ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

あんまり走らないと無駄にいろいろなモノを買いがち、ETCキャンペーンに乗っかる

2024年08月28日 | SR400 RH16J(2019)シータ


田んぼではすでに稲穂が重たく垂れさがり

セミたちの声もすこし大人しくなったかな

いつもならアブラゼミからツクツクボウシにスイッチしている頃だが

なんだかツクツクボウシの忙しない声が今年はまだ聞こえない

台風が接近してきている

夕べは床に就く頃土砂降りの雨になって

激しい雷鳴にハッと目覚めてしまうほどだった



クロ介のオカメ(エンジンフロントカバー)の下からオイルが滲んでいた

おそらくジェネレーターのシャフトのシールが劣化したのだろうが

先日、ジェネレーターの修理の時に一緒にやってもらおうか否か迷っていたのだ

テックMCへ寄って見てもらったら

予想どおり経過観察にしましょうという事だった

確かにまだオイルが滴り落ちるようなレベルではない

オカメから漏れたオイルがじんわりと広がってオイルパンまで汚し

そのオイル染みに砂ぼこりが付いてとても汚くなるってだけだ

家に戻ってとりあえずフクピカで拭き拭きしておいた

それにしても今年の夏はさすがに暑かったようで

テックの大将もみんな乗ってないと云っていた

店の前が国道1号線なのだけど休みでもオートバイが少なかったようだ

最近では会うひと会うひと皆「暑すぎて乗れない」があいさつ代わりだ

夏はオフシーズン

熱帯の日本の常識となりつつある





先日北海道を走った時

十数年前に走った時と比べて明らかに平均スピードが上がっていると感じた

ボクの平均スピードではなく北海道の人たちのスピードだ

とてつもなく速い

80km/hを中心として70~90km/hくらいだった

その横スレスレを120km/hで追い越していくキチガイもいる

北海道の道路はほとんどの場所が制限速度の設定がないので

法定速度の60km/hが決まりだが

老若男女関わらず軽自動車でもワンボックスでもとてつもなく速い

トラックやダンプも結構速くて

信号待ちで道路幅の広さよろしく「ちょっと失礼」とスルスルと前へ出ようものなら

そのあと高確率で3桁(スピード)で煽られる羽目に陥る

いい悪いでなくあの広さならまあそうなんだろうと納得はできる

因みに北海道民の運転は事故の多さから受ける印象よりはマナーがいい

流れの速さをみんながわかっているので

とにかく無理に横から出てくる輩とか横切ろうとするじいちゃんはいない

100mくらい手前でも決して入ってはこない

逆に、信号が変わって動き出す時の加速がとても遅い

そのあとの怒涛の巡行とは対照的だが

多分、冬の凍結や積雪に合わせたアクセルの踏み方が身に染みているのだろう

出足が遅いからといって追い越すと絶対に後で3桁で煽られる

まあとにかく巡行スピードが速い

今回SR400で北海道に行ったわけだが

もちろん非力とはいえSR400でも流れには十分乗れる

けれど正直スロットル開度が大きくてそれを維持するのが結構苦痛だったり

その苦痛から逃れるために握り直す面倒臭さがある

SRって本当は3000rpmくらいで流すのがいちばん気持ちがいい

でも3000rpmでは5速でも70km/hしか出てない

あと上りのワインディングなんかでは意識していないとどんどん車速が落ちる

積極的にガソリンを送り込んでいないとマッタリしたがるのんびり屋さんなのだ

もちろん意識的にスロットルを捻っていれば良いだけなんだけど

そこでみんなが良く取り付けているハイスロプーリーを付けてみることにした



アントライオンのフルパワープーリー

この5型のSRは規制クリアのためにスロットルが全開にならない仕様だけど

これを付けると全開になるらしい(それはどうでもいいけど)

だからプーリーが少し小振りで結果ハイスロになっているようだ

取り付けには何のひねりもなくて

取って付け替えるだけだ

10分くらいでワイヤーの遊び調整までできた

径が小さくなっているので

リターンスプリングが重く感じるらしいが(弱スプリングセットもある)

ボクは全然平気で云われなかったら感じなかったと思う

付けてからもう300kmくらい走らせている

正直ものすごく改善した感はないけど

実際スナッチ(握り)を変えなくても高速で巡行は可能になっている

高速道路やそれこそ北海道のツーリングにはあっても良いかもの部品だった



「あんまり走らないと無駄にいろいろなモノを買いがち」という

オフシーズンあるあるをもうひとつ

「etc」といえば以前は「エトセトラ」と読んで

「その他いろいろ、様々」という意味の言葉だった

ラテン語だったと思うが明治以降こういった言い回しが知的でモダンだったのだろう

けれど21世紀の日本では「etc」とは大文字の「ETC」のことで

高速道路の料金自動徴収システムをあらわす

NEXCOはいろんな理由をつけてこのETCを普及させてきたようにみえるが

もちろんユーザー側の利便性も高いので今では9割以上のクルマが

ETCレーンを利用しているようだ

けれどクルマ全体で見ると装着率は5割以下

オートバイを複数所有するボクたちのような人は

なかなか全部にETCを付けるのはコスト負担が大きい

だからSR400にはまだ車載器を取り付けていなくて

そんなに高速を利用することもないので積極的には考えていなかった

それに北海道へ行ったとき久しぶりに一般レーンを使ったけど

それほどメンドクサク感じなかったね

以前はそれが当たり前だったし料金所の係の人としゃべるのも好きだ

けれど最近増えてきたスマートICみたいに

2025年には全国のインターチェンジの8割ほどがETC専用になるようなのだ

そして2030年にはそれがほぼ100パーセントに達し

事実上ETCの付いていない車は高速道路を利用できなくなるという

つまり高速道路を使いたいならETCがマスト!

