Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

染付 貝藻・線彫花文 隅切角皿

2021年09月18日 11時48分52秒 | 古伊万里

 今回は、「染付 貝藻・線彫花文 隅切角皿」の紹介です。

 

表面

 

 

裏面

 

 

裏面の右下部の拡大

山水文が描かれています。

 

 

裏面の左下部の拡大

雁が編隊を組んで飛んでいるところが描かれています。

 

 

裏面の左上部の拡大

山水文が描かれています。

 

 

生 産 地 : 肥前・有田

製作年代: 江戸時代前期(1660~80年代)

サ イ ズ : 口径;18.2×18.2cm 高さ;3.4cm 底径;10.1cm

 

 

 なお、この「染付 貝藻・線彫花文 隅切角皿」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところです。

 つきましては、その際の紹介文を次に再度掲載することをもちまして、この「染付 貝藻・線彫花文 隅切角皿」の紹介とさせていただきます。

 

 

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         <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー183  伊万里 染付 貝藻・線彫花文 隅切角皿 (平成25年7月1日登載)

 

  

 この角皿を眺めると、見込みには貝と藻が描かれ、外周の四隅みには花文が線彫りされていることが分かる。また、器形は隅切りになっていることが分かる。

 したがって、この角皿の名称は、「伊万里 染付 貝藻・線彫花文 隅切角皿」と、少々長たらしくなってしまった。

 裏面には、瀟洒な山水文が描かれている。

 ところで、この角皿の造形は変わっている。普通、この手のものは型に押しつけて作るが、この角皿の場合は、まずロクロでひいて丸皿を作り、しかる後に、パッ、パッ、パッ、パッと四方を切り取って角皿にし、更に四つの角をパッ、パッ、パッ、パッと切り取って隅切角皿にしている。そのためか、比較的に薄作りで、手取りも見た目よりも軽い。

 この類品は、柴田コレクションⅡ(図版編・資料編)314及び同総目録1230に登載されている。

 

江戸時代前期(1660~80年代)   口径:18.2×18.2cm  高台径:10.1cm 

 

 

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*古伊万里バカ日誌113  古伊万里との対話(貝藻文の角皿)(平成25年7月1日登載)(平成25年6月筆)

登場人物
  主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
  角 皿 (伊万里 染付 貝藻・線彫花文 隅切角皿)

 

 

・・・・・プロローグ・・・・・

 主人は、今回はどの古伊万里と対話をしようかと思案中である。一応、主人の家に来た順番に登場させているので、「押入れ帳」をめくりながら検討しているようだ。
 もっとも、単に機械的に主人の家に来た順番に登場させるのなら、なにも、「押入れ帳」を見ながら思案したり検討したりする必要もなさそうであるが、主人は、生意気にも、「仮にも人様に見せるのだから、いくらなんでも、こんな駄物を登場させては恥ずかしいな~」などと一人前のことを一人ごちている。
 その結果、やっとこさ、主人としてはまぁまぁ登場させてもいいかな~というものを選び出したようで、それを押入れから引っ張り出してきて対話を始めた。

 


  

主人: 暫くぶりだね。2~3年前に我が家に来たのかと思っていたが、「押入れ帳」を見たら、平成19年に我が家に来ているんだね。もう6年も前に来ているんだよね。月日の経つのは早いもんだ・・・・・。

角皿: そうですね。私も、ご主人と出会ったのは少し前だったような気がします。光陰矢の如しですね。

主人: ところで、お前と出会ったのは田舎の骨董市でのことだったな~。
 古伊万里など期待しないでブラブラと歩き巡っていたら、「オッ!」と目に飛び込んでくるものがあった。それがお前だった。こんな田舎の骨董市に、こんな素晴らしい物が並べられているのかと、一瞬ビックリしたよ。でもね~、近付いて、手に取ってみたら大疵があるんじゃないの。真っ二つに近い疵だものね。「なんだ。大疵ものか。やっぱりな~。こんな田舎の骨董市に、完品の立派な古伊万里なんか登場するわけがないものな~」とガッカリしたよ。しかも、値段を見たら、大疵もののくせに高いんだよね~! 二度ガッカリだった。

