ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

SRラプソディ その後の顛末 やっぱりね

2024年01月29日 | SR400 RH16J(2019)シータ


いろんな理由を考えつくもんだ

オートバイを買うためならね

モーターショーの会場で目が合った、とか

オートバイ屋の店先で「一緒に帰ろう」と云われた、とか

まあまあ大概は下らない言い訳にすぎない

もちろんそれは本人が一番理解している訳だが

けれど、何かしらの理由がそこに在ってくれれば

オートバイを買うという贅沢で無用な

それが故に付きまとう購入への後ろめたさへの

せめてもの救いになるような気がするのだ



一度はもう大きいオートバイは止めよう、などと思った時期があったのに

自分の人生の中で、オートバイが占めてきたモノの大きさに気付き

遠回りしながらも結局ボクサーツインのBMWを手に入れてしまったのだ

それはこっそり乗り始めたエストレヤへの不満から始まったのだが

もともとはR100RSやW800を処分して

年寄りはクルマだよ、とばかりに当時気に入っていたクルマを買い

どうしようもない未練から手元にはカブだけは残していた

カブを走らせるのはもちろん楽しいんだけど

とっても良く回るエンジンなので

どうしてもギャンギャン回転を上げて走らせることが多かった

それなりによく走ってはくれるんだけど

カブってそういうオートバイじゃないよね

だったら250くらいの大人しいやつならいいか、ってことになって

それでエストレヤを買った

ずいぶん前だけど木曽の山の中でエストレヤの排気音を聞いて

痺れた経験があったからだ

でも非力すぎた

最大トルク1.8kg-m

充分走るけどトラクションが足りない

使える回転域も高くて単気筒らしさは出せず

車体もとても足らない

やっぱり(最大トルク)「3」くらいはいるよなー

と漠然と感じたのを覚えている

そもそもあの性格ではのんびり走っても楽しくもなんともないし

ボク自身ものんびり走りたい訳ではない(そもそも結構飛ばす方が好きだし)

スピードをコントロールしてコーナーへ向けてリーンし

エンジンのトルクを利用してトラクションを活かしながらコーナリングしたい

誰かより速く走りたい訳ではないし

レーシングスピードでの限界性能を楽しみたい訳でもない(公道だしね)

オートバイと会話しながらオートバイを自由に操りたいだけなのだ

つまり楽しく気持ちよくスポーツ走行したいのだ



もう一度ボクサーツインを、と探し始めた時

実はツインショックの(R100)RSを考えていた

かつてモノサスから二本サスへ乗り換えた時に

そのフィーリングの違いを目の当たりにし

中速から上の力強さに惹かれていた

それと、モノサスボクサーは

将来を見据え開発されたKバイク(水冷直4)のリリースで

BMWバイクのメインストリームを外れ消え行く運命だった

けれど市場のニーズの多さに動かされたメーカーは

パフォーマンスの追及はKシリーズに任せ

ボクサーは気軽に扱えるツーリングバイクへとシフトし存続が決まった

キャブレターを絞ってパワーダウンさせたエンジン

「日常域で使いやすくなった」と

でもこれ、すごく傷つく言葉じゃない?

下手クソのためにパワー絞って使いやすくしてあげましたって聞こえる

けれどたまたまモノサスボクサーとの出会いがあり

結局それを手に入れた

実際にそれはすごく乗りやすかった

レイダウンしてストロークが伸びたリヤサスと相まって

本当に完成された性能を感じたし

何よりボクの感性がこれを認めるほど成長していたことが大きかったと思う



話を変えてTZR250

ヤマハについて書いておきたい

20代のボクの興味は

カワサキの空冷4気筒400ccを乗り継いできた後

先鋭化する2ストレプリカに移っていた

世界GPでフレディがダブルタイトルを獲るなど

ホンダも2ストに本気を見せていたが

ボク的には2ストといえばRZで

特に750キラーの異名を持つRZ350に惹かれていた



だからTZRが出た時すごく惹かれたんだけど

半面そのマジメ感あふれる外観にちょっとがっかりもしていた

フロントも16インチではないし

アンチノーズダイプフォークでもない

フロントディスクはなんとシングル(でもフローティングだけどね)

