
きょう(8日)現物を見た。30台は並んでいただろうか。金沢市郊外の湯涌温泉をドライブしたときのことだ。中心街の県道に整然と並んでいた。運転者はどんな人たちかと見渡すと、サングラスをかけた、いかつい感じの兄さんたちかと思いきや、普通の30代くらいの男たちなのである。広場で楽しそうに語り合っている。外見的に目立という人たちではなさそうだ。女性は見当たらなかった。
車は派出だ。テレビアニメ『侵略!?イカ娘』や、映画『けいおん!(K-ON!)』などボンネットなど車体からはみ出るように存分に描いてある。金沢、石川、富山のナンバーが多い中で、「聖地巡礼」と記された岐阜や姫路もあった。おそらくアニメの舞台となった実在のロケーションを旅する「聖地巡礼ツアー」の車なのだろう。ちなみに、インターネットで「聖地巡礼」を検索すると、「五大聖地」というのがあって、「鷲宮神社、木崎湖、豊郷小学校旧校舎、尾道、城端」がその場所なのだそうだ。
今度はガラス越に車の中を覗いてみた。散らかし放題の車内と思ったら、大変な予断と偏見だった。全部を点検したわけではないが、どれも整然として、ゴミや空き缶がないのである。フィギュアなどもフロントガラス付近にきちんと並んでいる。
ところで、この日は特別な日でもないのに、湯涌温泉になぜ痛車が集まっていたのか。2011

金沢で長く住んでいると、湯涌温泉でイメージするのは、あの独特の美人画で知られる竹久夢二だ。愛人・彦乃と逗留した温泉場。大正モダン風に描かれる、彦乃のイメージ画=写真・下=が印象に強い。そして、戦後間もなく、湯涌温泉にあった「白雲楼ホテル」(現在撤去)をGHQ(連合軍総司令部)が接収して保養施設にしていた。あのマッカーサーも利用したとされる。さらに、この湯涌温泉には「江戸村」があり、芽葺き農家などの歴史的建造物が移築されている。この湯涌温泉に来るとそうした歴史を感じてきたが、思いもかけず痛車と遭遇して「現代」を感じた。
⇒8日(日)夜・金沢の天気 くもり