アーバンライフの愉しみ

北海道札幌近郊の暮らしの様子をお伝えしています。

帰って来た~村山由佳著「風は西から」

2018年08月14日 | 読書三昧

村山由佳さんの最新作は、ブラック企業との闘いを描いた「風は西から」。
大阪日日新聞など地方13紙連載、407頁の大作。

物語~大手居酒屋チェーン「山背」に就職し、主要店の店長として張り切っていたはずの恋人・健介が、突然、自ら命を絶った。なぜ、彼の辛さをわかってあげられなかったのかと悔やむ千秋。「ごめん」の1行が最後のメッセージとなった・・・。

この10年ほど、「ダブルファンタジー」や「放蕩記」などの官能小説を発表し続けて来た村山さんだが、こうして社会小説に挑戦してみれば、根っからの負けん気と抜群の筆力で、きちんと書けることを実証してみせた。

もう、官能云々の歳でもあるまい。
引き続き、人間や社会が持つ矛盾やえげつなさに果敢に挑戦して、読者をして納得させる分厚い物語を綴って欲しいものだ。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)

コメント