☆収納庫に残ったシェラとむぎの遺品
昼間、寒さが身体の芯までしみこむような一日だった。
シェラが消えて一週間、ふと、家の床のどこかにいたシェラの姿を無意識に探してしまう。ぼくの視界に入っていないときは、玄関前の廊下のはずれ、あるいは寝室のぼくのベッドの陰、リビングならむぎのお骨の前などがシェラのいた場所である。朝、目が覚めてもベッドのすぐとなりの床にシェラはいない。
そうだ、もうシェラはいないのだ、と何度再認識しただろうか。そのたびに、すでに片づけられたシェラのベッドや食器、水飲み容器などがなくなっている現実を冷めた目でまた確認する。前になくていま新たに増えたのはシェラの遺骨くらいだけである。
シェラを連想する品物は処分してしまったが、廊下に面して造りつけられている収納棚の扉を開くと、棚の一角にはわんこたちのいろいろなグッズが収まっている。むろん、シェラとむぎが使っていたものばかりである。最後まで使っていたレインウェア、以前使っていたレインウェアもある。ほかには古いリードやらカラーやらである。いま、ルイが使っているカラーはそんななかのひとつのむぎのお下がりである。
この収納棚に、むぎが使っていたセーターやらダウンベスト、綿シャツなどの服類がいまも何点か残っている。これらをルイが使うことはないだろう。まもなく、ルイはむぎよりもはるかに大きくなってしまうからだ。
☆むぎは寒がりだったけど
1年前のいまごろ、シェラとむぎを連れて朝の散歩に出かけていた。寒さにはめっぽう強いシェラにひきかえ、むぎは寒そうな表情を見せる。かといって寒いなかの散歩をいやがるわけではなかったが、寒さとともに元気になるシェラのような犬らしさはなかった。
近年のむぎは、冬になるとベッドの上に乗ってきて寝ていた。ひときわ寒い夜は家人の布団のなかへと潜り込んでいた。決してぼくの布団に入ってこないのは、それだけ信用がなかったからだろう。いつ押しつぶされるかわからないから。
真冬のキャンプで、むぎは家人の寝袋に潜り込んで寝ていた。床にホットカーペットを敷いてあるとはいえ、やっぱりテントだと寒さは厳しい。シェラはホットカーペットだと暑くてがまんできないらしく、カーペットを外れたテントのヘリのほうに移動して寝ているのが常だった。
☆シェラに買ってやった唯一の服
わが家のわんこたちは、雨の日のレインウェア以外、服を着せたり、靴を履かせたりはしない(似合わないし)ものの、真冬のキャンプだけは例外だった。
収納棚にシェラやむぎ用のアイテムを入れた箱がある。古いリードやらカラーやら、レインウェアなどだが、むぎが使っていたセーターやらダウンベスト、綿シャツなどの服類がいまも何点か収納してある。
それらの服でシェラ用のものはなにもない。ぼくの記憶によると、シェラのために買ってやった冬キャンプ用のダウンベストだけだった。むぎとお揃いのなかなかシブいヤツでシェラによく似合っていた。まったく同じデザインと色だというのに、むぎが着るとかわいらしく、シェラに着せるといかにもアウトドア犬らしく見えた。
その唯一のダウンベストは数年前の年越しキャンプ用に購入した。伊豆半島の里山とはいえ、日没とともにぐんぐん気温が下がり、明け方には0度近くになる。キャンプ初日の夕方、シェラにもベストを着せてやって遊んでいると、シェラがカラーを抜いて脱走した。まだ、それほど元気だった。
10分ほどしてようやく戻ってきたシェラはすでにベストを着ていなかった。その姿を見た瞬間、「う~ん、やっぱりなにも着ていないほうがいかにもシェラらしいな」と実感した。
無駄を承知でシェラが走り去った方角を探してみると、生け垣の下にシェラのベストが引っかかっていた。そこを通り抜けるときに引っかかり脱げてしまったのだろう。そうとう無理して脱いでいるはずだからやっぱり一部破けて中身のダウンが顔を出していた。
☆もうライフスタイルが変わるから
そんな思い出を封印して、シェラやむぎが使ったアイテム類もいずれ早い時期に始末することになるだろう。たぶん、ルイのためにダウンベストやらセーターなどを買う必要はないと思う。
ルイが寒さにどれほど強いか、それとも弱いかわからないが、わんこがふるえあがるような寒さの中でのキャンプは、すでにぼくたちがきつくなってくるだろう。
だからわんこグッズ収納のためのスペースはなくてもいい。シェラとむぎがいないこれからのわんこライフは、また新たな関係性を築いていくことになる。でも、まっさきに考えてやりたいのは、ルイにとって快適であらねばならないという一点である。
そのルイの食欲は、きょうもまだ萎えたままである。
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昼間、寒さが身体の芯までしみこむような一日だった。
