ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

秋の空気をひとり吸い込む

2012年10月23日 | BMW以外のオートバイたち

妻籠宿から清内路を上がって、峠の手前から県道8号へ入る。



この飯田南木曽線はどの季節も良いが(冬は閉鎖)



やはり秋の紅葉の頃が格別だ。



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去年とほぼ同じ頃合いだけど、今年はやや色付きが遅いか。



さっきまでの秋晴れが打って変わって今にも降り出しそうな曇り空。



でも、ここの寂れぐあいには曇りが良いかも。



ただし標高もあるのでかなりのサブさだ。



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先週取り付けたばかりのヒーテットグリップが大活躍。



ライディングコートは着てきたけど、中はロンT一枚でサブいことサブいこと。



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大平宿でピクニックシートを広げてコーヒーを淹れる。



木々の気配を感じながら、ゆっくりとすごした。



ここはほんとに静かで、宿場の水路のせせらぎが耳にやさしい。



名前の分からない鳥のさえずりに耳を傾け、



色付き始めたカラマツの上を流れていく雲を眺めた。



孤の時間が人を育てる、と何かで読んだことがある。



特に男には孤の時間が必要だとボクも思う。



ひとりであること、孤独であることがボクの原点だ。



もう死ぬまでこの性向は変わらないのだろう。



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飯田側へ下って行くが気温がちっとも上がらない。



伊那谷はリンゴがたわわに実ってた。



ひと雨来ると、そのあとアルプスには雪が乗るのかな。



飯田街道を下って、稲武から田口へ抜ける。



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作手のいつものところで今日最後の休憩。



秋の陽はつるべ落とし。



ダブルの長い影が伸びていたよ。



う―――――サブ!



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たまにはちゃんとダブル(W800)のこと

2012年10月16日 | BMW以外のオートバイたち

ボクの住んでるあたりでも、



朝夕、めっきり気温が下がるようになって、



そろそろ、本格的に衣替えをしなくてはと感じるようになった。



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とは云うものの、先回記事にしたとおり



ドイツの好好爺「銀じぃ」(R100RS Twin Shock)は



サブくないのが売りな訳で、もともと冬仕様だな、あれは。



で、



関西のチョイ悪おやじ「ダブル」(W800SE)は



カッコばかりで対候性など一つもない色男。



乗ってるボクはと云えば、手の冷たさに異常に弱いらしい。



若かりし頃、ベンベのオートバイにはグリップヒーターなるものがあって



真冬でもちっとも手がかじかまないのだよ、と何かで知って



日本のオートバイにも付かないかな、と思ってたことを思い出す。



腑抜けばかりが増えたおかげで、こういった軟弱なパーツが増えた。



しかもヒーターグリップなんて5000円も出せば買えちゃう。



こういう世の中を素直に良い世の中だと云うことにしよう。



           〇



と云う訳でグリップヒーターである。



と云うか、ヒーターが内蔵されたグリップなので、ヒーターグリップだ。



どうでもいい?



あ、そう。



キジマの商品で、Webikeで買った。



マイナスのハーネスをボディに止める。



キットのハーネスに端子が付いているので楽ちん。



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プラス側をどこから取ろうか、配線図もないのでちょっと迷ったけど



ETCの割り込みがあったハーネスに同じく割り込ませてみたら



ちゃんと電圧が出たので(テスターでね)こんなかんじにつないだ。



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配線はフレームの内側に沿わせて、先端の端子をライトケースに入れる。



写真にはないけど、ほんとはタンクを取ってきちんと配線してる。



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ハンドルバーからグリップを外して、



ヒーターグリップを装着。



キジマのこの製品は内径が細いのと太いのがあるから



細い方を左に、太い方をスロットル側に取り付ける。



スロットル側は接着剤が必要だね。



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スイッチの位置とか、配線の取り回しを考えてから



カプラーを接続して、タイラップでハーネスを固定すればおしまい。



タンク外しても1時間半くらいで出来るね。



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このキジマのヒーターグリップ、



素でグリップを握ってみるとちょっと違和感があるけど



実際に装着して走ってみると、まったく問題ない。



肝心の暖かさも十分だし、5段階の調節も可能。



しかも、オートバイのスイッチをONOFFしても



直前のポジションを覚えていて、入れ直したりする必要もない。



取り付けは簡単だけど、初めてつける人は注意する点があるよ。



まずは、スロットル側のハーネス。



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カッコ悪いけど、5000円だからね。



こうしてハーネスを余しておかないとグリップが回せない。



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左はウインカーの操作がやり易い位置にハーネスを持って行かないと



