自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「真偽の攻防」を読む

2006年02月19日 | ⇒メディア時評

  ライブドア前社長の堀江貴文被告が、自民党の武部勤幹事長の二男に3000万円を送金するよう指示したとされる電子メールが衆院予算委員会(16日)で暴露され問題となっている。が、その真偽をめぐり、メールを暴露したものの逆に「ガセネタだ」と信ぴょう性を疑われ、守勢に回ったのは民主の方だ。民主は新証拠を示す代わりに国政調査権を発動し、銀行口座を調べ上げろ主張している。これに対し、自民は「挙証責任は民主党にある」と拒否する構えで、国政調査権をめぐる攻防となっている。が、テレビを見ていても、双方腰が引けているという印象もある。

   こんな政治の場で展開される真偽の攻防を読み解く方法が一つある。それは、新聞の扱い、あるいは論調だ。私はこれを「プレスセンサー」と仮に名付けている。16日の衆院予算委員会で暴露したのは民主の永田寿康代議士だが、翌17日の各紙はこの問題をかなり大きく扱った。本来なら大スキャンダルに発展するのだから当然大きな扱いとなる。しかし、18日、19日と攻防をめぐる動きは伝えているものの、その後の新聞各紙のおっかけ報道がない。つまり、トーンダウンしている。

   おそらく、情報提供者は民主の永田代議士のみに提供している。しかも紙でプリントしたものを渡している。普通、よほど確信のあるものであれば、マスコミにも匿名で流すものだ。つまり、民主が追及し、マスコミが援護射撃をするという図式が一番効果的だからである。むしろ、いまのマスコミの関心は民主への情報提供者は誰が何のためにという点に向けられているのではないか。こうなると、永田氏は自民を追及することより情報提供者を守ることに四苦八苦することになる。だから腰が引ける。

   もし口座名が判っているのであれば、「○○銀行の口座だ」と民主は言えばよい。国政調査権を発動させるのであれば、そこまで証拠を提出すべきだ。そうなれば政局として事態は動く。週明けのポイントはここだと読む。

 ⇒19日(日)午前・金沢の天気  はれ

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