イタリア人はけばけばしく見えるものを高級そうに見せる天才かもしれない。ミラノの中心にあるドゥオモは、イタリアの代表的なゴシック建築でバチカンのサン・ピエトロ大聖堂に次ぐ教会建築として知られる。このドゥオモの前の広場とスカラ座の間を結ぶアーケードのある商店街ガレリア(長さ200㍍、高さ32㍍)=写真・上=には世界のブランドが集まる。ミラノ市が管理している。つまり、この威容を誇るテナントの大家さんが行政というわけだ。そして、その行政の指導の下、しっかりした「まちづくり」が垣間見える。
その一端がご覧の写真である。マクドナルドといえば、ハンバーガーの「マック」の愛称で知られ、日本でも世界でも同じあのロゴマークでおなじみである。ガレリアのマックのロゴはブラックとゴールドのツートンカラーである。向かい側のメルデスベンツも同じ配色である。実はこのガレリアではどんな世界的な企業であれ、ロゴは同じ色が条件となっているのだ。
それぞれが独自の色を強調すれば、ミラノの中心商店街ガレリアはけばけばしい色に染め上げられてしまい、まちづくりのコンセプトそのものが失われてしまう。そこで、ロゴをかたちと色で大切にしたい企業側とそれを許さない市側の丁々発止があったことは想像に難くない。逆にそこで行政が折れるようでは、ミラノ市全体の「まちづくり」が頓挫、あるいは歯抜けになるに違いない。
世界の有名ブランドであっても、ミラノ独自の色に合わせて従ってもらうという、「まちづくり」に対する行政サイドの強いメッセージをここガレリアで感じた。そして、こんな感じのマックが世界にひとつくらいあってもいい、と思った。
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