きょうは二十四節気の「立冬」にあたる。冬の気配が山や里だけでなく、街にも感じられるころだ。ただ、金沢は快晴で気温も昼過ぎには20度近くあった。それでも、金沢の街の景色は着実に冬に向かっている。
きのう(6日)冬の味覚、ズワイガニの漁が解禁された。けさの地元紙の朝刊一面を飾っていたのが「最高級の加能ガニ初物 『輝』1号 500万円」(北國新聞)や「加能ガニ 最高級ブランド デビュー 金沢の初競り、ギネス記録並ぶ」と派手な見出しだ。それぞれに写真も大きく掲載されている。オスのズワイガニは鳥取では「松葉ガニ」、福井では「越前ガニ」、石川では「加能ガニ」と称され、地域ブランドのシンボルにもなっている。ただ、石川の加能ガニの知名度はいま一つ。そこで県漁業協同組合では重さ1.5㌔以上、甲羅の幅14.5㌢以上、甲羅が硬く身が詰まっているものをことしから最高級品「輝(かがやき)」として認定することで全体の底上げを狙っている。その「輝」の第一号が昨夜の初競りで500万円の値がついた。記事によると、重さ1.88㌔、甲羅の幅15.6㌢だった。
ちなみに、松葉ガニの最高級ブランド「五輝星(いつきぼし)」は2019年に500万円で落札され、ギネスの世界記録にも認定されている。上記の「ギネス記録並ぶ」の意味はそれと同額で並んだとの意味だ。きょう午後、金沢市民の台所、近江町市場に行ってきた。店頭に並ぶカニは庶民の食卓に上るものだ。それでも、1匹7万5000円の値札のものが数匹並んでいた=写真・上=。店員が「輝の一歩手前のヤツですがどうですか」と声をかけきた。よく見ると、値札には重さが1.4㌔、甲羅の幅14.5㌢と書かれている。甲羅の幅はセーフだが、体重が100㌘足りないため、「輝」の認定には漏れたようだ。それでも1匹7万5000円は庶民にとっては高根の花だ。県内のズワイガニの漁期は、メスの香箱ガニが12月29日まで、オスの加能ガニは来年3月20日まで。いまは「ご祝儀相場」もあるだろうから、もう少し値段が落ち着いてから買い求めることにした。
近江町市場からの帰りに兼六園近くを車で通った。コロナ禍も収まりつつあり、日曜日ということで観光客でかなりのにぎわいだった。とくに、金沢21世紀美術館と交差点の対角線上に位置する真弓坂口は混雑していた。入り口の左右のマツの木に雪吊りが施されている=写真・中=。 金沢の雪はさらさら感のパウダースノーではなく、湿っていて重い。このため、庭木に雪が積もると「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」といった雪害が起きる。金沢の庭師は樹木の姿を見て、「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」の雪害対策の判断をする。この季節にテレビのニュースで放映される雪吊りは「りんご吊り」という作業だ。五葉松などの高木に施される。松の幹の横にモウソウチクの柱を立てて、柱の先頭から縄を17本たらして枝を吊る。パラソル状になっているところが、アートでもある。兼六園の800ヵ所で雪吊りが施される。
ついでに、兼六園近くの紅葉の名所も走行した。金沢市役所近くにある「しいのき迎賓館」(旧県庁)と「四高記念館」に挟まれた通りで、「アメリカ楓(ふう)通り」と呼ばれている=写真・下=。紅葉が青空に映えてこの季節の人気スポットだ。樹木のアメリカ楓は別名で、正式には「モミジバフウ」。原産地がアメリカだったことからアメリカ楓と呼ばれている。空を見上げると赤と青のコントラスが目に映える。そして、下の道路を見ると落ち葉がたまっている。まもなく始まる道路の落ち葉かきがアメリカ楓通りの冬支度でもある。
⇒7日(日)夜・金沢の天気 はれ