ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

大寒の日に庭でオイル交換する いや暖かかったもんですから

2025年01月26日 | 日記・エッセイ・コラム


昨年の長い夏のあとやっと訪れた遅い秋

そして暮れから年明けにかけてのちょっと早くて強い寒波

予報によると今年の寒さは大寒を前にもう底を打ったと云う

寒い時には寒さを感じたい、と思うが

大抵のひとは寒いのは嫌いであろう

これはこのごろさらに拍車の掛かる天邪鬼のせいか

つまりは所詮世捨て人の楽しみでしかなくあまり理解されない

とは云うものの寄る年波には逆らえず

寒風に晒されるとお腹が冷えて途端にくだるのだ

何ともカッコ悪い話でもある



日の出の前に庭に出たら野天晒しのクルマのガラスがびっしりと凍っていた

雲ひとつない空は放射冷却がきびしかったようだ

昨夜、明日はちょっと(オートバイで)走ろうかな、なんて考えながら床に就いたが

こんな寒さ具合では腰が引ける

まあ9時にもなれば状況も変わるだろうと

のんびり朝食を取りテレビでどうでも良いプログラムを見てやり過ごす

コーヒーを淹れようか

でもコーヒーを淹れてしまうとさらに腰が重くなりそうで

暖房で結露した窓を指で拭って外の様子を見やる

風はなさそうだ

この分なら気温は上がるだろう

意味もなく頷いていそいそと支度を始める

クローゼットからウェアを引っ張り出し

クロ介のエンジンに火が入るまでそれから5分と掛からなかった



クロ介(BMWエアヘッドフラットツイン)はイグナイター交換で復活

夏場より2秒だけ多くクランキングして盛大に目覚める

マフラーから白い蒸気を吹き出し

センタースタンドで上がった後輪がゆっくりと回る

ハーフチョークへ戻してさらに暖機運転する

リアホイールの回転が止んだのを見てスタンドから降ろし漸くシートに跨る

チョークをすべて戻して

その代わりに少しだけスロットルにテンションをかけ回転を維持する

コンピュータが全部やってくれる今のオートバイと違って

真冬のエンジン始動にも個体ごとの違いがあってとてもおもしろい

こういうところに趣味性があるのだ

インジェクション仕様のSR400のキックスタートなんて

簡単すぎて趣味性の欠片もない

キックスタートごときでノスタルジックなどと云う勿れ

そもそもノスタルジーなど趣味ではない



ボクの住まう愛知県は西の尾張と東の三河で成り立っている

どちら側も互いにあまりよく思っていないのは地方あるあるか

知多半島の付け根辺りで三河湾にそそぐ境川が文字通りの境界になる

三河はさらに東と西に分かれる

矢作川が作る平野部が西三河

豊川が穿つ山間部が東三河

夏の間はほとんど東三河の高原地帯を走っているが

冬になると西三河の海辺へ行くことが多い

岡崎平野の南東部には低い山が連なるがそこにはワインディングも多い

だから冬になるとワインディングを抜けて浜へ出て海を眺め

また別のワインディングで戻ってくる

そんな繰り返しだ

2月の下旬になればまた山へ行けるのでせいぜい2か月くらいだが

その間は幡豆や幸田の農道が主な生息場所になる

まるで冬の陽だまりにある川の淵をうろつく鮒みたいに…

それでもオートバイに乗って走ることは本当に楽しくて

帰ってからもしばらく思い出し笑いみたいにずーっとニソニソしている

夜、布団に入って眠りに就くまでずっと心が浮かれているのだ

まったく呑気なもんだ

そして御目出度くもある

いい歳をしてオートバイに乗られることがうれしくて仕方がない

それも若いころからもう何十年も乗り続けているのにだ



「大寒」だからと身構えて迎えた朝

そうでもない

庭に陽が当たりだしたら風もなくぽかぽかだ

ほんじゃー、と

伸ばし伸ばしにしていたSR400のオイルを換えてやることにする



ヤマハのオイルチェンジキット

割高なんだけど一度使ってそのラクさにやられてしまった

こんだけ全部そろってるから本当に楽ちんなのよ

いや贅沢か

  

ドライサンプのSRはフレームのダウンチューブがオイルタンクになっている

だからフレームのこの小っさなドレンプラグからまずオイルを抜く

プラグを抜いた途端にシャーっと飛び出すので養生が必要

(フロントタイヤがオイルまみれになっちゃう)



エンジンの下部にもドレンがあるのでその後ここからもオイルを抜く

ドレンのすぐ下にレギュレータがあるのでこれもテープで養生する

15分ぐらい放置したらドレンプラグのシールを交換して

規定トルクで締め付ける

ステアリングヘッドのすぐ後ろタンクのくぼみに顔を出している

レベルゲージ付きのキャップを開け

ヤマルーブ プレミアムシンセティックをまず1.8リットル注入

試走後にレベルを見たら下限の少し上だったので残りの200ccを継ぎ足す

ゲージは半分くらい

規定では2リットルちょうどだけど2リットルでは少ないのかな

まあ様子見だ

今回はオイルフィルターは交換しないのでこれで終了

暖かくて作業日和だった、大寒なのに



こんなに暖かいと山のワインディングへ行ってみたくなる

山中に植えられたスギやヒノキの林が遠目に茶色っぽく見えるけど

なんせ枝先には花がびっしり付いて花粉の噴射が準備完了

だからきっともう行けるのかもしれないけど

路面温度のことを考えると楽しくは走れないのかなとも思う



いまは海辺でのんびりコーヒーでも淹れて

もう少し春を待つことにしよう


2025年 年頭所感など

2025年01月07日 | R100Trad (1990) クロ介


新たな年が明けました

あけましておめでとうございます

なんですけど、この云いまわしちょっと違和感ないですか?

新年を迎えたことを寿ぐ訳だが

何がそれほどめでたいのか現代人には正直ピンとこないだろう

元旦から七日までを松の内として祝い

七日目の朝、七草がゆをもって日常へ戻る

それほどこの新年を大切にお祝いするにはもちろん訳があって

これは人がいつ命を落とすかわからなかった時代だからこその感覚であり

これだけ恵まれた環境境遇で生きていられる現代人には

もうすでに伝わらない価値観となっているからだろう

けれど21世紀を生きる我々でも

歳を重ねて少しでも身体に不調をきたしたりすれば

途端にこの「あけましておめでとう」が胸に沁みてくるはずだ

楽しみに待たれよ

いずれはだれの身にも訪れる境地なのだ



さて

世の中にはいろいろな人がいて

そして各々にそれぞれの考えがあるもの

だから最近では個人、個性を尊重しようという風潮が強い

しかし人間には、というか人間社会には同調行動を重んじる向きもあり

それが時に個人を無視して恐ろしいほどの潮流となることもある

個人個性の尊重は世間ではすでにガンジガラメと成り下がり

これは天邪鬼的にはとてもおもしろい状況で

「個性を大切に」という「同調行動」になってしまっているからだ

つまり社会に関わる時、人はみなその影響を受けざるをえないということで

周囲からの働きかけによって動き出す自我は

欲と欲のぶつかり合いという葛藤を経て

気付けば我利我利のこころにまで落ちていく

「意馬心猿」という言葉があるが欲に突き進む心はそれほど制御不能なのだ

自分のこれまでを顧みれば

その業の深さに情けなくなるほどの醜い生き様であったが

はたして、社会からドロップアウトした途端

うそみたいに憑き物はきれいさっぱり落ちて

生涯の中でこれほどピュアに生きていられる日々に

我が事ながら感謝しているほどだ

なにも「悪い事」を考えなくていいし、また考えることもない

善人振りながら醜い自分を横目に見て生きることの地獄から解放され

ゆったりと安心して日々を暮らせている

人と関わることで自分を汚く見失う性質の向には

早々隠居することをお勧めする



定年後の暮らしを退屈で無意味だと嘆く人がおられるが

それも価値観の物差しを自分の外に置いているからで

自分をいったいどれほどのものと認識してきたのだろうかと

哀れにも感じる

人間なんて所詮ゴミ屑みたいなもんだと理解すればいい

これは諦観だが

諦観とは諦め卑下することではもちろんない

出来ることと出来ないこと

なれるモノとなれないモノ

かなうこととかなわないこと

これをよく吟味して明らかにすることを諦観というのだ

「絶対に」「どうしても」という言葉が口から出るとき

人は原理主義に落ちている

原理主義の正義はとても不幸だ

晴れた朝、青空を見上げながら

熱いコーヒーを啜り

あー今日は晩酌の宛てに魚でも煮て食うか、と考える

それ以下でもなければそれ以上でもない

これが退屈か?

なら風の止み間に庭の落ち葉でも掃いて焚けばいい

縁側に座布団並べて昼寝しながら屁をこいてもいい

やっぱり無意味か?

