道。会社に対する青色申告承認が取り消されそうになった経営者が15年、回避するため財務省出身の片山議員側に相談し、100万円を指定する口座に振り込んだと指摘した。 片山議員は経営者の目の前で、国税当局に電話をかけた上、口利きの見返りとして100万円は高くないと述べたとし、あっせん利得処罰法違反の疑いがあると報じた。 片山議員は衆院1回、参院2回当選。これまで地方創生担当や女性活躍担当の大臣として入閣した。 片山議員の東京事務所は27日、「本人と連絡が取れず、事務所としての正式な回答も難しい」と説明。週刊文春編集部は「当然の判決と受け止めている」とコメントした。 |
●やはり黒だった。国税庁長官への会話「うまくいったら、百万円なんて決して高いものじゃないわよね」が物語っている。まさか控訴などしないでいただきたい。甘利氏の件とよく似ている。彼女は、加計学園獣医学部について討論番組で四国を「離れ小島」と蔑視したような発言をして、他の討論者から指摘されると「そんな発言はしていない」と反論。これが片山氏の全てである。来年の参議院選挙どうするんだろうか? ●片山さつきさんの負けです。文春記事が事実に反する物語ではない、とされました。安倍さん、菅さんの官邸支配下であったなら、片山さんは、多分セ-フになっていたと思いますよ。岸田官邸が、犯罪行為や脱法行為と強い親和性を持つことに成らないことを願います。安倍さん、菅さんの政権が、嫌というほど見せてくれた"醜さ"は、もうたくさんです。 ●この判決を受けて、次は利得処罰法で起訴できれば文春も大手柄です。 国会議員は裁判で敗訴したら真摯に議員辞職が妥当と思う! |
さて、先週の金曜日に、「讀賣新聞大阪本社は大阪のシロアリと手を組んでしまった」とのつぶやきの中で、「来週の月曜日の27日には、『大阪府と讀賣新聞の包括連携協定』が行われるという。」と紹介した。
そして昨日はその協定式が行われたらしい。
「吉村知事『制限、『優先的扱いない』大阪府と読売新聞大阪本社が包括連携協定」
取材する側と取材される側の連携は、権力監視する報道機関の中立性が保てるのかという批判もあるが、府庁で締結式に出席した大阪府の吉村洋文知事(46)は「報道活動への制限、優先的な扱いがないということを確認した上での協定です」と説明し、「取材・報道に関しては、いっさい関係ない」とした。 連携により報道機関として“自己規制"が働くのではないかという質問に対し、読売新聞大阪本社の柴田岳社長は「ご存じのように読売新聞はそんな柔な会社ではありません。記者行動規範では、取材・報道に当たり、社外の第三者の指示を受けてはならない。また、特定の個人、団体の宣伝や利益のために事実を曲げて報道してはならないという定めがある」と報道姿勢を説明し、「おかしいことはおかしいと、今後も事実に基づいて報道することに変わらない」と強調した。 |
読売新聞大阪本社の柴田岳社長の「社外の第三者の指示を受けてはならない。また、特定の個人、団体の宣伝や利益のために事実を曲げて報道してはならないという定めがある」という発言は、大阪本社だけに限っての話なのか。
少なくとも讀賣新聞東京本社は、自民党や官邸、内閣調査室からのリーク情報を得て、時には特定の個人を貶める記事を書いたことは記憶に新しい。
赤旗は、「大阪府が読売新聞と包括連携協定 教育など8分野・万博も協力」というタイトル記事中で、「黒田ジャーナル」を主宰した黒田清に師事した「新聞うずみ火」代表・矢野宏のコメントを発表していた。
ジャーナリズムの役割逸脱 「新聞うずみ火」代表・矢野宏さんの話 新聞社が府と提携協定を結ぶなどあり得ないことです。読売新聞が「広報読売」になってしまうのではないでしょうか。 読売新聞大阪本社社会部長だった恩師の黒田清さんは生前、権力の側ではなく、泣いている人、市民の側に立って物事を見ること、そうすれば見えないものが見えてくると言っていました。それがジャーナリストの一番の役割で権力の暴走を止めることになると、ジャーナリストの立ち位置を教えてもらいました。 大阪は維新政治が10年続いています。「取材・報道とは別」といってもなにがしかの影響はうけ、「大阪都」構想、カジノの問題など、市民、府民を二分するようなことを権力の側に立って論じていくことになりかねません。ジャーナリストのもう一つの役割である公平・中立な報道を逸脱する行為です。 読売新聞は「憲法改正試案」を発表しています。今回の件でもいかに市民から離れたメディアかが明らかになりました。現場の記者は頑張っています。信念をもっていい記事を書いてもらいたいと思います。 |
もはや讀賣新聞に「ジャーナリストの一番の役割」を期待すること自体があまりにも非現実的なのだが、こんなメディアでも利用価値があると判断した大阪府の吉村洋文には、「李下に冠を正さず」という言葉を贈るのでじっくりと考えてもらいたいものだ、とオジサンは思う。