トリノ冬季オリンピックは日本人のメダルが出ないせいか、日増しに興味が薄れていく。たまたま、ニュースサイト「AFP BB News」を眺めていると面白い記事に遭遇したので紹介する。
スペイン南部のウエルバ地方でイチゴ摘みのシーズンが到来し、この収穫のために東欧諸国などから3万の労働者が雇われている。その中に、ガーナ出身のスティーブンという人がいる。3年間砂漠を歩いてガーナからモロッコへ行き、2002年にスペインのカナリア諸島にボートでたどり着いたスティーブンさんは、現在は出稼ぎ労働の常連だ、という内容の短い記事だ。イチゴ摘みに3万人(ほどんどが女性)が出稼ぎに訪れ、その中に3年間砂漠を歩き、ボートでスペインにたどり着いた人もいる。ひと言、世界は凄まじい。
出稼ぎと言えば、稲刈りのシーズンになると、石川県の松任平野に能登の女性たちが大挙して稲刈りに訪れた時代があった。貴重な現金収入で、シーズンが終わりに近づくと金沢のデパートで買い物をして能登に戻り、今度は自分たちの田んぼの稲刈りをする。その稲刈りが終わると今度は夫婦で大阪や名古屋方面に出稼ぎに出る。春になると田を耕すために故郷に戻ってくる。スペインのイチゴ摘みから連想ゲームにようにして稲刈りの女性のたちの光景が目に浮かんだ。能登の女性たちはよく働き、その分、亭主が楽をするので、「能登のトト楽」という言葉まであった。
最近もう一つ気になったのが、東芝がイギリスの核燃料会社BNFL傘下の原子力大手、米ウエスチングハウス(WH)を総額54億ドル、6400億円で買収すると発表したニュース。欧米での原発の新規建設や中国、インドなどの需要拡大を見込んだ動きだが、実に思い切った決断をしたものだ。
原子炉には大きく分けて2つのタイプがあり、BWRと呼ばれる沸騰水型と、PWRと呼ばれる加圧水型。BWRは米ゼネラルエレクトリック(GE)が、PWRはWHがそれぞれ実用化した。GEと提携していた東芝はこれまでBWRを供給していたので、これで2つのタイプの原子炉を供給できるようになる。
その狙いは、世界のマーケットを睨んだというよりむしろ、日本には運転開始から30年を超える古い原子炉が増えているので、電力会社はいずれ老朽化対策に動かざるを得なくなる。そのためには2タイプの原子炉を供給できる企業がシェアを取れる。次世代DVD規格「HD DVD」の東芝が、対立規格「ブルーレイ・ディスク」のソニーを買収したようなそんな凄みのある話ではないか。
⇒18日(土)夕・金沢の天気 くもり