=118 ~木の因数分解~(家具工房つなぎブログ)

南房総でサクラの家具を作っています。ショールーム&カフェに遊びにおいでください。

根来塗りの根来寺

2009年03月15日 | 【出張】木を感じる旅~西日本編~
(写真:庭園の建物内にあった小さな仏様)

岸和田行くのに、海側を通るよりこっちの山のほうが近そう。

この投稿のカテゴリーどおり、まさしく「木のむくまま」通過したのが根来寺。

そういえば、この前お会いした前の会社の方が言っていました。

「私、最近根来塗り非常に興味持ってるんだよね。行きたい」

と。

「すいません、先に行かせて頂きます」

と心の中で軽く謝り、根来寺に向かいました。


根来寺で一番有名な建物は、国宝の大塔。
とにかくデカイ搭です。
普通の大きなお寺の本殿に、二層目をつけて搭にしてしまったと思うくらいの大きさです。


重そうな二層目の軒を支えるために棒がありますが、この棒は法隆寺などにもありましたが創建当初はなく後世にその補強として入れられていたそうです。
しかし、お寺の方に聞いたら「こちらの搭は創建当初からあるんですよ。設計ミスで重くなってしまったんですって」と教えて頂きました。

昔の匠もミスしちゃうんですね。そこがなんだか人間味があって気に入りました。

しかし、その大塔の壁には「豊臣秀吉の弾痕」もあり、歴史の厳しさも同時に感じます。

「俺、当時ここに立っていたら撃たれていたな」
などと、どうでもいい想像を働かせるのでした。

春を目の前にやけに寒い一日で、小雨がぱらついていましたが霞んだ山寺の雰囲気がまたいとおかしでした。

しかし、残念ながら根来塗りの伝統については、上記歴史の中で各地に飛散、伝承されましたが、逆にここ根来寺にはそれほど多くの伝統は残されてはいないようでありました。
残念。


◆お地蔵さんも寒いのかな?帽子かぶらされています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大きな木のおもちゃで遊ばせてもらってるんですから

2009年03月15日 | 【出張】木を感じる旅~西日本編~
(2009年3月15日)

「俺達、一年に一回、大きな木のおもちゃで遊ばせてもらってるんですから」

祭りをやるためにはだんじりが必要。
だんじりを作るためには木が必要。
その木が今、どんどんなくっている!

そんな事実を前にして、100年後のだんじり祭のために木を植える活動を始めた人がいる。

それが萬屋さんの「泉州だんじりの森プロジェクト」です。

だんじりは部位によって使われる木材が異なります。

・本体・・・ケヤキ
・前梃子・・ヒノキ
・車輪・・・アカマツ
・後梃子・・シラガシ



折からのだんじり新調ブームですが本体のケヤキ材は国内では既に希少になりつつあり、
(だんじりの重さは約4トン、材料はそれの3倍のケヤキが必要なそうです)
車輪に使われるアカマツも昔は地元泉州でとれていたものが今はなく県外に依存している状況だそうです。

特にこの車輪、地元ではコマと呼ぶそうですが、この利用量にびっくり。
私の常識では数年とか10年に一度くらいで交換すればいいものかと思っていたら、なんと寿命は走行距離10キロだとか。
したがって、祭礼中に履き替えを行い、一町内で一年に6~10個のコマが消費されているそうです。
泉州にはおよそ270台のだんじりがあるそうなので、年にすると1600個くらいのコマが消費されているというからこれはもうただごとではありません。

「俺達、一年に一回、大きな木のおもちゃで遊ばせてもらってるんですから」

そう言う「泉州だんじりの森プロジェクト」代表の萬屋さんの言葉に大変共感しました。

→泉州だんじりの森プロジェクトブログ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「摂河泉の神賑わい」

2009年03月15日 | 【出張】木を感じる旅~西日本編~
(2009年3月15日)

「摂河泉の神賑わい」は、岸和田市を中心に今年2回目を迎える祭礼に伴う伝統文化を紹介していくイベントで、
今年は「摂河泉」とあるとおり、摂津、河津、泉州という大阪府全体に範囲を広げました。

時間も、12:30~21:00までとボリュームたっぷりの内容でした。

冒頭、民の謡の森田さんより、

祭礼とは、神事と神賑から構成されていて、
→神事・・・「神様を祀る」・・・・例祭式、神輿・・・・・・・・神様中心
→神賑・・・「神事を盛り上げる」・だんじり、獅子舞、相撲・・・人中心

というわかりやすい説明があり、各地にあるだんじりや山車、獅子舞なども形は違えど、神事を祝い盛り上げるための活動だという共通点が理解できました。

中でも面白く希少であったプログラムが「彫物師の座談会」です。

彫物師はだんじりを支える裏方になる方々で、普通お会いすることもなかなかできないと思います。
しかも壇上にあがった皆さんは、まだお若いんですね。30代40代です。まずはこれにびっくり。

しかし壇上にプロジェクターで映し出される彼らの作品、「合戦もの」の彫物は迫力感と緻密さに溢れていて間違いなく匠の技を感じます。
正直どうやったらこんなものが彫れるのかと思ってしまいます。

正面土呂幕の超立体的な彫物は5枚くらいの板を重ねて、レイヤーのような要領で見せているそうです。
この部分は、匠が合計4ヶ月くらいの時間を費やして完成させるそうです。

最近は、施主さんである町内からの要望も多く資料持参が増えてきているそうです。
彫物の大事な部分はバランスで、
もちろん史実に基づいていますが構成によっては歴史では対面していない武将同士を同じ板内に登場させ彫物を盛り上げていくそうです。

また岸和田では、講談といってだんじりの彫物を使ってそのエピソードを紙芝居のように聞かせる催しも行っているそうです。
これは目と耳で学習でき、地域の財産だんじりを有効活用しているとてもいい事例だと思います。

最後は岸和田出身の3名が、本日の会をまとめるのですが、ほとんど岸和田のお話に終始。
当たり前ですよね、これだけ岸和田の祭りが好きなんですから。
ややもすると外の居酒屋で見かけそうな会話かもしれませんが、私の地元の飲み会もこのような雰囲気です。祭りのことだけで一晩話し続ける。
とてもいいことだと思います。

「だんじりを曳き疲れて道路に座ったときの角度から仰ぎ見たあの彫物がなんとも言えぬ。彫物師は、この角度を計算に入れていたに違いない。」
とか。


そして本当に最後、森田さんの言葉で共感した点が2点。

「笛の旋律が甘くなったり、掛け声が変わってきている。守るべきものは守り、『変わる』のではなく、意志を持って『変える』ことをしていきたい。」
「神賑から神をとったら単なる賑わい、イベントになってしまう。そのようなことはしてはならない」

祭りをはじめあらゆる物事に通じる大事な考えだと思いました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする