ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

グリップヒーター(のスイッチ)を入れる

2011年10月31日 | R1150RT (2001) あお号

9年間、8万km走っても1度も切れなかったヘッドライトのロービームがついに切れたよ。

近所のホームセンターで安いのないかなと物色したら、スタンレーの1球入りがあった。

期待してないのに「二輪車用」とも書いてあるシロモノ。

出かける前にパカッと開けて、カチッと嵌め換えて、ピタッと閉める。

念のためにエアーチェック。

おー、減ってるじゃん。

自転車用のショボい空気入れで前後2本で100回くらいポンピングする。

エアゲージをあてるのが下手くそで、かなりロスするから、その分多めに入れる。

空気入れたら、引き回しが軽くなったよ、ずいぶん減ってたんだね。

東の空は朝焼け。

昼頃には崩れて雨になると予報が出てる。

気温は12度くらいかな?

ロングスリーブのTシャツにジーンズ、インナーを外したジャケットを着た。

ちょっとサブいかな、と思いながら走り出した。

            〇

音羽蒲郡ICから東名に乗る。

ウインドシールドを立てて、襟元にあたる冷たい風をスポイルする。

少し迷ってグリップヒーターのスイッチを入れた。(・・印の最大ノッチ)

やばいねー、グリップヒーター。

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ボクがBMWのオートバイに憧れたのはパニアケースの出で立ちのカッコ良さと、

このグリップヒーターという装備があったからだ。

おっさんクサい装備だと思う人もいるだろうけど、

冬のライディングを厭わず出来るのもこいつのおかげだよ。

ヒーターベストを着た時にも思うけど、

寒く(冷たく)ないのと、暖かいはまったく次元が違う。

そりゃそうか、防寒でなく、暖房だもんね。

先週までの集中工事を終えた東名はちょっとだけ「新東名」シフトに変わっていた。

三ケ日JCTの手前には電気仕掛けのルート別所要時間標示板が用意されてるし、

新東名への表示板には「2012年初夏開通」と公言されている。

高速道路標示板のフォントも新しくなると発表があったけど、

新しく設置されたものは新フォントになった標示板が掛かっていたね。

違和感があるからすぐわかるよ。

三ケ日で東名を下りて、国道362号線で天竜を目指した。

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浜名湖辺りでもう上空は雲が広がった。

案外降り出しが早いのかな・・・

            〇

天竜から大井川へ抜ける山深い辺り、「春野」は秋葉山のお膝元。

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このまま北へと地図を繰るとその山並みは南アルプスへと続いていく。

秋葉山に登って尾根伝いには「天竜スーパー林道」が走る。

スーパー林道は10年前くらいならまだダートもかなり残っていて、

オフ車を所有してたその頃、結構な頻度で走りに行っていたね。

今日はその東側の気田川の谷筋をたどる県道389号線(静岡県・水窪森線)を走る。

天竜スーパー林道が陽なら、この県道は陰だ。

表なら裏、A面ならB面(死語か)、鶴なら亀、トロの握りならカッパ巻き、

BMW750ならミロブース、もといミライース、月ならすっぽん、ネコなら小判だ。

と、国語のテストなら間違い探しになりそうな例えは止めて、

国道からいきなり入った長くて細ーいトンネルを抜けることに集中しよう。

長さは661m。

中間地点に待避所がある。

おもしろいのは途中に何か所か断面に沿ってリフレクターが埋め込まれていて

ぐるりとトンネルを浮き上がらせる。

youtubeで動画があったので貼っておきました)

トンネルを抜ける気田川の川岸に出る。

しばらく川に沿って、「うっそー!」というような快走路が続くけど、

5速が使えるのはここまで。

あとは2速か3速でひたすら天竜スーパー林道との交点を目指すことになるよ。

            〇

川の流れが意外に泥まみれで灰色をしていた。

気田川はいつもは澄んだ青色の流れだけど、

このところの雨で土砂が多く流れ込んでいるらしい。

斜面が大きく上の方から崩れたりしているところが何箇所かあったし、

大木の砕けた残骸がそこら中に散乱していた。

そう云えば、先月の台風がこの辺りを通って行ったな。

通過速度が速くて、荒れてる時間は短かったけど、かなり強い台風だったからね。

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塗装がハゲハゲのトラス橋出現。

個人的にはこの「打ち捨てられ感」がたまりません。

さっきまでかなりあった川幅が、急に狭くなってきたよ。

県道は川の蛇行を忠実にトレースして、ずんずん山奥へと踏み込んでいく。

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カエデやモミジは少なくてケヤキなんかが枯れたように色付く、雑木紅葉だ。

今日は朝からずっと気温が上がらず、かなりサブい。

グリップヒーターは入れたまま。

おまけにさっきから霧雨が降り始めた。

こんなところに道路を作る意味ってなんだろう?

――砂防か、ダムか、それとも・・・と考えていたらふいに集落が現れた。

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「勝坂神楽の里」

どんなところなのかよく分からなかったけど、かなり古くからある集落のようだ。

この集落の先、5km位を明神峡と云って、紅葉の名所になっている。

色付きはまだもうちょっとという感じだったよ。

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大きな岩の上に根を下ろした欅の古木。

「明神欅」と名付けられていた。

樹齢はおよそ160年。

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すんごく細くなってるけど、だいじょーぶ?

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のんびりと木々の色付きと、川の流れを眺めていたかったけど、

どうやら予想通り雨の降り出しが早い。

強くはならないけど、じっとしているとしっとりと濡れてしまう。

            〇

最後の集落を抜けると、不意に県道は気田川の本流を離れて、

何かを振り切るように一気に高度を上げ始めた。

いくつも谷折り尾根折りを繰り返しては、容赦なく登る登る。

いつしか深い谷にいたはずのボクたちは峰の上へと出ていた。

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さっきまでいた気田川の流れが遥か下方に見え隠れする。

天竜スーパー林道との交点「山住峠」はもうすぐそこだ。

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山住峠 1107m。

鹿さんもしばらく見ない間にちょっと色褪せたんじゃないか?

そのまま真っ直ぐ峠を下りて、水窪の街を目指す。

この辺りも紅葉がきれいなところだけど、もうちょっとだね。

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国道151号線で新城・豊川へ出たら雨が強まった。

でも、強くはならないまま家にたどり着いた。

そしたら本降りに。

なーんだ、今日はちゃんとカッパ持って行ったのに。

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濡れ落ち葉を踏んで峠を越える

2011年10月24日 | R100RS 2本サス (1981) 銀じぃ

またもや土曜日に雨。

明けて日曜も回復が遅い。

ガレージのシャッターを開けると、ポツリときた。

けれどそれも空を見上げているうちに止んでくれた。

銀ジィ(’81R100RS)を引っ張り出して、

この集中工事が終わって、暫定的に3車線になった東名高速(音羽蒲郡-豊田JCT)を走ってみた。

確かに流れは良くて、追い越し車線は空いている。

調子に乗って飛ばしていたら、「60km/h制限」の標示!

特に狭いとは感じないけど、確かに高速道路の広さは無い。

案外いけるのかな?と思ったら、トヨタJCTの手前で左車線が渋滞。

(夕方もやはり音羽蒲郡~豊田JCT間で渋滞が発生してたよ。)

            〇

東海環状道から岐阜の方を見ると、なんだか黒い雲が多い。

おー、カッパ忘れてきてるよ!

どこかで休憩の時、コーヒー淹れるセットは積んでるのに、

その時に座る折りたたみ椅子は積んでるのに、

お風呂の気分になっても良いようにお風呂セットは積んでるのに、

今にも降りそうなのにカッパを積んでないとは・・・orz

回復に向かっていると信じて進むボク。

でも、こういう時に雨に遭遇する確率が非常に高いと、ボクは経験上知っている。

誰でもないボクのことだからね。

まあ、今のところとりあえず路面は乾いているし、頭上の空は明るい。

中央道へ進んで、中津川で下り、南木曽(なぎそ)へ向かう。

行く手を遮るように聳え立つ「南木曽岳」も雲に隠れて半分くらいしか見えない。

妻籠方面へ折れて、国道256号線、清内路へ登る。

大きなカーブを次々にクリアしていくと、高度がどんどん上がる。

途中から路面がウエットになった。

県道8号線(長野県・飯田南木曽線)大平街道を往く。

先週の野麦峠でもお世話になった(?)濡れ落ち葉、

8号線に入った途端に今週もお世話になるとは・・・

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止めとこうかとも思ったけど、いきなり紅葉を期待させる森の中。

けれど、飯田へ抜けるにはこの濡れ落ち葉を1時間以上楽しむことになる。

まあいいや、と試しにリアブレーキをロックさせてみたら、案外グリップしてる。

路面が心配な時は、ワザとロックさせてみるとすべり具合をちょっと掴めるよ。

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清内路側からアプローチするとぐんぐんクネクネ高度を上げる。

尾根筋・谷筋の折り返しが広葉樹の落ち葉が多くてグチャグチャ。

中間は杉の細かい葉っぱが主でそれ程でもない。

ちょっと走ると慣れてきて、思わずズルッとくる。

でも、そのズルッと来るのも3回ぐらいで慣れてきて、

瞬時に外足に体重を移す自分に「やるーっ!」と萌える。

            〇

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大平峠。

ここから「兀岳」という山への登山口がある。

「ぱいだけ?」

家に帰って調べてみたら、「はげだけ」と読むらしい。漢字は難しいね。

ここは標高1358m。カラマツもすっかり色付き、紅葉も盛りだ。

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大平(おおだいら)の宿場に到着。

微かに雨が降っていて、じっとしているとじんわり濡れる。

フロントタイヤが巻き上げたカラマツの落ち葉がびっしり。

まわりのクルマのフェンダーも落ち葉のひげが出来てたよ。

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            〇

さらに進んで飯田峠へ向かう。

こちらも濡れ落ち葉の舗装(?)がかなりハード。

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そろそろちょっと肩が凝ってきたなと思いはじめたころ、

標識を見逃すとそれと気付かない「飯田峠」に達した。

ここからは伊那谷に向かって街道は下り勾配が強くなる。

峠の東側は落ち葉が少なくて、ペースが上がった。

けれど、こちらも尾根や谷の折り返し部分にはやはり広葉樹が多くて、

深く曲がっているコーナーほど落ち葉が多い。

タイトな部分もあるので、ブラインドではややハードにブレーキングする場面もあり注意かな。

銀ジィのブレンボは強く握るとほんとに強く効くけど、

ウエット時にデリケートな反応を期待できない、と感じるのはボクだけの印象か?

舐めるようにレバーを握りこむけど、思ったようにサーボが効かない。

ああ、雨の日にサーボが効きにくいのか?

というか、弱い入力を繰り返してると、摩擦力を感じなくなってくる。

マスターシリンダー径が16mmもあるせいか、レバーの引きが重くてもっさりしている。

タッチはお世辞にも良いとは云えない。

あお号(R1150RT)のブレーキと比べる方がいけないけど、

条件が悪くなるほど、操るのに馴れと技術が必要だ。

だから、老ートバイはやめられないんだけど、リスクは確実に多いね。

でも、狭くて人通りの多い通りでは意外に事故が少なくて、

交通量も少なく、見通しの良い信号交差点の方が事故が多いように、

ヒトは危険を感じると、注意深く慎重になるものなんだろう。

濡れ落ち葉の下り坂、タッチも実際の効きも悪いブレーキのオートバイ、と入力されれば、

このアホな脳みそでも「慎重に行け」と命令するんだろうね。

            〇

もう少しで飯田へ出られるというところで、雨脚が強まった。

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木陰に身をひそめて雨宿り。

カッパ忘れてきた雨男。

グローブを濡らしたくなかったから、外してパニアに仕舞って

弱まった雨の中へ再び走り出す。

短かったけど雨足は相当強かったようで、道路は水浸し。

フェンダーや足回りにこびりついた落ち葉を洗い落とすようにして走った。

飯田の街へ出ると晴れた。

いま下ってきた大平峠の方を見やると、そちらもすっきりと晴れて青空が広がる。

いや、雨に煙る晩秋の山の方が良かったよ、絶対に。

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(月曜は サロンパスクサい このおっさん)


