ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

年の瀬は買い物行って機嫌とる黄色いヤツ

2020年12月26日 | R100Trad (1990) クロ介
ノームコア

このごろ流行る言葉

20世紀のBMWモトは今見ると

まさにノームコアな位置づけだ


ボクのヤツはたまたま真っ黄ィー黄ィーに塗られちまったから

ノームコアとはちょっと言い難いが

乗り込んでいくと

この究極の普通は意識しない間に

心の深いところにどっしりと腰を据えてしまう


奥さんに胃袋をつかまれる、というが

ちょっと違うかな、でもそんな感覚だ


休みたんびにオートバイをバラバラにしたり

組んだかと思ったら、いつの間にか山へ走りに行っちまったり

家でじっとしてると思ったら、競馬やってたり

あんまり勝手が過ぎると嫌われますよ


ということで



ドラッグストアに行ったり



近所のスーパーに行ったり

1000ccのBMWはカブのような走り

まさに「究極のゲタ」もとい「究極の普通」

ノームコアなオートバイだ

トライ&エラーこそ

2020年12月17日 | R100Trad (1990) クロ介
ボクはもう壮年だ

早い話、ジジィといってもいい

このごろはジェネレーションギャップなのか

変な時代に変わっていくことに、モヤモヤしたものを感じる

たぶんジジィはみんなそうなんだろう


一番モヤモヤするのは

未成熟、未経験を肯定するもの言いか

遠回り、とか

無意味、とか

そんな理由だ


ほんとに頭のいい人や

限られたタレントを持つ人は昔からいる

その人たちには確かに経験や猶予は必要ないのだろう

ただそれは今に始まったことではなく昔もそうだった



もうジジィだから言い切るけどね

なんで失敗することを楽しめないんだろう、と

「こうすれば」と考え

「ちがうのか」と反省する

スマホやPCの中にあるのはただの情報で

正解や成功がそこにあっても、それは他人のものだ

人はだれしも未成熟で生まれるわけで

人類何千年かで得てきた経験を

学校に行くことで、ひととおり知識として得られる良い時代だ


そしたら今度は自分の番だろ?

知識は知識として

そこからは自分の人生を生きなきゃ意味がない

言い切る

意味がない

たどり着くとこがどこなのか

どんな高み、深さ

それはどうでもいい

「これは自分のものだ」と胸を張れる生き方をすればいい



道すがら出会うオートバイには

ほぼほぼスマホが中心に居座っている

スマホでアプリにルートをなぞらせ

目的地へ指示されるまま突き進むのか


それならなぜ目的地に行くための手段がオートバイなんだろう

そもそも目的地ってなんだ

エンジンを切った後が目的なのかい?

だったらこんな危ない手段は必要かい?


オートバイに乗ること

オートバイで走ること

危険であってもそれを乗り越えるだけの

理由や魅力がそこにある


オートバイを引っ張り出し

冷たいエンジンに火を入れる

ギアをローに入れ

丁寧に、慎重に、その日最初のクラッチミート

そして、また今日も道路へ走り出す


まだ固く不揃いな爆発をなだめながら

ゆっくりエンジンに熱を回していく

最初の交差点で止まるときエンジンをストールさせないように気を付けて


流れのある幹線道路でチョークをすっかり戻すと

スロットルの付きを試すように

慎重に、しかしすばやく、大きく引き絞ると

ビックボアのボクサーツインは力強く応える

「さー今日はどこを走るんだい?」


大切なことはプロセスであってリザルトやエフェクトでなくていいと思う

失敗は次のトライへ続くし、

不安や恐れは、その裏側に間違いなく生きる高揚感を伴っているはずだ

写真も挟まずこんな話を書き連ねるのも

トライだからだ

もう「大多数」におもねる文章で自分の気持ちを抑え込みたくない

なんのリアクションもなくても、きっと伝わっている人がいる

そう思ってこのブログを続けていきたいから

オートバイに乗る時くらい

この走る魂にひたすら自分をぶつけてもらいたい


エンジンの音

吸気音

ブレーキパッドがローターを摩擦する感触

ガソリンの匂い

蝉の声

キンモクセイの香

日差しの温もり

雨の冷たさ

指の凍え

前を行く車の中から送られる子供たちの視線

そして

深くリーンした時の不思議なバランス感

オートバイライディングはすばらしいの一言に尽きる

でしょ?