いちいち親指が引っ掛かってストレスになる。



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ダブルを買った時のキャンペーンで無理やり買ったウインドシールドだけど



こいつ案外防風効果が計算されていて、さすが純正品と思わせる。



グリップ辺りや膝の辺まで風をスポイルしてくれる。



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ただし、取り付けをいい加減にすると140km/hくらいから



風の影響でハンドルが揺れ出す。



ボクも最初いい加減につけてて、こりゃあひどいなと思ったけど、



左右に流れる風の速さが違うからなのかも、と思って



しっかりと左右均等に取り付けてみたら、ほとんど風の影響はなくなったね。



揺れて困ってる人は、時間をかけてでもじっくり調整するといいと思うよ。



最初このシールドってやっぱカッコ悪いなと思ってたけど、



冬は意外にあるといいのかもと、最近思うようになった。



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おまけ



ダブルのメーターってきちんとデザインされていてカッコいいんだけど



スピードとタコの間がテラテラのプラスチックで質感がゼロ。



なんかいいパーツが出ないかな、と思ってるんだけど出ないから作ってみた。



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ウッドパネル風。



素材がこんなのしかなくてイマイチ。



けど、あのテラテラの黒より断然気に入ってる。




ドイツの寒さを知る

2012年10月11日 | R100RS 2本サス (1981) 銀じぃ

朝晩ぐっと気温が下がるこの頃



早朝に走りに出る日は着るものが難しい。



ちょっと着込んで出て、日中は我慢して走り切るか、



逆に朝や夕の寒さはぐっと堪えて走るか、



まあ、暑くなったら脱げばいい訳だから、でも脱いだものが荷物になるしなーとか



男のくせにぐだぐだと考えあぐねる秋の朝。



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そこへ来ると我らが銀じぃ(R100RS Twinshock Model)の



インテグラルカウル(BMW命名)の稀有な防風性能はこれからの季節が本番。



なんせ真冬でも厚手のグローブは滅多に必要ないほどで



電熱ウエアもグリップヒーターもBMWモトのくせに



まったくもって出番がないのだ。



余談だけど、銀じぃの頃の純正グリップヒーターは



グリップのゴムの色がグレーでとても気持ちが悪い。



まあ握っていれば見えないんだから関係ないけど、



あの妙に明るいグレーを握っていると想像するだけで



気分はブルーになること間違いなしだ。



今朝の冷え込みがちょっとキツかったとはいえ、



銀じぃなら高速に乗って飛ばしても、やっぱりそれ程でもない。



それくらいBMWのふるさとドイツは冬の寒さが半端ないのだ。



オートバイの工場があるミュンヘンなんてだいいち冬はオートバイで走れない。



だから、あんなに対候性にこだわるんだなと思う。



銀じぃに乗るとドイツの寒さをなんだか分かる気がする。



日本の秋口なんてこのカウルにかかれば屁でもないのだ。



むしろシリンダー真後ろのつま先は今日もすでに熱い。



4500rpmで巡航する。



久しぶりなのでちょっと振動が苦になる。



が、それも僅かな間で、すぐに慣れる。



カウルの防風性は本当は160km/hくらいがいちばんいい。



120くらいではバリアが少し小さくて背中に風を巻き込む。



中津川ICで下りる。



高速は100kmくらいの距離が丁度退屈しない。



国道19号線は空いていた。



結構なペースで流れていて、あっという間に元橋まで来た。



今日は王滝川を辿って御嶽へアプローチし、田の原まで登る。



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天気はいまいちだけど、空気が乾いていて清々しい。



スキー場の下で気温が14℃。



まだまだ上る。



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カラマツの樹林帯を抜けるといよいよ高山帯。



森もなくなって中央アルプスのパノラマが広がる。



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ナナカマドやヤマウルシが真っ赤に色づいていた。



雲が広がっているけど、寒気による雲なのですごく高いところにある。



3000mの御嶽の峰よりずっと高い秋の雲だ。



田の原はもうすっかり色付いて秋真っただ中だった。



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初登場のミニテーブル。



ストーブを安定させられる台が欲しくて実戦投入。



あったかい珈琲がうまい季節だな。



田の原を後にして、三岳へ下りる。



県道20号線(長野県・上松御岳線)で開田へ出た。



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本当の目的はこっちかも?



