今回は、「色絵 金銀彩 花束文 小壺」の紹介です。
なお、この「色絵 金銀彩 花束文 小壺」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところです。
つきましては、その際の紹介文を、次に再度掲載することをもちまして、この「色絵 金銀彩 花束文 小壺」の紹介とさせていただきます。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー230 伊万里赤絵金銀彩花束文小壺 (平成29年7月1日登載)
正面(仮定)
正面の裏側面
蓋の上面
金銀彩はほとんど剥げ落ちている。
3時の方向に、若干、銀彩が濃く残っている。
本体の底面
蓋を開けたところ
金銀彩はほとんど剥げ落ちている。
蓋の裏面と本体の底面
写真は実物よりも大きくしてある。従って、実物は本当に小さなものである。
一見、ヒナ飾りにでも使用した、オモチャかと思わせる。
しかし、子細に見てみると、決して、オモチャなどではないことが分かる。
れっきとした実用品のようである。
だが、こんなに小さな器は、何の目的に使われたのだろう?
珍味でも入れたのだろうか、、、?
小さいのに、インパクトがあり、存在感がある。
そして、華やかで、愛らしい(^-^;
金彩で花束文が描かれたようであるが、金彩のほとんどが剥げ落ちてしまっているため、正確には、何が描かれていたのか分からない。
また、銀彩も使用されているようであるが、蓋の文様の一部に銀彩で花を描いた痕跡が1か所認められるだけで、その他に何処に使われたのかは分からない。
赤釉の他に金銀彩が使われているので、これまた「金銀彩」という範疇に属するのであろう。
「金銀彩」については、前々々回の「古伊万里ギャラリー227 伊万里古九谷様式色絵金銀彩鳳凰文中鉢」や、前々回の「古伊万里ギャラリー228 伊万里古九谷様式色絵金銀彩蝶形小皿」の所でも紹介したが、
『[伊万里]誕生と展開─創成からその発展の跡をみる─』(小木一良・村上伸之著 創樹社美術出版 平成10年10月1日刊)によれば、「伝世品類、生産窯出土陶片、及び消費地遺跡出土品などからみる限り、金銀彩は明暦初期頃から始まっていると考えられ、その多くが万治、寛文前半期の頃に集中しているように思われる。」(同書P.232)
とのことである。
万治、寛文期頃に作られた小品には、比較的に薄作りで、厳しい造形のものが多い。
この小壺も、小さいわりには厳しい造形であり、万治、寛文期頃に作られたものであろう。
生 産 地: 肥前・有田
製作年代: 江戸時代前期
サ イ ズ : 高さ:5.0cm(蓋共);3.6cm(本体のみ) 蓋口径:5.0cm 本体口径:4.8cm 本体底径:3.2cm
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*古伊万里バカ日誌158 古伊万里との対話(金銀彩の小壺)(平成29年7月1日登載)(平成29年6月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なご隠居さん)
小 壺 (伊万里赤絵金銀彩花束文蓋付小壺)
・・・・・プロローグ・・・・・
主人は、例によって、「押入れ帳」をめくり、今日の対話の相手を捜していた。
幸いなことに、「押入れ帳」の記載内容によると、今日の対話の相手は、買ってきて以来、一度も押入れに入れることなく、床の間の違い棚に飾ったまゝになっている古伊万里であることを知り、そこから手元に移し、さっそく対話を始めた。
主人: お前とは毎日のように顔を合わせているので、「暫くぶり」ということではないね。
小壺: そうですね。毎日のように顔を合わせることが出来て嬉しいです(^-^;
主人: お前のことは、平成25年の3月に購入しているから、もう4年以上も毎日のように顔を合わせていることになるね。
小壺: そのようなケースは、ご主人の所では珍しいんでしょう。
主人: そうね。特に東日本大震災以後は、大地震が恐ろしくなり、買ってきてまもなく押入れに入れてしまうケースが多かったからね。
東日本大震災は平成23年の3月にあったわけだが、その当座は、それを徹底していたかな。でも、だんだんと、喉元過ぎれば何とやらで、それも徹底しなくなってきたね。大震災から2年後の、お前を買った平成25年の3月頃となると、だいぶその危機感も薄れてきてしまったようだね(><)
それに、お前は小さくて愛らしいし、「小さな物なら大地震の際でも被害を受けないだろう」との屁理屈をこね、床の間の違い棚に置いたまゝになってしまったんだ。その後、買ってきてすぐに押入れに入れない古伊万里がだんだんと増え、今では、結構な数が床の間の違い棚に置かれているかな。
小壺: 心配しないんですか。
主人: 心配は心配だけど、やはり、気に入った古伊万里は、身近に置いて眺めていたいからね。
小壺: 私は、大地震後の、すぐに押入れに入れない先例となったようですが、ご主人は、私のどこを気に入ったんですか。
主人: そうね。先ずは、気に入った所ではなく、逆に、気に入らなかった所は、値段かな(笑) 小さいのに高かったんだ(><)
ただ、お前は、小さいのに、その存在感が大きかった。インパクトがあったね。「山椒は小粒でもぴりりと辛い」と言われるが、そのとおりだった。しかし、値札を見て、ちょっとびっくりはしたがね。私の予想をかなり超えていたから・・・。
当初、お前は、ヒナ飾りなどに使用されるオモチャかなと思ったんだ。そんなオモチャみたいな物だとすれば高過ぎるなと思ったわけだ。でも、よく見ると、作りは真面目で、しっかりしていて、大きな器と遜色がないことがわかった。むしろ、大きな器よりは出来がいいことがわかってきた。しかも、金彩と銀彩は剥げ落ちてはいるが、器体には傷がなく、蓋までちゃんと残っているものね。それで、それなら、まっ、その値段でもしょうがないのかな~と思うようになってきて購入したわけさ。
それで、家に連れ帰って床の間の違い棚に置いてみたら、なかなか家の雰囲気に合うんだよね。小さいのに存在感たっぷりなんだよね。小さいのに、周りを華やかにしてくれるんだよね。これで、更に金彩や銀彩がよく残っていたなら、もっと華やかにしてくれるんだろうな~と思った。そんな所がお前を気に入っている所かな。それで、ず~っと、押入れに入れないで身近に置いているんだよ。
小壺: そうですか。それはそれはありがとうございます。
ところで、私は、何に使用されたんでしょうか。
主人: う~ん。使用目的は何だったんだろうね。
器の使用目的なんてものは、特別に「〇〇専用」として作られた場合を除き、特に決まってはいないだろうね。いろんな用途に使うことが出来るんだと思う。ただ、お前の場合は、珍味入れなどに使われたのかもしれないね。
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用途は何でしょうか。
これだけの造りの品ですから、かなりの稀少品を入れたのでしょう。西洋なら香辛料でしょうか・・・・
ひょっとしたら初期の輸出品?
最初見たときは、雛飾り用のものかと思いました。
用途は何だったのでしょうね、、、。
確かに、かなりの稀少品を入れたのでしょうから、西洋なら香辛料を入れたかもしれませんよね。
そうであれば、「ひょっとしたら初期の輸出品?」というような妄想も浮かびますね(笑)。