シートもしっかりアンコが入っていてひどく普通なのだ

でも結局TZRを買った

それはマイナーチェンジの時に設定された

美しいソノートヤマハのジタンブル―の外装にメロメロだったからだ



実際に走り出すとTZRは怖ろしく普通でありながら

ワインディングへ行くと本当に速かった

そしてすぐにTZRがボクの指示を待っていることに気付いた

指示をすればTZRは期待以上にそれに応えてくれるのだ

走ることが楽しいと初めて感じた

でも実際は指示待ちしてるわけではなく

入力に対する反応が人の感覚に近いというカラクリなのだ

もちろんワインディングだけでなくて

ロングツーリングもすごく得意な「レプリカ」で

ハンドリングのヤマハとすでに云われていたが

キャリアの浅いライダーにもそれはすぐに理解できるものだった

操る人間の感性に寄りそうバランス

それはヤマハのスポーツバイクに込めた魂だった



けれどバイクブームに後押しされた市場は

オートバイの本質を離れますますその性能(スペック)は先鋭化していった

ホンダの88NSRは刺激的だった

当時の大型オートバイとなら発進加速で負けないし

公道の狭いワインディングでは無敵だった

ゼロ発進でフル加速するとフロントを軽々と持ち上げ

加速Gでは身体中の血が引いていく感触がするほどだった

そのあともボクは馬力の虜になったまま歳を重ね

ZX12Rにまで行きついた

今思えば何たる無知と嘆きたくもなるが

本当はボクはもう気付いていた

TZRがボクの求めるオートバイだったのだ



軽くてコンパクトな車体

強い骨格にコントローラブルなエンジンとブレーキ

YPVSの生み出す豊かなトルクを操って立ち上がる気持ち良さ

あれがボクの理想のオートバイの姿だった

のんびりトコトコではなく

グリグリっとトラクションを感じて走りたい



次はSR400だ

SR400は燃調用ECUを搭載しながら

厳しくなる一方の排ガス騒音規制に対応していた

しかもエンジン本体や車体デザインを変えずに

SRがSRのままであり続ける開発を続けていた

正直いえばSRって興味の中心にはないオートバイだった

けれどSRの広告や記事はこの40年間途切れることなく

当たり前のように「ふーん」と眺めていた

そして2021年

翌年からのABS搭載義務にまるで反旗を翻すように

あっさりと市場から消えてしまった

ファイナルモデルは4263台も販売

「え?新車買えなくなるの?」

そう感じた人がいかに多かったかということだろう

そういうボクもその中のひとりだ

いつでもその気になれば(買える)、はもう通じない



去年の夏にSRに寄せる思いを記事にした

「SRラプソディ 忘れられぬ恋はかなわぬ恋というけれど」

あれから事あるごとにSRについて調べていた

それは、なぜヤマハがSRにこだわってきたのか、がとても気になったからだ

その中でいちばん気になったのが実は最終モデルの開発の話だった

最終のRH16Jは排ガス規制対応のためECUを大型化

それはMTシリーズと同じタイプのECUなのだ

インジェクション化のためにSRはフレームや外装にまで変更が加えられているが

それはすべてSRをSRとして残していくためだった

そしてその最新のECUを得ることによって

SRは少しサイボーグ化しているんだけど

より良い性能、のベクトルが

当然のように「より良いSRとは何か」に向けられていた

「より良いSR」とは、「SRの本質」を求めるということで

スムースでパワフル、ではないということだ

最大トルク発生を3000rpmに落とし

「日常域での使いやすさ」と嫌いなフレーズで云いまわされながら

SRは本当にSRらしく作り込まれた

今まで思っていた高回転での性能より

中速域(アクセル開度2分の1)での性能こそが

ビッグシングルの味わいなのだと云わんばかり

そしてそれは日常速度域でのスポーツ性に最も近い

