=118 ~木の因数分解~(家具工房つなぎブログ)

南房総でサクラの家具を作っています。ショールーム&カフェに遊びにおいでください。

創造的破壊? 「岸和田だんじり祭」

2009年03月14日 | 【出張】木を感じる旅~西日本編~
(2009年3月14日)

祭りと言えば、「岸和田だんじり祭り」と答える日本人も多いと思う。
そのくらい有名な岸和田だんじり祭りは、交差点を勢いよく曲がっていく「やりまわし」がテレビの放送でもよく流れ、
とりわけ有名だが、私は「やりまわし」の他にも「彫物」や「お囃子(鳴物)」も特筆すべきものだと関心を持っていて、
昨年「平成地車見聞録」というだんじりの鳴物や当日の様子を音だけで捉えた、ある意味マニアックなCDを購入しています。

祭りのハードの部分である「だんじりの形と彫物」、
ソフトの部分である「やりまわしと鳴物」が高度な次元で融合し、
またそれらを担い伝承していく地域の「人の力」が素晴らしいと考えたわけです。

昨日、岸和田に着いて「だんじり会館」を見学し、
またそこで急遽紹介していただいた本日のイベント「摂河泉の神賑わい」に参加して、そのパワーを実感することができました。

ある岸和田人いわく、「だんじり祭りが一番。しかも一番の前に必ず絶対がつくから」と、
いかにも大阪人らしい表現が真であることの理由は、
「平成の世になってから既に泉州地域で100台以上のだんじりが新調された」という事実に集約されていると私は思います。

最近の金融危機はさておき、この平成という価値観が多様化した現代において、
「1台1億円以上」
の費用を要するだんじりの新調を地域住民の寄付によって実現させてきました。

新調する理由は、
もちろん中にはだんじりの老朽化もあるようですが、
何人かのお話を聞いてみると

「新調したほうが盛り上がるから」、
「気分がいいから」、
「立派なだんじりにしたい」

といった至極積極的な理由です。
私の地元、いや日本のほとんどの地域がだんじりや山車、屋台を所有していても、昔の1台を大事に使い、
現代において絶対的な必要性がないのに新調するということを考えている地域はほとんどないと思います。

昔のものを使い続けるのではなく、新しいものを作り出す。
この精神と行動が、私は岸和田だんじり祭りを世界有数のお祭りにしている所以だと考えます。



新調することによって大工、彫物師はたまた提灯やその他祭礼道具の職人に仕事が生まれ、仕事の存在によって技術が磨かれ、後輩へ技が伝承がされ、さらに新しい創意工夫が生まれてくると思うのです。

また当然新調するにあたって各町内は寄合を重ねることで地域の結束が強まっていくそうです。

(だんじり会館でだんじりの模型の上で舞いの真似をする子供)

「形あるものはいつか滅ぶ」

というのは世の条理です。とりわけお祭りにおけるだんじりの曳行ややりまわしは、そもそもものが壊れていくことを前提としているかもしれません。
それを積極的な新調によって常に新陳代謝を繰り返していく。
そうすることで、実は祭りの心と人々の結束を永続させていくことにつながっているのだと思いました。


(市内の洋服店で見かけた だんじりの屋根の形をしたハンガー)
コメント
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