ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

行く夏に名残る暑さ愛し

2012年08月28日 | BMW以外のオートバイたち

走っていれば風の涼しさが増しているのがわかるけど、

やはり止まるとまだまだ日差しは真夏とさほど変わらない。

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さらけ出した腕にジリジリと夏が突き刺さる。

よく休憩する酒屋さんが休みだったので、

シャッターを閉ざした店の前、軒にできた小さな日陰にオートバイを入れて停めた。

日陰は50センチくらいの幅しかなくて、

ボクもシャッターに貼りつくようにして、その中に入り込む。

日陰と日向、この50センチで体感温度が全然違う。

黒いラベルのコカコーラをやりながら

近くの田んぼ上空で繰り広げられる、カラスとトンビの喧嘩を眺める。

必死に逃げ回るトンビに、3羽のカラスがかぁーかぁー喚き散らす。

カラスってトンビが嫌いだね。よく追い回してるのを見かける。

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突然、酒屋のシャッターがガラガラと開いた。

顔を出したおかあさんに「すぐどかします」と詫びながら云うと、

「いいですよ、暑いからねー」と返す。

「まだ昼間は暑いですねー、ほんとに」

「日差しがねー、強い」

「オートバイで走ってると、日陰の涼しさが変わってきたように感じますよ」

「でもね、陽が傾くと、さーっと冷えて来るよ」

「そうですか」

「今朝、散歩してたら、その先の温度計が18℃だったわ」

おかあさんはそう教えてくれた。

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処暑を迎えてなお暑い日々、とニュースは盛んに伝えるけど、

山里には暦どおりの秋が忍び寄る。

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田んぼでは稲穂がこうべをもたげているし、

よく見れば、色付きを見せる葉っぱも見かける。

こんなキノコやどんぐりが足元には見られる。

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作手の高原ではもう秋の使者が風に揺られていたよ。

こうなると素肌を射す夏の強い日差しもなんだか愛惜しく感じる。

今年も暑い暑い夏をありがとう。

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50回目の夏に想うこと

2012年08月20日 | BMW以外のオートバイたち

いろんな人がいることは、いいことだ。

いろんな意見があって、健全だ。

と、ボクも思うが、

「それぞれがいいと思うやり方でやればいいと思います」

という物云いには、どこか引っ掛かるものがある。

すべての個性を認めているように聞こえるけど、

その実、他との関わりを斜にかわしているだけではないのか。

ソーシャルネットワークとかいうネットワークソーシャルに、

そんな違和感を感じる。

なぜだか分からないが、ボクはこの薄気味の悪い感じに

全体主義との共振を感じてしまうのだ。

戦争に蓋をして半世紀以上が過ぎた。

戦争という言葉にさえアレルギーを感じるこの国の人たちだ。

大陸と列島の中間にある島を巡って加熱するナショナリズム。

オリンピックの開催期間中にも関わらず

その精神をも踏みにじることを厭わない人たち。

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まあ、領土問題で戦争になることはまずない。

現代の戦争はイデオロギーとエネルギーが火種だから。

下らないナショナリズムなど政争の具にしかならない。

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繰り返すが、

いろいろな人がいて、いろいろな意見があることは、

とても健全でいいことだ。

そう思うだけでなく、実践することが大切。

「あなたがそう思うなら、そうなんじゃあないですか」

なんて阿呆みたいな物云いをするなよ。

議論になったっていいじゃないか。

理解し合えないことだってある。

それでもそれを認めることが大切なんだと思う。

真の意味での相互理解だけが、ファッショの魔の手から逃れる唯一の足掛かりだ。

別に悪い事じゃあない、というだけで周囲の意見に賛同してはいけない。

本当に共感できているか、本当にそれが必要なことか。

3.11の時のネット社会は完全にファシズムのようだった。

「非国民」とか「絆」という言葉が一人歩きする。

原発再稼働、絶対反対。は通っても、

原発再稼働、絶対賛成。は通らない。

得体の知れない放射能なんて無い方が良い。

悪い話じゃない・・・

子供たちの未来のために原発を無くせ。

実はその原発はエネルギー資源のない日本の未来のために推進されてきたのだ。

原発がダメじゃなくて、やり方が間違っていたのだ。

これだって悪い話じゃない。

とにかく人の話を良く聞こう。

そして、その上で自分の意見もしっかり持とう。

意見の前に「絶対」と付いたら、原理主義に陥っている。

絶対金メダル!

1個しかない金メダルは必然的にその日の勝者へ渡る。

答えのない議論で「絶対」を持ち出すと、話し合いにならないばかりか、

反対意見の持ち主を抹消しようと企むのがオチだ。

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ボクにとっては今年でもう50回目の夏だ。

夏は外でぼんやりしていられるから、

大好きなオートバイで走って行って、

気に入った小川のほとりで座り込んでは

森や空を眺め、いろんなことを想う。

後ろではエンジンを切ったばかりのダブルが

「キンッ、パキンッ、キン、キン」と音を立てているよ。

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イヤになるほど走りたい、か

2012年08月09日 | BMW以外のオートバイたち

イヤになるほど走ってやろうと思うことがある。

でも、基本的にはオートバイで走ることがバカほど好きだから

一日走り終わって、

クッソー!もう二度と走るもんか―!