秋、そしてひとつフタをする

2011年10月17日 | R1150RT (2001) あお号

気がつけばすでに10月も半ばを過ぎ、秋もいよいよ深まりを見せる。

ひこばえで青々とした田には、毎朝びっしりの露が下りて、

陽が昇るとそれが湯気のようにモヤって、あたり一面に立ち込める。

2000m級の峠はそろそろ怪しくなるね。

秋の走りは格別で、特別だけれど、

このあと訪れる雪と氷の季節に急かされているようで、

落ち着かない気分になることも確かだ。

だから、時間が許す限り、飛騨や信州の峠を訪ねて行っては、

すばらしい紅葉の景色を目に焼き付け、

「また来年来るね・・・」とフタを閉めていく。

この週末に訪れた開田高原や野麦峠はまさにそんな季節の真っただ中だったよ。

            〇

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土曜の激しい雨で、木曽川は濁流が渦を巻いていた。

クルマもいつもより明らかに多くて、そんな濁流とは真逆ののったりとした流れの国道19号線。

それでも天気は最高で、川沿いの山の木々は少し色をくすませて、

秋の訪れをはっきりと感じさせてくれていた。

平地ではやや暖かかった週末だけど、

木曽路はすべて山の中、で、「須原」の宿場を過ぎるころから、空気が急に冷たく感じられるようになったよ。

流れは相変わらず悪くて、最初は「奈川」まで出て野麦峠へ上がるつもりだったのに、

木曽大橋の交差点で誰も開田方向へ曲がらなかったものだから、

気まぐれで国道361号線へ入ってしまった。

この国道はなぜか山の中の超快走路で、ボクはあまり好きじゃあない。

いつもは旧道を走ったり、手前の県道20号線で開田へ上がる。

でも、その日は19号がノロノロだったことと、

天気が素晴らしくて、気持ち良い青空だったことから気分が良くて、

思いっきり走らせてもらったよ。

したらば、ほとんど他のクルマにも合わずに

峠の「新地蔵トンネル」まで本当に「あっ」ちゅう間に来てしまった。

            〇

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そしてこのサブくて長いトンネルを抜けると、

そこは「秋」だった。

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去年の紅葉は良かったけど、今年は台風に何度か襲われてるので

「ダメかなー」とボク的には予想していた。

でも、今年も紅葉の色付きが良いように感じたけど、どうだろう。

特にモミジやカエデの赤がすごい!

まさに燃えるような感じだったよ。

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開田高原は雲もほとんどない快晴。

日和田へ抜ける長峰の峠では、

御岳の嶺が裾からズバーッと見える大パノラマ。

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思わず走りながら、鼻歌が出るような気分だったね。

            〇

高山方面へ下りながら、高根ダムのダム湖の途中で

県道39号線(岐阜県、長野県・奈川野麦高根線)へ折れた。

最初の集落に入ると正面に乗鞍が見えるんだけど、

大きな雲が中腹より上にのっていて全景が見えない。

峠までまだしばらくかかるので、その頃には晴れるだろうと期待して山道を進む。

野麦峠へ向かうこの県道辺りはすでに晩秋の気配が漂う。

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明け方までの嵐のような雨で、路面はまだびしょびしょ。

おまけに広葉樹の大きな落ち葉が一面に敷き詰められてにゅるにゅるだぉ。

わざとABSを利かせたり、ふいにABSに助けられたりで

あお号(’02R1150RT)との共同作業で峠へ向かう。

風が出てきてさらに落ち葉が吹雪のように舞い散る。

カラマツの葉は細かい針のようで、ヘルメットのシールドを下ろしていないとすごく痛いよ。

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峠の駐車場はマスツーリングのグループで占拠されてたので

少し離れた駐車スペースまで行ってあお号を停める。

野麦峠は相性があまり良くないんだけど、

今日はよく晴れて、風もそれほど強くない。(けっこう吹いてはいるけどね)