シェラが消えて一週間、ふと、家の床のどこかにいたシェラの姿を無意識に探してしまう。ぼくの視界に入っていないときは、玄関前の廊下のはずれ、あるいは寝室のぼくのベッドの陰、リビングならむぎのお骨の前などがシェラのいた場所である。朝、目が覚めてもベッドのすぐとなりの床にシェラはいない。
そうだ、もうシェラはいないのだ、と何度再認識しただろうか。そのたびに、すでに片づけられたシェラのベッドや食器、水飲み容器などがなくなっている現実を冷めた目でまた確認する。前になくていま新たに増えたのはシェラの遺骨くらいだけである。
シェラを連想する品物は処分してしまったが、廊下に面して造りつけられている収納棚の扉を開くと、棚の一角にはわんこたちのいろいろなグッズが収まっている。むろん、シェラとむぎが使っていたものばかりである。最後まで使っていたレインウェア、以前使っていたレインウェアもある。ほかには古いリードやらカラーやらである。いま、ルイが使っているカラーはそんななかのひとつのむぎのお下がりである。
この収納棚に、むぎが使っていたセーターやらダウンベスト、綿シャツなどの服類がいまも何点か残っている。これらをルイが使うことはないだろう。まもなく、ルイはむぎよりもはるかに大きくなってしまうからだ。
☆むぎは寒がりだったけど
1年前のいまごろ、シェラとむぎを連れて朝の散歩に出かけていた。寒さにはめっぽう強いシェラにひきかえ、むぎは寒そうな表情を見せる。かといって寒いなかの散歩をいやがるわけではなかったが、寒さとともに元気になるシェラのような犬らしさはなかった。
近年のむぎは、冬になるとベッドの上に乗ってきて寝ていた。ひときわ寒い夜は家人の布団のなかへと潜り込んでいた。決してぼくの布団に入ってこないのは、それだけ信用がなかったからだろう。いつ押しつぶされるかわからないから。
真冬のキャンプで、むぎは家人の寝袋に潜り込んで寝ていた。床にホットカーペットを敷いてあるとはいえ、やっぱりテントだと寒さは厳しい。シェラはホットカーペットだと暑くてがまんできないらしく、カーペットを外れたテントのヘリのほうに移動して寝ているのが常だった。
☆シェラに買ってやった唯一の服
わが家のわんこたちは、雨の日のレインウェア以外、服を着せたり、靴を履かせたりはしない(似合わないし)ものの、真冬のキャンプだけは例外だった。
収納棚にシェラやむぎ用のアイテムを入れた箱がある。古いリードやらカラーやら、レインウェアなどだが、むぎが使っていたセーターやらダウンベスト、綿シャツなどの服類がいまも何点か収納してある。
それらの服でシェラ用のものはなにもない。ぼくの記憶によると、シェラのために買ってやった冬キャンプ用のダウンベストだけだった。むぎとお揃いのなかなかシブいヤツでシェラによく似合っていた。まったく同じデザインと色だというのに、むぎが着るとかわいらしく、シェラに着せるといかにもアウトドア犬らしく見えた。
その唯一のダウンベストは数年前の年越しキャンプ用に購入した。伊豆半島の里山とはいえ、日没とともにぐんぐん気温が下がり、明け方には0度近くになる。キャンプ初日の夕方、シェラにもベストを着せてやって遊んでいると、シェラがカラーを抜いて脱走した。まだ、それほど元気だった。
10分ほどしてようやく戻ってきたシェラはすでにベストを着ていなかった。その姿を見た瞬間、「う~ん、やっぱりなにも着ていないほうがいかにもシェラらしいな」と実感した。
無駄を承知でシェラが走り去った方角を探してみると、生け垣の下にシェラのベストが引っかかっていた。そこを通り抜けるときに引っかかり脱げてしまったのだろう。そうとう無理して脱いでいるはずだからやっぱり一部破けて中身のダウンが顔を出していた。
☆もうライフスタイルが変わるから
そんな思い出を封印して、シェラやむぎが使ったアイテム類もいずれ早い時期に始末することになるだろう。たぶん、ルイのためにダウンベストやらセーターなどを買う必要はないと思う。
ルイが寒さにどれほど強いか、それとも弱いかわからないが、わんこがふるえあがるような寒さの中でのキャンプは、すでにぼくたちがきつくなってくるだろう。
だからわんこグッズ収納のためのスペースはなくてもいい。シェラとむぎがいないこれからのわんこライフは、また新たな関係性を築いていくことになる。でも、まっさきに考えてやりたいのは、ルイにとって快適であらねばならないという一点である。
そのルイの食欲は、きょうもまだ萎えたままである。
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