それじゃあネコに聞いて回ればいい

「生きるとはいったい何なのでしょう?」

多分ネコはこう云う

「ニャーーーーーーー」とね

とにかくなんの悪い考えも浮かばないこの日々は最高だ

ボクもやっとネコの境地に辿り着いたのかな

いやピテカントロプスか



昨年末にちょっとトラブったクロ介(R100RSもどき)

寒い朝の始動に緊張する

が、そこは難なく1発で目覚めてくれた

どこへ行こうか、と考えながら

やはりここへ来ていた



ここ最近の冬は幡豆のこの海岸が定番だ

途中で形原の漁港を渡る大きな橋を渡り

わざとらしいパームツリーの海岸に出た

三河湾を渡る風が強くてクロ介がぐらぐらと揺れる



エンジンは相変わらず絶好調

イグニッションコントローラーの不調だったが

思い出してみると、謎のエンストにたまに見舞われていた気がする

あれは壊れる前兆なのかも

とにかく今年はクロ介に頑張ってもらわなくてはいけない

夏には北海道を走らせてやりたいのだ



そのあと久しぶりに広域農道幡岡線に入った

予想してはいたが昨日しっかり降った雨がまだ乾いておらず

落ち葉が路面に広がって全く楽しめなかった

それでも今年最初の散歩はやっぱり楽しかった

冬はあまり遠出もしないし山へも行けない

ヤマハのコミュニケーションプラザに行ってみようかなとか

雪をかぶった富士山見に行こうかなとか考えはするけど

どうかな

やっぱ行かないかも



ということで

今年もどうぞよろしくおねがいします


来年のことを云うと鬼が笑うそうですよ ならばやはりここは今年の恥をしっかり胸に刻みましょう

2024年12月27日 | 日記・エッセイ・コラム


今年の冬は厳しそうな気配だ

いやいや天候、気候なんてものは気まぐれもいいところ

だからじきに調子っぱずれのような具合になるのかもしれないが

まあそれにしても年末に向けての今日この頃は

しっかりと寒い寒い日々が続いている



SR400が車検から帰ってきたと思ったら

クロ介(R100RS擬き)が壊れた

クリスマスに向けて冬型が強まり

次々と強い寒気が南下してくるようなので

風もなくよく晴れたその朝

クロ介を引っ張り出して今年最後の「巡回」に出掛けるつもりだった

毎年寒くなってくるとやや始動に危うさを感じるが

それでも少し長めにセルモーターを回すくらいで

「困難」と云うほどのものではなかった

この日は冷え込んで9時を過ぎてもまだ3℃程の気温だった

昨日一日充電器に繋いでおいたのでセルはグルングルン回った

なのにクロ介が始動する気配が無い

バッテリーを休ませながら5回繰り返すがダメ

マフラーから生ガスの匂いが強くなったので

チョークを閉じてスロットルを開けてみるがやはり無反応

流石にバッテリーは枯れてきてセルも怪しい

どうしたんだい?ヘヘイ、ベイビー

バッテリーはビンビン(だったのに)