乗鞍は結局見られなかった・・・

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今日もストーブを持って来たので、湯を沸かしてメシを喰う。

ひと気がなくなると、「あーーーーー」と湯船で上げるような声を出してくつろぐ。

あんまり良い景色ばかり見てると、いつか自分もそこに熔け込んじまって消えてしまうかもな。

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うん、悪くないな、それ。

こんな景色を見ながら、そこで空気みたいになって溶け込んでいけるならそれもいいな。

あお「おいおい、置き去りはよせ」

ボク「あ、そうか」

あお「アホなこと云ってるとABS利かせへんからね」

ボク「うそうそ、帰るって」

はたして峠からの下りはすごい濡れ落ち葉のじゅうたんで、

ABSをわざと利かせながら降りてきたよ。

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今年はこれが最後かな。

そうして「パタン」と野麦峠のフタを閉める。

また、来年くるよ。

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何もなくて豊かであるとは

2011年10月10日 | R1150RT (2001) あお号

久しぶりに早く起きられた。

朝日の斜光線が美しい午前6時。

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あお号(’02R1150RT)の完成された走りにうっとりしながら

峠を越えて、いつもどおり三河の山へ分け入る。

気温が下がっていて、辺りは露でびっしょりだ。

せっかく早く出られたんだから、今日は長野まで入ろうと思うけど、

トンネルの崩落でルートに制約があって、

あれこれ迷いながら走っている。

国道151号線で新野峠を越えたいが、

国道257号線から何処を回って151へ出るか、と云うことだ。

結局、田口(設楽)を過ぎて、県道10号線(愛知県・設楽根羽線)で津具へ上がり、

そこから県道428号線(愛知県・古真立津具線)で太和金トンネルの北へ出るのが良さそうだ。

もともと「428」は迂回ルートに指定されている。

なのに、ボクが実際に進んだのはどうやら県道427号線(愛知県・坂宇場津具設楽線)で

先週、長江へ行くのに田口から入った県道の続きの部分だった。

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もう最初からずっとクッネクネの林道様県道で笑いが止まらない感じのヤツだ。

でも、国道151号へは意外にいい感じで出られた。

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そのまま、早い流れのクルマたちに付いて県境の峠を目指した。

この人たちすごく速くて、ボクのメッツラーのゾウさんを潰すくらいバンクさせられたよ。

て云うか、最近はバイアスタイヤ、おまけにグネグネの2本サスのオートバイ(銀ジィのことネ)で走ってるせいか、

あお号に乗ると、まるで大リーグボール養成ギブスを外された星飛雄馬みたいな感じで、

モノすんごい剛速球がバシバシ放れる感じだよ。

パラレバーは路面の凸凹を舐めるように走るし、

ワイドトレッドのラジアルタイヤは思いどおりのラインで曲がってくれるし、

その上、まるで破綻する気配すら感じさせない。

新野峠。1060m。

秋が深まりつつある。

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            〇

新野の道の駅を通過して、阿南に入る。

ループした道路をクルクルと駆け下りて、

巾川トンネルの先で和知野ダムの方へ折れた。

「和知野ダム」はこじんまりしているけど発電用のダム。

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小さなダム湖はひっそりとして神秘的だ。

秋が深まると周囲の木々が色付いて、息をのむ程の情景になる。

ここから今日は県道243号線(長野県・深沢阿南線)で国道153号線まで出る。

この県道、現在、時間通行止めされてるので注意してね。

ボクは通行止めを知らなかったけど、偶然通行可能な時間帯でラッキーだったけど。

県道は最初から和知野川に沿ってずんずん山奥へと入って行く。

和知野川はすごくキレイな流れで、思わず見入ってしまう。

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けど、道は半端なく細くて、正直オートバイでなかったらのんびり分け入る気にはならないくらいだよ。