それでも利用頻度と車載器の購入費用を天秤にかけると

複数台所有するユーザーには負担が大きいのは事実だ

それでNEXCOが一方的なETC専用化の批判をそらすためか

毎年のようにETC車載器購入助成金キャンペーンを打ち出してくれている

ボクの地域では8月9日から今年のキャンペーンが始まった

「ETC車載器購入助成キャンペーン2024 東海エリア」



少し条件はあるけど基本1万円が出る

このETC

実はセキュリティ規格の変更が予定されていて

おおよそ2030年には規格変更が実施される

しかも予期せぬセキュリティの脅威が生じればその時期が前倒しされる可能性もあるので

余裕があるうちに新セキュリティ規格対応の車載器に換えておいた方がいい

車載器管理番号の頭が「0」から始まるものは新規格に対応していない

おそらく2輪車用の車載器は現行機種でなければ駄目だと思う

2輪車用の車載器は種類も少なく価格も高いので

キャンペーンは有効に利用したほうがいいね

SR400は40年以上の使い回しなので

様々な追加装置で見えないところはギチギチに詰まっている

ETCなんて収まる訳ないんだけど

シート裏のプラスチックの突起(多分書類入れを留める)を切り落とせば

フェンダーの後ろの方にピッタリ入る



メーカーは左ステップにステーをかませて取り付けるよう推奨している風だが

ここでも問題ないだろう

フェンダーの振動が思いほか大きいことと

ETCカードの出し入れのたびにシートの取り外しの手間がかかることは

自己責任の上折り込み済みだ

それにしてもETCの取り付けって

自分ではやらせてくれないよね

付けてもらって後から手直ししなかったことないんだけどね

ケーブルの取り回しとかステーの位置とか瞬時には決められないでしょ

だから今回もケーブル固定せずに剥き出しで返してもらったよ

どうせ後からやり直すならその方が楽だからね



ハンドルのところに丸見えなのがちょっと気になるけど

スッキリ収まってはいる

新東名でテストしてきたら大丈夫だったよ



激しい雷雨の一夜が明けて

それでもなんとか日中は天候が回復した

台風が南の海上をウロウロしているから

いつ雨が降るか予想がしづらい

今朝の上空はすっきりと青空が広がっていてまだまだ真夏ような暑さ

バックにカッパを放り込んで走り出した

やはり空気はもう真夏のそれとは違っていて

日陰に入れば秋を感じる程だった

いつもの川沿いの木陰は少し寒いぐらいだ

気付けばツクツクボウシが盛んに鳴いていた

すっかり大きくなったツバメの子たちも旅立ちの準備に忙しくとびまわり

すっかり実った田んぼでは稲刈りが始まっている

秋がもうすぐそこまで来ているね



あまつさえ「運」ですら何とかなると考える、人の傲慢さよ

2024年08月13日 | R100Trad (1990) クロ介


立秋を過ぎても連日の暑さ

もちろんボクたちオートバイ乗りは知っている

日陰に秋の空気が淀んでいることを

信号待ちでジリジリと聞こえてくるような日差しに焙られても

ボクたちはこの瞬間を味わいたくてじっと夏に耐えて走るのだ

もう秋は目の前に来ている



またメジャーリーガーの話なんだけど

大谷翔平がドジャースに移籍が決まったころ

高校時代のエピソードとして目標達成シート(マンダラチャート)が話題になっていた

本人の発想だったのか周囲の助言だったのか

彼の目標「ドラフト1位指名を8球団から」に対して

一般的にアスリートに必要だとされる「心・技・体」を網羅した8個の題目と

その題目ごとにそれぞれ8個の具体的な行動目標が書き込まれていた

球速160キロ、コントロール、キレといったピッチャーの本質に関わる事だけでなく

ドラフトでより多くの指名をもらうためには

人間性や運も大切だと考えていたことが見て取れた

感謝、礼儀に始まり、道具を大切に使うとかゴミ拾いとか

一見野球とか、トッププレーヤーとかにマストとは思えない項目が並ぶ

けれど世界中の人が知っている

大谷翔平の素晴らしさはそのプレーだけでなくむしろ人間性の方だと

彼に目を奪われない人間なんておそらく一人もいないだろう

「神は細部に宿る」とはドイツの建築家ミース・ファンデルローエの言葉だが

大谷翔平の細部にはまさしく神が宿るようだと云えば持ち上げすぎか



大谷選手の話をしながらふと我に帰ると

本当にイヤになるくらい自分を恥ずかしく感じる

もちろんあれほどの存在は奇跡に近い

ボクたち(あなたも?)市井の人間には切ない話だ

けどね

市井の民には市井の民なりの努力もある

その価値や大きさは比べられるものではないはずだし