こんな朝にお前に乗れないのかよ

と、余裕噛ましても掛からないものは動かない



仕方なくクロ介はガレージに戻して再び充電器に縛り付ける

今日はもうフラットツインの股ぐらになっちまってるもんで

ビッグシングルをキックしてもノリが悪い

頭の中でグルグルするのはクロ介のことばかり

だったんだけどそこは現金なもので

いつものコーナーですっとSRのスリムな車体をリーンさせると

途端に唇の端が歪む

よしよし今年最後はお前で締めくくるよ



寒さもそうだが今年は記録的にこの時期の降雨が少なくという

少なくというか、全く雨が降っていない

空気もバリンバリンに乾燥しているせいか

ちょっと前に比べて路面の湿りが少ないみたいだ

山からの水は凍るがその出方もかなり少ない

朝方の冷え込みの強さに比べて霜の付き方もなんだか薄いのだ

もちろんその分凍結の心配は少ないのだが

路面温度はさらに下がっているので

一旦停止からの左折なんかでリアがグリュっと来ることもある

調子に乗って夏みたいにバンクしてスロットルをぐりーなんてのは進められない



1週間前に来た時より確実に季節は進んで

色付いた葉が残っていた木々もすっかり丸裸になった

乾燥した初冬の空ははるか成層圏まで澄み渡り

その青さを一段深くした

さすがに椅子を広げてのんびりなんて気にはならない

涼風(の里)の軒先に出されたままの椅子をちょいと拝借

ゆるいけど吹き付ける冷たい冷たい北の風を避けて

ありがたくも差し込む冬の低い太陽に目を細め

日向ボッコとしゃれこむ



もういつから嵌めているか分からないJRPの冬用グローブ

ツヤなんて当に無くなってるだけでなく

革が毛羽立って表面はガサガサだ

エンジンに触って表面を火傷させたりした大きなキズもある

嵌め心地と操作性がボクの手にフィットしているせいか

他のメーカーのグローブも新調しているのに

こいつがなかなか手放せない

若いころはグリップヒーターだ、電熱ベストだ、とやってきたが

逆に歳を重ねて真冬の指の冷たさに冬を感じる喜びを知った

指先の冷たさには人一倍弱いはずの自分だけど

この凍える指先に冬のライディングのプレジャーがあるのだ

気温一桁の空気の中を走ると

30分くらいで指先は凍えてくる

でもここからさらに指先が痺れるまで行くにはかなり時間がかかるものだ

何をそんなに我慢してまで、とニヤニヤしながら走るのだ

そして自販機の缶コーヒーを握り締める

だからいつもボクのコーヒーはぬるい



翌日、クロ介に清掃済みの使い古しプラグを付け

慎重にセルを回してみた

結果はまあ予想どおり全くダメ

JAFを呼んでピックアップしてもらう

そのままテックMCに入院になった

イグナイターが死んだらしくて

テックにたまたまあったイグナイターを付けたら始動したらしい

純正の在庫が国内になく、しかも高額なので

ヤフオクでよく見るユーロモトエレクトリックスのイグニッションコントロールを入手

取り付けたらあっさりエンジンは始動した

やっぱりエンジンの電装系はパーツのストックが必要だな

見極めが難しいのでパーツ交換が一番わかりやすい

プラグのような部品とは違ってみな案外高額なのがネック

中古品も含め検討課題だ



それにしても今年はよく走った

2台持ちになったこともあるけど

久しぶりに走行距離が年間1万kmを越えた

出来れば来年も北海道へ渡りたいと考えているがどうだろうか

行けるかな



今年もより多くのPVをいただき本当に感謝しています

今どき、ブログなんていう文字ばかりの媒体を読んでいただける皆様に感謝しかない

いくら読者に主ねないで書いていこうと思っていても

やはりそこはちょっと気にしてはいます

だから気分だけで更新があったりなかったりってことだけは止めようと

月2回の更新を自分自身に課している訳で

これがボクの最低限かもしれないが皆さまに対しての誠意みたいなつもりでいます

そうしながら来年も無駄にながーいタイトルで

云わなくてもいい事ばかり書いていきたいと思います

いやほんと、申し訳ございません

皆様におかれましては何卒良い年をお迎えくださいますよう

遠き空の下よりお祈りしております

そして、いつかどこかの路上で・・・



今年も冬は訪れて、また春を待つ日々が始まるのだ

2024年12月14日 | 日記・エッセイ・コラム


ボクが住んでいるのは県内にあっては寒い方だけれど

所詮、太平洋側なので真冬でもまあそれほどでもない

雪も降るけど、積もっても夕方にはほとんど消えてしまうことが多い

いつもオートバイで散歩しに行くのはここよりもっと山の方で

15分も走れば標高も500mを越えてしまうので

冬には常に路面凍結の不安がある

12月はまだギリギリなんだけど

一日中陽の差さない山影や渓流沿いの道路

あとやっぱり橋の上はどこも危ない



いつもは作手(つくで)まで行って

そこから日によってさらに北の段戸山へ向かったり

三河湖の北側を山越えしたりするんだけど

もうそろそろ作手から先はかなり(路面状況が)怪しくなってきた

千万町(ぜまんぢょう)の先の峠道は一日中ずーっとウエットだし

峠付近の路面は乾いてるような体(てい)だが黒々と鈍く光ってかなり怪しげ

こんな状況で気温が氷点下に落ちれば間違いなく凍結するだろう

その先、国道301号線に合流してすぐの切通はもう警戒レベル

山から染み出したお漏らしのような水溜まりが凍っていた

もちろん凍結イコール転倒とはならないんだけど

操作によっては事故につながる状況であることに間違いない



この日は風がほぼ無くて

日向はホッとする暖かさではあった

いつもの「涼風(の里)」に乗り入れて自前カフェを開く

通常のOD缶やアルコール燃料はすでにちょっと効率が落ちている

プロイソブタンのOD缶が冬にはいいけど

急いでいるわけでもないので

のんびりとヤカンから湯気が上がるのを待つ



今年も例年のごとく意味もなく何度もここへ来た

オートバイ乗りも年季が進むと走るルートが決まってくるものだ

若いころは、それをツマらなくて退屈だと思ったりする

刺激は確かに少ないかもしれない

でもライディングの楽しみが詰まった良いルートがあるなら

何度走っても全く飽きないものだ

それに幸いにも日本には四季があって

同じ景色でも日々少しずつ変化していく季節を楽しむことも出来る

馴染みのサクラや馴染みの紅葉があり

山や田畑、鳥や空や雲や

川の流れに風の息吹に

四季それぞれの表情がある

飽きもせずに同じ散歩道を走られるのは偏(ひとえ)に彼らのおかげだ



先日車検を終えたばかりのクロ介くん(R100RS擬き)はといえば

オカメ(エンジンのフロントカバーのこと)の下からのオイル漏れを経過観察にしていたが

ガレージの中に染みを作るようになったのでやはり修理することにした




ボクサーツインのオカメからのオイル漏れは

ほとんどがジェネレーターのシャフトのシールの劣化だ

その他にその下にある茶筒(イグニッションパルスセンサー)のOリングの劣化

あとエアクリーナーのブリードから出るオイルが垂れることもあるそうだ

今回はシャフトのシールが劣化してオイル漏れしていたのだが

ついでなので茶筒のOリングもあわせて交換した

何度も云うことだけどこのクロ介

ボクが手に入れるまで15年くらい店頭で店番していた

走行距離は12000kmとまだ少なく

外観上はどこからもオイル漏れは見られなかったが

全く動かさずに15年

ゴムやプラスチックの劣化具合は正直よく分からない

分からないけど劣化しているには違いないので

納車の時にざっとリニューアルしたけど

走りながら、馴染ませながら出てくる不具合をひとつずつ潰してきた

フロントフォークのシールやリアショックのシール

シフトシャフトのシールやニュートラルスイッチ、オイルプレッシャースイッチ

プッシュロッドのシール

そして今回のジェネレーターシャフトシール

納車時にちょうどセルモーターが死んだのでそれも交換してくれている

つまりOHVボクサーの定番の劣化個所は一通り終わった感じだ

金属系の劣化は走行距離に左右されることが多いので

30000kmにようやく到達したクロ介にはまだ先の話かな

車検の時にスロットルワイヤーの同調を頼んでおいたんだけど

これ、やっぱりすごく重要で

アイドリングからの回転上昇がパーフェクト

この辺りが古いオートバイの真骨頂かと思う



アイドリングはいま750rpmくらいで安定する

そこからスロットルを開けると身震いすることなくスーッと回転を上げる

こういうのって自分でできるといいなと思うけど

やっぱりプロのメカニックにはかなわない

ネジの緩め方締め方だってレベルが違うと感じるし

音や手触りだけでそこからボクの何倍も何かを感じることが出来る

本当にすごいよね

とにかくエンジン絶好調で走るのが楽しい

ゴムパーツの劣化はほぼ潰せたので

あとは激しいオイル消費だけかな

来年はクロ介で北海道へ行こう

北海道のペースは正直SRではしんどい

いやまだわからんけど




12月の半ばなのに今年は木々の落葉が遅いね

むしろ紅葉真っ盛りといった感じで

まだまだお山は華やかに色づいて見せる




けれどここに来て寒気の流れ込みは本格化してきたのか

北海道や東北の日本海側はすっぽりと雪に覆われたみたいだ

そのうち南岸を低気圧がかすめればこの地方でも雪がちらつくだろう

もう山を入るのはここまでかな

こんなに山は綺麗だけど

路面温度が低くてワインディングを楽しめない



今年も冬がやってきた

いつものように馴染みの景色たちにしばしの別れを告げて

春を待つ日々がまた始まる



杉は枯れ枝をボトリと落として紅葉狩りの行く手をさえぎる

2024年11月30日 | SR400 RH16J(2019)シータ


もうすっかり恒例となったラリージャパンの嵐が吹き荒れた後

三河の山は、それはもうまっしぐらに冬へと向かうのだ

山陰の落ち葉はいつまでも乾かずに路面に張り付きその厚みを増し

風が出れば植え放題のスギから枯れ枝がボトリボトリと落ちてくる

植林の山中は鬱蒼と真っ暗で

一日中陽のささない林の中の空気は日に日に凍えていくのだ



秋の深まりがじりじりとして

なかなか出掛けていくタイミングを取れずにいたら

もう11月も末だ

先日まで、今年の秋は来ないのか、なんてほざいてた口が

いやーもう冬だね、なんて抜かすくらい

秋が急激に深まった

だからいま思えば11月の上旬に飛騨に走りに行ったのは正解だった

件の六厩でも走りに出かけた次の日から最低気温が0℃前後まで下がっていたので

もう入れなくなっていたのかもしれない

ちなみに六厩の昨日(11/24)の最低気温は―5.0℃

10時を過ぎてもまだ3.0℃には届いていなかった

もう今年は山へ踏み込むのは終わりだね



あまり天気ばかり気にかける訳にもいかないので

風が強い日だったけどオートバイを走らせた

風のせいか雲ひとつなく真っ青な空が広がる

今日は国道257と151に挟まれた山の中を走りに行く

北限は何となく国道418辺りと決めて

まずは新城から寒狭川(豊川の通称)をたどって田口まで踏み込んだ

田口の周囲はいま設楽ダムの工事で「ひっちゃかめっちゃか」だ

特に北側はダムに水没するので道路の付け替え工事が急ピッチで進む

国道、県道の付け替えは現在6割ほどの進捗で

11/23にはいよいよ本体着工されるようだ

完成予定は当初の計画より8年遅れて2034年

もうボクは生きていられるかどうかわからない

余談だけど歳を取るとこの完成計画とか達成計画とか

流石に若いころとは違う思いを抱くようになる

リニアの完成なんてもう年寄りにはあってないようなものだ

2034年

今からちょうど10年後だ

満水の設楽ダムを付け替えられた国道をオートバイで走り眺められるだろうか



田口の中心部で国道473号へ入りすぐに分岐する県道へ進む

県道427号線 坂宇場津具設楽線 

一本東側の県道10号設楽根羽線があるので「わざわざ」でなければ用もなく走らない道

いやいや途中で分岐して振草へ行くんですよ

なんてのもそもそも国道473を使うだろう

それくらい余所者には縁のないルートだ

それをあえて今日は行く

取り付きからすでに怪しい

幅員は1車線、離合はおよそ困難

すぐに家並みは途絶え、スギの林に突入する

スギは皆20メートルくらいはありそうで林は鬱蒼として中は真っ暗だ

おまけに少しでも風に吹かれるとスギが枯れた枝をボトボトと落とす

誰かかたずけてよ、とほざきながら進む、濡れてないだけマシ



特に面白いこともなく長江の集落にでる

ここにあった長江城という砦はなんと鎌倉時代に設けられたそうだ

そもそもこの辺りには秋葉詣に行き来する街道があった

いまでこそこんな陸の孤島だが昔からこの辺りには人の気配があったのだ

遠州へ行った時にも書いたけど

この三河、遠州というところは西の徳川、織田、東の今川、そして北の武田と

なかなかに物騒な地域だったのだ

砦も多く、人の行き来は盛んだった

山村と云っても沢沿いに集落が伸びる場所は多いが

奥三河は沢沿いだけでなく、深い山中にも多くの集落がある

ここ長江も戸数こそ少ないがそんな山の集落

南の斜面には立派な棚田がある



この辺りの棚田は、よくある斜面に石を積んだような簡素なものでなく

城壁と云っては云い過ぎだがしっかりとした石組みがされていて

遠目に見ると城郭の様にさえ見える

けれど今では人の気配はなく、サルの集団が集落を闊歩していた(大丈夫か)



長江から先へ進み、程なく唐突に分岐が現れる

まっすぐ行けば根羽を経由して遠州街道へ至る

ボクはさっき云ったとおり振草渓谷へ行くためここを分岐した

こちらは番号が変わって県道431号線 八橋中設楽線

同じようにスギが鬱蒼と茂り、路面には枯れ枝が散乱する

おまけに工事に向かう荒っぽい運転の輩の通勤ラッシュにあってややあぶない

ずいぶん冷え込むようになったとはいえこの辺りまで来てもまだ紅葉はおそい

山の中の集落を繋ぐいわばこの生活道路

くねくねくねくねとちっとも進まなくて振草で国道に合流するのに小1時間もかかった

もちろん楽しかったのは云うまでもないがね



紅葉狩りのクルマで国道はのろのろ

太和金トンネルの先を折れて豊根の中心部へ向かう

ダムのお金で潤う豊根村は役場がおしゃれでキレイ

屋根付きの広場(ゲートボール場かな)もある、屋根付きだよ

役場を横目に見て、その手前を県道74号線へ折れ、信州新野へ向かう

県道74号線は豊根村役場(というか大入川)を挟んで南北に走っているが

この北側部分は狭溢部分もあるけど整備が進んでいて比較的走りやすい道路だ

山村の小さな集落をいくつも繋いでいるのは一緒だが

こちらは開けた場所が多くて明るく空も近い

以前ここを走ったのはいつだったか忘れるくらい前だけど

その時とあまり変わっていないように感じた

高度がどんどん上がるのでそれにつれて紅葉が進んでいく

風がさらに強くなってきて枯れ葉が激しく散っていた





新野峠の先で国道に合流して道の駅へ下って行く

ちょっと前まではここは狭いクネクネ国道だったんだよ

いまでは真っすぐの下り坂

道の駅でシッコしてすぐ発車

売木峠を越えて平谷へ向かう

トンネル一発で越える峠は本当につまらないよね

むかーしむかしはね、売木峠なんてめんどくさい峠だったんだよ

でも本来、峠とは苦労して越えるもんだ

トンネルが出来ると旧道になった峠越えのルートはすぐに荒れてしまう

土砂が崩れたり路盤が落ちたりすればそのまま廃道の可能性もある

でもね、道路だからね

アトラクションじゃなくてインフラだ

安全と効率



でもこのルート、秋は格別かもしれない

初めてこの季節に走ったけどとてもきれいだった

交通量はそこそこあるけどほとんどの区間で

センターラインは破線なので追い越しが可能だ





国道で根羽まで下りて県道10号線へ向かう(まだまだ行くよ!)

