先日、私のオフィスである金沢大学創立五十周年記念館「角間の里」に設置されたストーブの話題を取り上げた。そのストーブにこの10日、いよいよ火が入った。
かつて小学校にあった石炭ストーブではなく、炭を燃料としている。仕組みは ストーブに取り付けたタンク内で温まった水が、設置された配管内を循環し、部屋を暖めるというもの。当初、2005年8月ごろに、 金沢大学のOBで、バイオマス燃料の研究に取り組む北野滋さん(55)=明和工業社長(石川県能美市)=が炭ストーブの開発を大学へ提案。築300年の「角間の里」の木造の雰囲気と、そこを拠点に活動する「角間の里山自然学校」 のコンセプトとマッチしていたので、「角間の里」に設置が決まった。05年初頭の設置予定だったが、防災設備やスチームの配管、煙突の構造、 建物の外観とのすりあわせなどの問題をクリアーするのに遅れ、ようやく完成にこぎつけた。
この炭ストーブにはちょっとした「夢」が託されている。現在は市販の炭を利用してスタートしたが、将来的には大学のキャンパスで活動する市民ボランティア「角間の里山メイト」や学生グループがつくる竹炭や木炭を利用することにしている。メイトがキャンパスの里山の保全活動(竹林整備、雑木林の管理など)に取り組んでくれているが、活動で出た間伐材(竹、木)の処理に一番頭を悩ませている。これらの材で炭(燃料)を生産し、ストーブで消費できれば、里山の保全活動と燃料の確保につながる。使用後の燃え残りの灰は肥料や土壌改良剤として山や畑にかえす計画。竹炭は市民ボランティア「竹ん子くらぶ」が生産中。木炭は、学生サークル「CLUB炭焼き」が現在炭窯を製作中で少し時間がかかる。
大学キャンパスの限られた地域の中での木質バイオマスエネルギーとはいえ、持続可能なエネルギー循環のミニモデルなのだ。こうした仕組みは、これからの里山保全のモデルケースになるのではないかと思い描いている。
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