少なくとも得られるものだってあるだろう



ボクはオートバイが好きだから

オートバイで死にたくないと思っている

それと同時にオートバイに乗っている人みんなに死んでもらいたくないと考えている

大好きなオートバイに乗って死んではダメだよ

だから走る時は交通安全に留意し

いつもオートバイを確実に整備しておくように努力している

正しい経験を積んで予測運転の精度を上げたりすることも大切だ

けれど正直なところ事故に会う会わないはやはり「運」だったりもする

大谷翔平のマンダラチャートにも「運」というキーワードがあったように

あれほどの資質と実力を持つ超一流プレーヤーでも

人間である以上「運」の部分があると考えている訳だ

その具体的な行動目標として大谷選手は

あいさつ、ゴミ拾い、部屋そうじ、道具を大切に扱うなどを挙げる

これらは野球とはなんの関係もないようにも見えるし

逆に人間として社会人として当たり前だとも感じる

ボクたちオートバイ乗り

「運」を上げる必要はないか?

いや多いにあるだろう

なぜなら事故は「運」の部分もあるからだ



実際には何をどうすれば運が良くなるのかはわからない

お祓いを受けたりお札を授かるのもいいかもしれない

左足からブーツを履き左手からグローブをはめるとか

ジンクスやルーティーンなんかもある

正直逆に何もしていなくても

結局のところ「運」はどうなるものでもないのかもしれない

大谷くんだってゴミ拾いしたり部屋の掃除をしたりしたって

それでチャンスにクリーンヒットを繰り出せるとは思っていないだろう

それだったらバッティング練習に励み、対戦ピッチャーを研究した方が

遥かに効果的だと素人のボクでも思う

でも何か人知れず務めるストイックさに意味を感じることはある

かのイエス様も云われた

「自分の義を見られないために人の前で行わないように、注意しなさい」

さらには「右手のしていることを左手にさえ知られるな」と仰る

そうしてこそ神が細部に、ほんの少し宿らないかな、と思う訳だ

けれどオートバイの事故だって「運」まかせではなく防げるものも実は多い

単独の自爆事故や一旦停止無視みたいな自殺行為の事故もある

右直の事故でもニュース映像で原型が無くなるほど潰れたオートバイを見る

オートバイを操る技術

雑多で混沌とした混合交通を走る経験値

本来はそういった具体的な取り組みで事故にあう確率を下げるべきだ

そんな姿勢でオートバイに向き合っているだろうか

そこでボクが思うのはこんなことだ



誰かの後ろに付いて走っていたり

すれ違うオートバイを見送ったりしていると

とても気になることがある

「爪先」だ

爪先が外に向いて開いたいわゆる逆「ハ」の字になっていたり

これも案外多いんだけど

その爪先がステップより下に(シフトアップの時みたいに)突き出したようになっている

これは全くの個人的な印象だが

オートバイへの向き合い方があの爪先に見て取れるような気がするのだ

なにも教習所で習ったことを蔑ろにするな、と云いたい訳じゃない

あの爪先のみっともなさ、だらしなさ、無頓着さに寒気がするのだ

何度も云うけど個人的な印象に過ぎないと念を押す

ご本人がどういう意識でああなっているのかは知らないしどうでも良い

でもボクはとてもあんなみっともない格好で

大好きなオートバイに向き合いたくはないと考える

それこそ「運」が逃げていきそうだ

第一、あれは本当にカッコ悪いよ



土踏まずをステップに乗せて爪先を前へ向けペダルの上に置く(ペダルに触れてはいない)

素早く踏みかえられるなら母趾球でステップを踏んで踵をフレームに当ててもいい

疲れてくるとどうしてもああなるというなら休憩すべきだ

爪先を前へ向けると自然に股関節が閉まる

大切なのはむしろこっちで

股関節を閉めることで下半身全体がオートバイに自然に密着する

爪先を前に向けていればニーグリップを意識する必要はない

技術的にも理にかなっているし

とにかくオートバイ乗りとして真摯にオートバイと向き合っている感じに

好感が持てるし憧れてしまう

もちろん好感を持たれたくてやっているつもりはないんだけどね

ステップに置いた爪先を前へ向ける

それはボクのオートバイへの敬意と畏怖、愛情と恐怖の表現だ



まあとにかく事故にはくれぐれも気を付けよう

むかし読んだ本にオートバイに乗る人の寿命は乗らない人より7年短いとあった

これは病気にかかるのではなく事故で命を落とすという意味なのだろう

特に若い人は周りの人の人生をも大きく変えてしまうことが多い

オートバイで死んではだめだよ

気を付けて、気を付けて

今日も大切な人が待つ家へ帰り着こう