ここまでほとんど走りづめで3時間くらい

そろそろおなかが空いたけど

良さそうな青空食堂が見つからない

津具の道の駅辺りに小さな園地があったのでそこで休むことにした



川べりで紅葉もきれいないい場所だけどやっぱり風が強い

河原のススキたちが風に吹かれて激しくうねり

まるで前衛的なコンテポラリーダンスを見せられているようだった

天候に左右されるのはアウトドアの醍醐味

なんだけどね

風でごみが飛ぶのよ

立つたびに椅子はひっくり返るし

湯を沸かすにも時間がかかって燃料はムダにかかるし…

え?

はい、楽しいですよ



今年の秋はあまり遠乗りできなかったけど

奥三河の山の中はこうして県道を繋いで走るだけでも十分楽しませてくれる

地元だから贔屓目も入るのだろうけど

特に目立つものがないから余計に美しく素朴に染みてくるみたいだ

あんまり背伸びして遠く異郷のことばかり気にしてないで

もっと自分の周囲に目を向けてみよう

サクラもモミジも君のすぐそばにあって美しく

そんな四季の移ろいを慈しむことこそが人生の楽しみなのだ

名所旧跡を一巡りしたら地図(ナビ)を捨て

ぎゅっと自分の掌に握りしめているはずの、

そーっと自分の胸の内に秘められているはずの、

そんな自分だけの美しさを探す旅へ出かけようよ



深い森の中を行く県道でおっさんは感謝の気持ちで一杯になったのだよ

2024年11月14日 | R100Trad (1990) クロ介


台風崩れの低気圧が通過していくといよいよ秋も深まって、

となんとなく誰もが考えていたはずだが

今年はちょいと様子が違っていて

なかなか寒さも極まっていかないようだ

それでも朝晩はそれなりに冷え込むので

着るモノの選択がむずかしーねー

アメダスの岐阜県の観測点の中では1,2を争う低気温の「六厩」地区

きのう(11/4)の最低気温は1.7℃だったが

最高気温は16.2℃もあった

そして今朝(11/5)

出かける前に調べた最低気温はなんと6.7℃だった

そうなるといらぬ心配も出てくるわけだ

途中で通過する「せせらぎ街道」の紅葉が終わってないかも、なので

平日ではあるが相当な交通量と人手なのかもしれぬ

まあ、それ以外のルートは多分カーナビでは対応しないような道ばかりなので

ノロノロの観光地ドライバーに閉口させられたり

何台も連ねて走るバイクの群れを追い越すのに手間取る苦労も少ないだろう

個人的な趣味なのでどうでも良いが

毎年、紅葉の喧騒が終わって祭りの後のようなせせらぎ街道に走りに行くのが楽しみだ

道路の凍結を気にかけながら冷たい空気の中

今年一年をかみしめて最高のワインディングを走りたいのだ



結局迷いに迷って今回も相当着込んで出かけることにした

暑いなら脱げばいいが

寒くても着るものがないと多分死ぬ

ウルトラライトダウンベストにウルトラライトダウンジャケットを重なる

ついでにネックウォーマーも付け万全

やや雲が多めの早朝出発した

通勤の車列を尻目に高速(道路上)の人となる

ここまでやれば流石にまったく寒くない(よき)



毎年恒例の枯れ果てたせせらぎ街道へ行くついでに

ひるがのの方にある「やまびこロード」へ久しぶりに行ってみようかと

いつものように道路地図を開いていた時に

面白そうなルートを見つけてしまってついでに全部回って来ようという算段だ

いつも使っているのは昭文社のマックスマップル中部道路地図だ

ツーリングマップルは小さい割に余計な(お節介な)情報が多くて見づらい

A5版で14万分の1の縮尺というのはジジイには正直きつい

北海道版の20万分の1はさすがに内容がスカスカであれはいけるのだが

マックスマップルの見開きA3版で縮尺10万分の1はとても良い

グーグルマップも毎日眺めているけど

それ以上にマックスマップルはヒマがあるとよく見てる気がする



地図では大抵、あまりよく考えずに(というか膨大な距離なので)

道路を路線名で色分けしてしまっていることが多い

国道や県道以外はよっぽどのことがない限り表記に差別化はされない

ただし地図の良いところは正にそこにあって

この色がついてない道路を見つけて

そのルート上に長いトンネルがあれば間違いなくそれは快走路

それともうひとつ地方行政がルートに名づけをしてるところも間違いなく快走路

残念ながらマップルでは(多分)その表記にルール化がなされてなく

正直地図上で識別するのはややむずかしい

かつては国土交通省の中部地方整備局が

「道路の走りやすさマップ」というwebサイトを作っていて一つの目安になっていたが

それも現在のグーグルマップの航空写真図やストリートビューにはかなわないね

しかもグーグルマップでは一定の拡大以上で

こういった呼び名の表記もされているのでルート開拓が楽しい

ただし縮尺を上げていくと表示が略されていくあの方式は

PCやカーナビのマップを使いづらく分かりにくくしている原因と思われるし

ビジネスがらみの無駄な情報や

マニアの自己顕示欲でしかない要らない情報が多いのも問題だ

ツーリングマップルと連携しているスマホアプリ(Route)はその点秀逸

紙版に載っている情報はどの拡大縮小率でもすべてが表示され

さらに拡大するとグーグルマップに切り替わる

PC版もぜひ出して欲しい(有料でも価値がある)



話が逸れたが「やまびこロード」のつながりを確認している時に

美濃の山の中を横切るトンネルのつながりを見つけてしまった

飛騨の金山と美並を繋いでいるようなルートだが

マックスマップルでもツーリングマップルでも色付けのない道路

もちろん道路番号はない

ツーリングマップルにはうっすらと「美濃東部農道」とある

でた!農道!

地図を眺めてみると確かに南北にはいくつも県道があるが

東西を結ぶルートは乏しいようだ

すなわち南北は川沿いに谷を進めるが

東西はそれを隔てる峠をいくつも越える必要があるからだろう

飛騨へ行くにはちとルート的なつながりに無理が生じるが

「道」こそが走る理由なので今回は行ってみることにした



東海環状道の内回り

中央道とのジャンクションを越えるとさすがにちょっと寒い

トンネルを抜けるたびに寒さの段階が上がっていく感じだ

予定では東海北陸道へ乗り移ってぎふ大和まで行き

その先やまびこロードで荘川辺りへ抜けるつもりだった

けれど走りながら「高速おもろないなー」と「農道どんなかなー」ばかり考えていたせいか

だいぶ手前の富加関ICで早々に高速を離脱してしまった

というか当初の予定の逆コースになった感じだ

美濃東部農道はせせらぎ街道からの帰りに明宝から和良、金山と抜け

富加関へ抜けるルートとして無理矢理組み込んでいた

まあいい、予定はあくまで予定

穏やかな津保川をたどって県道を北上する



途中、上之保に入って津保川を追って県道63号へ入る

このまま進むと美濃東部農道に合流するはずだ

広域農道へ近づくとこの県道もどんどん道路の規格が上がってきて期待が高まる

美濃東部広域農道は美並から金山、白川を経て恵那へ至る

途中多くの県道や国道に合流しながら全長は80kmにもおよぶ

(正確には78km、農道部はそのうち23km、トンネル6本)



