ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

大寒の日に庭でオイル交換する いや暖かかったもんですから

2025年01月26日 | 日記・エッセイ・コラム


昨年の長い夏のあとやっと訪れた遅い秋

そして暮れから年明けにかけてのちょっと早くて強い寒波

予報によると今年の寒さは大寒を前にもう底を打ったと云う

寒い時には寒さを感じたい、と思うが

大抵のひとは寒いのは嫌いであろう

これはこのごろさらに拍車の掛かる天邪鬼のせいか

つまりは所詮世捨て人の楽しみでしかなくあまり理解されない

とは云うものの寄る年波には逆らえず

寒風に晒されるとお腹が冷えて途端にくだるのだ

何ともカッコ悪い話でもある



日の出の前に庭に出たら野天晒しのクルマのガラスがびっしりと凍っていた

雲ひとつない空は放射冷却がきびしかったようだ

昨夜、明日はちょっと(オートバイで)走ろうかな、なんて考えながら床に就いたが

こんな寒さ具合では腰が引ける

まあ9時にもなれば状況も変わるだろうと

のんびり朝食を取りテレビでどうでも良いプログラムを見てやり過ごす

コーヒーを淹れようか

でもコーヒーを淹れてしまうとさらに腰が重くなりそうで

暖房で結露した窓を指で拭って外の様子を見やる

風はなさそうだ

この分なら気温は上がるだろう

意味もなく頷いていそいそと支度を始める

クローゼットからウェアを引っ張り出し

クロ介のエンジンに火が入るまでそれから5分と掛からなかった



クロ介(BMWエアヘッドフラットツイン)はイグナイター交換で復活

夏場より2秒だけ多くクランキングして盛大に目覚める

マフラーから白い蒸気を吹き出し

センタースタンドで上がった後輪がゆっくりと回る

ハーフチョークへ戻してさらに暖機運転する

リアホイールの回転が止んだのを見てスタンドから降ろし漸くシートに跨る

チョークをすべて戻して

その代わりに少しだけスロットルにテンションをかけ回転を維持する

コンピュータが全部やってくれる今のオートバイと違って

真冬のエンジン始動にも個体ごとの違いがあってとてもおもしろい

こういうところに趣味性があるのだ

インジェクション仕様のSR400のキックスタートなんて

簡単すぎて趣味性の欠片もない

キックスタートごときでノスタルジックなどと云う勿れ

そもそもノスタルジーなど趣味ではない



ボクの住まう愛知県は西の尾張と東の三河で成り立っている

どちら側も互いにあまりよく思っていないのは地方あるあるか

知多半島の付け根辺りで三河湾にそそぐ境川が文字通りの境界になる

三河はさらに東と西に分かれる

矢作川が作る平野部が西三河

豊川が穿つ山間部が東三河

夏の間はほとんど東三河の高原地帯を走っているが

冬になると西三河の海辺へ行くことが多い

岡崎平野の南東部には低い山が連なるがそこにはワインディングも多い

だから冬になるとワインディングを抜けて浜へ出て海を眺め

また別のワインディングで戻ってくる

そんな繰り返しだ

2月の下旬になればまた山へ行けるのでせいぜい2か月くらいだが

その間は幡豆や幸田の農道が主な生息場所になる

まるで冬の陽だまりにある川の淵をうろつく鮒みたいに…

それでもオートバイに乗って走ることは本当に楽しくて

帰ってからもしばらく思い出し笑いみたいにずーっとニソニソしている

夜、布団に入って眠りに就くまでずっと心が浮かれているのだ

まったく呑気なもんだ

そして御目出度くもある

いい歳をしてオートバイに乗られることがうれしくて仕方がない

それも若いころからもう何十年も乗り続けているのにだ



「大寒」だからと身構えて迎えた朝

そうでもない

庭に陽が当たりだしたら風もなくぽかぽかだ

ほんじゃー、と

伸ばし伸ばしにしていたSR400のオイルを換えてやることにする



ヤマハのオイルチェンジキット

割高なんだけど一度使ってそのラクさにやられてしまった

こんだけ全部そろってるから本当に楽ちんなのよ

いや贅沢か

  

ドライサンプのSRはフレームのダウンチューブがオイルタンクになっている

だからフレームのこの小っさなドレンプラグからまずオイルを抜く

プラグを抜いた途端にシャーっと飛び出すので養生が必要

(フロントタイヤがオイルまみれになっちゃう)



エンジンの下部にもドレンがあるのでその後ここからもオイルを抜く

ドレンのすぐ下にレギュレータがあるのでこれもテープで養生する

15分ぐらい放置したらドレンプラグのシールを交換して

規定トルクで締め付ける

ステアリングヘッドのすぐ後ろタンクのくぼみに顔を出している

レベルゲージ付きのキャップを開け

ヤマルーブ プレミアムシンセティックをまず1.8リットル注入

試走後にレベルを見たら下限の少し上だったので残りの200ccを継ぎ足す

ゲージは半分くらい

規定では2リットルちょうどだけど2リットルでは少ないのかな

まあ様子見だ

今回はオイルフィルターは交換しないのでこれで終了

暖かくて作業日和だった、大寒なのに



こんなに暖かいと山のワインディングへ行ってみたくなる

山中に植えられたスギやヒノキの林が遠目に茶色っぽく見えるけど

なんせ枝先には花がびっしり付いて花粉の噴射が準備完了

だからきっともう行けるのかもしれないけど

路面温度のことを考えると楽しくは走れないのかなとも思う



いまは海辺でのんびりコーヒーでも淹れて

もう少し春を待つことにしよう


2025年 年頭所感など

2025年01月07日 | R100Trad (1990) クロ介


新たな年が明けました

あけましておめでとうございます

なんですけど、この云いまわしちょっと違和感ないですか?

