日刊ゲンダイ風に言えば、「前代未聞の陰湿悪辣菅義偉」の評判が日増しに悪くなっている。
「なんという言い草 “陰湿政府”学者を平然と侮辱の国会答弁」
「最も腹が立つのは、学術会議問題の張本人である菅首相が国会から逃げていること。裏を返せば、任命拒否に至る本当の理由が一切言えないから副大臣や官僚を矢面に立たせているのです。安倍政権の下、中立であるべき日銀総裁やNHK会長に息のかかった人物を据えて支配下に置き、『憲法の番人』といわれた内閣法制局も人事で思い通りにし、内閣人事局を通じて霞が関を牛耳ってきた。これに味をしめ、菅首相は教養がないがゆえに教育を軽んじ、学問の自由を侵す暴挙に出たのでしょうが、これは特大のチョンボ。国民全体に関わる問題で、波紋が広がらないわけがありません」(政治評論家の本澤二郎)
さらに、法律を「悪しき前例」と誤魔化す菅義偉については、
「日本学術会議法は会員推薦の選考基準について、17条で〈優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする〉と定めている。有識者会議の提言を理由にした基準変更は邪道で、学術会議法を改正するのが正道なのです。もっとも、改正案を国会で審議すれば、学問の自由の侵害をもくろむ菅政権の思惑があからさまになる。だから、安保法制や検察庁法改正案で安倍政権が悪用した解釈変更という姑息なやり方で突破しようというのでしょう。首相が任命権を行使できる根拠について、政府は〈公務員の選定、罷免は国民固有の権利〉と定める憲法15条などを挙げていますが、法律は憲法の規定を前提に施行されている。学術会議法7条2項は〈会員は、第17条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する〉と定めており、憲法15条が無条件で適用されるとは言えません。政府はこの矛盾をどう説明するのか。野党はこういった点をしっかり突くべきで、恣意的な解釈変更を押し通そうとする権力に対し、解釈について追及しても水掛け論に陥ってしまう。そもそも法治主義において、法律に定められていることは悪しき前例でもなんでもない。巧みなすり替えにだまされてはダメです」
と、立正大名誉教授の金子勝は指摘していた。
さらに、菅政権が振るう物理的、言葉の暴力についてもこう危惧している。
「第2次安倍政権以降、独立性が担保されているはずの組織の形骸化が広がっている。このままいくと大企業による寡占に目を光らせる公正取引委員会までもが脅かされ、権力者や富裕層の横暴が許される事態にまで発展するのではないか。菅政権は2つの暴力を振るおうとしています。数の力による物理的な暴力と、言論統制による言葉の暴力です。発足1カ月足らずの政権ですが、典型的なファシズムで、手続きを重視する民主主義のかけらもない」
さて、今年の6月に「古希」を迎えたオジサンは市から「特別乗車証明書」が送られ、市バス料金が半額になった。
そして健康保険ではそれまでの3割負担から2割負担となった。
年金暮らしの身にとっては大いに助かる施策である。
あと5年もたてば後期高齢者となり医療費が1割負担になると期待していた。
ところが、その前に負担割合が増えそうだという。
「医療費2割案、190万人が対象 75歳以上、年収240万円から」
75歳以上の人の医療費窓口負担について、年収240万円以上で383万円未満の人を現在の1割負担から2割に引き上げる案が厚生労働省内で浮上していることが9日、分かった。対象は十数%に当たる約190万人。菅政権として新型コロナウイルス感染拡大の状況を見つつ、全世代型社会保障検討会議などで議論し、年末までに決着を図る構えだ。 高齢者に負担増を求める「痛み」を伴う改革だけに、年収の線引きを巡っては政府、与党内や医療関係団体にも異論があり、調整を本格化させる。 厚労省の暫定的な試算で、負担が1割から2割になる人が医療機関の窓口で支払う額は年間3万5千円程度増える。 |
厚労省の役人は、「年間3万5千円程度増える」とサラッと言うが毎月3000円近くが余分な出費となり、それだけでなく毎年年金支給額も漸減しており、少々体の具合が悪くても受診をためらうどころか、あきらめる患者も出てくることが予想される。
東洋大学ライフデザイン学部の高野龍昭准教授はこんな説明をしていた。
「後期高齢者の医療費の自己負担を将来的に『原則2割』にするべき」という、この記事よりも厳しい意見がすでに数年前から政府の有識者会議(経済財政諮問会議、全世代型社会保障検討会議など)で示されています。このねらいは財政負担の軽減と高齢者の受診の抑制にあると言えます。他にも、外来受診の1~3割の自己負担に加えて受診時ごとに定額負担(500円程度)を求める、セルフ・メディケーション(医療保険を使わず自分の判断で薬を購入して病気の治療を行うこと)を推進するなどの案も示されています。同様の改革案は、私の専門分野である介護保険制度に対しても示されており、保険内の介護サービスと保険外のサービスを柔軟に組み合わせることができるようにするというものもあります。いずれにしても、医療保険も介護保険も、保険給付の範囲を狭め、費用の自己負担や保険給付外のサービスを拡大するという方向性が色濃くなっていくでしょう。
まさに菅義偉が総裁選で掲げた「自助・共助・公助」のスローガン通りに「自助」を推し進めるということであろう。
この記事にぶら下がるヤフコメ軍の猛攻が例によって醜悪極まりない件??