深い山の中に立派な案内標識

ただしその先の取り付き部はかなり唐突(小さな案内はある)な交差点

農道なので勾配はきついが想像どおりのナイスルートだった

尾根筋をトンネルで貫き、谷筋は高い橋でひと跨ぎにして行く

ちょっとミニチュア版の現代の山岳高速道路のようだ

この日は暖かくて凍結の心配が皆無だったのでとても楽しく走れた

金山の町で国道に合流しながら

和良を目指す

途中いくつか道の駅があったけどみんな定休日(火曜日)だった

トイレだけは開けてくれてるからいいんだけどね



和良の道の駅辺りで県道329号線へ入る

ここには何の案内もないが明宝、高山方面へ抜けるには使えるルートなのだ

「こもれびロード」とネーミングもされていて現に看板もある



途中未整備箇所(とはいえもちろん舗装路)は少しあるがおおむね快走路

明宝へつながる辺りの峠もきれいなトンネルが出来て

あっという間にせせらぎ街道に出てしまう



明宝近辺の紅葉はまだ半ばで、予想どおりクルマが多い

中央の黄線が途切れるのを待ってどんどん前へ出るが正直キリがない

なんであんなにゆっくり走るのか

自由だと云えばそうだしその人の都合もあろうかと思うが

後ろに5台も連ねて少しも譲ろうとしないのは逆に無神経じゃない

こっちはどんなに勾配がきつくてもいつでも追い越しがかけられるパワーだから

一気に追い越しを終えられるけどクルマはむずかしいだろうね、譲ってくれないと



いつも立ち寄るチェーン着脱スペースの石碑の横にすべりこむ

ことしは久しぶりに色づいた葉っぱが残るせせらぎ街道だ

途中の気温計も13℃の表示で拍子抜けの暖かさ

まあよい

湯でも沸かして昼にするか



隣を流れるせせらぎの音が絶え間なく

石碑に添えられたカエデが盛んに葉っぱを降らせる

もうすぐ今年も終わりだなー

仕事を辞めて3年がたったなー

今年は北海道へも行ったなー

あ、そうそうSR400買っちまった

などなど

1時間ものんびりしてしまったよ



清見へ下りて、国道を西へとる

道の駅でどぶろくとほう葉味噌をおみやげに買った

高速が繋がってからこの国道(158号線)はずいぶん空いた

でもね間違いなく高速より楽しい

少し遠回りする(トンネルズドーンじゃないもんね)からちょっと時間かかるけど

高速で行くのとほとんど変わらない

高山から富山へ抜けるのもこのまま御母衣、白川郷を抜けていくのは高速と同じルートで

オートバイのツーリングならここで高速は絶対つまらない

ワープするなら高速もいいけどこのルートはツーリングの目的になるようなところだ

砺波平野の西に出るので金沢方面に都合がいい

福光からの国道304号線を使えばそれは峠越えの快走路

なんだか関係ない話になったけど、でもあの峠越えは良かったなー



荘川に出てここから山へ分け入る

県道425号線でやまびこロードへ繋ぐのだ

グーグルマップでは通行止めになっていたけどJARTICのHPは問題なかった

県道の入口にも何の表示もないので大丈夫だろうとそのまま進んだ

民家はすぐに途切れ道は心細く山の中へ

かつての一色国際スキー場のゲレンデを過ぎると

整備もほとんどされていないような路面状況になる

大きな穴ぼこにフロントを落とさないように注意しながら慎重に進む

それと同時に森の深さに心がざわめいていることに気付く

リスが横切りシカが道路上でたむろする

この県道は峠を挟んで前後にキャンプ場があるが

その間はケモノたちの住処みたいだ

まだ当初の目的のひとつだったやまびこロードには届いていないけど

なんだかもうどうでも良くなってしまったよ



ここすごくいい

最近年を喰ったせいか、うれしくなるとなぜか「感謝」の気持ちになってしまう

北海道行ったときに自覚したんだけど

今日もダメだ

深い森の中を危うく繋がるこの県道におっさんはなんだかすごく感謝したのだよ

ほんと、ありがとう


いつまでも暑いね、なんて云ってると秋に思い知らされる、もうけっこう寒いのさ

2024年10月27日 | SR400 RH16J(2019)シータ


日本の高速道路網は1966年に総延長7600kmと計画してはじまり

1987年の第4次全国総合開発計画において

高規格道路を含め全国に14000kmにまで拡張した

計画では21世紀初頭(2010~2015年)に完成予定であったが

実際それから10年経った現在なお70%程の進捗率にとどまる

それでも実際に地方部や山間部に走りに行くと

つまらないトンネルと高架橋ばかりの果てしない直線路に出くわし

道路インフラとオートバイ趣味は相反するものだと落胆することが増えている

けれどもちろん道路は国家の基盤だ

災害大国の日本において安全で確実な交通の確保は

最優先の課題と云える

川の流れに沿って崖を切り開いてできた旧来の幹線国道は

大雨の度に土砂が流れ路盤を流失させるし

金網で覆われた高い崖の下の道路を息を止めて走りすぎるなんて経験は

先進国のあるべき姿でないことは理解できる

理解できるが「つまらない」のは趣味の問題だ

羽生弓弦がどんなにアスリートとして優れていると認めてはいても

あんな色白の狐目がカッコいいとは思えないのはボクの趣味の問題でしかない

これと同じだ(同じか?)



なかなか来ない秋にしびれを切らしているうちに

10月も半ばを過ぎてしまった

この秋一番の冷え込みの朝

天気予報のおねーさんたちは「寒暖差に気を付けてね」と優しく教えてくれる

しかも今日行こうとしているのは標高2000mに迫る高原なのだ

サブくて死んでしまうよりは暑くて汗かいてる方がマシなので(脱げばいいし)

ユニクロの暖パンを穿いて薄いフリースを中に着た

アウターは化繊のスイングトップで防風を期待

それと念とためウルトラライトダウンのベストをカバンに仕舞った

まさかな、とほくそ笑んでいたのになんとこれが大正解

このベストがなかったら佐久間に行き付く前に帰ってきていたかもしれない

それくらいサブかったね

風も少し強くてそれが余計にサブさを増していたのかな

とにかく走り出した瞬間に

「え、暖パン正解じゃん」と感じた

岡崎東ICから高速に乗った時にはもう全身が凍えていた

けれどアホだからもう少し日が昇れば

ほら、おねーさんたちが気を付けろと云うほどの寒暖差なんでしょ?

暖かくなってくるに違いないと歯を喰いしばった(なぜ?)

結局、そのあと三遠南信道へ入って鳳来峡ICで降りたところで

すぐにダウンを着込んだ

ちぃーっとも暖かくなんてなっていかないのだよ



東栄町まで北上して継ぎ接ぎ高速にまたのって佐久間へ到達(無料区間)

高速がツマラナイだとか味気ないだとか云いながらも

目的地が決まっている時はちょっと高速で「ワープ」したくなる

以前ならここ佐久間に来るには2時間半くらいかかったもんだが

自宅周辺が通勤時間帯だったにもかかわらず1時間半でここまで来られた

この1時間の余裕が目的地でののんびりに回せる

まあ高速道路のメリットは確かにある

最初にも書いたけど

災害にも比較的強いので安全性は確かに高い

つまり復旧や修復にかかる費用や

通行止めの不利益を考慮すれば高速道路の延伸は正統性のある事業なのだ



久しぶりに国道152号線へ出た

まだまだ細く曲がりくねった個所が多く残る

むかしはあんな国道が普通でその上観光バスも大型トラックも当たり前に走っていた

クルマで信州へ向かうためには離合が困難な山間路を延々と行く

試練とも呼べる行程が待ち受けていたのだ

それでもその頃のクルマも小さかったこともあるが

みな遠出するようなドライバーは運転が上手かった

狭路の走り方はみなが共有し案外円滑だったのだ

今みたいに広い山道しか走ったことがなく

クルマも安全性最優先で巨大なものばかりになってしまうと

1.5車線路でさえ離合に手間取る運転者ばかりだ

安全第一と云えば聞こえはいいが

要は不慣れで自信がないだけ

スムーズさも交通には必要な要素だ

対向車が来るたびにブレーキをかけ止まったりしていてはちっとも進んでいかない

なのにブラインドカーブでも逆にスピードを落とさず

簡単にセンターラインを割ってしまうなんてちぐはぐな運転もよく見かける

上手な運転とはスムーズで安全なこと

道路を整備することは良い事なのに

それによって何も考えずに峠を越えてばかりいるうちに

ドライバーの質が低下していくのは止むを得ない事か

山道くらい狭くて曲がりくねってても良いのかもしれない

山の人たちはそもそも運転が上手だし

災害などの安全さえ確保できれば、という事かな



知ってます?

水窪の街には公衆トイレがある

多分ずいぶん前からある

もう1本西側を走る国道151号線にも数か所あるけど

下道でこれがあるのは本当に助かるね

もうここまで来るとコンビニもないし道の駅も少ない

用を足して真っ青な空の下さらに先へ進む



水窪の街を出ると

青崩峠まで細く狭い谷筋を進む

この先の峠を貫くトンネルに目途がついた今、急ピッチで接続道路の工事が進んでいた

残念ながら兵越林道までのこの長閑さはもうすぐ失われてしまうのだろう

「捨てられたルート」として有名な「草木トンネル」の手前

左へ逸れた道路の先に「青崩トンネル」が口を開けていた

先日貫通が報じられていたので供用が開始されるのは時間の問題だろう

草木トンネル開通から30年

出来た当初は125cc以下はそこを走れず兵越林道まで水窪ダムを経由していたな

ボクも歳を取ったもんだ

トンネルを抜けるといよいよ道も細くなり峠へ向けて勾配も強まる

以前に比べて路面の状況が良いように感じたが気のせいか

ここは事実上大型車が入れないので道路を覆う木々が低く立ち込め

独特の雰囲気がある

シカも多いしカモシカにも会う

峠へ近づいて霧(雲の中に入ったようだ)

空気も一層ひんやりとしてきた



お約束の兵越峠で写真を一枚

このあと遠山へ降りるまで霧の中だった



遠山からは三遠南信道が既存ルートの改良で計画されているため

ものすごい山奥にもかかわらず信じられないような道路が続く

もちろん以前は災害による通行止めも多く

まったくあてに出来なかったような状況なので

この改良はうれしいが、実際ちょっとやりすぎにも見える

おかげでペースが上がってしまって景色に目がいかない

ここまで来るともうすでにすれ違うクルマの数もまばら

この先の蛇洞林道が長期通行止めで地蔵峠を越えられないのだ

矢筈トンネルをくぐって飯田に迂回するしかない状況

けれどしらびそ高原までは行けるらしいので

国道の下をくぐって林道へ入り

クネクネと上り詰めていく



ここまで来てもまだ紅葉はあまり進んでいない

カラマツもまだ黄緑色だし

広葉樹の雑木も少しずつ色づきを始めたばかりだ

何度かくるりと進行方向を変えて

谷筋を右から左、左から右と変えながらグイグイ上る

SRの軽い車体をひらひらと寝かし

大きくスロットルを開けて山々にダッダッダッと鼓動を響かせる



しらびそ峠

快晴の空の下、南アルプスの峰々が左右にずらりと整列して見せる

ここのスペースってなんでいつまでも砂利なんでしょうか

あ、どうでもいい?