角皿: でも、最終的には買われたんでしょう。どうしてですか。

主人: うん。そうなんだ。お前のことを手に取ってしげしげと見ていたら、店主が近寄ってきたんだ。それからの、店主と私との会話は次のようなものだったな。

 

店主: これと同じ物が柴田コレクションに登載されていますよ。良い物ですよ。

私: そうですか(最近の骨董店の店主はよく勉強しているな~と感心)。どうりで人目につくわけだね。
 だけど、随分と疵がひどいんじゃないの!

店主: お客さん、それはしょうがないですよ。これだけの物ですからね。これが完品なら高くて私等のような者には仕入れられませんよ。それに、完品だったなら、とっくに東京の一流店に並べられていますよ。

私: それにしちゃ、大疵なのに値段が高過ぎるんじゃないの!

店主: それはそうですが、これが競りにかけられた時、業者の皆さんも、同手が柴田コレクションに載っていることを知っていて、だんだんと競り上がってしまって、結局、高い仕入れになってしまったんです。

私: そうですか。まっ、値段が気に入らないけれど買うことにするか。

店主: ありがとうございます。気持、勉強させていただきます。

私: それはどうも。

 

と、以上のような経緯があってお前を買うことになったわけだ。
 その後、家に帰って調べてみたら、確かに、お前と同手が柴田コレクションに載っていることがわかった。 

角皿: あの~、図録なんかに載ると高くなるんですか。

主人: 一般的にはそうだね。
 だって、店主から、「お客さん。これは、ほら、同じ物がこの図録に載っていますよ!」と言われ、図録を見せられれば、見せられた方は、「なるほど、図録に載るほどに良い物なんだ。名品なんだ。」と思うし、作られた時代なんかも図録に書いてあるから安心もするしで、少々高くともお客は買うことになるからね。
 そんなこともあって、業者の方はよく勉強してるね。本や図録は商売道具でもあるね。
 だけど、ここで、図録に載っているからといって、それを鵜呑みにしないことだね。図録に載っている場合でも、1~2、注意しなければならないことがあるね。

角皿: それはどんなことですか。

主人: まず、美術館発行の名品図録なんかに載っている物と同じような物に出会った時は要注意だね。まずは疑うべきだね。

角皿: どうしてですか。

主人: だってさ。世の中にそんな名品がそこらじゅうに転がっているわけがないんじゃないの。
 だけど、世の中の人は、美術館にあるような名品を欲しいわけだよね。そして、世の中はうまく出来たもので、そうした要求に応えるべく、名品とそっくり同じ物を新たに作り出すわけだ。いわゆる偽物を作り出すわけだね。だから、名品とそっくり同じような物に出会った時は注意しなければならないわけだ。ユメユメ、飛びついたりしないことだね。

角皿: 他に注意すべき点はどんなことですか。

主人: うん。図録の中でも柴田コレクション図録に載っている場合かな。

角皿: どういう理由からですか。

主人: それはね、柴田コレクションの場合は、時系列的に、また幅広く、伊万里のいろんな分野にわたってコレクションをしているんだ。名品もそうでないものも含めて、美術品のみならず研究資料をも含めてコレクションしているんだ。だから、柴田コレクション図録に載っているものはすべて名品であり、高価なものと思ってはならないということだね。
 柴田コレクション図録に載っている=名品=高価な物、というように単純には考えないほうがよいということだね。

角皿: それでは私の場合は名品ではないということですか、、、?

主人: 個々の事案についてはコメントを差し控えたい(爆)。

 

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 また、この「染付 貝藻・線彫花文 隅切角皿」につきましては、上の「古伊万里への誘い」の中でも話題にしていますように、この類品が、柴田コレクションⅡ(図版編・資料編)314及び同総目録1230に登載されているところです。

 そこで、参考までに、この類品を、次に、柴田コレクション総目録1230から転載して紹介いたします。