25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

歯科医院で黄昏流星群

2018年12月25日 | 
 とうとう観念して、歯医者さんにいくことにした、上の奥歯がグラグラしている。やはり年の瀬なのか、スッキリしておきたいと思う。久しぶりに行ってみると、いつもは客の姿をみたこともないのに、今日は5人もいる。いったん帰って待つか、別の日にするか考えたが。ええい、そのまま待とう、と決心が揺らがない策を選んだ。

 待つ間、「ビッグコミックオリジナル」を久しぶりに読んだ。三回分の「釣りバカ日誌」と「深夜食堂」と「黄昏流星群」を読んだ。
 黄昏流星群は出始めたときと今回とでは「黄昏時」が変わっていた。以前は五十代の主人公が多かった。それが六十代後半、七十代となっている。人生百年時代となったのだから、漫画も七十題はまだまだ若い風に描いている。
 今日の話はこうだった。主人公の男は会社役員を引退して66才であり、暇をもて余している。忙しかった時代を懐かしんでいる。妻には先立たれていた。こどもたちは別のところでそれなりに暮らしている。あまりにもすることがないので、ボランティアでもしようと登録にいく。あれこれと面談しているうちに女性係員が、ご老人の見守りをしてもらえないか、と依頼があったことを思い出す。男は人の役に立てるならそれいいか、とおもって引き受けるもである。

 依頼先に行ってみると、息子らしき男が、母は認知症で、6時には帰るので、よろしくお願いいたします。必要なものが買っていただいて領収書をとっておいてくれればすぐに払いますから、と、息子は印象も悪くない。母親の方はテレビをぼんやり見ているだけで、何を話すわけでもないが、この女性はどんな人生を送ってきたのだろうと考えるだけでも楽しいような気がする。彼女は73歳である。ボツボツと会話をする時もある。
 この活動に慣れてきたころ、女性が散歩したい、と言い出す。付き添って坂の道を歩いていくと、途中で、トイレに行きたいと女性が言い出した。公園かコンビニのトイレに行きましょうと男は言うが、女性はウチのでないとイヤだ、と言って戻ろうとしたとき、すでに女性は失禁していることに気づいた。それが大の方なのか小のほうなのかわからないが、彼は女性を風呂場で下の世話をすることになる。黙ってシャワーで流され、お尻を拭かれ、一段落すると、女性が突然に豹変した。言葉使いも表情もまるで正常人である。歳よりも若くすら見える。「私は芝居していたのだ。sなたは合格。わらしの息子は娘の婿で、娘が死んでからも、この家から出ていかないの。わたしが病気になって介護が必要になったとき、あの義息子はどうするのか、みてみようと芝居をしてみたのという。そして義息子は必ず出張を復活させると思うから、その時がきたら、鳥取砂丘に一緒に行ってほしいの、と彼は頼まれる。鳥取砂丘は星取砂丘と呼ばれるほど星が多くて美しいのだという。
 ここまで読んで、ぼくの番がきたので、さてどうなるのか、読めなかった。また今度きた時にでも読もうと思っているが、保管されているだろうか。話はどうなるのだろう、とちょっと気になる。
 一ヶ月もイライラしていたのがわずか十分でかたがついた。もっと早くくるべきだったと歯医者にくるといつも後思いする。