その先のしらびそ高原で昼にする

シカのフンだらけの広場の端にシートを広げて靴を脱ぐ



小さな雲のかたまりが視界の下を流れていく

そんな南アルプスの山並みを眺めながらおにぎりを食べた

コーヒーを淹れ

ネットで大谷君の試合を見ながら寝転がる



真っ青な空を行き過ぎるジェット

うつらうつらしていると

ふいにディーゼルのうなりとガタンガタンと響くジョイント音

酒井製作所(SKW)のDLが大きな材木をボギー台車で引く

そんな楽しい夢を見たよ



浮気性というより単なる「阿呆」なのでしょう オートバイ複数台所有の謎に迫る

2024年10月15日 | 日記・エッセイ・コラム


自分が浮気性であるとの認識は正直ない

好き嫌いも割とはっきりしているので

意識してはいないが自分の気持ちにブレはない方だと思う

けれどもそれと同時にボクには執着心というものがほぼない

欲しいと云われるとそれが何であれ、とにかくあげたくなるし

逆にひとのモノを羨ましく思うこともない

そうだ、勝ち負けに対する執着心なんて皆無だ

あるとすれば「こうあるべき」という思いが強いくらいか

だから頑固と云われるのだ



だのにこと「オートバイ」に関してだけは

浮気性なのか、免許を取って以来

大小合わせて32台ものオートバイをとっかえひっかえしてきた

社会人になってからは複数台所有が当たり前で

クルマも必要だったので一度に多くのローンを抱えていたこともあった

馬鹿なのか、と自分でもあきれる程なので

周囲の人はきっと気味が悪かっただろう

最初に「サブ(sub)」になったのは

ホンダ CD125だった



短い一文字ハンドルにバーエンドミラーを付け、シングルシートに改造していた

1キャブのツインエンジンはマフラーも両サイドに出ていて

だいぶ違うけど雰囲気はBMWのR50のようなイメージだった

「メイン(main)」はファイヤークラッカーレッドのカワサキZ400GP

いやちがうな

カウルの付いたGPz400が出てすぐに乗り換えていたっけ

とにかく刺激的なマルチと小さい割にトルクのあるツインエンジン

このキャラクターの違いの両方に魅力を感じていた

「どっちも好き」なのだ

これは完全なる浮気性である、ことオートバイに関してはね



ホンダ CB750F(B)とカワサキ GPz900R(A7)

この組み合わせも記憶に強い

水冷4発のニンジャは逆輸入車

逆輸入車って今ではあまり聞かないけど

メーカーが国内販売は750ccを上限と自主規制していたそのころ

リッタークラスのオートバイは一度輸出されたものを

再度輸入して購入することが公然と行われていた

しかもせっかく逆輸入するのだからフルパワー仕様が好まれ

南アフリカ仕様、マレーシア仕様が店頭に並んだ

そうだ

あの当時は店頭在庫として逆輸入車が並んでいたよなー

GPzは国内ではGPz750Rがリリースされたが

排気量が小さくなりパワーも900ccの108psに対して77psと抑えられ

価格は少し安いけど

当時のスペック至上主義のライダーにこれが受け入れられる訳もなく

皆こぞってニンジャと云えば900ccの逆車に乗っていた

結果国内の750市場は消滅

その後、アメリカ合衆国の圧力もあり排気量の自主規制はなくなり

二輪大型免許も取得のハードルが下げられた



ボクはカワサキのオートバイがマイナーで「通好み」と云われていたそのころ

そのへそ曲がりな性格もあって

オートバイならカワサキでしょ、思っていた

カワサキのオートバイは地味で雑誌などでもトップで扱われることはなかったけれど

「MFP“グース”」のZ1000がオーストラリアの荒野を

200km/hで疾走するシーンが頭から離れず

いつかカワサキの1000ccで200km/hを目指す

そんな田舎のガキだった

だからGPZ900Rに跨った時

ボクはもう興奮の頂点だった(当時はね)

名神高速の木曽川橋梁で並走する新幹線をぶち抜てやるぜ、と

本気で考えたりしてたな(新幹線にはかなわんがね)

そんなころ、同時に駆け出しの社会人であったボクは

その当時の記憶が曖昧になってしまうほど

仕事が忙しくまた自らそれに没頭していた

20代後半の記憶が本当に無いと云ってもいい

大袈裟でなく朝から晩まで仕事していた

「24時間戦えますか」のコピーが流行った時代だ

みんな今でいうパワハラの何十倍も厳しいハラスメントに抗い

そいつをぶち破っていく日々だった

そんな自慢話ではなく

だから「当時の稼ぎはすごかった」という自慢だ

基本給とほぼ同額の残業代をもらっていて給料は毎月倍額あった

知らない間に貯金はどんどんたまっていく

キャッシュでクルマ買ったりオートバイ買ったり

勢いで家も建てたりした(さすがにそれは住宅ローン組んだけど)