だからスマホ見ながら走るのはよそう



もう何年もいってないから道も随分変わって

この場所にたどり着けるのかちょっと不安だったけど

でも、旅するボクのDNAは健在だった

地図もなくスマホも見ずに

しっかり、しかも一発でここに着いた



ここは秘密のテストコース

バンクの付いた高速周回路

黄色いBMW



休みのたびにちょこっとずつ手を入れて

こうなった

あんまり変わってないか


トライ&エラーを求めて

2020年12月16日 | R100Trad (1990) クロ介
休みの朝

オートバイ小屋の中できーくん(BMW R100 TRAD)を

引ん剝くことから始まる

この頃急に季節が進み、サブいサブい



グリップヒーターを付けて、信号で止まると

電圧降下のためヒーターの保護回路が働くことが多い

このころのBMWモトは高速を長時間走ることがメインで

あんまり発電してるとバッテリー液が干上がっちまうのを防ぐため

充電する回転も少し高いし、充電量もやや少ないようだ

街中を低速で走行する警察や公用車用のレギュレーターなんかもあるけど

基本しっかり回して長時間走るオートバイだ

取説についていた回路図を見ると

アディショナルメーター用のソケットがある



4ピンの白いカプラーがそれ

オスのカプラーを用意できないので

カプラーを切り落としてギボシを付け電圧計を付けた



ちょっと安っぽいけど

明るさも適当で案外信頼できそうだ


先週からやっているフロントウィンカーのボディマウントだけど

どうも球の電力が合わないらしく上手く点灯、点滅してくれない

ネットで調べてみると

ウィンカーリレーってやつは電力がピンポイントらしくて

リレー本体にしっかり電力が書かれている

知らんかった、素人かなし

最近ではICを使った対応範囲の広いリレーが一般的で

こいつがまたメチャ安なんだと

休み一日つぶしてやっと形になった

形が気に入って購入した新しいウィンカーボディもカッコいい



結局またメンテブログになっちまった


今週はちょっと走ってきたので

明日またその記事をアップ予定

です

ソロツーリストの「メンテログ」つづく

2020年12月09日 | R100Trad (1990) クロ介
BMWの古いオートバイたちは

すぐに身包み剥がせるのが性能の一部だ

シートを外して、ピンを2個引き抜くと

タンクが外せる

(燃料ホースを抜くのも忘れずに。けど、剥き出しだから簡単)





はだかのR100はこの重心の低さ

あのデカい対向シリンダー付きのエンジンは

フレーム下部の2本のボルトで取り付けられている

クランクケースは一体型

左右には割れない

だから熱が回って本来のクリアランスを得るまで暖機運転が必要だ


今回またはだかにしたのは

どうもウィンカーの点滅が怪しくて

リレーを交換することにしたからだ

球はフロントに10W、リアに19W

取説ではすべて21Wなので全体的に電力が低い

それなのに一発目の発光までに1テンポ間が開く

前を19Wにするとなんと点灯も点滅もできない



レギュレーターとライトリレーとかの間になんだか怪しい空間がある

DENSOの黒い2ピンのウィンカーリレーらしいやつが

結束バンドで固定されている


こんなに早くまたお世話になるとは思わなかった「輸入屋ビーマー」さんに

純正の3ピンウィンカーリレーを送ってもらった



思ったとおりこれで治った

スイッチONと同時にウィンカーが点灯する



「ソロツーリストの旅ログ」

なんだけど

多分春になるまでは

「メンテログ」だと思う




「必然」はデフォルトの姿にあるか

2020年12月02日 | R100Trad (1990) クロ介
夜中に寒気が流れ込んで

山はにわかに時雨れた

雨が止むと、風が吹き

「もう今年はここまでさ」と冬はうそぶく



たとえ山の中の国道で、交通量が少なくても

前をノロノロ走るダンプを100km/hを超える速度で

しかも集団で追い越すなんて、絶対にダメだ

後ろで見ているだけで、とてもいやな気分になる

と、うそぶくのに、似ている



今まで撮った写真を見ていて

なんだかライトケースが小さすぎる感じがしてきた

ウィンカーも安っぽくてありきたりだ



RnineTとかいうオートバイを見てたら

ウィンカーがフレームマウントされていた

ライトもでかくて、とてもかわいい



リアウィンカーのブラケットが余ってたので

取り付け位置を探ってみたら

オイルクーラーが取り付いているフレームの穴がぴったり

ライトケースもノーマルのメッキキラキラのバカデカいやつに戻した

下げてあったメーターがそいつにあたるので

結局メーター位置も元に戻した

悪くない



かつて、BMWはそのすべては必然であるとうそぶいていた

左右のステップがシリンダーがずれている分同じようにずれている、とか

1000キロ走るとエンジンオイルが1リットルも減っちまう、とか

電圧計がウィンカーの回路に組み込まれていてウィンカーを動かすたびに電圧計の針が躍る、とか

そう、すべては必然なのだよ


いやいや、茶化すつもりはない

エアヘッドのボクサーツインに乗ると

「違和感」しか感じないのに、

乗ったひとの多くはやがてその特異性の虜になる

虜にならないと、大、大、大嫌いになる


ボクは、虜になったほう

あれこれ手を入れることは悪くはないけど

当時のBMWが安価で超高性能な極東のオートバイを横目に

その3倍もする価格でこの究極の実用車を販売していたのだ

ノーマルの構成に潜む彼らの「必然」に触れることこそ

このちょっと古いオートバイを走らせる大いなる楽しみなのだ

と、うそぶく