— ワイド師匠 (@feedback515) October 10, 2020
増え続ける医療費が今度さらに厳しくなるのは確かとしても、この言い分はない。彼らはどこを見てモノを言ってるのだろう。その上に「生活保護ガー」が大発生。卑しい精神性としか言いようがない。https://t.co/vfScaZol8R
「勝ち組」と「現役世代」からはこんな声も聞こえてくる。
「受益者負担の原則の観点から、自己負担増は良いと思います
後は、高額医療費のところで上限の調整は必要かもしれませんけど
それはそうと、生活保護世帯の医療費無料等の優遇も終わりにすべきですね
多少なりとも自己負担は必要です」
「薬局で買うよりも病院でもらった方が安いからと湿布薬や風邪薬を貰いに行く年寄りが多いのも問題だわ
そういう理由なら10割負担で良いと思う」
3割負担の現役からすれば、働いていない(働けない)高齢者の1割負担は少なすぎるという、必ず発生する「世代間分裂」。
それは、若い人たちに「君たちも将来はこんな手厚い福祉が待っている」と国が言えないからであろう。
その理由にはこんな声もあった。
「国民の負担増や痛みは十分に判るが、国会議員の負担増や痛みが全く見えて来ない。議員定数や俸給等の削減が一向に進まないと言うよりは、進めないのは何故なのか。国民の負担増や痛みを増やす前に、先ずは、国会議員の負担増や痛みを増やさなければ、国民は納得も承知もすまい。先ずは、魁より始めよでは無いのか。」
このニュースについてるコメントを見てびっくり。高齢者の負担増だけでなく、生活保護受給者からも取るべき、という意見。社会で守るべき人たちが存在する、という考えはない。弱者叩きの自己責任社会。
— 白坂ゆうこ (@yukoshira03181) October 10, 2020
医療費2割案、190万人が対象 75歳以上、年収240万円から(共同通信) https://t.co/tg2CMOeQZh
7年余りの、「成果のない」アベノミクスで格差拡大して、消費増税して、コロナを政府の無能で蔓延させられ、庶民は苦しみまくっているのに、よくこんな案が浮上するものだとあきれてしまう。
「たたき上げ・苦労人」なんて単なる国民を欺くキャッチフレーズだったらしい。
さらに、違和感を覚えるのは、「携帯料金値下げ」がいつの間にやらコロナ対策に変わってしまったことである。
「携帯料金、コロナ禍で負担重く 下げ求める声相次ぐ―武田総務相が利用者意見聴取」
菅義偉首相が求める携帯電話料金引き下げをめぐり、武田良太総務相は8日夕、総務省で利用者との意見交換会を開いた。利用者側からは新型コロナウイルス禍で携帯料金負担が重くなっているとの意見が相次いだ。武田氏は終了後、記者団に対し「公正な市場競争が可能になる環境整備に努めたい」と値下げ実現に改めて意欲を示した。 |
総理大臣になって菅義偉は、この値下げ推進を非常に急ぐようになった。
推進担当するのは、武田良太総務相なのだが、九州での地方選挙をめぐってアホ太郎と火花を散らしている人物を、菅義偉は重要政策の担当省庁である総務省に据え、また武田総務相もこの重要な役回りを果たそうと懸命になっているようである。
非公開の意見交換会だったらしいが、気になる箇所があった。
意見交換会は非公開で行われ、主婦連合会、全国消費生活相談員協会のほか、シングルマザー、高齢者、フリーランスの各団体代表が出席。総務省によると、会合では「自動配信される動画に通信容量を割かれ、高い料金が負担となっている」「支払いを延滞すると、信用上、その後のローンにも響く」と切実な声が多かった。 |
非公開なので発言の主が不明であくまでも総務省の会議後の発表なので確証はない。
そもそも、自動配信される動画は、ユーザー側で設定しブロックすればいいだけの話であり、携帯料金を延滞してしまうような人が組んでいるローンとどのような関連があるというのか?
単に、ローン返済に影響が出るほど携帯電話を使っているヘビーユーザの声なのだろうか。
少なくともこれらの問題は、携帯電話の料金値下げとはあまり関係のないことである。
上記の記事から2日後には、さらにこんな記事がでていた。
「武田総務相 携帯料金引き下げ「一日も早く努力を」
武田良太総務相は10日、テレビ西日本(福岡市)の番組に出演し、菅義偉首相が掲げる携帯電話料金の引き下げについて、携帯大手3社に早期の取り組みを促した。 武田氏は、携帯料金が家計の負担になっているとして「これはコロナ対策でもある」と強調。値下げの方向性を出す時期について「私が目標を申すべきではない」としつつも、「一刻も早くコロナに打ち勝ってもとの日本経済を取り戻すためにも、一日も早く家計に力を持ってもらう。そのためには(携帯大手3社に)一日も早く努力をしてもらいたい」と述べた。 |
確かに、菅義偉が総務相のときから言っていた携帯料金値下げ案件が、いつの間にか「コロナ対策」になっていた。
まともに「感染拡大防止対策」もやらず、コロナ禍で傷んでいる家計を携帯料金の値下げ分でカバーしようというつもりなのだろうか。
「1割、2割程度ではダメだ」という声も聞こえており、いったい何割下げさせるつもりなのだろう。
と、同時に、コロナ禍で苦しんでいる世帯収入を財務省からの支出なしに、民間で補おうとしている信じがたい政府の態度が見える。
これが、菅義偉の主張する「自助、共助、公助」なのか。
また、携帯キャリアの企業にとっては、「これはコロナ対策である」と強調されれば、政府の言うがままにならない場合には、コロナ禍に協力しない不届きな存在と世間からそしりを受けかねない。
実現すれば、多くの人が大なり小なり恩恵を受ける携帯値下げではあるものの、どうも現時点で政府のやろうとしていることには、なにか「歪み」を感じずにはいられない、とオジサンは思う。