と思うほど走ったことはない。

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でも、今日のコースには、ちょっと参った。

374km。

約7時間。

「売木」で愛知をちょっと出ただけで、ほぼ県内でこの距離だ。

7月最後の週末で、どこも人で溢れてるだろうからと、

国道を避けて走ろう、と思ったのが今回のルート選びのタネ。

まあ、楽しかった、が半分。

正直ちょっときつかったかな、が半分。

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県道の中に、主要地方道という括りがあるけど、

高速や国道とならんで、広域での幹線道として整備されている県道・市道のことらしい。

愛知県の県道では1号線から81号線までがそれと指定されている。

愛知県の奥三河の核となるのは設楽(田口)と東栄だけど、

今回は東栄町を軸にして主要地方道に指定されている県道をつないで走った。

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県道74号線(愛知県・阿南東栄線)は大入川の谷を挟んで

東栄町と豊根村に分かれる。

非常に気持ちの良いルートで、並行する国道なんかよりよっぽどオートバイ向きだ。

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もちろん、こんなルートを選ぶ粋な人は少ないから

多くても5台以上のオートバイとは擦れ違わない。

美味いスイーツが喰えるCAFEなんてないし、

見知らぬ人と楽しく交流できる道の駅もない。

ただ、蕎麦屋はある。

それも、旨いらしい・・・

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主要地方道というのは国からもお金が出ていて

こんな具合に、ところどころだが意味もなく過剰に整備されている。

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木々に覆われた薄暗い坪沢峠。

ただし県道はここからまだまだ高度を上げていき、

この先の御薗トンネルを越えてようやく、

しかし急激に、大入川に向かって谷へ下りる。

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この川に下に新豊根ダムがある。

やけに立派な豊根村役場の脇から74号線はまた山へ分け入る。

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にしても立派だ。いや立派過ぎる。

裏手には屋根付の広場があって、盆踊りの櫓が組んであったし。

ダムの補助金か。まあいいや。

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この辺りからは小さな集落をつないで走る。

時代錯誤かもしれないけど、こういったシンプルな家屋にすごく憧れる。

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ノスタルジーと云えばそうなのかもしれないけど、

少ない人、少ないモノ、狭い世間。

そういう生活や世界こそ人にふさわしいと思うからだ。

何でもかんでも「知っている」必要はないし、

大切なのは「情報」ではなくて、心を込めた人の「営み」だと思う。

過分を慎み、お陰様を尊ぶ。

見栄を張らず、卑屈にもならない。

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オートバイに乗って、こうした山里を走っていると、

本当に気持ちがピュアになっていくからうれしい、と感じる。

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74号線を走りとおして、新野峠で県道447号線を伝って売木へ出る。

売木からは茶臼山高原へ向かって駆け上がり、売木峠を経て、根羽へ下りる。

この県道46号線(長野県・阿南根羽線)は

奥三河高原観光の中心地「茶臼山」へのアクセス道路なので

もちろん主要地方道のひとつだ。

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ほぼ全線が2車線で、カーブも気持ちいいワインディング。

ただしちょっと路面のうねりが多い。

ダブル(W800SE)にバシバシ鞭を入れて、いっきに峠へ駆け上がる。

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根羽から国道へ出て、県道20号線へ入る。

20号線も主要地方道で岐阜の瑞浪まで通っている。

国道257号線まで出るためにここへ入ったんだけど、すごい悪路。

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標識に出た幅員規制標識は「1.7m」

レクサスLSは通れません。

好きか嫌いかで云うと、「大好き」この道。

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257号で稲武へ出て、その先で今度は県道80号線(愛知県・東栄稲武線)へ。

田口から根羽へ向かう県道10号線(愛知県・設楽根羽線)とクロスする県道。

茶臼山高原道路の面ノ木峠までは井山川の渓流に沿う。

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折しも夏休みで大勢の家族連れが川遊びに興じていた。

しかし、この80号線は細くてクネクネと果てしなく続く夢のような道路だ。

高度がそこそこあるので暑さはそれ程でもないんだけど、

さすがにちょっと疲れてきた。

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けれど、80号線はどこまでも終わらないのだ。

国道151号線までの距離の案内標識が出て、ようやく終点(管理上ではこちらが起点)。

ううー、疲れたー、と感じても、しばらく休むと回復。

まだまだ走れる。

さらに東栄からまた国道257に戻るために

県道32号線(愛知県・鳳来東栄線)で山を越えた。

仏坂峠のトンネルを抜けると、四谷の千枚田。

ずいぶん稲が育って、そろそろ花が咲くころだ。

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夏の盛りの風だにも

2012年08月06日 | R100RS 2本サス (1981) 銀じぃ

今年も暑い夏だ。

夏は暑いに限る。

白い雲が伸び上がって行く、真っ青な空。

耳鳴りのように響く蝉しぐれの森。

その中を駆け抜ける時、無意識に身体が喜んでいることを感じる。

といっても、

明日はもう立秋だ。

あーそうか、とも思う。

山里の日陰の空気がひんやりとし始めたと、

ボクたちオートバイ乗りは知っているからだ。

猛スピードのボクと猛スピードの赤トンボたち、ぶつかりそうになったしな。

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最近は真夏でもライディングジャケットを着ている人が多いけど、

やっぱりTシャツ1枚で、そいつをバタバタと風にはためかせて走るのが気持ちいい。

むき出しの腕が真夏の太陽に焙られて、ジリジリと焦げていく音が聞こえる様だ。

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オートバイを木陰に止めて、川で遊ぶ子供たちを眺めていた。

どいつもこいつも、ほんとに楽しそうで、ほんとに自由に見える。

子供はバカでイヤだけど、

子供は自由で素直でうらやましい。

大人はほんとにバカだけど、

大人は周りに気をつかってばかりでげんなりする。

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カラスがかーかー。

なんか用か?

あ、ボクじゃない?

ただ鳴いてみたかっただけ・・・か。