だからたまたま見に行ったレッドバロンでコマグンの赤いCB750FBを見て

その場で契約してしまうぐらいアホだった

そんなアホなことが出来るくらい稼いだ

そのせいでその後もオートバイの衝動買い癖がついたのか

カネもないのにオートバイ買い換える単なるアホに成り下がったのだけどね



CB750Fはそんな日本の最後の750だったかもしれない

バリバリ伝説の巨摩郡の愛車

大型二輪免許は試験場でしか取れなかったので

まだまだ750(ナナハン)は憧れだった

だから店頭でこのCBに出会ったとき電気が走ったのを覚えている

ボクが買ったのはFBだったのですでに8年落ち

外装のプラ部分の塗装が劣化していたが

エンジンは快調だった

フロントから出ていた振動もフォークオイルとタイヤを交換したらすっかりなくなった

このCB750Fには正直驚かされた

何をかと云うと

カワサキとホンダの技術力、工作精度の差だ

CBのシフトペダルを操作するたびにそれがひしひしと伝わってくるのだ

ホンダのトランスミッションは短いストロークで正確に作動し少しも緩みを感じさせない

カワサキに乗ったことがある人ならわかると思うけど

ニュートラルから1速へ入れるとなぜあんなに「ガコンッ!」と騒がしいのだろう

シフトアップもどんなにタイミングをとっても頼りなくニュルっと入り

走っていてもシフトダウンがし辛い

当時はそれを技術力、工作精度の差と感じていた

750ccとは思えないような滑らかな吹き上がり

クランクに感じるトルクはあくまでもシルキー

もちろんGPzのザラザラしたパワー感はどう猛さを含み刺激的だが

ホンダのエンジンには次元の違いを感じるのだ

だからこのGPz900RとCB750Fの2台持ちは

ガサツだけど世界のアタマを狙うモノと

すでに世界に認められたトップ企業が作り出したモノというコントラストが

乗るたびにそれぞれの良さが感じられてとても面白かった

「オトコ」カワサキもいいけど、よくできたホンダも魅力的だった



TZR250とエリミネーター400

ZX12RとTL125バイアルス

R1150RTとR100RSツインショック

いろんな組み合わせの2台持ちがあったな

3台なんて時もあった



そして今はR100とSR400

この組み合わせも相当おもしろい

SR400はついこの前まで販売が継続していたから最新機種でもあるわけだけど

どっちも設計が古い点では共通している

BMWの工作精度はホンダと種類は異なるが同じく非常に高い

材質の良さも相まって実用車的な外観ながらハイブランドの説得力が強い

ヤマハにはコスト的なハンデがあるが

モノづくりへの取り組みは職人気質を感じさせ

「ハンドリングのヤマハ」と古くから云われるとおり

人間の感性に寄り添ったオートバイが魅力だ

BMWのフラットツインもヤマハのシングルも

本当に熟成されていて

70年代にすでにここへ到達していたことに改めて驚かされる

国内外のメーカーは口にはしないが

公道を走るオートバイに必要なものは過剰なパワーでなく

扱いやすいトルクフルなエンジンと

軽量で反応がわかりやすい車体

そして操ることの面白さ

これらの方が重要だと気付いていたように思うのだ

なぜならSR400はリリースに当たって「ヤマハスポーツ新時代」と打ち出し

日常域でのスポーツ性を提案していたし

BMWモノサスフラットツインたちは排気量800ccを基本し

1000ccのエンジンも最大パワーを捨ててトルクの出方を低速寄りへと変えた

それはパワー競争のメインストリームが水冷直4のKバイクへ移ったことで

フラットツインは本来のツーリングバイクとしての実用性に重きを置いたからだ



この日常域、実用域でのスポーツ性と云うのは

現在日本で進むライダーの高齢化にもマッチしていると感じる

大型オートバイの走りは非常に官能的ではある

あのパワー感は大型オートバイにしかないものなのだ

しかし公道での過剰なパワーは非常に危険である

その危険をわかったうえで大型オートバイを扱うわけだが

年齢が上がると、経験があるが故に、自分の衰えに気付いてしまうものだ

だから多くの人がダウンサイジングを考える

カブに乗ってトコトコ走ろうか

スクーターに乗り換えようか

危ないなと思ってはいても決して降りたい訳ではないのだ

ボクも一時期そう考えてカブとかエストレヤなんかに乗ったりしてたけど

排気量落としてパワー落として

軽くして足付き良くして

みたいな事すると絶対に単につまらなくなるだけだ

諦めだからね、それは

そうじゃなくてオートバイを感じる選択をしなくちゃいけない

ボクの場合はそれは「操る楽しみ」だった

だからしっかりとした車体と最低限のトルク感

そして感性に合うハンドリングが必要だった

それは実はSR400に乗って気付いたことだった

アタマではなくカラダの方が良く分かっていた

SR400は官能的なのだ

そしてもう一方のR100

このフラットツインのトルクに包まれてワインディングを流す時

SRとは質は異なるが実に官能的だ

R100はコンチネンタルツーリングで評価されたモデルなので

長い距離を一定のスピードで駆け抜ける性能に特化している

だから日本の狭くて勾配のキツイ屈曲路はあまり得意ではない

けれどペースを守り無理に攻めたりしなければ淡々と走り抜ける

これはこれでなかなかどうして魅力的なハンドリングなのだ

縦置きのクランクはヨー方向の動きが機敏で

バンキングへの移行がまるで無重力

コーナリングは(いわゆる)アンダー傾向なので

増し切りやリーンインが必要な時もあるが

決してコーナーを攻めてはいけない

R100のペースを守ることが何より大切なのだ

そういう意味でR100はとても面白いオートバイなのだ

もちろん長距離ではこれ以上頼りになる相棒はいない

全く性格の異なる2台だが

ひとつのスタイルを完成させた奥行きと深みを味合わせてくれる

どっちもいいんだよなー

浮気性というより単なる「阿呆」という方がしっくりきそうな気もする


クラッチレバーの角度を調整したことないヤツなんて信用できねェ

2024年09月29日 | SR400 RH16J(2019)シータ


「暑さ寒さも彼岸まで」

むかしから言い慣わされたたくさんの言葉の中でも

群を抜く納得感がある

彼岸花の開花の正確さ精密さも手伝って

彼岸に暑さがスーッと引くと

毎年のことながら変に感動してしまうほど腑に落ちてくる

現にこれを書いている彼岸明けの今日は

日差しこそ少し強いが

湿度が低く丁度良い気温の過ごしやすさだし

夜になれば寝室の空気もひんやりとして

布団をしっかりとかぶって寝られる幸せな日々が戻った



夏の終わりに

富山県の有峰湖へ行ってみようと考えていたが

行き場を失って西日本を彷徨う「来る来る詐欺」台風にタイミングを失くし

まあ、まだまだ暑さも真夏並みの日々が続いていたので

もう少し涼しくなったら行えばいいだけのことかと

何となくこの彼岸すぎくらいかな、と感じていた

けれどその後の秋雨前線の南下と崩れた台風の残骸が重なり

信じがたい災害が能登の震災被災地を中心に発生した

ニュースを見るのも苦しいような現場の様子に

とても呑気に有峰湖に出掛けていく気にもならないのが今の気持ちだ



そうしたところへ追い打ちをかけるように

自分の身体にも異常が生じた

ここ数年なかなか治らない中耳炎

先週風呂で耳の裏側を指先で洗っている時左耳に激痛が走った

思わず声が出てそのあと悶絶するほどの痛みで

同時に耳の中で泡が弾けるときのような音が続いた

しばらくして痛みは少し落ち着いたけど

なんだか耳の中の炎症がまた出たのかなと少し不安を感じた

そうしたらこの週末の夜からひどい耳垂れがあって

耳が詰まったような閉塞感とすごい音量の耳鳴りが始まった

「また再発したなー」

週末で医者は休診だったので都合様子を見ることにしたが

耳垂れはひどくなる一方だし

夜になると(アホだからこんな状態でも晩酌するせいだと思うが)熱が出て

顔の左側全体がぼんやりとしていた

今回はまだあまりひどくないのだろうけど

完治するまでに早くても2週間はかかるだろう

ということで「有峰湖」行はまた来年ということになりそうだ

来年生きている保証もない年齢なのにね



丁度いいので夏の間に疎かになっていた

オートバイたちのメンテナンスに精を出すことにした

クロ介のオイルとフィルターを交換してやり

洗剤を使って下回りを丁寧に洗ってやった

レバーやペダルに注油してやったり

スロットルの作動部のグリスを塗り替えてやったり

エアクリーナーのフィルターを交換したり

まあクロ介はそんなところだ

おかめ(エンジンフロントカバー)の下側のオイル漏れは相変わらず

まだしばらく問題なさそうだ

(オイル漏れてるのに問題なくはないのだけれどね)



SR400のほうはメッキが多くてすべてが剥き出しなので

濡れた路面を走るととても汚くなったように感じるが

メッキも塗装もしっかりとしていて

案外サビには強いなと感じている

とはいえ泥まみれの埃だらけはこの娘には似合わない

出来るだけいつもきれいな姿にしておいてやりたいと

自然にそう思わせるオートバイで

いつも掃除に力が入るおっさんなのだ

それと丁寧に各部を掃除すると

何となくおかしな箇所や怪しい箇所が見つかる

特に中古車はオリジナルの姿を知らないから

何が正しいのかが正直わからなかったりする

そんな中古車のSR

右のコーナリング中にどこかを接地させてしまうことが多々あって

ステップのセンサーよりも先に

車体が起き上がるくらいガツッどこかが当たっている

そうしたら今回の掃除中にマフラーのジョイントの取り付け金具に違和感を感じた

 

締めこみ部が外に向いているのだ

よく見ると角が削られている

「な訳ねーじゃん」ということで

クルッと内側へ回しておいた

多分正解、デフォルト状態

だから入念な掃除はメンテナンスの基本と云われるのだ

 

SRは古い設計のオートバイなので

レバーの接合部にはしっかりとゴムのカバーが付いていて

こいつのおかげでワイヤーの痛みがかなり抑えられている

スーパーカブのチェーンカバーもカッコ悪くて外したりしちゃうけど

あれを付けておくと本当にチェーンがいつまでもキレイなままだ

雨を走ってもオイルが切れることもなく

砂や泥もつかなくて摩耗もしにくい

いい材料の質のいい部品が使われ

車体のメッキや塗装もしっかりしていて

さらにこういった機能パーツが備わっているのは以前では普通のことだった気がする

クロ介の塗装もしっかりしていて

古いBMWって本当に錆びない

タンクやボディ外装の塗装もレベルが違うと感じる

同じ時代のプラ外装を持つ国産車はどれも色褪せや塗装剥がれが当たり前だが

クロ介は雨が降ると(湿度が上がると)表面のクリア塗装が曇る程度で

乾けばそれもキレイに戻ってしまう

製造者も自分たちのプロダクトが

何十年も長く使われていくことを願ってはいるのだろうが

実際自分が作ったオートバイが50年後に走っているとは

あまり想像してはいないんじゃあないだろうか

けれどコストをかけてもしっかりとした材料を使い

確かな信念に基づいてモノづくりをすれば

おのずと出来上がった製品には魂が宿るのだ

洗車の時ウエスでタンクのラインをなぞったり

エンジンフィンのひとつひとつを磨いたりしていると

なぜだかうっとりとしてしまうような幸福感に包まれる

良いモノとはそういうモノなんだろう



前回の記事で

次世代にオートバイが正しく伝わっていない等々書いてみたが

変速操作の仕方すらわかっていない(伝えられていない)ように改めて感じた

「インプレッションを」とか云いながらシフトアップもきちんとできないモトブロガー

大袈裟に云うと

「バーーーーッ、ガッ、クーーーーーーン」

クラッチを切っちゃってることと

変速タイミングがデタラメ

タイミングがデタラメだからギクシャクするのを誤魔化しているのか

いやクラッチを切ってタイミング合わせようとしているのか

クランクが回って、それが加速して行く時

トランスミッションがどんな力を受けているか感じていれば

シフトアップするタイミングは自ずと決まってくる

クランクが回転を上げていく勢いを少し抜くだけ

(スロットルをわずかに戻す、本当に僅かでいい)でギアは容易に動く

クラッチはそれを少し補助するだけで足りるので

指の第1関節がクイッと瞬間的に動くだけ

動くというか、「ピクッ」みたいな一瞬の腱の収縮

ライテク記事では常に語られることなのにこれが伝わっていない

それはエンジンを感じていないからなのか

エンジンの回転をコントロールする意識に欠けているのか

いずれにしろゲームのコントローラーでスイッチを押すような感覚にみえる

クイックシフターもいいだろう

ホンダのE-CLUTCH、ヤマハのY-AMTもどうぞどうぞ

でも人間にもできるよ、シフト操作くらい

仕組みを理解してオートバイから伝わる挙動を感覚で受け止め

指と爪先を精密に動かすのだ

オートバイとはそういう乗り物なのだ

何度も云うけど便利なモビリティなんかじゃない

乗ることを操縦することを楽しみ味わう趣味の対象だ



ちなみにこのクラッチ操作シフト操作を身に付けるには

クラッチレバーの角度とあそび、そしてシフトペダルの高さを

自分の身体と操作方法にマッチングさせる必要がある

特にレバーの角度は重要で乗りながら少しずつ微調整する必要がある



レバーの調整、してますか?

してない?

