ある一つの時代の流れを日常で感じることがある。それは「軽」だ。かつて「軽薄短小」という言葉が流行したが、そのトレンドがさらに進化して現在を生き抜いているように思う。
今月4日、金沢大学で林勇二郎学長と、石川1区選出の馳浩代議士の対談があった。大学の地域貢献情報誌「地域とともに」(3月下旬発行)に掲載するため、馳氏に対談をお願いした。その馳氏が運転手付で乗ってきた車がダイハツの軽自動車「Tanto」=写真・ダイハツのカタログから=だった。対談が終わって見送るとき、馳氏に「ちょっと窮屈ではありませんか」と私の方から声をかけた。何しろ馳氏は1984年のロサンゼルス・オリンピックでレスリング・グレコローマン90㌔級で出場した体格の持ち主である。「と思うだろう。ところが意外と広いよ、君、乗ってみろよ」と後部座席に押し込まれるように乗った。確かに室内高は130㌢もあり天井が高い。「中で着替えもできるんだ」と馳氏。
それに金沢の街中の道路は狭くくねっている。支持者にしても、こんな道路事情で自宅前に黒塗りの大型車が停まっていたら近所迷惑と言われるだろう。先の総選挙(05年9月)で馳氏が獲得した12万9千票のうち、この「軽」への好感票がかなりあったのではないかと思ったりもした。
先月訪れたイタリアのローマも金沢と同様に狭い道が多い。しかも道路が駐車場代わりにもなっていて、窮屈さを感じる。そんな市内の道路ではメルセデス・ベンツ社の「smart」など小型車が幅を利かせていた。なかには昔懐かしい三輪車も見かけた。写真は何かの工事用の車なのか、汚れていて、しかも左窓はガムテープで補強されていた。確かにこのくらい小さくないと裏路地まで行って商売はできないかもしれない。
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