木曾馬たちに草をやりながらすごす。



しかしよく喰うなー。差し出せば差し出しただけボリボリ喰う。



ウマ、かわいいな。



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結局いつもの「霧しな」で蕎麦を喰う。



ぽよよーんもちが食べたくて定食にした。



辛み味噌をのせた蕎麦豆腐でほんとは一杯やりたい。



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国道361号線で19号へ戻り、木祖から権兵衛トンネルを抜けて伊那谷へ出た。



伊那谷は低い雲が出ていて、アルプスは見えなかった。



午後はさすがに気温が上がる。



ブーツを脱いで休憩。



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今日は500kmを越えそうだな。




オルフェ―ヴルが負けた日

2012年10月08日 | 日記・エッセイ・コラム

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どうしても書かずに先へ進めないから

今日は唐突だけど、ウマの話を書く。

フランスG1レース凱旋門賞。

日本のオルフェーヴルが勝利を目指して走った。

結果は惜しい2着だった。

レース後はいろいろな感情が次から次へと湧いてとても寝られなかった。

日本中の競馬ファンはきっとみんな同じだったと思う。

            〇

ブログでは触れたこともないけど、ボクは競馬が好きだ。

競馬は賭博であるから営利目的の企業が入り込んだりしない、純粋な勝負の世界だ。

生半可な気持ちのヤツは一人もいないから、そこにはドラマが生まれる。

現在、中央競馬でクラシック3冠を達成したウマはわずか7頭。

オルフェ―ヴルはそのうちの1頭だ。

日本調教馬の悲願であるフランス凱旋門賞の栄光は、

同じく3冠の最強馬ディープインパクトでも届かなかったのだ。

けれど、オルフェーヴルは昨夜のレースで

その栄光をほとんどその手中に収めていた。

にもかかわらず次の瞬間、本当にするりとその手を滑り落ちていったのだ。

その瞬間の気持ちをどう処理していいのか、

今日一日かかってしまった。

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中継映像は最初、ごみごみと混雑したパドックの中で

アヴェンティーノと連なって歩くオルフェ―ヴルが、

宝塚記念の時のパドックでそうであったように落ち着き払って

堂々とゆったりと周回を続けている姿を捉えていた。

でもやっぱり見ている方としてはちょっと心配で、

もっとうるさくしてもいいんだよ、といらぬことを考えてしまう。

本馬場へ入場しても日本のようにすぐ返し馬を見せることもなく

しばらく泰然と列を作って歩く。

ようやく列が解かれるとオルフェ―ヴルは頭を下げてゆったりと走り始めた。

「大丈夫だ、毛ヅヤもすごくいい、問題ない」

そう何度も自分に云い聞かせても、手のひらに汗が浮かび、座っていられない。

レースはあっけなく始まった。

大外枠からの不利な展開。

スミヨンは難なく折合いをつけて馬群の後方に位置を取る。

大きなアップダウンを越えて、フォルスストレートを抜けると残り533メートル。

スミヨンのゴー!の合図でオルフェ―ヴルは馬体を沈めて一気に加速した。

他のどの馬より低く柔らかく大きな完歩であっさりと先頭に立った。

完璧だった。

しかし、残り300を過ぎた時オルフェ―ヴルはあり得ないほど斜行する。

スミヨンは咄嗟に左手のスティックを右に持ちかえ必死に堪えようとするが止まらない。

結局、大外から内埒まで進路を変えた。

その時残り200メートル。

後方のソレミアとの差は1馬身半。

それでもその差を保ったままオルフェ―ヴルは渾身の走りでゴールを目指す。

日本でテレビを見ているファンは全員がこの時彼の勝利を確信した!はずだ。

追いすがるソレミアは、鞍上の名手ペリエのスティックに応えてその足を止めない。

ゴール板手前あと5メートル。

いや、大袈裟ではない。

あと5メートルだった。

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明け方までの雨で、ターフは最悪の重さだった。

トップハンデの59.5。

大外枠。

完璧ではなかったがしっかり折合っていたし

スミヨンの追い出しも適確だった。

ゴール直前で運悪く足を取られた。

でも、ソレミアのほうが今日は速かった。

レースとはそういうものだ。

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スグには寝られずに、録画したビデオを何度もみながらため息をついていた。

