今回は、「金襴手 笹菊文 向付(5客組)」の紹介です。
立面
伏せたところ
底面
立面(代表の1個)
立面から左に約90度回転させた面(代表の1個)
立面の裏側面(代表の1個)
立面から右に約90度回転させた面(代表の1個)
底面(代表の1個)
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代後期
サ イ ズ : 口径;9.5~9.6cm 高さ;7.0~7.1cm 底径;4.0cm
なお、この「金襴手 笹菊文 向付(5客組)」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で、既に紹介しているところです。
そこで、その際の紹介文を次に再度掲載し、この「金襴手 笹菊文 向付(5客組)」の紹介に代えさせていただきます。
=======================================
<古伊万里への誘い>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*古伊万里ギャラリー176 伊万里金襴手笹菊文向付 (平成24年11月1日登載)
何の変哲もない向付である。5客揃いで無傷というくらいが取り柄であろうか。
この器、ソバ猪口にしては大き過ぎるし、ソバを食べるには食べずらい。やはり、向付なのであろう。
この向付には、「菊」と「笹」が描いてある。なぜ「菊」と「笹」なのだろうか? それには、何か、いわれがあるのかもしれない。
ただ、私個人としては、笠間稲荷神社の「菊まつり」の「菊」と、笠間稲荷神社前の造り酒屋「笹目宗兵衛商店」の「笹」を連想するので、「菊」と「笹」が同時に描かれているこの向付に好感を抱いている。
江戸時代後期 口径:9.5~9.6cm 高さ:7.0~7.1cm 高台径:4.0cm
(大きさに、ほとんどバラツキがない。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*古伊万里バカ日誌106 古伊万里との対話(菊文の向付)(平成24年11月1日登載)(平成24年19月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
菊 子 (伊万里金襴手笹菊文向付)
・・・・・プロローグ・・・・・
今や、菊の花が真っ盛りで、各地で「菊まつり」が開催されている。主人の家庭菜園でも食用菊が咲き出し、食卓にのぼっているようである。
そんなこともあり、主人は、菊が描かれた古伊万里との対話をしたくなったようで、なにやら「菊」らしきものが描かれた古伊万里を押入れから引っ張り出してきて対話を始めた。
主人: 今や「秋」真っ盛り、「菊」真っ盛りだ。各地では「菊まつり」が真っ盛りだ。我が家でも「菊」真っ盛りにしようと思ってお前に出てもらった。
菊子: でも、私は、ぱあ~っと華やかに前面に「菊」が描かれているわけではないですから、私が登場したからといって、我が家に「菊」真っ盛りの雰囲気を醸し出すほどではないと思うんですけど・・・・・。
主人: まっ、そう言うな(汗)。 雰囲気なんてものは主観的なもんだ。自分でそのように感じればそれでよいのだろう。
そもそも、「菊」は、「桜」なんかとはちがって、ぱあ~っと華やかに前面に飛び出してくるところを愛でるものではないだろう。どこかおとなしくひかえめで奥ゆかしさのあるところを愛でるものだろう。その点、お前なんか、「何の花が咲いているのだろう? 「菊」かな~? それとも別な花なのかな~?」などと思わせる。そんなに強く主張しないところがあって奥ゆかしいね!
菊子: それはそれは、ありがとうございます。
ところで、この近くでも「菊まつり」が開かれるんですか。
主人: うん。この辺で有名なのはお隣の県の福島県の二本松の「菊人形」だね。まっ、福島県二本松の「菊人形」はメジャーというところだろうか。それ程に有名ではないが、この近くの「笠間の菊まつり」というのも近郷近在では有名なんだ。特に、日本三大稲荷の一つの笠間稲荷神社の境内で行われる「菊人形」は人気が高いね。
菊子: ご主人も見に行ったことがあるんですか。
主人: 近くだからね。何度か見に行ったことはあるよ。毎年ではないけれどもね。「まつり」の期間中には「流鏑馬」なんかも行われるんだ。そんな時は大変な人出で混み合うね。
ところで、お前を買ったのは、笠間の「菊」に関連してのことなんだ。
菊子: 私と笠間の「菊」とはどんな関連があるんですか?
主人: うん。笠間稲荷神社の目の前に「笹目宗兵衛商店」という造り酒屋があるんだ。笠間稲荷神社に代々御神酒を納めている造り酒屋さんで、なかなか古い店構えの造り酒屋さんなんだ。私も、酒が好きなもんだから、「笠間の菊まつり」などで行った際には買い求めているお店だよ。
それで、「菊」というと「笠間の菊まつり」を連想し、更には、笠間稲荷神社前の「笹目宗兵衛商店」の「笹」を連想するんだよ。つまり、私の頭の中では、「菊」と「笹」とが密接に関連してくるんだ。「菊」と「笹」とが同時に混在することに違和感を感じないんだよね。むしろ、私の頭の中では、「菊」と「笹」とは同時に混在すべしというような観念さえ定着してしまっている感があるね。
そうした中、お前が眼前に現れたんだ。お前は、特に見所もない、何の変哲もない向付なんだけれど、私にとっては、「おっ!!」という感じだった。私のイメージどおりの構図で登場してきたんだものね。それで、即刻購入したわけさ。
菊子: それはよかったですね。
でも、「菊」と「笹」とが同時に存在するというのはどうなんですか。季節的にはミスマッチではないんですか。
主人: どうなのかね。「笹」は、「七夕笹」とか言って夏に登場するし、「雪持ち笹」とか言って冬にも登場するしね。だいたい「笹」は一年中あるから、オールシーズンで使用できるのかね。もっとも、伊万里は季節オンチで、季節的にミスマッチなものを平気で組み合わせるから、伊万里の場合は気にする必要はないようだね。
菊子: そうですか。
主人: お前のようにゴクゴク平凡なものに対しても、人によっては好感を抱く場合があるね。「タデ食う虫もすきずき」と言うからね。
最近は、なかなか、良い古伊万里が市場に出回らなくなったきた。お前のように平凡な古伊万里でも、コレクターの目に留まり、大切にされるチャンスが巡ってきたともいえるかね。くさらず、希望を持って待っているようにお前の仲間に伝えてくれ。
=======================================