そいつぁ信用できねぇな―


ガソリン臭くて音がいっぱいでるオートバイはもう作れません、だけれども

2024年09月13日 | 日記・エッセイ・コラム


日本自動車工業会がまとめた2023年二輪車市場動向調査によると

新車購入者の実に89.5パーセントが40代以上だった

50代から上に絞ってもなんと73.2パーセントをも占め

オートバイはもはや老人の趣味と云ってもよいと思われる状況だ

実際に乗っている人はどうなんだろう

たぶん同じような傾向なんだろう

ヘルメット脱ぐと禿アタマなんてのによく出くわすし

事故の記事でもライダーが50代というのをよく目にする

オートバイはむかしは若者の乗り物なんて云われていたし

速くてスポーティーなモデルの人気があった

馬力がいくつだとか

気筒数がとかDOHCエンジンだとか

0-400なんて気にする人も多かった

ずばりスペックがそのまま性能を表していた時代だった



それから何十年も経った今

工業製品の進化は行きつくところまで行ってしまって

スペックだけでは他社との差別化が出来なくなっている

どの製品が優れているのか分からないとも云えるし

どれも優れているから各自の嗜好によって選択できるようにもなったわけだ

しかしその結果

単に売れるということが性能になってしまったようにも見える

モーターサイクルショーに行くと各ブースの混み具合で人気がわかるが

近頃のホンダブースの人気はすさまじくて

天邪鬼なジジイは「そんなにいいか?」と近寄りもせずに帰ってくるくらいだ

ライダーのニーズはホンダにあるのだろう

けどね

オートバイは趣味の乗り物ですよ

マジョリティって必要なんですかね

それはメーカーは営利企業なので売れることはトッププライオリティでしょう

だからといってホンダのオートバイが良いとはならないのが趣味の世界のはず



モーターサイクルショー

いろんなモデルに跨ってみたけどポジションも楽なものが多かったように感じる

その辺りは流行りもあるのだろうが

購入者の年齢的なことも理由にあるのだろう

でも外見だけは派手な方が好まれるようで(というかカネが獲れる)

押し出しの強いデザインが主流だ

タイヤも太すぎる

カッコいいけどね

あと、ケツがシャチホコみたいになってるとか

逆にケツをごっそり取っ払ったボバースタイルとか

デザインバランス崩れる程長いスイングアームとか

妙なものが流行る

でもね

いちばん気味が悪いのは「ヘリテージモデル」かな

購入者の大多数を老人に占められてる以上当然の帰結なのだろう

「売れそう」なのだ



ハーレーダビッドソンには古くからヘリテイジと名付けられたモデルがあったが

復刻というより継続に近い本来の意味を持っていた

ヤマハのSRなんかに近い

時代が変わっても絶対に変わらない魅力はある

まあ最近は老い先短いユーザーにおもねていると

売り上げが先細りするのは必至なので(なんせ売り上げ至上主義だから)

ハーレーダビットソンなんかはユーザーの若返りに必死だ

はっきりいって伝統ってだけではもう生き残れないと思っているのだろう

ヘリテイジの潮流はハーレーダビットソンから生まれて

BMWモトラッドのRnineTで完全に1ジャンルとなった

ピアッジオのグループではモトグッチが

インドではロイヤルエンフィールドが

そしてイギリスの栄光はトライアンフが

それぞれ昔の名前で出ています、まるで場末のクラブホステスのように

ヘリテイジとかネオレトロとかで括られるモデルの何たる不気味さ

それもこれも購入者のニーズの反映だということらしい

ニーズは性能か



資本主義経済とは大河の流れに似ている

低い方へより低い方へ

穿ちやすく浸食しやすい方へ

より多くの水源を集め巨大な流れを作る

その姿が果たして本当に求めていた姿なのか

当の本人にも分からないしそんなことはどうでも良いらしい

存続だけが目的なんだろう

ニーズの反映は資本主義では当たり前だが

それだけでは確実に魂を失くしていくように見える

アグスタの最新3気筒エンジンを載せたスーパーヴェローチェに目を奪われても

XSR900「GP」には失笑しか出ない

プライスタグはまあ半額以下なんだけどね



ボクのオートバイたちを面倒見てもらっているテックMCは不思議な空間で

店の前にスズキのGT750があったりピカピカのZ1300がいたりする

クラウザーのR100とかちょっと古いモトグッツィのカリフォルニア

愛知県の限定解除ジジィには馴染みのスズキGSX750Eもいる

こんな奴らが当たり前のように並んでいる

オートバイの本質と魅力は「機能」にあるべきとボクは思うが

スペック至上主義のこの時代のオートバイたちも

実は相当に個性的な魅力を持っていたことに改めて気づかされる



自分のSR400で走っているとよく感じるが

いろいろな場面でSRが話しかけてくるのだ

もちろん言葉を発するわけじゃなく

ボクの五感をとおしてSRが伝わってくる

キツイ勾配でクランクに負荷がかかった時

ハイスピードでコーナリングする時

低い回転からスパッとスロットルを開いた時

様々な場面で様々な反応を返してくる

スロットルからシートからステップから

そんなオートバイが発する声に耳を澄まして

一体となって自在に操ることに没頭できるよろこび

オートバイは単なる移動の道具ではない

モビリティ?まさか

「キリン」

ポイントオブノーリターンのキリンがなぜ「カタナ」で空冷ポルシェに挑んだのか

それは恐怖と自信のアンビバレントの平衡に自身を置きたかったからだ

90年代の空冷デスモたちがクリッピングポイントへ切れ込みながらライダーを試す

それで操っているつもりなのか、と



XSR900は面白そうだけど

XSR900GPを見た時ほんとうに笑ってしまった

「そこまでして売り上げが欲しいのか」

感想はそれだけだ

エンジンが、とか操安が、とか何をどう云われても後付けにしか聞こえない

そしてそうやって稼ぎ出した利益は何を生み出すのだろうか

タイやインドのストリームを日本へ持ち込むストーリー作りにメーカーは一生懸命だ

所得水準がまだまだ低い国で安く作ったものしか日本で売れないのだ

日本人はあんなにカネを持っていながら給料が足らないとうそぶく

贅沢で自堕落な生活をしながら上ばかり見上げて足元を見ない

セレブたちのカネに寄生しているだけのプロダクトが羨ましくて仕方がない

幸せになれないのはカネがないからだと本気で思っているみたいだ

はっきりいってこんな連中が作り出すニーズなんてクソだ

燃料計、要らないね

ギアポジションインジケーター(長!)、カッコ悪い

ライディングモニター、クソが

インカムで楽しくおしゃべり、反吐が出る

スマホホルダー

ドライブレコーダー

USB端子

おえっ(吐きました)

楽しむなと云いたいのではない、むしろその逆で

オートバイはもっと楽しいんだよと伝えたい

豊田章男もかつて云っていた

「僕はね、ガソリン臭くてね、燃費が悪くてね、音がいっぱいでる、

野性味あふれるクルマが好きなんです」

クルマもオートバイも原点はそこに在るべきだと思う

メーカーはレガシィーとかヘリテイジとかアイコンとか持ち出す前に

オートバイを主張するべきではないのか

それでは売れる前に会社が潰れてしまう?

趣味の世界のファンタジーを提供する会社の云う事じゃない

原付が飛ぶように売れた頃と比べても仕方ないが

主婦層までターゲットにするクルマとは違うのだ

自転車を積みたい、みたいなニーズはないのだよ

それでもマツダにはできたのだからきっと不可能ではない筈だ

着せ替えしてまで利益を獲りに行きたいなんてすでに終わっている



そもそもカネで買えるモノの価値なんて買った瞬間にゼロだ

なぜならそれは消費することですべてが完結するからだ

マスプロダクトのプレミアムって何?

今はまったくつまらないカワサキなんだけど

これまでのカワサキの市場戦略はいつも新鮮だった

ゼファー、ニンジャ250

やりすぎたと思っている時にそんな風を吹かせてきた

そしてそれはいつも「原点回帰」の提案で

オートバイの場合、そんなモノづくりの方が支持されるべきだと思う

懐古趣味ではなく原点

ただボクたちむかしライダーにも少し責任はある

ネットを見ると用語すら出鱈目になりつつある

エンジン始動することを「エンジンをつける」と云ってみたり

単なるアイドリングを「暖気」と云ってみたり

ユーチューブには素人のしかもキャリアも浅い乗り手による

インプレッションや比較動画があふれ

「やっぱりホンダを買うのが無難」という論調が目につく(カネもらってるのか)

そんなクソメディアの影響力は強い

メーカーとがっちり手を組んでいるのか

オートバイが売れないと困るというような表現が多い

そもそもオートバイそのものでなく

移動していった後の楽しみを訴えてばかりだ

そしてその背後には間違いなく利益をむさぼろうとする輩が潜む

つまりボクら年寄りが正しくオートバイを伝えられてこられなかったのだろう

メーカーも減少し続ける販売台数に苦しみ

安易にマーケティングに頼りすぎ

売れるモノが良いモノいう方程式になっていないか

ハンターカブもレブル250も(ついでに女子も)見かけないテックMCの店頭

(いやもちろん店の大将はそこにこだわってるわけじゃないとは思うけどね)

なんだかボクには居心地がいいと感じる

ガラガラと引き戸を開けて店に入ると

ガソリン臭が鼻をくすぐり

「こんちわ」と人懐こい笑顔で大将が迎えてくれる

これを時代遅れの懐古趣味と一蹴するのは簡単だろうが

工業製品が進化し続けるなどという

もはや神話のような考え方もどうかと思う

あのころも実はスペックが性能ではなかったのだ

オートバイの持つ魅力を正しく残していってもらいたと

老いぼれは禿げたアタマを掻いているのだ