この写真は最近学内で貼られた、クールビズ(夏の軽装)を呼びかける金沢大学のオリジナルのポスターだ。気が利いているのは、キャラクターにベンギンを起用しているところ。「氷が恋しい…」とぺンギン君は訴える。
地球温暖化で極地の氷がどんどん解けているといわれている。写真は地べたに寝そべる皇帝ペンギンだ。タネ明かしをしよう。実はこの写真は、ことし3月帰国した第47次南極観測隊の隊員だった大学の研究者が提供してくれたもの。南極に降り注ぐ宇宙の電磁波を観測していた。でも足元のペンギンもしっかりとウオッチして撮影していた。
去年6月、その隊員を交えて、南極の昭和基地と金沢大学を衛星回線で結んで子供たちのための「南極教室」を開催した。その折に、国立極地研究所(東京)の厚意で南極の氷をいただいた。実際に子供たちに見て、触ってもうらためである。催しが終了し、解けずに残っていた氷があったので、試しにウイスキーの氷割り(ロック)をつくって飲んでみた。グラスに耳を当ててみると、プチプチと音がした。氷に閉じ込められていた数万年、いや数十万年前の空気が弾けているのである。
先月20日、評論家の月尾嘉男氏の環境をテーマにした講演を聴いた。海水面の上昇に関して一部誤解があるという。「温暖化による水面上昇は北極南極の氷が溶けるからではなく,水が熱膨張するからである」と。
地球のグローバリゼーションをたとえて、「人生七掛け、地球八分の一」とよく言われる。空路が発達して、それだけ地球は小さくなった、そして人生は長くなったという意味だが、これに「地球の温度三度増し」を付け加えよう。「人生七掛け、地球八分の一、地球の温度三度増し」。3つのフレーズにすると言葉の走りが実によくなる。そして随分とエコっぽくなる。
今回のブログにはストーリー性がない。一枚のポスターから連想したアラカルトの話になった。
⇒30日(水)朝・金沢の天気 くもり