2500rpmから3500rpmのトルクバンドを使って

コーナリング中に矢継ぎ早にシフトアップすれば

SRはもっとも「らしく」旋回していくのだ

これこそがボクが求めている姿に近いオートバイの筈だ

あらためて強く感じた

ぜひ乗りたい、と



という訳で

これが今回「SR400(RH16J)」をボクが買った理由だ

ヒヒヒヒヒッ

2024年 年頭所感 など

2024年01月08日 | R100Trad (1990) クロ介


何となく、

今年はよい事あるごとし。

元日の朝、晴れて風無し



年が明けて元旦が穏やかに開けると

いつもこの啄木の歌を口ずさんで深呼吸する

そして本当にそうであれば良いのにな

と、少し切なくもなる

夕べ遅くに降っていた雨もすっかり上がって

空はすっきりと晴れ渡った今年の元旦

今年はどんな一年になるのかな

いやいや

今年はどんな一年にしようかな、で過ごすことにしよう



でもね

「よい事」なんて普通はあまり訪れない

第一、よい事に出会うようなそんな生活してないしね

だから毎日淡々と暮らせれば

そして毎日淡々と勤しんでいければ

他に何もいらないのだとも思う

他人ごとに期待して落胆するほど暇じゃあないし

悪いことにもたまにはお目にかかるだろう

そんな時こそいつもどおりにやれば良い

禍福は糾える縄のごときものだし

人間万事塞翁が馬なのだ

そして、とどの詰まりは

人間到る所青山あり、ということだ



さて、今年は「旅」の一年にしたい

久しぶりに北の方へ行ってみようと思う

おもむろに書棚から引っ張り出した地図は

なんと2006年版

 

仕方なく大判の一枚地図を新たに買い求めた

結局こういう全体図が一番役に立つ

ツーリングに出掛ける前に

四六時中目の隅に入れておくと

地名とその位置関係がおのずと頭に入る

実際に走りに出るとそれだけで案内標識を見れば一日走れてしまう

あとは県道(道道か)とか市町村道で面白そうなルートを探す

それを繋いでざっくりウェイポイントを決めれば十分だ

あまり決めすぎると窮屈になるし

行動がそれに縛られがちだ

道を間違える

何処にいるのかわからない

通行止めで通れない

店がやってない

寒くてやばい

温泉で変なおじさんに絡まれる

どれも、どんなことも楽しい

予想以上期待以上なんていらないし

ネットで調べたとおりなんて意味すらない

楽しさや充足感は走る距離に関係しないし比例もしない

本当は遠くへ行かなくても良いんだけど

何日も一日中オートバイのことだけ考えてる

ツーリングというそんな状況に引かれるのかもしれない



もうひとつ挙げれば

「日本100名道」かな

ボクも以前(若いころね)は走ることに意味を持たせようと

あれこれ工夫していた時期があった

「日本一周」なんていうのもありきたりだけど

やっぱり魅力的で

何をもって日本一周と定義するかは自由なんだけど

何か縛りがあった方が充実するかなと思っていた時

たまたま「日本100名道」っていう写真集が目にとまって

直感的に「これいいかも」くらいの感じで

そこに載っていたルートを走破しながら日本を回ることにした

「日本100名道」は写真家の須藤英一氏の写真集で

2002年から2013年まで内容を見直しながら3版を重ね

最近ではweb版も公開されている

柄にもないが

ボクにとってはある意味ライフワークにもなっている

今となってはもうどうでも良くなってるんだけど

折角未踏破があと20ルート位まできているので

可能な限り走破していこうと思う

でもね、さすがに残っているルートは遠方が多くて

全部埋める自信はとてもない

桜島の火山の中腹にある湯之平展望所へ向かう道なんて行けるかな?

長崎鼻も佐多岬も都井岬も行ってるのになー



という訳で取り留めもなく

年頭に当たっての所感は以上

ですね