新年を迎えたことを寿ぐ訳だが

何がそれほどめでたいのか現代人には正直ピンとこないだろう

元旦から七日までを松の内として祝い

七日目の朝、七草がゆをもって日常へ戻る

それほどこの新年を大切にお祝いするにはもちろん訳があって

これは人がいつ命を落とすかわからなかった時代だからこその感覚であり

これだけ恵まれた環境境遇で生きていられる現代人には

もうすでに伝わらない価値観となっているからだろう

けれど21世紀を生きる我々でも

歳を重ねて少しでも身体に不調をきたしたりすれば

途端にこの「あけましておめでとう」が胸に沁みてくるはずだ

楽しみに待たれよ

いずれはだれの身にも訪れる境地なのだ



さて

世の中にはいろいろな人がいて

そして各々にそれぞれの考えがあるもの

だから最近では個人、個性を尊重しようという風潮が強い

しかし人間には、というか人間社会には同調行動を重んじる向きもあり

それが時に個人を無視して恐ろしいほどの潮流となることもある

個人個性の尊重は世間ではすでにガンジガラメと成り下がり

これは天邪鬼的にはとてもおもしろい状況で

「個性を大切に」という「同調行動」になってしまっているからだ

つまり社会に関わる時、人はみなその影響を受けざるをえないということで

周囲からの働きかけによって動き出す自我は

欲と欲のぶつかり合いという葛藤を経て

気付けば我利我利のこころにまで落ちていく

「意馬心猿」という言葉があるが欲に突き進む心はそれほど制御不能なのだ

自分のこれまでを顧みれば

その業の深さに情けなくなるほどの醜い生き様であったが

はたして、社会からドロップアウトした途端

うそみたいに憑き物はきれいさっぱり落ちて

生涯の中でこれほどピュアに生きていられる日々に

我が事ながら感謝しているほどだ

なにも「悪い事」を考えなくていいし、また考えることもない

善人振りながら醜い自分を横目に見て生きることの地獄から解放され

ゆったりと安心して日々を暮らせている

人と関わることで自分を汚く見失う性質の向には

早々隠居することをお勧めする



定年後の暮らしを退屈で無意味だと嘆く人がおられるが

それも価値観の物差しを自分の外に置いているからで

自分をいったいどれほどのものと認識してきたのだろうかと

哀れにも感じる

人間なんて所詮ゴミ屑みたいなもんだと理解すればいい

これは諦観だが

諦観とは諦め卑下することではもちろんない

出来ることと出来ないこと

なれるモノとなれないモノ

かなうこととかなわないこと

これをよく吟味して明らかにすることを諦観というのだ

「絶対に」「どうしても」という言葉が口から出るとき

人は原理主義に落ちている

原理主義の正義はとても不幸だ

晴れた朝、青空を見上げながら

熱いコーヒーを啜り

あー今日は晩酌の宛てに魚でも煮て食うか、と考える

それ以下でもなければそれ以上でもない

これが退屈か?

なら風の止み間に庭の落ち葉でも掃いて焚けばいい

縁側に座布団並べて昼寝しながら屁をこいてもいい

やっぱり無意味か?

それじゃあネコに聞いて回ればいい

「生きるとはいったい何なのでしょう?」

多分ネコはこう云う

「ニャーーーーーーー」とね

とにかくなんの悪い考えも浮かばないこの日々は最高だ

ボクもやっとネコの境地に辿り着いたのかな

いやピテカントロプスか



昨年末にちょっとトラブったクロ介(R100RSもどき)

寒い朝の始動に緊張する

が、そこは難なく1発で目覚めてくれた

どこへ行こうか、と考えながら

やはりここへ来ていた



ここ最近の冬は幡豆のこの海岸が定番だ

途中で形原の漁港を渡る大きな橋を渡り

わざとらしいパームツリーの海岸に出た

三河湾を渡る風が強くてクロ介がぐらぐらと揺れる



エンジンは相変わらず絶好調

イグニッションコントローラーの不調だったが

思い出してみると、謎のエンストにたまに見舞われていた気がする

あれは壊れる前兆なのかも

とにかく今年はクロ介に頑張ってもらわなくてはいけない

夏には北海道を走らせてやりたいのだ



そのあと久しぶりに広域農道幡岡線に入った

予想してはいたが昨日しっかり降った雨がまだ乾いておらず

落ち葉が路面に広がって全く楽しめなかった

それでも今年最初の散歩はやっぱり楽しかった

冬はあまり遠出もしないし山へも行けない

ヤマハのコミュニケーションプラザに行ってみようかなとか

雪をかぶった富士山見に行こうかなとか考えはするけど

どうかな

やっぱ行かないかも



ということで

今年もどうぞよろしくおねがいします