イタリア人のデザインはわれわれ日本人には真似ができないほどに洗練されている。もともとイタリア人の素質なのかもしれない。ミケランジェロやレオナルド・ダ・ビンチ、ラファエロといった名だたる天才芸術家を生む土地柄である。フィレンツェ周辺で生まれている。
ルネサンスという時代が彼らを生んだのか、彼らがルネサンスという時代をつくったのか、という議論にもなる。フレスコ画という壁画技法がイタリアで、ジョット(1266-1337年)によって確立され、たまたま、その技法が生乾きの漆喰の上に塗るという一人一仕事の作業だった。したがって、そ
れまで復数人の工房でなされた仕事が個人の仕事となり、才能ある個人の名が売れる時代と重なる。個人の発想や力量を競う時代になった。それがルネサンスを開花させたバックグラウンドだとの説もある。
現代のイタリア人にとって幸いなのはそうした先人たちの技法やセンスを毎日のように観察できることであろう。ローマやフィレンツェ、ミラノそのものが美術館である。そして先達のモチーフは街にはあふれる。上の写真はミケランジェロの「アダムの創造」である。このデザインがローマにはレンタルバイクの広告になり、そしてミラノではサッカ-チームのポスター にもなる。その時代と発想と感性でイタリアのデザンが磨かれているのだと思う。もちろん意地悪な見方をすれば、名画のモチーフに乗っかった「あやかりデザイン」と言えなくもない。
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