今回は、「染付 竹垣につる草文 そば猪口」の紹介です。
これは、平成17年に(今から16年前に)、骨董市で買ったものです。
特にどうということもない「そば猪口」なんですが、1,000円で売られていたものを800円に値切って買ってきたものです(~_~;)
1,000円のものを800円に値切ったというのも褒められた話ではないですし、恥ずかしい思い出話ということになりますよね、、、(~_~;)
それに、私にとっては、古伊万里コレクションのうちの最低購入価格となったわけで、これまた、私にとっては記念すべき出来事となったわけです(~_~;)
もっとも、この「染付 竹垣につる草文 そば猪口」には、下の写真からも分かりますように、口縁から胴ににかけて2本のニューがあり、底の畳付き部分にはソゲ傷が見られます。それで、1,000円のものが800円になったのかもしれません(~_~;)
正面(仮定)
正面から約90度回転させた面
見込面
口縁から胴にかけて2本のニューがあります(1時と11時の方角)。
底面
畳付きにソゲ傷があります(10時半の方角)。
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期
サ イ ズ : 口径;6.7cm 高さ;5.1cm 底径;5.3cm
なお、この「染付 竹垣につる草文 そば猪口」につきましても、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところです。
次に、その時の紹介文を参考までに再度掲載いたします。お読みいただければ幸いです(^_^)
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里バカ日誌28 古伊万里との対話(安価なそば猪口)(平成17年8月1日登載)(平成17年7月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
猪口男 (古伊万里様式染付竹垣につる草文そば猪口)
・・・・・プロローグ・・・・・
主人は、先日、近くの骨董市に出かけ、そば猪口一個を買ってきた。
近頃では、沢山お金を持って東京に行けばいくらでも良い物は買えるが、田舎ではトント良い物には出会わないようになった。しかも、安くて良い物となるとなお更である。
主人は、久々に安くて良い物を手に入れたと御満悦のようで、さっそくくだんのそば猪口と四方山話を始めたが、こんなそば猪口を「良い物」と思うようでは、主人のところのコレクションの水準が知れるというものである。
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主人:先日はお前に巡り会えてよかったよ!
猪口男:はい。つれ帰っていただきありがとうございます。これで、ご主人の所の名品揃いの古伊万里さん達に仲間入りが出来て本当に嬉しいです。(ミエミエのお世辞)
主人:先日は暑かったな~。ギラギラ、ジリジリと照りつけられてまいった。
会場の最後の辺りだったかな~。暑いので、もうそろそろ帰ろうかと思ってハンカチで顔の汗をぬぐっていてふと見た時にお前と目が合ったんだよね。
猪口男:そうでした。でも、よく見つけましたね。
主人:うん。そうだな。お前を売っていた店は「古着屋」だったものな。古着が沢山ぶらさがっていて、その奥の方に少しだけ、申し訳程度に古伊万里などが並べられていたんだよね。
でも、チラリと見ると、やはり、それらは判(ハン)で押したように、幕末~明治のものだった。でも、その内で一点だけ、「おやっ?」と思うものがあった。それがお前だった。
猪口男:遠くから「チラリ」と見ただけでわかるんですか?
主人:そうだね。長いことやってるとね。だいたいのところはわかるよ。
それで、近寄っていってよ~く見ると、結構時代もあり、まあまあな物であることがわかったわけだ。しかも定価が1,000円と表示されているのを見て嬉しかったね~。田舎の貧乏コレクターの私にだって十分に買える値段だものね。
でもね、手にとって更によ~く見ると、ニューがあるんだよね。「ああ、やっぱりな。今時、こんなのが1,000円というわけないものな。」と思った。ガッカリしてしまった。それで、もう暑いし、買わないで帰ることにしたわけだ。
猪口男:でも、結局は買ってくれたんですね。
主人:そうなんだ。いったん会場を後にしたんだが、「暫く古伊万里を買ってないし、1,000円なら、ま、いいか!」と思い直して、取って返すことにしたんだ。
猪口男:定価の1,000円で買ったんですか?
主人:うん。1,000円だしね。これをまけろなんて言い出しずらいからね。貧乏コレクターのプライドもあるしね・・・・・。
ところが、その時、京都の女性のコレクターさんを思い出したんだ。その方は、およそ貧乏などとは縁遠い方なんだけど、値引き交渉をあざやかにやってのける、値引き交渉の名手なんだ。「ネギリノワタシ」と自称してるがね。
それで、「そっか。値引き交渉は、お金持ちがやる芸術なんだ!」と思ったわけよ。で、「よっし!それなら私も、貧乏コレクターのプライドなんか捨ててやってみるか!」となったわけさ。
でもね、いざやろうと思っても理由がないんだよ。もっと高額な物ならば、「これを買ってしまうと帰りの電車賃がなくなってしまうので、その分くらいまけてくれませんか?」とか「昼食代くらいは残しておかなければならないので、その分くらいまけてくれませんか?」とか、いろいろと理由があるだろうよ。それがね、1,000円じゃね。理由がみつからないんだよね。
だが、勇を決して言ってみた。「これ勉強できませんか?」とね。
猪口男:その時の店主さんの表情はどんなだったんですか?
主人:案の定だった。「なんだ、こいつ。1,000円の金も持ってないのか!」というような顔で、ジロリと私をにらみつけたね。そしてね、「こんな物はそんなに儲けてるわけじゃないんだよ!」と言ったもんだ。それはそうだろうよ。仮にタダで仕入れてきたとしても1,000円しか儲からないんだものね。
それでもね、私としても、いったん言い出したんだもの、そう簡単には引き下がれないから、「そこをなんとか!」と食い下がった。
猪口男:そうしたら、店主さんはどう返答したんですか?
主人:その時、ちょうどオバサン連中が3~4人古着を物色中で、店主はその応対に忙しいところだった。店主は古着屋さんだから、自然、メインの商品の応対の方に力が入るよね。それで、こっちの方はどうでもよくなったのか、面倒くさそうに、「800円でどうですか?」と返答してきた。
猪口男:二割も値引きしてきたんですか。二割の値引きというのは大幅値引きなんですか?
主人:まあ、普通だね。でもね、この場合は、なにせ1,000円の話だろう。ダメモトで言い出したことなもんだから、ものすごく嬉しく感じちゃった。それで即座にOKしちゃったよ。おまけに、「そのままで結構です。包まなくてもいいです。」と言って、裸のままで受け取ってきちゃった。
猪口男:どうして包んでもらわなかったんですか?
主人:1,000円を800円にしてくれたんだものね。申し訳なく思えてね。包む手間と包装紙代の経費を浮かせてやろうと思ったからさ。もっとも、包装紙代といっても古新聞紙1枚分だから、たいした経費ではないけどね。
ま、そういうわけでお前をつれ帰ることになったわけさ。
ところで猪口男、お前を見ていると、なんとなく、「朝顔に釣瓶(つるべ)とられて貰い水」という俳句を思い出すんだよ。それで、そのイメージから、お前の名前を「竹垣につる草文」としてみた・・・・・。どうだ、いい名前だろう。
猪口男:ご主人は、なかなか風流なんですね。
大変にいい名前です。気に入りました。
主人:そうか。それはよかった。
ちょうどこの時季にぴったりだね。それで今日出てもらったわけだ。
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