トラックやダンプが来ることはなかったけど、交通量はまずまず。

油断してるとオートバイでもすれ違いに気を使う個所があるから注意が必要だね。

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天部に木が生えたロックシェードが続く。(効き目あるのかよ・・・)

こんな山深さでも、しばらく行くと民家が其処彼処に見られるようになる。

ひとの気配があると当然のように田畑がある。

人間てすごいな、とつくづく思う。

大きなキンモクセイが一杯に花を付けて辺りにその香りを充満させていたよ。

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「浪合」に近づくと田畑がさらに増えた。

「熊出没注意」、「イノシシ注意」、「マムシ注意」と立札が並ぶ。

自然が豊かとはそういうことだろう。

もともとは彼らの住処なのだ。

人間は何処へでも入って行って、田畑を切り開く。

冒険家の関野吉晴さんが、信じられないような秘境での人々の営みについて

それが敗者が生き延びるための手段であった、

と話されるのを聞いて、なるほどな、と思ったことがある。

世界には、勝者が生き残り、敗者は淘汰されていく、という一面もあるけど、

敗者にも生活があるのだ。

日本の秘境にも「平家の落人」伝説がそこら中にあることからも裏付けされるだろう。

ここが、まさにそれだ、ということではないけど、

山里や離島でも多くの人たちが暮らすのを見ると、

人の営みの逞しさに感心することしきりだ。

何もない山里にも、豊かな風土が培われているのだ。

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大きな木の下のベンチで、お湯を沸かして食事をとった。

遠くのせせらぎが微かに耳に届き、

刈り取った藁を焼く煙の匂いが鼻腔をくすぐる。

ひとりぼっちで、さみしくて、とてもいい日だね。

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山の中をぐるぐる

2011年10月03日 | R100RS 2本サス (1981) 銀じぃ

なんだか急にビュービューと北風が吹いて

季節が急ぎ足で巡って行こうとしているのかな?

もう、外でのんびりオートバイのメンテとか出来ないね。

じっとしてるとサブいし、日暮れもアッちゅう間だもんね。

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まだそこら中で過日の台風による被害が復旧していない。

ボクのいつものアプローチルートである県道37号線(愛知県・岡崎清岳線)(きよおかって読むよ)も

土砂崩れ・倒木の被害の復旧中で

樫山から山の中へ迂回させられたよ。

でも、その迂回ルートが思いの外よいルートで楽しかったりする。

ホタルで有名な「鳥川(とっかわ)」を通っていく。

おサルの親子が橋をわたって山へ帰って行くような、のどかな集落。

そこから地図に番号の書いてない道路で峠を越えて宮崎に出た。

遠回りだけど、悪くない。

            〇

宮崎から先も、その前の台風の被害で通行止め。

おかげでお気に入りの県道334号線(愛知県・千万町豊川線)は

作手へ行くオートバイが増えたね。

遅いクルマについて走ってたら、後ろから来たダエグが躊躇なく抜かしていった。

その皮ツナギにそそられて、ボクも次の直線でクルマをパスしてついていく。

前半の中速コーナーの区間で差が案外詰まるので、

峠の入り口で追いつける、とペースを上げた。

リアのプリロードを「中」にしてるので、攻めるとサイドスタンドがシャレにならんくらい擦りまくる。

はたして峠の入り口でダエグの尻についた。

この峠のポイントはボク的に2か所。

入口の回りこんだコーナーから続く2つのコーナーと、

トリッキーなブラインドのS字コーナーのあとのキツイ登りのヘアピン。

入口のコーナー区間は最初の深いコーナーが実はそれ程でもなく、

その後の左が「くの字」に折れる浅いターン。

つまり侵入で速度を殺して、旋回脱出とその後の左を開け開けで行く。

ダエグ君はセンターに身体を残して腰を落とす、今どきのフォーム。

でも、アクションが大きい分初期旋回の効率がちょっと悪そう。

ただし深いリーンに持ち込んでからはラジアルのワイドタイヤのグリップを存分に活かせる。

おーーーーー1200cc水冷DOHC16バルブ直4!

速えぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーー!

ワイドオープンで銀ジィなんてノッキングしてる。

ボアが94mmもあるからね。

94mmって一升瓶の底ぐらいの大きさだよ(マジで)

あっという間にダエグに置いて行かれる。

折れそうになる心を必死で支えて、次のポイントへ。

ここはブラインドの深そうな左コーナーが、実は曲がったすぐ先で終わっていて、

5mくらい先に右の直角ターンが続いている。

ダエグ君がパニックブレーキをかけてる間に背後に忍び寄るのだ!

が、ダエグ君、逆リーンしてブレーキングしてる!

あんた、ここ、走り慣れてるね・・・・・・

こうしてカワサキZRX1200ダエグは視界から消えて行ったのだった(無念)

って、12%の昇りが続くこの峠で、パワーの差がありすぎだよ(負惜しみ)

            〇

大好きな千万町(ぜまんじょう)の集落でたそがれる。

田んぼはすでに稲刈りも終わっていた。

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畦には曼珠沙華が並んで咲いている。

川の縁に白い曼珠沙華があった。

白もキレイだね。

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まだまだ通行止めが多いので走りにくい。

国道151号線の太和金トンネルは深刻な崩落のようで修復は困難だそうだ。

すでに新トンネルの計画があるそうなので、トンネルが出来るまでダメなのかな?

国道301号線の本宮山あたりも崩落で未だ通行止めだ。

ボクの大好きな手の入っていない県道は、意外に被害がない。

多分、山を削らずに等高線に沿うようにルーティングしてるから無理がないのかも。

日曜に行ったのは本格派の400番台2本。

県道427号線(愛知県・坂宇場津具設楽線)と県道431号線(愛知県・八橋中設楽線)。

路面はどこも乾いていたけど、あれは雨の日やその直後はやめた方が良いよ。

ほぼ全線通して杉の植林帯の中を行く。

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枯れた枝がずーっと散乱している。

車の轍が出来るほどの散らかり様だ。

ラインを外すとドライでも時折スリップする。

濡れていたらとても楽しめないと思う。

でも、この日は晴れていたのでとても気持ちよかったね。

幹の高さが20mはありそうな杉の木々の中を、ゆっくりと狭い県道をたどる。

山の中で唐突に出現する分岐点。

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このあたりはとても山深い。

分岐を曲がると道は下りになる。

程なく道の脇を渓流が沿う。

振草渓谷という小さな谷。

こちら側は天竜川の水系だ。

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実はこのあと国道151号線に出たんだけど、そこでUターンして県道を戻った。

というのは途中にあるはずの「長江」の棚田が見たかったのに、

見つけられずに来てしまったからだ。

今度は慎重に時折立っている看板に目を凝らして走る。

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「永江城址」と云う看板にピンときて町道へ入ると、すぐそこだった。

前に行ったこの近くの四谷の棚田に比べるとすごく幾何学的な造形の棚田だった。

城跡のようにきれいに石組みがされて荘厳だ。

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ここもすでに稲刈りが終わって、集落はひっそりとしていた。

山深い、静かな良いところだ。

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集落の一番上に大きな杉の木が植わった木造のお宅があった。

もう住んでいらっしゃらないのかと思ったら、

南側の軒にキレイに花を付けたベゴニアの釣り鉢がたくさんぶら下がっていた。

2階から、棚田の集落全景とその向こうの遠くの山々まで見渡せそうでとてもうらやましい立地。

こんなとこでのんびり過ごしたいなと、浅はかに考える。

そうだね、きっとここで暮らすのは大変な苦労があるだろう。

でも、きっとそれを忘れさせるような何かがあるようにも思えたよ、なんとなくだけどね。