しかし、何度か見ているうちに、はっと気付いた。

こんなに必死になって走るオルフェ―ヴルを初めて見た気がした。

しかも、全力で走って、負けたのだ。

トップに立ちながら斜行してなお全力で走るオルフェ―ヴル。

・・・いつもボクは考える。

ウマはなぜ走るのか。

もちろんボクは知っている。

ウマはひとのために走るのだ。

3冠を獲り、グランプリも勝った馬が逸走したり、1番人気で凡走したり、

オルフェーヴルは人騒がせな馬だけど、

ボクたちのために文字どおり全力で走ったのだ。

それはまるで競馬を巡るすべての人々の愛に応えてくれているようだった。

競馬というと、賭博であることや、動物虐待とか、

穿った見方されることが多いけど、

オルフェ―ヴルの走りには一点の曇りもない。

文化と呼ぶにふさわしい世界観がそこにはあると思う。

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後日談がある。

オルフェーヴルは池添謙一騎手のお手馬だ。

デビュー戦から全14レースに騎乗している。

けれど、フランス遠征ではベルギーのスミヨン騎手に乗り替わってしまった。

最善の選択をしたと云われて外された池添ジョッキーはさぞ悔しかっただろう。

口では「勝ってほしい、応援している」と云うけれど、

誰の目から見ても池添君の心中穏やかならぬことなどわかるというものだ。

そして、きのうの今日、京都競馬場のメインレース「京都大賞典」

池添騎手は大外枠メイショウカンパクの鞍上。しかも今日がテン乗り。

5番人気ながらオッズ18.4倍という微妙な期待。

4角まで馬群の最後方で足をためるとそこから一気にまくり上げた。

フミノイマージン、オウケンブルースリのベテラン古馬が馬体を合わせて並ぶ。

先頭の2番人気のギュスターヴクライを捉えると、

そのままの勢いでメイショウカンパクは1着でゴール板を駆け抜けた。

馬連でさえ175.5倍の万馬券。

「いいウマ乗してもらってます」とは池添騎手の勝利インタビューの言葉。

池添君の意地の1勝を見た、とは云わないが、

競馬にはこういうドラマが溢れているのだ。

Olfe


フレディのいのちの旅は終わる

2012年10月02日 | R100RS 2本サス (1981) 銀じぃ

彼岸を過ぎて、今年の秋も本格化し

山の緑は日々その勢いを無くして、

山里には今年も木犀の香りが充満し始めた。

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いつもの木陰でオートバイを停めて休んでいると

次から次へと枯葉が舞い落ちてくる。

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おい、フレディ

今年も日陰をありがとう。

ボクたちは、どこから来て、どこへ行くのか。

それはこの「葉っぱ」が教えてくれる。

ボクたちは、一瞬、何かの役目で形を与えられ、

そして、それが終われば、また形を無くす。

ずーっと、そこにいて、これからもずっとここにいるのだ。

いのちの過程を、旅になぞらえたりするけど、

旅と同じで、それはひとときの淡い喜びにすぎない。

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最近ちょっと気になることがある。

譲ってもないのに、黄線で無理やり追い越して

前に割り込むなり左手を挙げてるやつがいる。

「失礼」とでも云いたいのか。

ホントに失礼だ。

流れに乗って走ってる先行車を黄線で追い越すのはワイルドな行為だ。

ワイルドならワイルドらしく非礼で行けや。

本来左手を挙げてサインを出すのは

「譲ってくれてありがとう」の場合だけだ。

先に10台以上連なっている車列を抜かして行くなら行けばいい。

ただしそれは無法者のすることで爽やかさんのすることじゃあない。

エチケットを気にするなら、そんなケースで追い越しをかけるなよ。

喧嘩を売る行為に等しいことをわかっているなら買うけどね。

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(焼け色つけてるなんて、わかってるね!この缶のデザイナー)

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気持ちのいい秋の日に、気持ちよく走っていると

なんだか馬鹿らしくなってくる。

この意味のない行為がボクにもたらすものが

如何ほどのものであるのか。

考えれば考えるほど馬鹿らしくて馬鹿らしくて

とても贅沢で、無駄で、そして、とてつもなく愛しいのだ。

ヒトがその歴史の中で、ガソリンエンジンの2輪車に乗っていたのは

おそらくごく短い一瞬の出来事になっていくのだろう。

こうしてその愛おしさを綴ることの意味も、実はほとんど意味のない事だ。

けれど、意味のない事は不必要だとは云えない。

それはボクらの命が無意味なのと同じことだからだ。

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